014話『手出し無用!』
「ハレッタ・レインシス……だったか。エルフは成人するまで人間と同じ成長をし、そこから容姿は変わらないということだが、そなたも長く生きておるのか?」
「わたくしは、まだ18です! エルフは若くても理性的なのですわ」
「それは失礼した。やはり、エルフは何においても優秀だな」
皮肉っぽくも聞こえるが、事実なので仕方ない。
『熱が無い』というお国柄は、人間社会で交流するなら障害かもしれない。
が、若いエルフにはちゃんと熱があるようだった(ハレッタは『理性的』だと主張するが)
「最強エルフのそなたらが守ってくれるなら、我々は危険も少なく安心かもしれん。しかし、自分たちで守れなくては国防とは言えんのだよ」
王は再び険しい顔になり、側近に目で合図を送った。
「私の答えは……これだ」
台車に乗せられ運ばれてきたのは、標準よりふた回りは大きく見える1本の剣。
物理的には鎖が巻き付き、その表面には封印の魔法陣も光っている。
ザクトは顔を上げぬまま、静かに深呼吸する。
「七神剣のひとつ、【神の紅炎】。これを保有しておれば、上位魔族だろうと問題ではあるまい」
神剣の持つ力に絶対的な信頼があるのだろう、ケイト王は『人間も負けてはいない』と言うようにエルフ達を見下ろす。
その時、今まで目立たないように頭を下げていたザクトが顔を上げた。
「あの……王様、失礼します」
「そなたは……魔物に親を殺され、エルフに拾われたという子か。ザック、だったな」
「はい……ども、おそれいります」
初めて間近で見た【王】に、つい子供らしくない返事をしてしまうザクト。
「聞いた話では……この剣を使うには、かなりの体力・剣術、それに高位の火属性魔法適性が必要なんですよね?」
「その通りだ。若いのによく知っているな」
「あ、はい! 僕、剣に興味がありまして……」
しらじらしい小芝居に、ハレッタたちは頭を深く下げ直す。
その中で、シャノンだけが『七神剣を知らないテイだったのでは?』と思っていた。
「つまり『使いこなす者がいるのか?』ということだな」
「はい。場合によっては、使い手の人が危険なんじゃないかって……」
「その見立てこそ、エルフが人間を舐めている証ではないか?」
王は不機嫌そうに言うと、パンパンと手を打つ。
その音に呼応し、ザクト達の背後のドアが開いた。
「ジード・ロックス、参りました」
そう名乗り、ガチャガチャと甲冑を鳴らし入ってきたのは、日に焼けた肌の長身の男。
20歳台中盤か、まだ若く見えるその騎士は、ギラギラと渇望の眼差しで膝をついた。
「騎士団の若き精鋭だ。総合的に見ればまだまだだが、剣術では50年にひとりの逸材と言われている。魔法適性もある。このジードが一番の適任だろう」
「光栄至極であります! きっと! 必ず! 使いこなしてみせます!!」
そんなジードを、ザクトはジーッと見つめる。
その視線に気づき、ジードは容赦なく迎撃のメンチを切る。
「不確かな神託ですし、国の危機など起こらないに越したことはないですが……有事の際には、私が必ず敵を打ち倒しましょう!」
「うむ。さて……そういうわけだ、エルフの民よ」
あらためてエルフ達に険しい視線を戻し、王は言い放つ。
「大災害級の上級魔族は我ら人間が退ける。君らエルフには北門の守備を手伝ってもらう。報酬等については、実際に起こる事象次第で交渉ということになる。それでよいか?」
「はい……わかりました」
(うーん……大丈夫かなぁ。神剣で上手いこと行ってくれるなら、それでもいいんだけど)
「あの……北門が片付いたら、我々も正門の方へ参加していいですか?」
「わかっておらんようだな」
王はゆっくりと首を振ったあと、まっすぐにザクトの目を見て続ける。
「エルフ班は本命に手出し無用! 傭兵として、人間の戦闘を補助するのだ!」
かなりの強い言葉。
ザクトは思わず肩をすくめた。
「今後も危機があるたび、エルフに『助けてくれ』と使者を走らせるのか? 我々がやらねばならん。この神剣さえあれば、やれるのだ!」
(あくまでメンツ優先か。でも、言ってることも間違いじゃないしな……)
* *
「まったく……兄様は物好きですわ。人間たちが『勝手にやる』と言うのですから、放っておけばいいのに」
謁見の間のドアを閉めるなり、ハレッタは溜息をつく。
「まあまあ。元々、僕はルーラの頼みで来てるんだし」
「ありがとうございます。でも、どうしましょう……北門の配置になってしまいました」
「そうだね。人間だけで何とかなればいいけど、神託を信じるなら……」
「ところで」
ザクトとルーラの話へ割って入るように、今まで黙っていたシャノンが口を開いた。
更新ペースが二転三転しており、読んでくださってる方にはご迷惑かけてます。
『フニャひよ』の方もPVは落ち着いてしまったようなので、
やっぱりあっちは週一(木曜日)更新にしようかと。
こちら『エルフ王』は、しばらく月・水の更新でやってみます。
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ペースを上げていきたいと思います。
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