第71話 ルイス少尉、再び空へ(その3) ー似たもの母娘ー
(前話からの続き)
ルイス少尉も空を飛んでしばらくすると、落ち着いたようだ。
前を向いてハーネスに座って、空を飛ぶのが気持ちが良かったのだろう。
無線機を通じて、ルイス少尉の「ひゃっほーい」との歓声が聞こえてきた。
知らず知らず、ドーラの分隊メンバは全員、拍手を送っていた。
それだけでなく、後方支援連隊隷下の分隊メンバも拍手を送っていた。
クラリス参謀総長もヒラリー後方支援連隊長も、笑顔で、空を飛ぶルイス少尉を見送っていた。
しばらくすると、無線通信機を通じて、ルイス少尉が僕に問うた。
「修司殿、曲がるにはどうするの?」
僕は無線通信機を通じて答えた。
「左右のブレークコードがありますが、
どちらかを引けば、そちらに曲がります。
ただし、一緒に引くとブレーキがかかって下に降ります。
逆に上に行きたければ、
後ろ向きにルイスさんの魔法を放てば、
加速して揚力で上に上がるはずです。」
すると、ルイス少尉が無線通信機を通じて返してきた。
「えーっと、どれどれ?」
すると、ルイス少尉の乗るパラグライダーが左右に曲がったり、減速して下に降りたり、加速して上昇したりした。
無線通信機を通じて、ルイス少尉の声が聞こえた。
「あ! 本当だ!!」
ルイス少尉のうれしそうな声が、無線通信機を通じて聞こえた。
「これいい!
自由に空を飛べる!!」
ドーラは苦笑いを浮かべ、無線通信機を通じて、ルイス少尉に優しく語りかけた。
「ルイス、、、
くれぐれも高く飛び過ぎないようにな。。。
そして練兵場内を飛ぶようにな。。。」
(第70話)
すると、無線通信機を通じて、ルイス少尉の無邪気な声が聞こえた。
「わかってま~す。」
そのルイス少尉の飛行を見たクラリス参謀総長は、無言で後方支援連隊隷下の分隊長に指で何か指示した。
すると、その分隊長は無言でうなずき、分隊メンバに「もう一つの包みを開けるぞ!」と話した。
分隊メンバ全員は「は!」と応じると、もう一つの包みを開けると、その中にはパラグライダーがもう一つあった。
そして、パラグライダーをクラリス参謀総長に装着した。
次に分隊長はヘルメットをクラリス参謀総長に手渡した。
僕は驚き、クラリス参謀総長に問うた。
「クラリス参謀総長もパラグライダーで空を飛ぶのですか?」
クラリス参謀総長はニヤリと笑い、無言でうなずいた。
僕は戸惑いながら問うた。
「飛び方はわかるのですか?」
クラリス参謀総長はニヤリと笑ったまま、顎で空を飛ぶルイス少尉を指し、答えた。
「あれ(=ルイス少尉)を見れば、わかるわよ。」
そう言うと、クラリス参謀総長は無線通信機のインカムを装着し、上からヘルメットをかぶった。
そして、ルイス少尉と同様、自衛のために、1本の弓と、1つの矢筒も装着した。
そして、ルイス少尉が離陸したように(第70話)、後ろを向いてパラグライダーを引っ張りながら走り出し、パラグライダーが浮き上がり、斜め上より少し上まで浮いたところで、クラリス参謀総長も右手から、ロケットエンジンかジェットエンジンの魔法を放った。
すると、パラグライダーの揚力が働き、クラリス参謀総長も離陸した。
ただし、ルイス少尉同様、クラリス参謀総長も「ギャ~~~!!!」という悲鳴を上げながらだったけど。。。
(第70話)
(あきれた笑い)ははは。。。
その様子を見たヒラリー後方支援連隊長は笑って、無線通信機に通じて、クラリス参謀総長に語り掛けた。
「ふふふ。。。
さっきルイスが悲鳴を上げながら離陸したのを、、、
あきれて、
『イング家の恥さらしが』
と言ったのに、、、
(第70話)
その悲鳴は何よ。。。」
すると、無線通信機から、クラリス参謀総長の声が聞こえた。
「ふふふ。。。
そうなんだけど、、、
これ慣れないと、結構怖いわ。。。」
無線通信機から、ルイス少尉の戸惑う声が聞こえた。
「母さん、じゃない参謀総長閣下、、、
閣下も空を飛ぶのですか?」
どうやら、空中からルイス少尉は、クラリス参謀総長が離陸する様子を見ていたらしい。。。
すると、無線通信機から、クラリス参謀総長の声が聞こえた。
「そうよ。
そうしないと、絶対あなた、
『私は空を飛んだ』
って、後でマウントをとるでしょ?
パラシュート降下訓練のときみたいに。。。」
(第52話)
すると、無線通信機からルイス少尉の悔しそうな声が聞こえた。
「ち!
まったく、、、
この『腹黒狸』が。。。」
すると、無線通信機からクラリス参謀総長のいたずらっぽい声が聞こえた。
「え?
なんだって?」
すると、無線通信機からルイス少尉の悔しそうな声が聞こえた。
「・・・なんでもありません。」
僕はルイス少尉とクラリス参謀総長の空での会話に戸惑った。
僕はヒラリー後方支援連隊長に近づくと、小声で問うた。
「クラリス参謀総長とルイスさんって、
どういう親子なんですか?」
すると、ヒラリー後方支援連隊長は、半ば笑い、半ばあきれて、小声で返した。
「とっても仲は良い親子よ。」
僕は「え?」と戸惑った。
だって、ルイス少尉の日頃の言動とは違うから。
ヒラリー後方支援連隊長は僕の戸惑いに、笑って答えた。
ま、小声で続けて語ったんだけど。
「ふふふ。。。
二人は性格も容姿もそっくりな母と娘なの。。。
本当、ルイスは、若いころのクラリスそっくりよ。。。
でも、クラリス自身が嫌いなところまで、
ルイスはそっくりなの。。。
多分、それはルイスも同じ。。。
ルイス自身が嫌いなところまで、
クラリスの気質を受け継いでいる。。。
だから、その部分だけ、反発しあっているだけよ。。。」
ヒラリー後方支援連隊長は、小声でさらに続けた。
「この前なんか、クラリスの悪い噂が流れていたの。。。
で、、、
クラリスがその噂の出どころを辿ってみると、、、
ルイスに辿り着いて、、、
『あの腹黒娘!』
ってぼやいていたわ。。。」
たぶん、先週の練兵場からの帰り道、クラリス参謀総長の副官から聞き出した悪口(第58話)を、ルイス少尉は噂として流したのだろう。。。
(あきれた笑い)ははは。。。
ヒラリー後方支援連隊長は、クラリス参謀総長とルイス少尉の二人が空を飛ぶ姿に視線を移すと、笑顔で小声で語った。
「結局のところ、、、
似たもの母娘が、仲良く喧嘩しているだけよ。。。」
ははは。。。そういうこと。。。
ヒラリー後方支援連隊長は僕を見つめ、微笑み、問うた。
「他に私に頼みたいことってある?
このパラグライダーで、
ルイスを救った礼になったとは思っていないわ。」
(第55話)
僕は一瞬戸惑った。
しかし、ヒュー少尉、エイミー少尉、ベリンダ上等兵から、彼らの魔法を強化する方法を頼まれていたことを思いだした。
(第66話)
そこで、こう答えた。
「それじゃあ、、、
手に入れてほしいものがあるんです。」
そして僕は、いくつか入手してほしいものを述べた。
ヒラリー後方支援連隊長は戸惑いながら、「なぜ?」と問うた。
仕方なく、僕は正直に答えた。
「実は、、、
ヒューさん、エイミーさん、ベリンダさんから、
ご自身の魔法を強化したいって頼まれていまして、、、
(第66話)
頼んだものを使えば、うまくいけば、
魔法を強化できると思います。」
するとヒラリー後方支援連隊長は、笑って答えた。
「ふふふ。。。
そういうこと?
わかった。
入手できるかやってみる。。。」
そんなときだった。
後ろから、「何じゃ、あれは?」という声が聞こえた。
(次話に続く)
次話は2026/4/18 0時に更新予定です。




