012話『王都にエルフがやって来た』
「ルーラ、相手にしなくていいですわ。こういうイタズラばかりする不埒者なのですから」
「は、はあ……そうなんですね?」
共通の敵が登場することにより、ハレッタとルーラの距離がまた少し縮まった気がした。
「スカートめくりくらいで問題にされたら、こっちはたまったもんじゃないぜ。今この場だけでも【エルフ】【人間】【精霊】【オーク】と価値観の違いがあるんだからな」
「あなたのは違います! ウチの精霊にも出てきてもらいましょうか!?」
「いや、すまん、冗談だぞ。ガードゥナは苦手だ……」
お調子者のディアムはそう言って、ザクトの手に戻ったペンダントの中へ逃げ込んだ。
人ん家の身内やりとりに入り込んだようで、ルーラはそのスピード感にオロオロするばかり。
「さて、ディアムのクセは置いといて……いよいよ人間の国へ入るよ。僕の素性は隠すとして、ハレッタとシャノンも耳は隠した方がいいよね」
ザクトの無難な提案に、ハレッタは腕組みで背すじを正す。
「わたくしは隠しませんわ、ええ」
「えー? いや、不安要素は除いといた方がよくない?」
「兄様に言われて、あらためて思いました。なぜ、わたくし達がコソコソしなければならないのかと」
「そういう方向性で言ったわけじゃないんだけどな……」
ザクトは助けを求めるような困り顔をシャノンに向けた。
「ハレッタ様、人間たちにその耳を見せるのは……もったいないと思います」
「そ、それも何か違うかな?」
(シャノンも基本的に人間好きじゃないからなぁ。人間側と衝突が起きてしまっては、魔族を倒すどころじゃないかも……)
「隠していたら、後々バレた時『エルフは嘘つき』と言われますわ。こちらは悪いことなどしていないのですから、堂々とすればいいのです」
「しかし、ハレッタ様に万一のことがあったら……」
「シャノン、わたくしが人間におくれを取ると言うのかしら?」
「そういうわけでは…………ハァ……わかりました。絶対に油断はしないでくださいよ」
「元々、人間を信用していませんし、油断などあり得ないですわ。ええ」
ハレッタの性格をよく理解しているのだろう、シャノンが割とあっさり諦めるのを見て、ザクトは深い溜息をつく。
「ハァー……困った妹だよ。ま、しょうがないか」
エルフ達のやりとりを見ていて、ルーラ視点では、ザクトも含めてお国柄が見えるようだった。
「ザクト様も割と楽観的でいらっしゃるんですね。エルフの方って、みんな懐が深いのでしょうか」
「ん? まぁ、よく言えばそうだけど……『熱が無い』とも言えるかな」
(寿命が無いエルフ。本人たちにそのつもりはなくても、自然と冷めた方向へ行きがち。それが悩みの者もいるしなぁ)
「そんなことないですよ! ハレッタ様はお兄様にあれだけ熱くなってましたし、ザクト様だって剣のことになれば……。私、もっとエルフの皆さんとふれあってみたいです!」
「あはは、やっぱルーラって変わってるね」
ザクトはそう言いつつ、エルフを認めてもらえたようで、意外にもジーンと来ていた。
(ま、元々、人間なんだけどさ。すっかりエルフの意識になったもんだよ)
とはいえ、他のエルフとは違い、人間としての記憶31年分がある。
そして、それを誰にも言えず20年間生きてきた。
ルーラとの出会いで、ザクトの中にほのかな変化が生まれていたが、それはまだ自分で気づくほどのものではなかった。
「ハァ……休憩という感じではありませんでしたが、もうこんな所に居たくありません。サッサと王都へ向かいましょう」
「そだね。じゃルーラ、道案内よろしく」
「はい! おまかせください」
ルーラは方位磁石を片手に立ち上がる。
自分の国へ向かうのだが、特に瞬間移動魔法など使えるわけではなかった。
* *
「まー……大きな門ですねぇ。とても偉そうですわ」
歩き疲れたハレッタは、溜息とともにブー垂れる。
1時間半ほど歩いた一行は、ケイト王国の正門を目の前にしていた。
ワキにある通用口にチラホラと行商人の馬車などが確認できるが、それほど混み合っていないタイミングのようだ。
が、ふたりのエルフを含んだパーティに、その場の人間すべての視線が向かっていた。
「ジロジロと失礼ですわね。そんなマナーも無いお国柄なのかしら?」
「す、すみません! エルフの方をお見かけすることなんてないので、つい見てしまうのだと……」
もちろん『希少だから』ということはある。
が、それよりも『畏怖』『警戒』の意識が強かった。
『基本善良な種族』とは思いつつ、『いつでも強大な力を振り下ろせる神に近い存在』と見ているのだ。
「やっぱ耳隠した方がよかったよね。シャノンが……さらに目立つしなぁ」
「目立つようにしてますからね。少しでもハレッタ様への注目を下げませんと」
エルフ忍者シャノンの出で立ちは、この世界のファッションセンスからすれば結構なカブキ。
まるでお色気アニメのような露出度高い着こなしは、否が応でも男性の目を引いてしまう。
(戦闘時も、敵の精神状態を乱す目的も含んでるとはいえ……やっぱシャノンは事務的に割り切りすぎだよなぁ)
「では、入国管理の手続きへまいりましょう。うう……緊張しますね」
エルフ美女2人とフードをかぶった美少年を連れ、ルーラは意を決し通用口へと向かった。
読んでくださってる皆様、ありがとうございます!
物語は進み、ケイト王国にザクト達がやって来ました。
ちょこちょこ刀剣バトルなどもありながら、
基本的にマイペースな感じで楽しく生きる彼らを
好きになってもらえたら嬉しいです。
さて、この『エルフ王』しっかり準備して、ガンバっていこうと始めた物語なので、
まだまだ続けていきたいと思うのですが、何分、無名作家なもので、
なかなか多くの読者さんに来てもらえてません。
ランキング上位に載らなければ、多くの人にとっては
『見えない本』だと思うので、
このまま一日おき投稿を続けたとしても、
それによる良い効果はないのだろうと思っています。
戦略的な話で申し訳ないのですが、
やはり多くの人に見てもらえないと、作品としては成功と言えません。
ので、できるだけ長く続けるために、
もう少しだけ更新ペースを落とそうと思います。
今の時点で読んでくださっている精鋭読者の皆様には申し訳ない限りなのですが、
【2日おき】【3日おき】【4日おき】
のどれかに収めることを目指していきます。
その代わり……ではないですが、
現在、平行して更新している
『バズり女王なのに俺の○○にだけフニャるひよの先輩』
の方、多くのブックマーク&★評価をいただいてまして、
3日おき投稿くらいで更新していきます。
『エルフ王』の更新がない時は『フニャひよ』があるかもなので、
どちらも楽しんでもらえたら、とても嬉しいです。
よろしくお願いします!




