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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第5章 本格化、そして暴走の始まり
78/90

第78話 女王、苦笑いを浮かべる。

(前話からの続き)


その巨大生物は、悲鳴も上げることもできず、息もすることもできず、そのまま、頭から地上に落下した。

 

落下した時は『ドオオオオン!!!』という大きな音を立てた。

 

 

 

そして、その落下した巨大生物は、地上でピクリとも動かなくなった。

 

 

 

 

 

巨大生物が落下し、動かなくなったことを確認すると、ダグ騎兵連隊長と娘のエイミー少尉は、互いにニヤリと笑い、無言でハイタッチした。

 

 

 

先週は、身体魔法を使って、ダグ騎兵連隊長とエイミー少尉は強弓から何本も矢を放った。

 

そして、その身体強化魔法の反動で力が入らなくなった。

 

特にエイミー少尉は座り込み、しばらく動けなくなった。

(第54話)

 

 

 

だが、今回は強弓で矢を一つ射ただけだ。

 

ダグ騎兵連隊長曰く、「この程度、何の反動もないぜ。」と言うことだ。

 

つまり、今回は身体強化魔法の反動はなかった。 

 

 

 



無線通信機から、ルイス少尉の声が聞こえてきた。

 

「ところでさ~、修司殿。。。

 

 パラグライダーって、どうやって降りるの?」

 

 

 

僕は無線通信機を通じて、ルイス少尉に話しかけた。

 

「8の字を描きながら、旋回を続けてください。

 

 自然と速度が落ち、高度が落ちていくはずです。」

 

 

 

しばらくすると、無線通信機を通じてルイス少尉の声が聞こえた。

 

「本当だ。」

 

 

 

僕は無線通信機を通じて、さらにルイス少尉に話しかけた。

 

「着陸するときは、なるべく風上に向かってまっすぐ飛んでください。

 

 着陸寸前にハーネスからおしりを前にずらしてください。

 

 そして左右のブレークコードを引いて、ブレーキをかけてください。

 

 そして、少し前傾姿勢になり、片足から着地して、

 前に前に走り抜けてください。」

 

 

 

クラリス参謀総長もルイス少尉も、8の字を描きながら、旋回を行っている。

 

つまり、着陸態勢に入った。

 

 

 

ただし、翼竜のような巨大生物との戦いで、練兵場の上空を二人は飛び回った。

 

だから、僕達、つまりドーラの分隊がいる所より、少し離れた場所に着陸しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーラは、上空でパラグライダーで旋回している、クラリス参謀総長とルイス少尉を目で追っていた。

 

 

 

そんな時、王太子である、シャーロット第二王女が真剣な表情で、ドーラに近づき、問うた。

 

「ドーラ姉上、、、、

 

 先週も巨大生物を撃退したと、父上が仰いました。

 (第75話)

 

 一体どうやって、撃退したのですか?」

 

 

 

ドーラはシャーロット第二王女に笑顔を向けた。

 

「ああ、、、そのことか。。。」

 

 

 

次に、フレッド副長、ケント准尉、ローレンス曹長に顔を向け、優しく話しかけた。

 

「フレッド、ケント、ローレンス、、、

 

 シャーロットに、お前たちの合体魔法を見せてやってくれ。。。」

 

 

 

フレッド副長、ケント准尉、ローレンス曹長は、直立し、「「「は!」」」と答えた。

 

 

 

フレッド副長は、軽トラから、アルコールの入っている缶を持ち出した。

 

そして、フレッド副長は、ケント准尉とローレンス曹長に黙ってうなずいた。

 

 

 

ケント准尉は何もいない空に向かって火炎魔法を放った。

 

その後ろにローレンス曹長が移動し、風の魔法を放った。

 

それによって、火炎魔法の射程が延びた。

 

 

 

その射程が延びた火炎魔法の先端付近に、フレッド副長がアルコールを転移させた。

 

アルコールが引火し、さらに射程が延びた。

 

 

 

 

 

シャーロット第二王女を唖然としてつぶやいた。

 

「なに!? この、長距離火炎魔法!?」

 

 

 

ジョージ・ロビンソン宰相を驚き、つぶやいた。

 

「こりゃ、大魔法レベルだ。。。」

 

 

 

 

 

ドーラは微笑み、フレッド副長、ケント准尉、ローレンス曹長に指示した。

 

「もうよい。魔法を止めよ。」

 

 

 

フレッド副長、ケント准尉、ローレンス曹長は「「「は!」」」と答え、合体魔法を停止した。

 

 

 

ドーラはシャーロット第二王女に顔を向けると、笑顔で語り掛けた。

 

「この、フレッド、ケント、ローレンスの合体魔法で、

 巨大生物を撃退したんだ。。。」

 (第53話)

 

 

 

シャーロット第二王女は、目を見開いたまま、黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

オリビア第三王女は戸惑いながら、ドーラに近づき、問うた。

 

「ドーラ姉上、、、、

 

 今みせてもらった合体魔法と、

 

 従来の大魔法とでは、どう違うのですか?」

 

 

 

すると、ドーラが答える前に、ウオーレン魔法兵連隊長が頭を下げて答えた。

 

と言うのも、ウオーレン魔法兵連隊長は、オウゴウヌ王国の魔法兵のトップだ。

(第33話)

 

 

 

つまり、ウオーレン魔法兵連隊長は、オウゴウヌ王国において、一番の魔法の専門家なのだ。

 

だから、彼がオリビア第三王女の質問に答えた。

 

「オリビア殿下、、、

 

 ドーラ中尉の代わりに、私がお答えします。。。

 

 大魔法は魔法兵でも数発しか撃てない上に、

 

 そもそも高速に移動する物体を撃つには向いていないのです。。。」

 (第53話)

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長は、なおも頭を下げて、話を続けた。

 

「でも、この合体魔法は、

 一人一人の魔法は大魔法ではありません。

 

 よって、何発も撃てます。

 

 しかも高速に移動する物体にも対処可能です。」

 (第54話)

 

 

 

そう言うと、ウオーレン魔法兵連隊長は頭を上げた。

 

 

 

 

 

アン女王は戸惑いながら、ウオーレン魔法兵連隊長に問うた。

 

「つまり、『魔法の革命』を余は見ていると?」

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長は黙ってうなずいた。

 

 

 

ま、『革命』なんて、そんな大層なもんじゃないと思うけどね。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに、クラリス参謀総長とルイス少尉が着陸した。

 

 

 

予想通り、二人とも、僕を始め、ドーラの分隊がいるところとは離れたところに着陸した。

 

 

 

ドーラは二人の着陸を見ると、騎乗しようとした。

 

その時、ダグ騎兵連隊長がドーラを呼び止めた。

 

「ドーラ中尉、、、

 着陸したクラリスとルイスを回収しに行くのか?」

 

 

 

ドーラは戸惑いながら、黙ってうなずいた。

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は微笑み、ドーラに語り掛けた。

 

「二人を一度に回収するなんて無理だろ?」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は、ローレンス曹長とベリンダ上等兵に顔を向けて、語り掛けた。

 

「ローレンス、ベリンダ。。。

 

 オフロードバイクで、クラリスとルイスを回収して来い。

 

 もう、オフロードバイクの操作にも慣れ、練兵場内を駆け回れるはずだ。」

 

 

 

ローレンス曹長とベリンダ上等兵は直立し、「「は!」」と答えると、オフロードバイクに乗り、二人の着陸地点に向けて走って行った。

 

 

 

 

 

しばらくすると、ローレンス曹長がクラリス参謀総長をオフロードバイクの後ろに乗せて、ベリンダ上等兵がルイス少尉をオフロードバイクの後ろに乗せて戻ってきた。

 

 

 

僕を含めドーラの分隊メンバ、ヒラリー後方支援連隊長に同行した後方支援連隊隷下の分隊メンバは、クラリス参謀総長とルイス少尉を拍手で迎えた。

 

 

 

クラリス参謀総長はオフロードバイクから降りると片手をあげ、拍手を制した。

 

そして、オフロードバイクに降りた娘のルイス少尉に近づき、笑顔で、優しく語り掛けた。

 

「まずは、巨大生物の撃退、おめでとう。。。

 (第77話)

 

 よくやったわ。。。

 

 でも、今回は地上からの支援があったからよ。。。

 

 地上からの支援がなくても、撃退できる状態じゃなければ、

 もっと高く飛んだり、練兵場の外に飛ぶのは認めないわよ。」

 

 

 

ルイス少尉は少し不満げな表情であったが、うなずき、答えた。

 

「分っているわよ。。。

 

 もっと空中からの弓矢の腕を上げて、、、

 

 加えて空中での戦術を考えるわよ。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は、笑顔で、娘のルイス少尉に語り掛けた。

 

「そうよ。がんばりなさい。」

 

 

 

 

 

シャーロット第二王女は、真剣な表情のまま、クラリス参謀総長に近づき、問うた。

 

「参謀総長、従来の飛行魔法で、

 巨大生物に対する自衛策は可能であったか?」

 

 

 

 

 

ああ、、、シャーロット第二王女は、王太子だ。

 

すなわち、将来はこのオウゴウヌ王国の女王となるよう、生まれた時から、この国を統べる宿命を背負っている。

 

 

 

だが、この国は約200年前の戦争以来、和平を結んでいないから、ずっと戦争状態にある。

 

しかも、鎖国状態にある。

(第27話)

 

 

 

加えて、ワスイ帝国の脅威が迫っている。。。

(第60話)

 

 

 

そんな国の女王にならなければならないのだ。

 

 

 

5年後には彼女は、そんな国の女王にならなければならないんだ。

 

10年後にはアン女王の全てを引き継がなければならないんだ。

(第39話)

 

 

 

王太子としてのプレッシャーは凄まじいものがあったんだ。。。

 

 

 

ほら?

 

だから、僕の歓迎晩餐会のビデオメッセージ放映会で、彼女はこう言ったんだ。

 

「王太子になぞ、なるものではありません。。。」

 (第16話)

 

 

 

王太子として責任感からか、シャーロット第二王女は、普段、とってもまじめな人なんだ。

 

僕は1年間、王族として、彼女とは接していたんだけど、たまに『もっと肩の力を抜いても良いんじゃ?』と思う程だったよ。。。

 

 

 

 

 

話を戻そう。

 

再び、オウゴウヌ王国の一番の魔法の専門家として、ウオーレン魔法兵連隊長が頭を下げ、答えた。

 

「王太子殿下(=シャーロット第二王女)、、、

 

 参謀総長閣下に代わり、私がお答えします。

 

 従来の飛行魔法で、

 巨大生物に対する自衛は難しいと思います。」

 

 

 

シャーロット第二王女は、戸惑い、「なぜ?」と問うた。

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長は頭を下げたまま、答えた。

 

「まず、従来の飛行魔法では、

 右手からずっと飛行魔法を放ち続ける必要があり、

 右手が塞がっております。

 

 そこから、自衛のために、別の魔法で放つことは不可能です。」

 

 

 

そう、この世界の魔法は右手から放たれる。

(第32話)

 

その右手が塞がっている状態で別の魔法を放つのは不可能なのだ。

 

 

 

シャーロット王太子は「あ!」とつぶやいた。

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長は、なおも頭を下げたまま答えた。

 

「となると、、、

 

 左手一本で自衛策をとる必要がありますが、、、


 左手のみで矢を射るのは難しく、、、

 

 自衛策はかなり限られたものになると存じます。。。」

 

 

 

シャーロット王太子はため息をつき、上空を見上げた。

 

 

 

 

 

アン女王は戸惑いながら問うた。

 

「これまで飛行する者は自衛策はなかったというわけか?」

 

 

 

クラリス参謀総長はうなずき答えた。

 

「はい、、、

 

 これまで飛行魔法を操る者を偵察任務に使っておりました。

 

 しかし、大変危険な任務でした。。。

 

 そもそも、空にいるから目立つ上に、隠れる場所や逃げ場がございません。。。

 (第48話)

 

 加えて、自衛策がないに等しいのです。。。

 

 ここぞと言う時しか、飛行魔法を操る者を偵察任務に使えませんでした。」

 

 

 

アン女王はなおも戸惑い問うた。

 

「パラグライダーなら、飛行する者が自衛策を講じることが可能だと?


 偵察任務がしやすくなると?」

 

 

 

クラリス参謀総長は「はい」とうなずいた。

 

 

 

アン女王はヒラリー後方支援連隊長を横目でちらりと見て、つぶやいた。

 

「ヒラリーの言うとおり、

 

  『パラグライダーは、

   我が国の飛行する兵士のあり方を根本的に変える』

 

 であろうな。。。」

 (第74話)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アン女王は気を取り直し、僕を見て、苦笑いを浮かべ、ため息をついた。

 

「修司殿、、、

 

 ここ、練兵場に来て、余は驚いてばかりじゃ。。。

 

 修司殿がこの国に来て、まだ3週間程度であろう?」

 

 

 

僕は戸惑い、「はあ」と答えた。

 

 

 

アン女王は苦笑いを浮かべたまま、僕とドーラを見て、あきれて語った。

 

「その3週間程度で、、、

 

 ドーラの分隊は、エリーゼ姉上の分隊に似てきたな。。。」

 

 

 

 

 

僕は怪訝な表情を浮かべ、母、エリーゼの分隊メンバだった、レオ近衛師団長、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長、クラリス参謀総長に顔を向けた。

 

 

 

レオ近衛師団長は、言いにくそうに、ぽつりと言った。

 

「いや~、晋一殿(=修司の父)は、

 ときどき我々が思いもつかないことを、思いつくんだ。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は、ウオーレン魔法兵連隊長とヒラリー後方支援連隊長を横目でちらりと見て、ため息をついて話した。

 

「で、、、晋一殿(=修司の父)は、思いついたことを、

 ウオーレンとヒラリーに最初に相談するわけ。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長もため息をついて、話した。

 

「最初のうちは、、、

 晋一殿(=修司の父)とウオーレンとヒラリーで話し合っているんだけど、、、

 それが、徐々に盛り上がっていくんだ。。。」

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長もため息をついて、話した。

 

「で、、、知らぬ間に、その輪の中に、、、、

 レオとクラリスが混ざっているの。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は頬を膨らませて反論する。

 

「だって~、面白そうなんだもん。。。」

 

 

 

レオ近衛師団長は苦笑いを浮かべて、黙ってうなずいた。

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長もため息をついて、話した。

 

「エリーゼ分隊長は(=修司の母)、

 修司殿もご存じの通り、豪快な性格をしているから、、、

 歯止めをかけないんだ。。。

 

 エリーゼ分隊長は歯止めをかけない、

 副長だったレオは一緒に暴走している。。。

 

 で、、、エリーゼ分隊は暴走集団と化した。。。」

 

 

 

アン女王もため息をついて話した。

 

「しかも、、、

 当時の女王、ブリジット母上が、

  『晋一殿(=修司の父)の自由にさせよ』

 ってお墨付きを与えちゃってな~。

 

 王国内で歯止めとなる者がいなくなってしまって、

 エリーゼ分隊はもう、やりたい放題。。。

  

 当時の近衛師団長、ダグラス父上は、

  『エリーゼ分隊は問題児集団』

 って困っていた。。。」

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長は空を見上げ、ため息をついた。

 

「晋一殿(=修司の父)と分隊長(=修司の母)が結婚する頃には、

 分隊規模じゃないメンバ数になっていたっけ。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長はため息をつき、苦笑いを浮かべた。

 

「今振り返ると、よくも、まー、あれだけ暴走したよね。。。」

 

 

 

 

 

えー!?

 

父さん(=普一)、母さん(=エリーゼ)、30年前、何をヤラカシタの!?

 

 

 

(次話に続く)


次話は2026/4/25 0時に更新予定です。

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