第八章 起きている名前 ⑫ 数えられた返事
翌朝。
白い塔の外壁に。
大きな布が。
張られていた。
***
旧搬入口は、名へ返事をした。
***
その下。
確認者 二十七名
***
さらに。
小さな文字。
***
立会
黒川朔
勇者候補第一位 イサラ・ベルン
勇者候補第二位 エリオ・レイス
***
「外してください」
朔が言った。
***
布の前。
人。
既に。
三十人ほど。
***
「なぜ」
ガル・メナ。
布の端を。
左手で持っている。
***
右手。
手紙。
見ている者へ
***
「俺は」
朔。
「旧搬入口が。名へ返事をしたと確認していません」
「でも」
ガル。
「お前にはトウマって聞こえた」
「はい」
「昨日も。皆が名前を聞いた」
「異なる名前として」
「二十七人が署名した」
「何に?」
***
ガルは。
布の裏から。
紙束を出す。
***
一枚目。
見出し。
***
旧搬入口音声現象についての共同申告
***
本文。
***
私たちは、旧紙市場において、旧搬入口方向から返答と思われる音を聞きました。
***
その下。
名前。
二十七。
***
ガル・メナ。
リナ・ホウの母。
名前。
セナ・ホウ
***
モラの夫。
ゲン・アト
***
ケン・オウの弟。
レナ・オウ
***
ロウ。
子どもの字。
***
ほか。
十九。
***
「共同申告には」
朔。
「返答と思われる、とあります」
「はい」
「布には」
返事をした
「短くした」
「誰が」
「私と。代筆屋」
***
カイ・ノル。
布の横。
立っている。
***
「私が書きました」
カイ。
「ガルさんたちから頼まれて」
「意味を確認しましたか」
「はい」
「共同申告の内容は」
「返答と思われる音を聞いた」
「布は」
「旧搬入口は名へ返事をした」
***
「同じだと思いましたか」
朔。
「人を集めるには。その方が分かる」
「何が」
「何が起きたか」
「違うことが伝わります」
***
「また」
カイ。
「長い紙なら。誰も見ない」
「はい」
「昨日。怪我人が出た」
「はい」
「だから」
「返事があったと。早く知らせた?」
「危険がある場所だと知らせるためです」
***
「危険」
布には。
書かれていない。
***
返事。
だけ。
***
「下に」
カイ。
「注意も書いています」
***
布の端。
小さい文字。
***
近づく際は、押さず、走らず、係員の指示に従ってください。
***
「近づくことを」
ミエルが言った。
「認めとるやん」
***
「事故を防ぐためです」
カイ。
「市場では。旧搬入口への確認行為を禁止した」
「だから塔の前へ」
ガル。
「ここなら市場に迷惑をかけん」
***
白い塔。
次の。
返事を求める場所に。
され始めている。
***
「俺の名前を」
朔が言う。
「立会に入れた理由は」
「いたから」
ガル。
「はい」
「聞いたから」
「はい」
「記録したから」
「はい」
「なら立会」
「その言葉では。結論へ同意したように見えます」
***
「立ち会ったのは事実」
「何に立ち会った?」
「返事」
「俺は。音声様現象と。人の前進と。怪我に立ち会いました」
「同じ出来事だ」
「同じ出来事の。何に立ち会ったかを分けてください」
***
「では」
ガル。
「黒川朔。音を聞いた」
「俺には。特定の言葉として聞こえました」
「返事と思った」
「最初は」
「なら」
「返事だとは確認していません」
***
ガルの指。
共同申告。
***
「私たちも」
彼。
「返答と思われると書いた」
「はい」
「同じや」
「疑ったことと。確認したことは違います」
***
「布へ」
ネラ。
「確認者二十七名とあります」
「署名者です」
カイ。
「確認した内容は」
「共同申告」
「全員が読んだ?」
***
カイ。
止まる。
***
「読めない人には」
「はい」
「私が読みました」
「全文を?」
「最初は」
「最初?」
***
「人が増えたので」
カイ。
「返答と思われる音を聞いた者の共同申告です、と説明しました」
「名前による返答?」
「そこまでは」
「旧搬入口が返答した?」
「はい」
***
「話者」
ネラ。
「旧搬入口と決めた?」
「方向です」
「布には」
旧搬入口は
***
場所。
話者に。
変わっている。
***
「署名した人へ」
朔。
「一人ずつ。何に署名したと考えているか聞きます」
「また」
ガル。
「分けるのか」
「はい」
「二十七人を」
「はい」
「その間に。塔は布を外す?」
「布は。結論が確認されていないので外します」
「署名も?」
「消しません」
***
「私たちの声を」
ガル。
「また箱へ入れる?」
「誰が何を申告したかを。残します」
「一つにしない」
「はい」
***
「一つにならなければ」
ガルの声。
低い。
「弱いままや」
***
朔は。
すぐには否定しない。
***
一人。
行方不明の姉を探す。
***
一人の言葉。
未確認。
***
二十七人。
共同。
***
制度は。
数を見る。
***
「弱い?」
朔。
「一人の申告として扱われた時より。無視されにくくなります」
「なら」
「数えることはできます」
「では」
「同じ答えとしては。数えません」
***
「何が違う」
「何を聞いたかが違います」
「音は聞いた」
「聞かなかった人もいます」
「二十七人は聞いた」
「署名した二十七人の中に。聞かなかった人はいませんか」
***
ガル。
後ろを見る。
***
一人。
年老いた女性。
手を上げる。
***
「私は」
彼女。
「音は聞こえんかった」
「名前」
「ミラ・セト」
「なぜ署名しましたか」
「娘が聞いた」
「共同申告には」
「私たちは聞いた、と」
***
「カイさんから」
朔。
「何と説明されましたか」
「返事を聞いた者と。その家族が。返事を確かめるための紙」
***
署名。
した者。
聞いた者。
同じではない。
***
「私は」
セナ・ホウ。
小さな靴。
「女の声を聞きました」
「内容」
「分かりませんでした」
「共同申告」
「返事と思われる音」
「何への返事」
「娘の名前を呼んだ後だったから」
「布の文」
セナ。
読む。
***
旧搬入口は、名へ返事をした。
***
「私は」
彼女。
「娘が返事したとは。書かないでって言いました」
「はい」
ネラ。
「この布では」
「名前へ返事をしただけ」
「誰の返事?」
***
セナ。
答えない。
***
「娘ではない、とも」
カイ。
「書いていません」
「だから」
セナ。
「どちらにも見える」
***
ロウ。
足。
布で固定。
椅子。
***
「俺は」
ロウ。
「リナって聞いた」
「はい」
朔。
「紙には」
「音を聞いたって」
「返事と思った?」
「その時は」
「今は」
「分からん」
***
「署名を外したい?」
「聞いたことは。外したくない」
「返事を確認した者として」
「それは嫌や」
***
二十七。
確認者。
***
一人。
自分が確認した内容を。
違うと。
言う。
***
「布を下ろします」
イサラ・ベルン。
***
赤い外套。
剣。
左腰。
***
「勇者」
誰か。
「立会人やろ」
「私は」
イサラ。
「音声様現象と。人の前進と。負傷対応に立ち会いました」
「返事を聞いた?」
「私は。特定の名としては聞いていません」
「でも」
「奥からの音と感じました」
「なら」
「誰の声かは確認していません」
***
「第一位が」
男。
「怖がっとる」
***
イサラ。
否定しない。
「はい」
***
「ヴァルハが?」
「何が起きるか分からない状態で。人を近づけることを怖いと思っています」
「勇者なのに」
「勇者候補だから。怖くないとは言いません」
***
「名前を」
イサラは。
布の。
自分の箇所を見る。
***
勇者候補第一位 イサラ・ベルン
***
「私の順位を」
彼女。
「この布の結論を強くするために使わないでください」
「立ち会った」
「はい」
「安全を守った」
「守れなかった部分もあります」
「子どもを助けた」
「朔さんと。ノエさんと。マレアさんと。市場の人たちが対応しました」
***
「でも第一位」
「その順位は。音の話者を確認する力ではありません」
***
エリオ。
布の前。
***
白と青。
銀の輪。
***
「私も」
自分の名前を見る。
***
勇者候補第二位 エリオ・レイス
***
「現在。その役目を名乗っていません」
「でも元第二位」
カイ。
「元、も付けません」
「なぜ」
「私が使用していない役目を。布の権威にしないためです」
***
「光を出した」
誰か。
「はい」
「道を示した」
「はい」
「現象を見た?」
「最初の音声様現象が起きた時。私は市場の入口へ到達していませんでした」
***
「立会ではない?」
「事故対応には立ち会いました」
「返事には」
「何を返事と呼ぶかによります」
***
「面倒やな」
「はい」
エリオ。
「面倒でも。私が見ていないものを。見たことにはしません」
***
布。
縄。
外す。
***
カイ。
自分で。
上の結び目をほどく。
***
「捨てません」
彼。
「はい」
ネラ。
「作成目的。作成者。使用した情報。掲示時間。見た者。記録します」
***
「失敗した紙?」
カイ。
「役に立った部分も」
朔。
「人を集めました」
「それは」
「危険でもありました」
「はい」
「共同申告が。無視されにくくなったことも」
「はい」
「見出しが。申告より強い結論へ変わったことも」
「はい」
***
「また」
カイ。
「私は短くした」
「はい」
「また危険になった」
「はい」
***
「向いてない?」
朔は。
すぐには答えない。
***
「短くする役目には」
「はい」
「元の意味を。誰と確認するかが必要です」
「一人でやるな?」
「はい」
***
カイは。
布を。
折る。
***
返事をした。
内側へ。
***
確認者二十七名。
見えなくなる。
***
「二十七人を」
ガル。
「今から聞く」
「はい」
「四十人近い記録は。昨日も取った」
「はい」
「また同じことを」
「署名の意味が。昨日の知覚記録とは別だからです」
***
「違い」
「昨日は。何を聞いたか」
「今日は」
「この共同申告と布が。自分の言葉をどう表していると考えたか」
***
外区画。
長机。
***
二十七人。
全員を。
一列にはしない。
***
待てない者。
仕事。
治療。
子ども。
***
時間を。
分ける。
***
聞き取り。
一人ずつ。
***
音声様現象を自分で知覚した
二十四。
***
自分では知覚せず、家族または同行者の知覚を理由に署名した
三。
***
特定の名前として知覚した
十一。
***
名前以外の言葉として知覚した
五。
***
声または音は知覚したが、内容不明
八。
***
合計。
二十四。
***
「返事だと思った」
十九。
***
「返事かもしれない」
四。
***
「分からない」
一。
***
「返事ではないと思う」
なし。
***
だが。
質問。
続く。
***
「誰からの返事だと思ったか」
***
自分が呼んだ者。
十。
***
旧搬入口の何か。
四。
***
黒い人影。
三。
***
ヴァルハ。
一。
***
分からない。
一。
***
人影。
ヴァルハ。
同じとは。
数えない。
***
「何に対する返事か」
***
名前を呼んだこと。
十二。
***
その前の手紙。
二。
***
人が集まったこと。
一。
***
分からない。
四。
***
「返事の内容」
***
ここにいる。
五。
***
待て。
三。
***
返せ。
二。
***
来るな。
二。
***
名前だけ。
十一。
***
同じ者が。
二つ以上を。
報告。
***
「数が合わない」
ユイ。
「はい」
ネラ。
「一人が複数を聞いたから」
「じゃあ」
「数字を足しても。人数になりません」
***
公示へ。
簡単に。
できない。
***
「多数は」
グラド。
「返事だと思った者。十九」
「はい」
「返事ではないと思う者。なし」
「はい」
「なら」
「返事と判断してよい?」
朔が尋ねる。
***
グラド。
止まる。
***
「回答者の範囲では」
「署名した人だけです」
「はい」
「返事だと思わなかった人は。共同申告へ署名しに来ない可能性があります」
「あります」
「昨日。聞こえなかった六人は」
「今回の聞き取りに含まれていません」
「では」
「署名者の多数です」
***
「それでも」
ガル。
「十九人や」
「はい」
「一人より」
「多いです」
「なら」
「多くの人が。返事だと思う経験をしたことは示します」
「返事があった?」
「それとは違います」
***
「数は」
ガル。
「何のためにある」
***
朔は。
紙を見る。
***
二十四。
十九。
十一。
五。
八。
***
「音声様現象を」
朔。
「多くの人が経験したことを。無視しないため」
「はい」
「また同じように人が集まれば。危険が起きると考えるため」
「はい」
「聞こえ方が。呼んだ名前や望みに近づく可能性を調べるため」
「はい」
「では」
「誰が返事をしたかを。多数決で決めるためではありません」
***
「多数決」
ガル。
「何で駄目」
「人が多い方の娘だけが。返事をしたことになります」
***
ガル。
止まる。
***
「昨日」
朔。
「メルさんと聞いたと完全に報告したのは。ガルさん一人でした」
「はい」
「リナさんは。二人」
「はい」
「人数が多い名を。本当の返事にしますか」
「しない」
「では」
「少ない名を。間違いにもできません」
***
「音そのものは」
グラド。
「複数人が知覚しています」
「はい」
「これは」
「音声様現象があった可能性を高めます」
「可能性だけ?」
「人の呼名。市場の反響。石枠側の音。複数が重なった可能性があります」
***
「でも」
ノエ。
「最初の長い音は。多くが奥方向と報告しています」
「はい」
「構造調査の根拠には」
「なります」
***
「対話調査」
イサラ。
「には?」
***
朔は。
彼女を見る。
***
「今の記録だけで」
「はい」
「名前を呼び。返答を求める調査には反対です」
「理由」
「誰の名へ。誰が答えるのか。知覚が誰の望みへ近づくのかを。分けられません」
***
「では」
イサラ。
「音の発生条件だけを調べる」
「人の名前を使わずに」
「機械音」
「石。風。市場の音。人数。位置」
「参加者」
「何を行うか知った上で」
「知識の影響」
「消せません」
「なら」
「参加者が何を知っているかも記録します」
***
「人を」
グラド。
「道具にしない?」
「参加者は」
イサラ。
「危険と目的を説明され。中止できる」
「知覚の違いを」
「本人の能力順位にはしない」
「聞こえた者を」
「選ばれた者と呼ばない」
***
「サクさんは」
グラド。
「参加する?」
***
朔。
すぐには答えない。
***
自分だけが。
完全な言葉として。
聞いた。
***
その事実が。
参加を求める理由になる。
***
「俺の知覚が」
朔。
「ほかの人と違ったことは。記録します」
「だから」
「同じ役目へ。固定しません」
「参加しない?」
「構造確認には参加します」
「音声知覚」
「聞こえたら報告します」
「質問」
「しません」
***
「補助知覚者」
グラド。
「と書く?」
「使いません」
「では」
「同行者」
***
「ただの?」
「役目が必要なら」
朔。
「構造確認同行者。知覚報告者」
***
「長い」
「はい」
***
イサラ。
紙を見る。
「いつ」
「何を」
朔。
「次の確認」
「人が。また集まる前に」
「急ぐ?」
「はい」
***
「私は」
イサラ。
「待つ間に人を失うのが怖い」
「はい」
「昨日は。急いで手順を作ろうとして。退去を遅らせた」
「はい」
「だから。今度は何も決めない?」
「違います」
「では」
「三日以内に。名前を使わない構造・音響確認の手順を作る」
「実施」
「市場の安全確認後。参加者へ説明。中止条件。退出経路」
「結果」
「一週間以内に公開できる範囲を出す」
***
「一週間」
ガル。
「メルは」
「行方不明記録の照合は。今日の昼です」
「旧搬入口は」
「別です」
***
「分けて」
ガル。
「どっちも遅い」
「はい」
***
「でも」
イサラ。
「期限を置く」
***
「期限を過ぎたら」
「結果がなくても。何を調べ。何が分からないかを出します」
「延ばす?」
「延ばす場合は。理由と。誰が決めたかを出します」
***
朔は。
イサラを見る。
***
決めるのを待つ間に。
名前だけが残ることを。
怖れる者。
***
今。
急ぐために。
問いを。
小さくしている。
***
朔と。
同じではない。
***
だが。
すぐに。
人を呼名の場へ。
並べない。
***
「公示」
ネラ。
***
見出し。
***
旧搬入口音声様現象に関する共同申告および個別報告の確認状況
***
「読まれない」
カイ。
「はい」
「短い要点」
***
朔。
考える。
***
多くの人が音を聞きました。
同じ返事は聞いていません。
***
「同じ返事」
グラド。
「一部は同じ名前」
「完全には一致していません」
***
次。
***
音があった可能性を調べます。
誰が返事をしたかは、確認できていません。
***
「二つ」
ユイ。
「はい」
***
公示。
全文。
***
旧紙市場の事案について、約四十件の個別報告を確認しました。六名は音を知覚しなかったと報告し、その他の報告者も、知覚した内容・位置・声の性質が一致していません。
***
共同申告への署名者二十七名のうち、二十四名が自ら音声様現象を知覚したと回答しました。十九名は返事だと思ったと回答しましたが、誰から・誰へ・何に対する返事かは一致していません。
***
これらの数は、多数が返事のように感じる経験をしたこと、および再び人が集まる危険を検討する根拠とします。話者、受取人、内容を多数決で確定する根拠とはしません。
***
三日以内に、個人名を呼ばず、手紙・遺品を提示しない構造・音響確認の手順を作成します。実施前に目的、危険、中止条件、退出方法を参加者へ説明します。
***
一週間以内に、結果の有無にかかわらず、確認できたことと未確認事項を公開します。
***
署名。
***
市場。
ミエル・サド
***
経路。
ルカ・フェン
***
治療・安全。
マレア・ソン
***
記録。
ネラ・ヴォス
***
現場判断。
イサラ・ベルン
***
管理。
ノエ・ハーラ
セオ・ラグナ
***
申告確認参加。
ガル・メナ
セナ・ホウ
ロウ
ほか。
本人が公開を望んだ者。
***
朔。
自分の名前を見る。
***
「入れない?」
グラド。
「関わりました」
「では」
「言葉の整理と。構造確認の条件提案」
***
黒川朔
その横。
知覚報告者・手順検討参加
***
「補助知覚者では」
「ありません」
***
エリオ。
自分の欄。
***
エリオ・レイス
避難誘導参加・初回音声発生時は現場未到達
***
「そこまで」
カイ。
「書く?」
「立会とだけ書かれるより」
エリオ。
「はい」
***
布。
新しく。
作る。
***
カイ。
一人で。
見出しを決めない。
***
ネラ。
ガル。
セナ。
ミエル。
確認。
***
大きな文字。
***
多くの人が音を聞きました。
***
次。
***
同じ返事は聞いていません。
***
その下。
小さく。
全文。
***
「これなら」
ガル。
「弱い」
***
朔。
「はい」
***
「返事があった可能性」
「消していません」
「でも。大きくない」
「同じ返事ではなかったことも。大きくします」
***
「人は」
ガル。
「二行目だけ信じるかもしれん」
「一行目もあります」
「逆も」
「はい」
***
「どっちを」
「読む人が決めます」
「塔は」
「確認できた範囲を出します」
***
「私は」
セナ。
「名前を出さないで」
「はい」
ネラ。
「申告は」
「残して」
「公開名」
「なし」
***
ロウ。
「俺は」
「どうしたい?」
「名前出していい」
「なぜ」
「リナって聞いたこと。隠したくない」
「返事を確認した者としてでは」
「音を聞いた人」
***
ロウ
「リナ」と聞こえたと報告。話者未確認。
***
「長い」
「うん」
「でも」
ロウ。
「俺が聞いたことになってる」
***
昼。
メル・メナ。
記録照合。
***
ガル。
ネラ。
アナ。
朔。
ノエ。
***
机。
記録。
五冊。
***
東外壁。
一時保護相談。
***
申請者。
メル・メナ
***
本人。
自分で。
書いた。
***
相談内容。
***
北東区画で、白い衣の者に追われている気がする。
***
事実確認。
未完了。
***
次回面談。
予定。
***
本人。
来訪せず。
***
その後。
行方不明。
***
「白い衣」
ガル。
「塔」
「そうとは書かれていません」
ネラ。
「誰」
「未確認」
「追われていた」
「追われている気がする、と本人が書いています」
***
「気のせい?」
「そうは決めません」
「では」
「実際に追跡があったか。本人の恐れか。両方か。確認できていません」
***
別の記録。
***
東外壁。
通行。
***
メル・メナ。
最後の確認。
四か月前。
夕方。
***
北東門。
外へ。
***
同行者。
なし。
***
持ち物。
布袋。
水。
短い外套。
***
「外へ出た」
ガル。
「はい」
「戻った記録」
「ありません」
「どこへ」
「通行目的」
***
薬草採取
***
「メルは」
ガル。
「薬草なんか採らん」
「仕事」
「染料工房」
「薬草を」
「詳しくない」
***
「本人が書いた?」
申請書。
署名。
メル・メナ
***
「字」
ガル。
見る。
***
「似てる」
「本人の署名と」
「家の帳面」
「持っていますか」
「家に」
***
「偽署名?」
ガル。
「まだ決めません」
朔。
「また」
「はい」
「でも」
「比較します」
***
通行受付。
担当。
レム・サイ
***
本人のいない署名を。
朔の名で。
書いた者。
***
「レム」
ガル。
「呼べ」
***
呼ぶ。
***
レム。
灰色の髪。
左目。
曇り。
***
「メル・メナさん」
記録。
見る。
***
「覚えていますか」
ネラ。
「名前だけでは」
「外見」
「細い方。青い外套」
「記録は短い外套」
「色は書かれていません」
***
「薬草採取」
「本人が言いましたか」
「紙にありました」
「誰が書いた」
レム。
紙。
見る。
***
「私です」
***
ガル。
椅子から。
立つ。
***
「また」
***
「本人が」
レム。
「口頭で申告しました」
「署名」
「本人へ確認し。私が代筆しました」
「本人は書ける」
ガル。
「その時」
「右手を布で巻いていました」
「怪我?」
「痛めたと言っていました」
***
「本人の依頼」
「はい」
「確認者」
「門の補助員」
「名前」
「タナ・ロウ」
***
「今は」
「退職」
「場所」
「南区画」
***
「M.E.」
ガル。
「この記録と」
「確認できる関係はありません」
ネラ。
***
「白い衣」
「北東門の警備記録を確認します」
「誰か」
「同じ時間帯に。白い外套の者が出入りしたか」
「塔の人」
「所属も」
***
「旧搬入口は」
ガル。
「この道と繋がる?」
「確認されていません」
「北東」
「地理的には別方向です」
「黒い道」
「内部でどこへ続くかは分かりません」
***
「返事」
「昨日の音と。この記録を繋げる根拠はありません」
***
ガル。
机。
手を置く。
***
「少ない」
「はい」
朔。
***
「でも」
ガル。
「昨日よりは。メルが何をしてたか分かった」
「はい」
「白い衣」
「未確認」
「薬草」
「本人の口頭申告と。受付の代筆記録」
「外へ出た」
「確認記録あり」
***
「次」
「本人の署名比較。門補助員の聞き取り。北東門の通行記録。染料工房と家族への確認」
「いつ」
「二日以内に。最初の結果」
***
「旧搬入口の調査より」
「別に進めます」
「どっちが先」
「同時です」
***
「人手」
グラド。
入口から。
「必要です」
***
「出せる?」
イサラ。
後ろ。
「勇者候補の警備隊から。二人」
「捜索へ?」
「記録照合と北東道の確認」
「ヴァルハではなく」
「メル・メナさんを探すために」
***
ガル。
イサラを見る。
「第一位が」
「私の名で。メルさんが見つかるとは言いません」
「でも人を出す」
「はい」
「なぜ」
「通行記録と。現在の危険を確認できるからです」
***
「返事があったから?」
「違います」
「昨日俺が騒いだから?」
「それも。全く無関係とは言いません」
***
ガル。
眉。
動く。
***
「声を上げたことで」
イサラ。
「記録照合が早まった部分があります」
「なら」
「旧搬入口が答えた証明ではありません」
***
「うるさく言えば」
ガル。
「人が動く」
「はい」
「静かな奴は」
「遅れる可能性があります」
***
部屋。
静か。
***
「それを」
イサラ。
「変えます」
「どうやって」
「行方不明記録の未照合件数を確認する」
「全部」
「期限と危険度で」
「また順番」
「はい」
「声の大きさではなく」
***
「声がない人」
テオ。
朔の中。
***
「本人が声を出せない場合も」
朔。
「含めてください」
「家族がいない人」
「支援記録から」
「名前が一つしかない人」
「除外しない」
「塔へ来られない人」
「外区画受付」
***
ガルは。
手紙を。
机の上へ置く。
***
今度は。
すぐに。
持ち直さない。
***
「預ける?」
朔。
「違う」
「では」
「書く」
***
手紙の表。
見ている者へ
***
ガル。
線を。
一本。
引く。
***
読めるまま。
残す。
***
その下。
新しく。
***
メル・メナを探す者へ
***
「誰」
朔。
「俺」
ガル。
「ほか」
「ネラ。門の人。北東道を見る人。イサラの警備」
「受取人が複数?」
「読ませる手紙やない」
「では」
「俺が。何を探してるか書く紙」
***
宛先ではなく。
目的。
***
ガルは。
裏へ書く。
***
メル・メナ。四か月前、北東門から外へ出た記録あり。薬草採取と申告。白い衣の者に追われている気がするとの一時保護相談あり。
***
M.E.様符号、旧搬入口音声様現象との関係は未確認。
***
ガル。
止まる。
***
「これ」
彼。
「俺の字や」
「はい」
「誰かの返事じゃない」
「はい」
「少ないこと」
「はい」
「でも」
「今。探せることです」
***
ガルは。
自分の名前を書く。
***
ガル・メナ
***
午後。
新しい布。
白い塔の外壁。
***
多くの人が音を聞きました。
***
同じ返事は聞いていません。
***
人。
読む。
***
「返事はあった」
「同じじゃないだけ」
***
「返事じゃない」
「音はあった」
***
「塔が隠した」
「名前を載せてない」
***
「二十七人を信じない」
「信じたから調べる」
***
言葉。
また。
分かれる。
***
完全には。
止められない。
***
夕方。
中央塔から。
白い封筒が来た。
***
封。
銀。
***
宛先。
***
勇者候補第一位 イサラ・ベルン
***
その下。
***
関係観測対象 黒川朔
***
さらに。
***
旧勇者候補第二位相当 エリオ・レイス
***
エリオの顔。
動かない。
***
「第二位相当」
ユイ。
「外したのに」
「はい」
エリオ。
***
「関係観測対象」
朔。
「俺は。対象?」
***
セオ。
封を見る。
「中央合同判断です」
「開けますか」
イサラ。
「私宛てです」
「ほかの名前」
「任務関係者として」
***
イサラが。
銀の封を。
開く。
***
紙。
厚い。
***
見出し。
***
旧搬入口・対話可能性確認任務
***
目的。
***
黒色人影様輪郭および敵対呼称ヴァルハとの意思疎通可能性を確認する。
***
「黒色人影と」
朔。
「ヴァルハを。同じ対象にしています」
「および」
グラド。
「二つとも対象とも読めます」
「敵対呼称」
「第五章の判定を参照しています」
「確定?」
「していません」
***
任務根拠。
***
旧搬入口における音声応答様事例 二回
***
集団知覚報告 三十四件
***
特定名称様知覚 十三件
***
応答可能性を肯定する共同申告 二十七名
***
「二十七」
ガル。
布から。
戻っている。
***
「共同申告は」
朔。
「返答と思われる音を聞いたという内容です」
「中央には」
アナ。
「見出しだけが先に送られた可能性があります」
「誰が」
「緊急報告です」
「作成者」
ノエ。
下。
見る。
***
速報整理:中央塔連絡班
***
個人名。
三名。
***
誰も。
昨日の現場へ。
いない。
***
任務。
***
第一呼名者
イサラ・ベルン
***
補助呼名・反応知覚
黒川朔
***
浄化・退路確保
エリオ・レイス
***
「呼名」
朔。
「俺たちは。名前を呼ぶ調査へ反対しています」
「中央は」
セオ。
「本日の共同申告確認前に判断した可能性があります」
***
呼名対象。
***
ヴァルハ
***
第二呼名。
***
ハル・ミナト
***
第三。
***
トウマ
***
朔の手。
紙の横で。
止まる。
***
トウマの手紙。
白い塔。
保管箱。
***
提示許可。
まだ。
届いていない。
***
「トウマさんの名前を」
朔。
「誰が入れましたか」
「前回速報」
グラド。
「旧搬入口で。朔さんが知覚した名称」
「返事?」
「応答可能性」
***
「第二呼名」
イサラ。
「ハル・ミナト」
「はい」
「第三」
「トウマ」
「誰が」
「中央合同判断」
***
「呼ばれる人の」
ユイ。
「許可は」
***
誰も。
すぐには答えない。
***
「ハルさん」
朔。
「所在不明。本人の現在希望。確認できず」
「トウマさん」
「手紙の使用条件を。今。本人へ尋ねています」
「ヴァルハ」
「誰を指すか未確認」
***
「それでも」
グラド。
「任務命令です」
***
実施日。
***
翌朝。
***
「早い」
イサラ。
「はい」
朔。
「事故後。対話要求が増える前に」
「中央は。急いだ」
「はい」
***
「私の名前」
イサラ。
紙。
見る。
***
第一呼名者。
***
勇者候補第一位。
***
「なぜ私」
「公的権限。戦闘力。多数の前で呼びかける象徴性」
セオ。
「ヴァルハが」
エリオ。
「勇者へ敵意を示した記録もあります」
***
「だから」
イサラ。
「私を餌にする?」
***
セオ。
「その表現は。命令書にありません」
「行為は」
「敵対反応を確認する可能性があります」
***
「私が」
イサラ。
「勇者と名乗ることを求められていますか」
***
下。
呼名文。
***
勇者候補第一位、イサラ・ベルンが命じる。ヴァルハ、姿を示せ。
***
イサラ。
読む。
***
声。
出さない。
***
「命じる」
彼女。
「はい」
「誰が書いた」
「中央塔連絡班」
「私は」
「命令に従う側です」
「でも」
朔。
「言葉を発するのは。イサラさんです」
***
「私の声で」
「はい」
「中央の言葉を」
「はい」
***
代理。
伝言。
引用。
賛同。
***
同じではない。
***
「命じたくない」
イサラが言った。
***
「拒否?」
グラド。
「今。この文を。私の言葉として発することを拒否します」
「任務全体」
「まだ決めません」
***
「どの今」
ガル。
***
イサラ。
彼を見る。
「命令書を読んだ直後の。現在の回答です」
***
「期限」
グラド。
「実施は明朝」
「はい」
「中央へ」
「今すぐ返します」
***
エリオ。
自分の欄。
***
旧勇者候補第二位相当
***
線を引く。
読めるまま。
***
横。
***
本人は現在使用せず。本人への協力確認前。
***
「命令書へ」
グラド。
「書き込む?」
「私の写しです」
エリオ。
「中央原本へも訂正要求を出します」
***
朔。
自分の欄。
***
補助呼名・反応知覚
***
「俺は」
朔。
「呼名に同意していません」
***
線。
***
本人は呼名任務への参加を承認せず。構造確認同行および知覚報告のみ条件付きで検討。
***
「観測対象」
ユイ。
「消さない?」
***
朔。
宛名を見る。
***
関係観測対象 黒川朔
***
「俺を」
朔。
「人ではなく。現象の一部として扱う名前です」
「削除要求」
アナ。
「はい」
「代わり」
「関係者」
「観測参加者」
「今は。参加を決めていません」
***
関係記録当事者
***
「長い」
「はい」
***
中央への返書。
***
イサラ。
書く。
***
音声様現象の発生可能性、および再度の集団事故を防ぐための確認は必要と判断します。
***
ただし、共同申告二十七名は、同一の返事、話者、受取人を確認したものではありません。集団知覚三十四件の内容も一致していません。
***
次。
***
私は、ヴァルハと呼ばれる対象を確認しておらず、「勇者候補第一位が命じる」という文を自分の判断として発することに同意しません。
***
勇者へ敵意を示す可能性のある対象へ、勇者候補の肩書きを用いて呼びかける行為は、意思疎通確認であると同時に敵対反応を誘発する可能性があります。
***
次。
***
急ぐ必要は認めます。急ぐことを、問いを一つにする理由にはしません。
***
署名。
イサラ・ベルン
***
順位。
書かない。
***
エリオ。
***
私は、勇者候補第二位という役目を現在使用していません。旧順位相当との表記を、浄化能力または命令への同意の根拠としないでください。
***
退路確保への協力は、目的、呼名内容、中止条件を確認した後に判断します。
***
エリオ・レイス
***
朔。
***
俺は、旧搬入口で他の参加者より完全な言葉として聞こえる知覚を報告しました。
***
この違いを、対象と対話できる能力、呼名を補助する役目、または対象から選ばれた証拠として確認していません。
***
次。
***
ハル・ミナトさん、トウマさん、ヴァルハという呼称を、本人・差出人・関係者の確認なく、反応を得るための順番として使用することに反対します。
***
俺は、名前を呼ばない構造・音響確認の手順検討には参加します。呼名任務への参加は承認していません。
***
署名。
黒川朔
***
その下。
現在呼称。
サク
***
「三人」
グラド。
「任務を止める?」
「中央が」
イサラ。
「別の者を出す可能性があります」
「では」
「代案を同時に送ります」
***
構造確認。
音響。
人数。
退出。
名前なし。
手紙なし。
遺品なし。
勇者名乗りなし。
敵対呼称なし。
***
音が出た場合。
一人ずつ。
その場で内容を言わない。
***
外へ出た後。
別々に。
記録。
***
互いの報告を。
聞く前。
***
知っていた情報。
期待。
恐れ。
記録。
***
中止条件。
黒色化。
経路変化。
身体症状。
不一致。
声による接近要求。
名前の呼びかけ。
***
「名前が聞こえたら」
グラド。
「中止?」
「はい」
朔。
「対話しない?」
「今回の目的は。構造と音声発生条件です」
「機会を逃す」
イサラ。
「可能性があります」
「それでも」
「はい」
***
「私は」
イサラ。
「名前が聞こえた時。答えたくなると思う」
「はい」
「ハルと聞こえたら」
朔。
「俺も」
***
「だから」
イサラ。
「中止条件にする」
***
返書。
中央塔へ。
***
走者。
出る。
***
夜までに。
返答。
求める。
***
だが。
命令書の写しが。
既に。
市場へ出ていた。
***
勇者イサラ、明朝ヴァルハへ呼びかける。
***
白い塔のサクが、ハルの返事を聞く。
***
第二位エリオが、黒い道を開く。
***
三行。
***
数。
消えている。
***
不一致。
消えている。
***
拒否。
消えている。
***
名前だけ。
役目を持つ。
***
イサラ。
勇者。
***
エリオ。
第二位。
***
朔。
返事を聞く者。
***
「明日」
市場の人。
「見に行ける?」
***
「公開任務?」
***
「ヴァルハが出る?」
***
「ハルが帰る?」
***
人。
また。
旧紙市場の方を見る。
***
「今夜」
ノエ。
「市場奥と。別の旧経路を警備します」
「人を」
朔。
「隠れて監視?」
「区域の警備を公示します」
「はい」
「通行制限」
「理由を出します」
***
公示。
***
中央塔から呼名任務案が届きましたが、関係者は内容へ同意しておらず、修正・代案を提出しています。明朝の実施は確定していません。
***
旧搬入口および関連経路への無断進入を、構造上の危険と前日の負傷事案を理由に制限します。
***
関係者の名前が記載された命令書が存在しても、本人が任務を承認したことを意味しません。
***
「短い」
ミウ。
***
要点。
***
名前が書かれていても、本人は同意していません。
***
次。
***
明朝の呼名は、まだ決まっていません。
***
「まだ」
ガル。
布の前。
「どのまだ」
***
朔。
答える。
「中央からの返答と。関係者の同意条件を確認している間です」
「明朝まで?」
「はい」
「延びる?」
「可能性があります」
***
「メルの捜索」
「別に進んでいます」
「明日。旧搬入口が開いたら」
「呼名任務には。今は反対しています」
「俺は」
「はい」
「対話できるなら。メルを聞きたい」
「はい」
***
「お前は。止める」
「今の方法では」
「どの今」
「ヴァルハ、ハル、トウマという名を。反応を得るための順番として呼ぶ命令書に対してです」
***
ガル。
頷かない。
***
だが。
自分の紙。
メル・メナを探す者へ
持っている。
***
夜。
朔は。
中央の命令書を。
自分の記録の横へ置く。
***
集団知覚報告 三十四件
***
特定名称様知覚 十三件
***
共同申告 二十七名
***
数字。
大きい。
***
その数字から。
任務。
生まれた。
***
第一呼名者。
イサラ。
***
補助呼名。
朔。
***
浄化。
エリオ。
***
呼ばれる名前。
ヴァルハ。
ハル。
トウマ。
***
数字は。
嘘ではない。
***
数えた者がいる。
音を聞いたと。
報告した者がいる。
***
だが。
何を数えたかを。
外せば。
***
三十四は。
三十四人が。
同じ返事を聞いた数になる。
***
十三は。
十三回。
対象が名前を答えた数になる。
***
二十七は。
二十七人が。
対話を確認した数になる。
***
数字が。
名前へ。
役目を着せる。
***
勇者が呼ぶ。
選ばれた子が聞く。
元第二位が道を守る。
敵が答える。
***
誰も。
その形へ。
同意していなくても。
***
朔は。
自分の紙へ書く。
***
二十七名の共同申告を確認した。署名者全員が、同じ内容、話者、受取人を確認したものではなかった。
***
署名者の数を、返事があった回数または対話が成立した人数として使用しない。
***
次。
***
多くの者が返事だと思う経験をしたことは、現象と安全対策を調べる根拠になる。
多数が返事だと思ったことは、返事をした者の名前を多数決で決める根拠にはならない。
***
次。
***
中央塔は、数と関係者の名前から、呼名任務と役目を作った。
任務名に名前が記載されても、本人の同意、能力、対象との関係が確認されたことにはならない。
***
最後。
***
数えた声を、一つの返事にしない。
同時に、数えられるほど多くの人が答えを求めていることを、少数の誤解として捨てない。
***
筆。
止まる。
***
外壁。
新しい布。
***
多くの人が音を聞きました。
***
同じ返事は聞いていません。
***
二行。
***
その下。
中央の命令書を。
短くした三行。
***
勇者イサラが呼ぶ。
サクが返事を聞く。
エリオが道を開く。
***
二つの布が。
街を歩いている。
***
一つは。
違いを残そうとする。
***
もう一つは。
名前へ役目を与える。
***
人は。
短い方を。
先に覚える。
***
明朝。
呼名任務。
***
まだ。
決まっていない。
***
それでも。
イサラの名は。
既に呼ぶ者になっていた。
***
エリオの名は。
既に第二位へ戻されていた。
***
朔の名は。
既に返事を聞く者として。
石枠の前へ立っていた。
***
本人たちより先に。
***
任務の中で。
名前だけが。
明日の役目を始めていた。




