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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第7章 動き出すオウゴウヌ王国、そして天文台へ
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第97話 練兵場の大雨(その1) ー眠れないー

さて、今回一緒に王城から練兵場に来たオスカー元老院議長の一行は(第95話、第96話)、月曜日の午後に王城に帰っていった。

 

護衛にはベリンダ上等兵のオフロードバイク1台と、ケイシー上等兵のスクーター1台を付けた。

 

 

 

あ、帰り際、リネット警察消防相は、僕とドーラに笑顔で近づいてきて、こう述べたんだ。

 

「ドーラ殿下、修司殿、

 

 水曜日の午後に王城に帰ってくると聞きました。

 

 水曜日の午後5時に、警察消防省の私の個室に来てくれませんか?」

 

 

 

補足すると、オウゴウヌ王国の軍人はドーラを軍人として「ドーラ『中尉』」と呼ぶが、軍人以外はドーラを第一王女として「ドーラ『殿下』」と呼ぶ。

(第96話)

 

 

 

ドーラは戸惑いながら、頭を下げ、こう答えた。

 

「は!

 

 リネット・ホーリス警察消防相閣下、

 水曜日の午後5時に、閣下の個室に伺います。」

 

 

 

 

 

オスカー元老院議長の一行が去ると、ドーラの分隊は訓練を開始した。

 

 

 

早速、ゲイリー少尉とトビー軍曹は、エイミー少尉とローレンス曹長の指導の下、オフロードバイクの教習を開始した。

 

 

 

ルイス少尉はパラグライダーからの弓矢の練習を行った。

 

先週と同様、フレッド副長がドローン操作から空中の的を設置した。

(第86話)

 

 

 

 

 

ヒュー少尉は無線通信機を組み立てていた。

 

このころには無線通信機が何とか動作して、練兵場で遠い場所の2箇所に設置して、通信ができる状態になっていた。

 

 

 

オフロードバイクの訓練の休憩中に、その様子を見ていたゲイリー少尉とトビー軍曹は興味深そうにヒュー少尉に近寄った。

 

ゲイリー少尉はヒュー少尉に話しかけた。

 

「ヒュー少尉、なんですか? これ?」

 

 

 

ヒュー少尉は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「これは無線通信機と言って、遠くの人と会話ができる機械です。」

 

 

 

トビー軍曹は戸惑いながら問うた。

 

「え? 念話を使わないのですか?」

 

 

 

ヒュー少尉は苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「分隊長(=ドーラ)は、魔法器官を失って、念話ができません。

 (第9話)

 

 ま、私は元々も念話ができませんし。。。(第47話)」

 

 

 

トビー軍曹は慌てて頭を下げた。

 

「ヒュー少尉、申し訳ありませんでした!」

 

 

 

ヒュー少尉は笑って、片手を振って、トビー軍曹に語り掛けた。

 

「ははは。。。


 トビー軍曹、気にしてませんから、頭を上げてください。」

 

 

 

トビー軍曹は頭を上げたが、バツが悪そうだ。

 

 

 

ヒュー少尉はゲイリー少尉とトビー軍曹に笑顔で語り掛けた。

 

「この分隊が有している無線通信機は2種類あって、

 通話距離が短いものと、長いものがあります。

 

 今、僕が調整しているものは、通話距離が長いものですね。」

 

 

 

ゲイリー少尉は戸惑いながら問うた。

 

「通話距離が長いって?」

 

 

 

ヒュー少尉は答えた。

 

「うまく設備が整えば、数千km先まで届くそうです。」

 (第47話)

 

 

 

トビー軍曹は「数千km?」と叫んだ。

 

ゲイリー少尉は「そりゃ凄い!」と叫んだ。

 

 

 

これをきっかけに、ヒュー少尉とゲイリー少尉とトビー軍曹は話し込んだ。

 

実際、ゲイリー少尉とトビー軍曹はオフロードバイクの教習の合間合間に、ヒュー少尉の所に行き、熱心に無線通信機について質問をしていた。

 

 

 

 

 

さて、残りのジャクソン少尉とケント准尉だが、、、

 

ドーラを相手に木剣を使った訓練を行った。

 

 

 

ドーラ曰く、


「ジャクソンとケントなら、二人がかりでも我が勝つ」



とのことで、、、二対一でも、まるで相手にならなかった。




ドーラは武芸の腕が高く、ジャクソン少尉とケント准尉はそうでもない。

(第64話)

 

 

 

でも、先週、レオ近衛師団長から、こう言われた。

 

『いつ、戦争があるかわからぬ。

 

 そのとき、敵陣に穴をあけるため、

 ドーラの分隊に敵陣へ突撃を命じることもありうる。』

 (第89話)

 

 

 

実はあとで教えてもらったのだが、、、

 

先週、練兵場から帰った後、いつものように、金曜日の午後10時にドーラが宮殿に戻り、ドーラは中尉から第一王女に戻った。

 

レオ近衛師団長は金曜日の夜にドーラの個室を訪れ、ワスイ帝国の脅威がオウゴウヌ王国に迫っていることを教えてもらったそうなんだ。

 

 

 

そう、ドーラは真剣に、エイミー少尉を先頭とした戦闘隊形に取り組む必要があることを理解したんだ。

(第89話)

 

 

 

武芸は得意ではないジャクソン少尉とケント准尉も、敵陣に突撃した際、自らの身を守るため、魔法以外に武芸が必要になることは十分ありうる。

 

だから、ドーラはジャクソン少尉とケント准尉の武芸を鍛える必要に迫られていたんだ。

 

 

 

ちなみに、これはケイシー上等兵も同じだった。

 

ケイシー上等兵も、ドーラが武芸を鍛えていた。

 

 

 

ま、この理由をドーラから教えてもらったのは、数か月先だったんだけどね。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、一方、僕とクラレンス君は天体観測の準備をし始めたのだが、、、

 

クラレンス君は上空を見上げてつぶやいた。

 

「曇ってますね。。。しかも、雲が分厚い。。。」

 

 

 

僕も空を見上げた。

 

「こりゃ、一雨来るな。。。」

 

 

 

僕は苦笑いを浮かべ、クラレンス君に語り掛けた。

 

「今夜の観測はヤメにしよう。。。」

 

 

 

クラレンス君も苦笑いを浮かべ、黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

案の定、その日の夜は大雨で、天体観測どころではなかった。

 

その日の夜は練兵場の官舎の部屋でおとなしくするしかなかった。

 

 

 

 

 

ちなみに、このオウゴウヌ王国では天気予報はあまり発展していない。

 

この国にはネットやスマホはないから、情報は新聞から入手するしかない。

 

新聞はオウゴウヌ王国でいくつか発行されており、王城内の売店で購入することができる。

 

だが、新聞には天気予報の欄はない。

 

ま、正確に言うと、天気予報と言うものが無いんだ。

 

 

 

え? なぜ、天気予報がオウゴウヌ王国にないのかって?

 

 

 

ほら!

 

約200年前の戦争の折、一部の狂信的な信徒が天文台を破壊しただろ?

(第43話)

 

 

 

実は、破壊したのは天文台だけでなく、測候所や地方気象台も破壊したそうなんだ。

 

もちろん、破壊された測候所や地方気象台の過半は復旧させたんだけど、、、

 

やっぱり一部の狂信的な信徒を刺激しないよう、全てが復旧している訳じゃないんだ。。。

 

 

 

 

 

また、そもそも、このオウゴウヌ王国は通信が発展していない。

 

測候所や地方気象台の気象データの高速なやり取りができないから、事前に天気予報したくでもできないんだ。

 

よって、気象変化の事後解析を細々と行っているのが現状なんだ。

 

 

 

加えて、コンピュータがこのオウゴウヌ王国にはほとんどないのでね。。。

 

気象変化の事後解析と言っても、、、気圧配置図からのパターン解析ぐらいしかできないらしいんだ。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話を戻そう。

 

 

 

その日の練兵場の夜は雨で、というか大雨で、天体観測など到底不可能で、僕とクラレンス君は練兵場の官舎でジッとしているしかなかった。

 

 

 

ジッとしているしかなかったんだけど、、、この練兵場の官舎がボロくてね。。。

 

まあ、雨漏りがひどかったこと。。。

 

 

 

ドーラの分隊メンバは何個もバケツを持って走り回った。

 

で、、、バケツにポタ、ポタと言う音が気になってね。。。

 

ロクに寝ることができなかった。。。

 

 

 

だって、雨漏りのバケツが、僕が寝ていた個室に何個もあったから。。。

 

複数のバケツから、ポタ、ポタって音がしてたんだよ。。。

 

意外とうるさいの!

 

 

 

しかも、ベットの上からも雨漏りがして、、、

 

部屋の中で天幕広げなくちゃいけませんでした。。。

 

 

 

 

 

で、、、眠れなかったのは、僕だけでなくて、、、

 

ルイス少尉がドーラに個室に入り、文句を言った。

 

「分隊長! これじゃ眠れません!」

 

 

 

すると、ドーラが罵り返した。

 

「うるさい! 我も同じだ!」

 

 

 

どうも、他のメンバも眠れなかったらしい。。。

 

(あきれた笑い)ははは。。。

 

 

 

 

 

どうも、ドーラのメンバは全員眠れないらしく、官舎の廊下に出てきた。

 

あ、廊下も雨漏りだらけて、いくつものバケツが置いてあって、そこからポタ、ポタって音がしてたけど。。。

 

 

 

ドーラはため息をついて、僕に話しかけた。

 

「修司殿、我は、今夜、修司殿のワンボックスカーで寝たいのだが。。。

 

 今日は修司殿とクラレンス殿は使っておらぬようだし。。。」

 

 

 

補足すると、ワンボックスカーはキャンピングカーに改造してあるのだが、天体観測の仮眠スペースとして、いつもは僕とクラレンス君が使っていた。

 

でも、この夜は大雨で天体観測は行っておらず、ワンボックスカーは空いていた。

 

 

 

話を戻すと、ドーラの言葉を聞くと、ルイス少尉が文句を言った。

 

「あ! ずるい!」

 

 

 

すると、ドーラがルイス少尉を罵った。

 

「うるさい! 分隊長権限だ!」

 

 

 

あきれたフレッド少尉がドーラに語り掛けた。

 

「まったく。。。

 

 分隊長(=ドーラ)、

 ワンボックスカーで寝るのは分隊長一人でよろしいですか?

 

 たとえば、修司殿と一緒に寝るとか?」

 

 

 

僕は慌てて否定した。

 

「確かに僕とドーラは許嫁同士ですが、まだ結婚したわけではありません!

 

 結婚前はダメです!」

 

 

 

アン女王に殺されかねん! 絶対だめだ!

 

 

 

 

 

ドーラは顔を真っ赤にしてフレッド少尉を罵った。

 

「その通りだ!

 

 我とワンボックスカーで寝るのは、女性隊員だけだ!」

 

 

 

と言うことで、ドーラ以外の女性隊員がワンボックスカーで寝ることになったのだが、女性隊員全員、雨漏りでポタポタ音がする官舎で寝たくないらしく、取り合いとなった。

 

 

 

ルイス少尉とエイミー少尉は、女性隊員では階級では、ドーラの次だからと言うことで、ワンボックスカーで寝たいと主張したが、ドーラが却下した。

 

「ルイス、エイミー!

 

 お前らは尉官でありながら、

 アイスクリーム騒動を引き起こしよって、、、

 (第92話)

  

 絶対だめだ!」

 

 

 

どうやら、ドーラは第一王女として公務中に、騒動を起こしたことに、相当腹を立てていたらしい。。。

 

返す刀でベリンダ上等兵とケイシー上等兵にダメ出しをした。

 

「ベリンダ、ケイシー!

 

 お前らもダメだ!」

 

 

 

ということで、ワンボックスカーで寝ることになったのは、ドーラとローレンス曹長だけになった。

 

 

 

 

 

残りは、、、僕も含めて、、、雨漏りでポタポタ音がする官舎で寝るほかはなく、、、部屋の中で天幕を張って寝る羽目となりました。。。

 

 

 

で、、、この大雨が次の騒動を引き起こすことになる。

 

 

 

(次話に続く)


次話は2026/5/14 0時に更新予定です。

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