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エルフ王は唯一むに! ~隠居して趣味で刀作りにハマったら、僕、いつのまにか創剣神と呼ばれてた?~  作者: 茉森 晶


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016話『おかしな女騎士』



「兄様、まさか人間との子作りなんて考えてないでしょうね?」


「ぶふ――――ッ!!」



 唐突なドストレート確認に紅茶を噴き出すザクト。



「いくらエルフの妊娠確率が低いとされているからって……唯一のエルフ男子として、エルフ王として、軽はずみな性交渉はダメですからね!」


「だぁ――――っ! 年頃の妹がそんなこと口にするもんじゃありません!!」



 長年、女性のみの種族だったこともあり、それぞれエルフ女子のそっち方面は意識のズレがあるようで。


 ザクト自身、異性が得意なわけでもない。


 転生してからは女性に囲まれてきたが、むしろ、そんな雰囲気になることは皆無だった。


 そんなザクトを、顔を真っ赤にしたルーラが追い打ちする。



「わ、私はそんなつもりじゃなかったんですが……ザクト様に命じられれば、何でもやります!」


「軽はずんでるね! 君も! めったなこと言わないように!!」



 そんなわちゃわちゃを壁にもたれかかりながら眺めていたシャノンが、ハッと何か気付いたような真剣な顔で口を開いた。



「ひょっとして、これ……ザクト様が以前言っていた【ラブコメ臭】というやつですか?」


「そうかもね! てか、シャノンがそんな表情で言うと、何かヤバい敵の気配でも感じたかと思っただろ!!」



 ひと通りツッコんだあと、ザクトはふと思う。



(もしかして『女だらけのドキドキ感』よりも『ツッコミ人材不足のドタバタ感』が勝ってる? いや、別にハーレムルート期待してたわけじゃないけどね?)



 魔族との戦闘より、そんなことばかりが心配になっていた。



「あ、あの……皆さん、おなか空きませんか?」



 流れを変えようと、ルーラはポンと手を合わせ、立ち上がる。



「そういえば、食べるの忘れてたな。でも、街に出るわけにも……」


「城内の食堂があります。私、そこのホワイトシチュー大好きなんですよね」



 想像してうっとりするルーラの顔を見ていると、エルフ組もどんどん空腹を思い出してくる。



「それじゃ……案内してもらおうかな」



     *          *



 ちょうど夕食(どき)、食堂は兵士や事務官など多くの城内従事者で賑わっていた。


 当然ながら、エルフの登場にまたどよめきが起こる。



「城内にエルフ? どういうことだ?」


「臨時の傭兵として来ているらしい。詳しいことは伏せられているが、何か作戦が動いているようだな」


「エルフが人間に協力? おいおい、上層部に入り込まれてるんじゃないだろうな」



 相変わらずの疑念っぷりに、ハレッタは『もう飽きましたわ』という顔で平静を装う。



「ま、サッサと済ませて部屋に戻ろう。ルーラ、注文お願いできるかな」


「はーい、ちょっとお待ちを」



 ルーラが窓口へ向かったその時、ハレッタにひとりの騎士が声をかけた。



「アンタ達エルフって、人間のこと好きなの? 嫌いなの? どっち?」


「は?」



 『また敵意をぶつけてくる(にんげん)が……』と思いつつ、ハレッタは振り向く。


 その騎士は、女性だった。


 女性としては大柄で筋肉質な体、肩ほどまでの髪を後ろでくくり、いかにも快活そうな出で立ち。


 訓練後なのだろう、キラキラと汗が光る上半身はノースリーブの肌着のみ。


 本人がいくらサバサバしていようが、その女性らしい胸の躍動は稽古中、他の団員の集中力を乱しているだろうことが想像できる。



「何ですか、あなたは。失礼な人の質問に答える気はありませんわ」


「あ、ごめん、確かに失礼か。あたし、ユーティカ・アイズ。騎士団所属の24歳。独身でーす」


「……ハレッタ・レインシスですわ」



 おかしな女騎士ユーティカの挨拶を受け、ハレッタは訝しみながらも名乗った。



「ハレッタ、アタシは本当のエルフを知りたいの。人間、好き? 嫌い?」



 よく言えば『人なつっこい陽キャ』


 悪く言えば『馴れ馴れしい自己中ノーテンキ』


 ジードとはまた違った失礼騎士ユーティカ。


 ハレッタは深く溜息をついた。



「好きではない、ですわ。先ほども、あなたと同じ騎士団の方にイライラさせられましたし」


「あ、ジードでしょ? アタシもアイツ好きじゃない! あんなのでも剣の腕は立つから余計ムカつくのよね。昨日、稽古とはいえアタシが一本とったのに『調子狂うから、お前とはやりたくねえ』とか負け惜しみ言ってさ! 思い出したら腹立ってきた……」



 ユーティカのまくし立てるような喋りに、ハレッタは調子を狂わされ、いつのまにか引きつるような笑顔になっていた。


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