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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第6章 新たな出会い、そして強化
84/91

第84話 若手有望官僚との出会い(その2) ー名門伯爵家の難しさー

(前話からの続き)

 

 

 

すると、オリビア第三王女はニヤリと笑い、ジョージ宰相を横目で見て、3人の官僚達に語り掛けた。

 

「ふふふ。。。

 

 あんたたち甘いわね。。。

 

 私と宰相閣下は、

 修司殿がオウゴウヌ王国に来た初日に、

 鮨と言う、もっとうまい魚料理を食べたわ。。。」

 (第18話)

 

 

 

ジョージ宰相もニヤリと笑い、オリビア第三王女に語り掛けた。

 

「ああ、、、あの鮨はうまかった。。。」

 

 

 

慌てたディーン君は僕に話しかけた。

 

「えー! 修司殿、その鮨を食べさせてくださいよ!」

 

 

 

すると、オリビア第三王女はニヤリと笑ったまま、話しかけた。

 

「残念ね~♪

 

 その鮨は新鮮なうちしか食すことができないの~♪

 

 王室ですら、30年に1度しか食すことができないの~♪

 

 よって、次食すことができるのは、30年後よ~♪」

 

 

 

3人の官僚達は一斉に不満を述べた。

 

「「「えー! ずるい!」」」

 

 

 

だが、オリビア第三王女はニヤリと笑ったまま、さらにダメージを与えた。

 

「ま、私は第三王女だから、

 30年後、もう一回、鮨を食すことができるけど~♪

 

 あなた達は内閣メンバとして選ばれていない限り、

 一生、鮨を食す機会はないでしょうね~♪」

 

 

 

ジョージ宰相もニヤリと笑って、3人の若手官僚に話しかけた。

 

「そうだ!

 

 ブリトニー、クリスティアナ、ディーン、

 次の内閣メンバに選ばれるよう、ガンバレ!

 

 さもなくば、一生、鮨を食う機会はないぞ!」

 

 

 

ディーン君は不満げにつぶやいた。

 

「いや、僕が内閣メンバに選ばれることはないです。。。」

 

 

 

クリスティアナさんもディーンに顔を向けて、「うん」とつぶやき、うなずいた。

 

 

 

ブリトニーさんも苦笑いを浮かべ、黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

先ほど言ったように、オリビア第三王女とこういう会話ができると言うことは、オリビア第三王女はこの3人の官僚達とは、とても親しいのだろう。

(第83話)

 

そして、ジョージ宰相が、ブリトニーさん、クリスティアナさん、ディーン君を最初に連れてきたと言うことは、宰相官邸の若手官僚の中でも、特に優秀なのだろう。

(第83話) 

 

 

 

 


さて、王城から練兵場に車で移動する途中、例によって、道路の真ん中を馬車が走っていた。

 

そして、分隊メンバが、端に寄せるように、馬車を誘導させるため、僕の運転していたワンボックスカーは停車していた。

 

 

 

その停車中、僕は助手席に座っていたドーラに、後部座席に座っていたクラレンス君には聞こえないよう、小声で語り掛けた。

 

「ドーラさん、、、

 

 ブリトニーさん、クリスティアナさん、ディーン君は、

 とても優秀な官僚なのでしょうか?

 

 そして、将来の宰相候補なのですか?」

 

 

 

ああ、実は第37話の晩餐会の後、ドーラから、オリビア第三王女が将来の宰相を、一緒に働く宰相官邸の若手官僚から選んでいることは聞かされていたんだ。

(第39話)

 

 

 

ドーラは苦笑いを浮かべ、後部座席に座っていたクラレンス君には聞こえないよう、小声で答えた。

 

「ああ、オリビアによれば、、、


 ブリトニー殿、クリスティアナ殿、ディーン殿は、

 優秀で将来有望な官僚なのだそうだ。。。

 

 

 でも、残念ながら、、、

 

 ブリトニー殿、クリスティアナ殿、ディーン殿は、

  『選外の6伯爵家』

 なので、宰相として選ばれることはない。。。」

 

 

 

僕は戸惑い、小声で問うた。

 

「『選外の6伯爵家』って?」

 

 

 

ドーラは苦笑いを浮かべたまま、小声で答えた。

 

「後部座席にはクラレンス殿がいる。。。

 

 金曜日に練兵場から王城に戻り、

 金曜日の午後10時に宮殿に戻ったら、話す。。。

 

 それまで待ってくれ。。。」

 

 

 

そう言うと、ドーラは会話を打ち切った。

 

 

 

 

 

実際、金曜日の午後10時、僕とドーラは宮殿に戻った。

 

ドーラは宮殿の僕の部屋(第23話)にノックをして入ると、『選外の6伯爵家』について教えてくれた。

 

 

 

この国では、権力が集中しないよう、元老院議長は二代続けて選ばない習わしがある。

(第39話)

 

 

 

同様に主要閣僚である、宰相と外相と財務相は、権力が集中しないよう、二代続けて選ばない習わしがあるのだ。

 

つまり、現宰相であるジョージ・ロビンソンを輩出したロビンソン伯爵家、現外相であるジャック・パーシーを輩出したパーシー伯爵家、現財務相であるアースキン・バーナードを輩出したバーナード伯爵家からは、次期宰相は選ばれない。

 

いや、次期宰相だけでなく、次期外相や次期財務相にも選ばれない。

 

 

 

 

 

そして前宰相、前外相、前財務相を輩出した、ヨーク伯爵家、ウエストウイック伯爵家、ワーシントン伯爵家からも、次期宰相だけでなく、次期外相や次期財務相にも選ばれない。

 

これは権力が集中しないようにするためではない、『次に公爵家に昇格する有力伯爵家』だからだ。

 

 

 

二代続けて功績があり、オウゴウヌ王家に忠誠を尽くした伯爵家は、その『褒美として伯爵家から公爵家に昇格』することがあるためだ。

 

先代で主要閣僚の大任を果たし、当代でも伯爵家として功績を積み上げた伯爵家は、公爵家に昇格する有力候補である。

 

すなわち、ヨーク伯爵家、ウエストウイック伯爵家、ワーシントン伯爵家は、公爵家に昇格する有力候補なのだ。

 

 

 

一方、貴族の一番上の階級である公爵は、内閣メンバになることができない。

(第21話)

 

つまり、公爵家に昇格する有力候補である、ヨーク伯爵家、ウエストウイック伯爵家、ワーシントン伯爵家は、次期宰相にしても、次期外相や次期財務相にしても、選ぶのは難しくなる。

 

 

 

まとめると、現主要閣僚を輩出した3伯爵家(ロビンソン伯爵家、パーシー伯爵家、バーナード伯爵家)と、前主要閣僚を輩出した3伯爵家(ヨーク伯爵家、ウエストウイック伯爵家、ワーシントン伯爵家)の、合計6伯爵系は『選外の6伯爵家』として、次期主要閣僚として選ばれることはない。

 

 

 

 

 

次の日の土曜日の夜、シャーロット第二王女が、オリビア第三王女を連れて、僕の部屋を訪ねてきた。

 

そう、自動車が普及した時、オウゴウヌ王国はどうあるべきかを相談するために。

(第80話)

 

 

 

僕がオリビア第三王女に尋ねた。

 

「オリビアさん、、、

 ドーラから聞きました。。。

 

 ブリトニーさん、クリスティアナさん、ディーン君は、

 将来の宰相としては選外なのですか?」

 

 

 

すると、オリビア第三王女は苦笑いを浮かべ、うなずいて答えた。

 

「ええ、、、

 

 あの3人は、

 選抜された宰相官邸の若手官僚の中でも特に秀でているの。。。

 

 だから、能力だけは将来の宰相の有力候補よ。。。

 

 でも、『選外の6伯爵家』なので、、、

 宰相どころか、閣僚にもなれないでしょうね。。。

 

 将来は各省庁の局長や、あるいは次官まで出世するかもしれないけど。。」

 

 

 

だが、オリビア第三王女は苦笑いを浮かべたまま、両手の手のひらを天井に向け、両手を伸ばし、話を続けた。

 

「でもね。。。

 

 あの3人は、自分達は『選外の6伯爵家』だから、

 次期宰相にも、閣僚にもなれないって、

 もう知ってるみたいなの。。。」

 

 

 

僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

オリビア第三王女は両手を降ろすと、僕の戸惑いをスルーして、話を続けた。

 

「だから、軍の倉庫の前でディーンは、

 

  『内閣メンバに選ばれることはない』

 

 って言ったの。。。。」

 

 

 

僕は思わず、「あ!」とつぶやいた。

 

 

 

オリビア第三王女は、半ばむくれて話を続けた。

 

「だけど、、、

 

 あの3人は

  『自分達は次期宰相にはなれない』

 って知っているから、、、

 

 私に遠慮ってものがないの。。。」

 

 

 

僕は思わず、オリビア第三王女に問うた。

 

「ブリトニーさん、クリスティアナさん、ディーン君の、

 オリビアさんに対する、あのくだけた口調って、、、

 

 そういうこと?」

 

 

 

オリビア第三王女はうなずき、話を続けた。

 

「でもね~。。。

 

 それで助かっている面もあるの。。。」

 

 

 

僕は再び戸惑い、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

オリビア第三王女はため息をついて、天井を見上げた。


数秒後、視線を戻し、僕を見つめ、語り掛けた。

 

「あの3人から、宰相官邸の別の若手官僚の評価を聞いているのよ。。。

 

 そして、もし、私の評価とずれがあれば、

 その理由を教えてもらい、ずれを修正しているの。。。

 

 もちろん、ジョージ宰相閣下による、別の若手官僚の評価も聞いている。。。

 

 そうして、今、次の宰相候補を選んでいるの。。。」

 

 

 

僕はオリビア第三王女の横にいた、王太子であるシャーロット第二王女に問うた。

 

「シャーロットさん、、、

 

 どうですか?

 

 ブリトニーさん、クリスティアナさん、ディーン君の伯爵家は、

 公爵家に昇格しそうなのですか?」

 

 

 

すると、シャーロット第二王女は困った顔で答えた。

 

「うーん、、、その3つの伯爵家は、、、

 

 先代は主要閣僚の大任を務めた。。。

 

 現当主も王家のための忠義を尽くしている。。。

 

 よって、オウゴウヌ王家に対する貢献度は極めて高い。。。

 

 もし、公爵家に空きができれば、3つの伯爵家のうち、

 1つの伯爵家が公爵家に上がる可能性は高いであろうな。。。」

 

 

 

だが、シャーロット第二王女はため息をつくと、話を続けた。。。

 

「でも、あくまで、

  『公爵家の空きができれば』

 の話だ。。。

 

 ある公爵家が降格に値するような不祥事を起こしたり、

 断絶するような不幸なことが生じた場合のみだ。。。」

 

 

 

僕は戸惑いながら問うた。

 

「つまり、そうした『公爵家の空き』がない限り、、、

 

 ブリトニーさん、クリスティアナさん、ディーン君は、

 閣僚にもなれず、公爵家に昇格することもないと?」

 

 

 

シャーロット第二王女とオリビア第三王女は、黙ってうなずいた。

 

 

 

名門伯爵家と言うのも、難しいものだ。。。

 

 

 

(次話に続く)

次話は2026/5/1 0時に更新予定です。

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