第91話 続、ベリンダ上等兵の魔法強化(その1) ー後悔ー
(前話からの続き)
エイミー少尉、ヒュー少尉の魔法強化を試み、残りはベリンダ上等兵となった。
一度彼女の冷却魔法の強化を取り組み、もっと強化したいと言われていた。
(第66話)
前回は圧縮氷で冷却魔法を強化したが、もっと強化するとなると別の物資が必要だった。
ヒラリー後方支援連隊長からリスト(第87話)には、その物資が書かれていた。
僕はそのリストを見て、再びケイシー上等兵に語り掛けた。
「ケイシーさん、
あなたの魔法は、
『気体に圧力を加えて液体にすることもできる』
と言いましたよね?」
(第66話)
ケイシー上等兵は戸惑いながら黙ってうなずいた。
僕は指で後方支援連隊隷下の分隊の分隊長を呼び、リストのある一行を指さし、彼に頼んだ。
「これ、持ってきてもらえますか?」
すると彼は「は!」と答え、彼の部下に指示した。
「例のガスボンベを持ってこい!」
すると彼の部下の数人が「は!」と答え、一つのガスボンベを持ってきた。
僕はガスボンベを確認すると、ケイシー上等兵に問うた。
僕はケイシー上等兵に語り掛けた。
「今から、このボンベから気体を出します。
その気体を圧力をかけて液体にできますか?」
そう言うと僕はボンベから気体を出した。
ケイシー上等兵は戸惑いながら、「できます」と答え、気体に向けて右手を広げ、右手を閉じた。
ケイシー上等兵は「ほら」と僕に右手を差し出し、右手を広げた。
そのケイシー上等兵の右掌を見ると、ほんの一滴のだが、確かに液体があった。
僕は思わず笑いだした。
「ははは。。。
ケイシーさん、、、
あなたの魔法、、、
本当凄いわ。。。」
そう、僕の主観で言えば、ドーラの分隊で一番すごいのは転移魔法を操るフレッド副長だ。
だって、これは現代技術では再現できないからだ。
そして二番目に凄いのは、このケイシー上等兵の圧力魔法だ。
水を圧縮氷にしたり、気体を液体にするなんて、ものすごいエネルギーがいるよ。。。
ケイシー上等兵はなおも戸惑いながら、「そうなんですか?」と問うた。
僕はなおも笑いながら、ベリンダ上等兵に語り掛けた。
「ベリンダさん、例の冷却魔法を放ってくれますか?」
ベリンダ上等兵は戸惑いながら「ええ」と答え、彼女の冷却魔法を放った。
ただし、とても寒くなる程度で、凍るような寒さにはならなかった。
(第66話)
僕はケイシー上等兵に顔を向けて、語り掛けた。
「ケイシーさん、、、
ボンベから放出された気体を片っ端から液体にして、
ベリンダさんの冷却魔法で冷やした場所に投げ入れてくれますか?」
ケイシー上等兵は「はい」とうなずき、ボンベから放出された気体を片っ端から液体にして、ベリンダ上等兵が増やしている場所に投げ入れた。
すると液体から気体になるときの気化熱で、どんどん冷たくなっていった。
ケイシー上等兵が、気体に圧力をかけて液体にしたものを投げ入れれば投げ入れるほど、どんどん冷たくなった。
そうして、最終的には水が氷るほどの寒さになった。
ベリンダ上等兵は笑顔で叫んだ。
「私の冷却魔法が強力になった!」
ジャクソン少尉が笑顔でベリンダ上等兵に語った。
「このレベルは魔法兵レベルですよ。」
ベリンダ上等兵は笑顔でうなずいた。
ウオーレン魔法兵連隊長が怪訝な表情で僕に問うた。
「一体、そのボンベの気体は何だい?」
すると、ヒラリー後方支援連隊長が笑顔で、僕の代わりに答えた。
「二酸化炭素よ。」
だが、ヒラリー後方支援連隊長は、少し考えこむ表情で僕に問うた。
「二酸化炭素以外の気体ではダメなの?」
僕は顔を横に振って答えた。
「フロンとか、イソブタンとか、アンモニアでもいいですね。。。」
クラリス参謀総長も怪訝な表情で僕に問うた。
「その、フロンとか、イソブタンとか、アンモニアを指定しなかった理由は?」
僕は苦笑いを浮かべて答えた。
「フロンは環境にダメージを与えるため、
日本でも使用をやめています。
イソブタンとかアンモニアは可燃性があるので、、、」
キース軍事次官も怪訝な表情で僕に問うた。
「可燃性があるとどんな問題が?」
僕はケント准尉を横目を送り、苦笑いを浮かべ、両手の手のひらを空に向け、両手を伸ばし、答えた。
「ドーラさんの分隊は、火炎魔法を扱うことがあります。
万が一、火炎魔法の操作を誤り、
引火したら面倒なことになるじゃないですか。。。」
ドーラは苦笑いを浮かべてうなずいた。
「それもそうだな。。。」
レオ近衛師団長は思案顔で僕に問うた。
「そもそも二酸化炭素をどうやって思いついたんだ?」
僕は苦笑いを浮かべたまま答えた。
「冷蔵庫の冷媒として用いることがあるからです。
ま、フロンとか、イソブタンとか、アンモニアも同じですけど。。。」
ドーラは思案顔で問うた。
「じゃ、王室のキッチンの冷蔵庫って、
こういう原理で動いているの?」
僕は黙ってうなずいた。
今思えば、このように『冷蔵庫の冷媒』と話すべきではなかったと後悔している。
僕が『冷蔵庫の冷媒』と言ったばかりに、その後の騒動を引き起こすことになる。
(ごまかし笑い)ははは。。。
クラリス参謀長はニヤリと笑い、僕に問うた。
「じゃあ、ベリンダとケイシーの合体魔法を使えば、
アイスクリームを作れるって訳ね?」
(第19話)
そう、このとき、僕は『冷蔵庫の冷媒』と話すべきではなかったことに気付いた。
そして、『シマッタ!』と思ったが、もう後の祭りだった。
ジャクソン少尉が怪訝な表情で、幼馴染のエイミー少尉とルイス少尉に話しかけた。
「そういえば、、、
水曜日の午前、王城で出発するとき、
伯爵家の跡取り達が、
『晩餐会で日本からの肉と酒はうまかった』
とか、
『アイスクリームを食べた』
とか、言っていたよね。。。」
(第83話)
エイミー少尉はあごに手を当て、上空を見上げ、つぶやいた。
「オリビア第三王女殿下も、
『鮨というウマい魚料理を食べた』
とか言っていたよね。。。
なんでも
『王室でも30年に一度しか食せない』
とか言ってた。。。」
(第84話)
ルイス少尉は思案顔で母親であるクラリス参謀総長に問うた。
「その『アイスクリーム』とやらを、、、
なぜ母さん、いえ、参謀総長閣下が知っているの?」
ダグ騎兵連隊長はごまかし笑いを浮かべながら、娘のエイミー少尉に話しかけた。
「ははは。。。
その鮨というウマい魚料理は、
俺も、レオも、ウオーレンも、ヒラリーも、クラリスも食べたんだ。。。」
(第18話)
エイミー少尉は頬を膨らまして、不平を述べた。
「えー! ずるい!」
ルイス少尉は僕をキッと睨んで、問うた。
「ベリンダとケイシーの合体魔法を使えば、
『アイスクリーム』とやらを作れるって?」
もう仕方がなく、僕はため息をついて、答えた。
「本来、王室のキッチンにある製氷機能のある冷蔵庫で氷を作らないと、
アイスクリームを作ることはできません。
でも、その冷蔵庫の代わりに冷却魔法を使えば、
アイスクリームを作ることができると言うのが、
ヒラリー後方支援連隊長とウオーレン魔法兵連隊長の見解でした。」
(第19話)
エイミー少尉は、ハッとした表情で、僕に問うた。
「じゃあ、参謀総長の言うとおり、
ベリンダとケイシーの合体魔法を使えば、
そのアイスクリームを作れるって訳?」
すると、ドーラが大声で制した。
「やめよ!
アイスクリームの調理方法は王家秘伝となっている!
これは母上の命令だ!」
(第19話)
エイミー少尉はつぶやいた。
「え? 女王陛下が禁じている?」
ドーラは黙ってうなずいた。
フレッド副長もつぶやいた。
「つまり、アイスクリームは王家が独占していると?」
レオ近衛師団長は横目でクラリス参謀総長を睨んだ。
そして視線を戻すと、ため息をつき、困った顔で語り掛けた。
「王家の権威のためにアイスクリームは独占している。
ま、貴族向けの晩餐会とか、
重要な会議には王家が提供することになったけど。。。」
(第19話)
エイミー少尉は、唖然とした表情で、父親であるダグ騎兵連隊長に問うた。
「父さん、、、
いえ騎兵連隊長閣下は、何回かアイスクリームを食したと?」
ダグ騎兵連隊長は慌てて顔を横に振って答えた。
「いや、、、
俺でも、アイスクリームを食したのは、
修司殿が来たその日の歓迎晩餐会だけだな。。。」
ウオーレン魔法兵連隊長もヒラリー後方支援連隊長も黙ってうなずいた。
クラリス参謀総長はごまかし笑いをしながら、ドーラの分隊のメンバに語り掛けた。
「ふふふ。。。
アイスクリームが提供されたのは、大将以上の会議だけね。。。」
ケイシー上等兵は悲しみの表情を浮かべながら、ドーラに語り掛けた。
「じゃあ、私のような下っ端は、、、
一生、アイスクリームと言うものを食す機会がないと?」
ベリンダ上等兵もやるせない表情で、ドーラに語り掛けた。
「私とケイシーがいれば、
アイスクリームと言うものを作ることができると言うのに?」
僕とドーラは片手で頭を抱えた。
そして、僕は思わず、クラリス参謀総長を睨みつけた。
『この人(=クラリス参謀総長)が、余計なことを言わなければ。。。』
て。。。
クラリス参謀総長はバツが悪そうに、顔を背けた。
ドーラはいよいよ困って、父親であるレオ近衛師団長に顔を向けた。
レオ近衛師団長はため息をつき、ドーラの分隊のメンバ全員に問うた。
「アイスクリームの調理方法は絶対に口外しないと約束してくれるかい?」
ドーラも分隊メンバ全員に問うた。
「約束するか?」
分隊メンバは全員、戸惑いながら、黙ってうなずいた。
レオ近衛師団長はフランクリン軍事大臣に顔を向けた。
そのやり取りを見ていたフランクリン軍事大臣はため息をつき、ドーラの分隊メンバ全員に語り掛けた。
「練兵場のキッチンに行きましょう。」
(次話に続く)
次話は2026/5/8 0時に更新予定です。




