第87話 エイミー少尉の魔法強化(その2) ー魔剣ー
(前話からの続き)
そこで、今度はダグ騎兵連隊長に語り掛けた。
「ダグ騎兵連隊長、あなたの刀を構えて頂けませんか?」
ダグ騎兵連隊長は戸惑いながら「ああ」とつぶやき、刀を構えた。
次にエイミー少尉に語り掛けた。
「エイミーさん、今持っている剣で、
ダグ騎兵連隊長の持っている刀を打ってくれませんか?」
エイミー少尉は戸惑いながら、白く光るセラミックス製の剣を振り下ろし、ダグ騎兵連隊長が構えている刀を打った。
すると、『スポン』と言う音がして、ダグ騎兵連隊長の刀の刀身が切れ、刀の上半分が地上に落ちた。
(あきれた笑い)ははは。。。
本当、この世界の魔法はスゲーや。。。
ダグ騎兵連隊長は刀を構えた姿勢のまま、刀身が切られた刀を呆然としばらく見つめた。
エイミー少尉は半分呆れて、半分どや顔でつぶやいた。
「ふふふ。。。
初めて父さん、いや騎兵連隊長閣下に刀で勝ったわ。。。」
ダグ騎兵連隊長はハッとして、悔しそうに、娘のエイミー少尉を罵った。
「キッタねーぞ!
こんな魔剣を使うなんて!」
するとクラリス参謀総長が笑って、ダグ騎兵連隊長に語り掛けた。
「ふふふ。。。
あっら~♪
ダグ~♪
戦いに汚いなんて文句言ったらダメよ~♪」
ルイス少尉も笑って、母親であるクラリス参謀総長に話しかけた。
「ふふふ。。。
参謀総長閣下、その通りです。
要は手段はどうであれ、勝てばよいのです。」
クラリス参謀総長は笑顔で娘のルイス少尉に語り掛けた。
「ふふふ。。。
ルイス、珍しく意見があったわね。。。」
ダグ騎兵連隊長は思わず、クラリス参謀総長とルイス少尉を罵った。
「この腹黒 母娘 が!」
見かねたレオ近衛師団長が苦笑いを浮かべ、ダグ騎兵連隊長をなだめた。
「ダグ、、、まあまあ。。。
でも、ダグの言うことが正しいなら、
全兵士に鉄の武器が配備されている我が国は、
汚いと言うことになるじゃないか。。。
他国は全兵士には鉄の武器や鎧が配備されていないのだぞ?」
(第26話)
ヒラリー後方支援連隊長も苦笑いを浮かべて、ダグ騎兵連隊長をなだめた。
「ダグ、、、近衛師団長閣下の仰る通りよ。。。
名刀を持って戦うことが卑怯なことかしら?
名刀を持って戦うことが良しとするなら、
魔剣を持って戦うことだって良しとすべきじゃない?」
ウオーレン魔法兵連隊長も苦笑いを浮かべ、ダグ騎兵連隊長をなだめた。
「ダグ、、、
全くその年になって、みっともないぞ。。。
実の娘(=エイミー少尉)を『汚い』ってナジル奴があるか?」
ダグ騎兵連隊長はため息をつき、つぶやいた。
「それもそうか。。。」
フランクリン軍事大臣は、キース軍事次官に向けて、微笑み語り掛けた。。
「レオ近衛師団長閣下より、
『我が国で最強の戦士はダグ騎兵連隊長だ』
と聞いている。
(第69話)
今、エイミー少尉は、その刀でダグ騎兵連隊長に勝った。
つまり、
『この魔剣があれば、我が国最強の戦士はエイミー少尉』
と言うことになるな。。。」
キース軍事次官は微笑み、無言でうなずいた。
そのやり取りを聞いたのか、エイミー少尉は満面の笑顔だ。
そんなときだった。
『ポキ』と言う音がして、エイミー少尉の持つセラミックス製の刀が折れた。
ウオーレン魔法兵連隊長はあきれてつぶやいた。
「こっちも折れちまったぜ。」
僕は微笑み、ウオーレン魔法兵連隊長に語り掛けた。
「問題ありません。」
そして僕はフレッド副長に話しかけた。
「フレッドさん、これをエイミーさんに転移させて。」
そう言うと、新しいセラミックス製の剣をフレッド副長に渡した。
フレッド副長は黙って新しいセラミックス製の剣をエイミー少尉の元に転移させた。
新しいセラミックス製の剣を受け取ったエイミー少尉は、さらに得意そうだ。
キース軍事次官は苦笑いを浮かべて、フランクリン軍事大臣に話しかけた。
「セラミックス製の剣と、このガスボンベがある限り、、、
エイミー少尉が我が軍最強ですな。」
フランクリン軍事大臣も苦笑いを浮かべ、黙ってうなずいた。
ヒラリー後方支援連隊長は戸惑いながら、僕に問うた。
「ところで、どうしてこの魔剣を思いついたの?」
僕は苦笑いを浮かべて答えた。
「僕は物を切ることの本質を知っているだけです。
物を『切る』とは、結局のところ
『分子を構成する原子同士の結びつきを分断すること』
だって知っているだけです。」
僕は話を続けた。
「エイミーさんの剣は『プラズマ刃』と言って、
ガスをプラズマして、
そのプラズマ化したガスを用いて、
『分子を構成する原子同士の結びつきを分断する』
技術があるんです。
それをジャクソンさんとフレッドさんの魔法を使って、
再現を試みただけです。
フレッドさんが転移させたガスを、
ジャクソンさんの魔法の雷のエネルギーで、
プラズマ化できるか試したわけです。」
僕は再び苦笑いを浮かべ、話を続けた。
「ま、うまくいくかはわかりませんでしたが、、、
本当、この国の魔法は凄いです。。。
フレッドさんとジャクソンさんの魔法は凄いです。
プラズマ化したガスを刃に添わせるって、
物凄い制御が必要なはずなんです。。。
特にジャクソンさんの雷魔法は凄いです。
ガスをプラズマ化するだけでも大変な筈なんですから。。。
それをいとも簡単に成し遂げるなんて。。。
ジャクソンさんの雷魔法は、
物凄い威力と精密な制御が可能で、大変なレベルなのですね。。。」
その言葉を聞いて、ジャクソン少尉は無言だが、苦笑いを浮かべ、恥ずかしそうだ。
ウオーレン魔法兵連隊長は戸惑いながら、僕に問うた。
「つまり、ジャクソンとフレッドの協力がないと、この魔剣は再現できない?」
僕は黙ってうなずいた。
ウオーレン魔法兵連隊長は息子のジャクソン少尉を見つめ、つぶやいた。
「息子の魔法がそんなにすごいなんて。。。」
ジャクソン少尉は再び恥ずかしそうに苦笑いを浮かべた。
クラリス参謀総長は真剣な表情で僕に問うた。
「じゃあ、なぜ、、、
『プラズマ刃』を鉄製の刀でなく、、、
セラミックス製の刀にしたの?」
僕は苦笑いを浮かべたまま答えた。
「使ったガスはアルゴンガスと言って、
これをプラズマ化すると、数千〜数万度になります。」
僕は両方の手のひらを上に向けて、話を続けた。
「鉄製の刀じゃ、刀身が溶けてしまうでしょうね。。。
セラミックス製の刀じゃないともちません。。。」
エイミー少尉は恐る恐る問うた。
「じゃあ、さっき私に手袋をはめろと言ったのは?」
(第87話)
僕はうなずき答えた。
「ええ、、、
セラミック製の刃はプラズマ化したガスをまとうと、
数千~数万度になります。
セラミック製の刃でも、
なるべく導熱性の低いものを選んでもらいましたが、。。
それでも直に剣を握れば、やけどの恐れがありました。。。」
フランクリン軍事大臣は再び笑顔でキース軍事館に語り掛けた。
「セラミックス製の刀を作っておいてよかったな。」
キース軍事次官も笑顔でうなずいた。
「はい。」
レオ近衛師団長は思案顔で僕に語り掛けた。
「修司殿、
この『プラズマ刃』とやらは確かに強力だ。
フランクリン・クーパー軍事大臣閣下が仰るように、
『プラズマ刃』を持っている限り、エイミー少尉は無敵だろう。。。
だが、実戦では課題があるな。。。」
僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。
(次話に続く)
次話は2026/5/5 0時に更新予定です。




