第90話 ヒュー少尉の魔法強化
(前話からの続き)
エイミー少尉の魔法強化の試み(第87話~第89話)を終えると、次にヒュー少尉の魔法強化を試みようと考えた。
そこで、再び僕は指で後方支援連隊隷下の分隊の分隊長を呼び、リストのある一行を指さし、彼に頼んだ。
「これ、持ってきてもらえますか?」
すると彼は「は!」と答え、彼の部下に指示した。
「例の粉末の入った瓶を持ってこい!」
すると彼の部下の一人が「は!」と答え、一つの瓶を持ってきた。
僕はそれを受け取り、ヒュー少尉に語り掛けようとした。
だが、その前に、念のため、ケイシー上等兵に語り掛けた。
「ケイシーさん、、、
あなたの魔法は、
『手のひらに乗るものを、
どんな形にでも圧力を加えて変形させる、
空気の魔法』
と言いました。」
(第49話)
僕は続けて、ケイシー上等兵に問うた。
「たとえば、その圧力を輪のように与えることは可能ですか?」
ケイシー上等兵は戸惑いながら、「ええ」と答えた。
僕はヒュー少尉に顔を向けると、近くの岩を指さし、語り掛けた。
「ヒューさん、その岩に向けて、
あなたの水魔法をなるべく高い出力で放ってもらえませんか?」
ヒュー少尉は戸惑いながら、岩に向けて、彼の水魔法を放った。
しかし、勢いよく水が岩に当たるだけで、何も変化が起きなかった。
次に僕はケイシー上等兵に顔を向け、ヒュー少尉を指さし、語り掛けた。
「ケイシーさん、
ヒューさんが水を放っている右手と岩との間に、
あなたの右手を添えて圧力を加えて、
水の通り道を狭めてくれませんか?」
ケイシー上等兵は戸惑いながら、ヒュー少尉の水魔法の水の通り道を狭めた。
すると、水の勢いが増した。
だが、それでも勢いよく水が岩に当たるだけだった。
僕はケイシー上等兵に話しかけた。
「ケイシーさん、
ヒューさんの水魔法の水の通り道を狭めてほしいです。
可能な限り。」
とか、
「ケイシーさん、もっと狭めて。」
とか指示した。
ケイシー上等兵だけでなく、ヒュー少尉にも指示した。
「ヒューさん、もっと水の量を増やして。」
だが、ヒュー少尉が悲鳴を上げた。
「これ以上は水が逆流します!」
仕方なく、ケイシー上等兵に語り掛けた。
「ケイシーさん、入口はそのままで、出口はもっと狭めて。」
次に僕はローレンス曹長に顔を向け、話しかけた。
「ローレンスさん、風魔法をフルパワーで、水の逆流を防いでくれますか?」
ローレンス曹長は戸惑いながら、ヒュー少尉の後ろに回り、彼女の風魔法を放った。
もちろん、水の逆流を防ぐためだ。
そして僕は、ヒュー少尉とケイシー上等兵に話しかけた。
「ヒューさん、もっと水の量を増やして。
ケイシーさん、もっと出口を狭めて。」
それでも、勢いよく水が岩に当たるだけだった。
ウオーレン魔法兵連隊長もしびれを切らし、僕に語り掛けた。
「さっきから、勢いよく水が岩に当たっているけど、
何も変化ないぜ。」
僕はため息をついた。
これ以上、水流の勢いは増しそうもない。
しかたがない。。。
この瓶の中の粉末を使うか。。。。
僕はフレッド副長に顔を向け、語り掛けた。
「フレッドさん、この瓶の中にある粉末を、
少しずつ、ヒューさんが繰り出している水の中に、
転移させてもらえますか?」
フレッド副長は僕から瓶を受け取ると、瓶の中にある粉末を少しずつ、ヒュー少尉が繰り出す水流の中に転移させた。
すると、ウオーレン魔法兵連隊長が驚きの声をあげた。
「岩に穴が開いたぜ!?」
そう、水流が当たっている岩に穴が開いたのだ。
(あきれた笑い)ははは。。。
本当、この世界の魔法は凄いわ。。。
僕は微笑み、ヒュー少尉とケイシー上等兵に語り掛けた。
「ヒューさん、ケイシーさん、水を移動させてもらえますか?」
すると、再びウオーレン魔法兵連隊長が驚きの声をあげた。
「岩が切れた!?」
そう、水流の動きの変化に合わせて、岩が切れたのだ。
ジャクソン少尉も驚きの声をあげた。
「こりゃ、激レア魔法だ!」
どうやら、岩を切る魔法は激レアらしい。。。
ウオーレン魔法連隊長は驚きを抑えられない様子で、僕に問うた。
「その瓶の粉末は一体何だ?」
僕が答えようとしたら、ヒラリー後方支援連隊長が笑顔で答えた。
「研磨剤よ。
本当はガーネットという天然鉱物の砂を使うんだけど、
わが国にはその天然鉱物の鉱山がないの。
だから、アルミナで代用しているの。」
僕はヒラリー後方支援連隊長の説明を補足した。
「ええ、、、
水に混ぜた研磨剤を勢いよく岩にぶつけて、
岩を切ったんですよ。。。」
ダグ騎兵連隊長は戸惑いながら、僕に問うた。
「切れるのは岩だけか?」
僕は笑顔で答えた。
「理屈の上では鉄板も切ることができます。
実際、これはウオータージェットと言って、
日本では金属や岩やガラスを切るときに使います。
それをフレッドさん、ヒューさん、
ローレンスさん、ケイシーさんの魔法で代用しただけです。」
フレッド副長・ヒュー少尉・ローレンス曹長・ケイシー上等兵の合体ウオータージェット魔法を見たヒラリー後方支援連隊長は、興味深そうに、ヒュー少尉とローレンス曹長に語り掛けた。
「確かフレッド君とケイシー君は、後方支援兵出身だったよね。。。
(第30話)
ヒュー君、ローレンス君、、、
来年ドーラ中尉が日本に行った後、
うち、つまり後方支援兵科に来ない?
この合体魔法、後方支援兵科で欲しい!
工兵の魔法として使いたいもの!」
ウオーレン魔法兵連隊長は、ヒラリー後方支援連隊長の突然のスカウト活動に慌てた。
だから、ウオーレン魔法兵連隊長はヒラリー後方支援連隊長に語り掛けた。
「ヒラリー、待て!
フレッドとケントとローレンスの合体火炎魔法は魔法兵科で欲しい。
(第53話)
フレッドとローレンスを後方支援兵科に持っていかれると困る!」
ダグ騎兵連隊長も慌てて、ヒラリー後方支援連隊長とウオーレン魔法兵連隊長に語り掛けた。
「ヒラリー! ウオーレン!
俺だって、フレッドとジャクソンとエイミーの魔剣は騎兵科に欲しい。
(第87話~第89話)
フレッドとジャクソンを、
後方支援兵科や魔法兵科に持っていかれると困る!」
この様子を見たクラリス参謀総長はあきれて、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長に語り掛けた。
「まったく。。。
ヒラリー、ウオーレン、ダグ、、、
まだその話は早すぎるわよ。。。」
レオ近衛師団長もあきれた表情で、黙ってうなずいた。
僕はそんな3人の連隊長のやり取りをスルーした。
僕はドーラに顔を向け、黙ってうなずいた。
ドーラも黙ってうなずき、フレッド副長、ヒュー少尉、ローレンス曹長、ケイシー上等兵に笑顔で語り掛けた。
「フレッド、ヒュー、ローレンス、ケイシー、、、
この魔法は使えそうだ。
訓練を重ね、完成度を高めよ。」
すると、フレッド副長、ヒュー少尉、ローレンス曹長、ケイシー上等兵は直立し、「は!」と答えた。
それを見ていたフランクリン軍事大臣は笑顔を浮かべ、キース軍事次官に語り掛けた。
「苦労してアルミナを入手した甲斐があったな。。。」
(第87話)
キース軍事次官は微笑んでうなずき、「はい」と答えた。
キース軍事次官のうなずきを見たフランクリン軍事大臣は、レオ近衛師団長に笑顔を向けた。
レオ近衛師団長も笑顔で、黙ってうなずいた。
(次話に続く)
次話は2026/5/7 0時に更新予定です。




