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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第5章 本格化、そして暴走の始まり
65/91

第65話 ルイス少尉がドーラ分隊に配属された謎

(前話からの続き)

 

 

 

その日の昼ごはん、このときは練兵場に出かける前に、王城の売店で各自昼食を前もって買っておいた。

 

練兵場で広げた天幕の下で、分隊メンバと僕とクラレンス君は腰を下ろして、昼食をとった。

 

 

 

昼食を食べながら、僕はルイス少尉に前から思っていたことを問うた。

 

「ルイスさん、、、

 

 ルイスさんは、武芸に秀でていて、なぜ騎乗ができないのですか?」

 (第64話)

 

 

 

すると、ルイス少尉は苦笑いを浮かべ、両方の手のひらを上に向けて、答えた。

 

「4兵種、つまり歩兵、騎兵、魔法兵、後方支援兵の中で、

 最も騎兵が重要度が低いからね。。。

  

 騎兵の重要度が低いから、ハナッから、

 騎乗技術を身に着ける気がなかったの。。。」

 

 

 

ルイス少尉は苦笑いを浮かべたまま、手を降ろして、話を続けた。

 

「そして、最も重要なのは歩兵なの。。。

 

 だから、歩兵として重要な武芸を身に着けたの。。」

 

 

 

そして、しかめっ面になって、僕に語った。

 

「ま、あの『腹黒狸』(=クラリス参謀総長)に、

 さんざん、鍛えられたけどね。。。」

 

 

 

 

 

ルイス少尉の答えに僕は戸惑った。

 

「え?

 

 ルイスさん、魔法兵に憧れたんですよね?

 (第49話)

 

 なのに、どうして、、、

 魔法兵が最も重要ではないのですか?」

 

 

 

傍らに座って昼食を食していた、ケント准尉が、ルイス少尉の代わりに、苦笑いを浮かべて答えた。

 

「殺傷力のある魔法は、魔法兵でも数発しか撃てません。。。

 

 右下腹部の魔法器官に蓄えている魔力が、

 すぐに尽きてしまいます。。。」

 

 

 

そういうと、彼は右下腹部に右手を添えた。

 

 

 

 

 

やはり天幕の下で昼食を食していたジャクソン少尉も苦笑いを浮かべて、僕に話しかけた。

 

「そもそも、殺傷力のある魔法は、誰かに動きを止めてもらわないと、

 当たらないのですよ。。。

  

 この前の、空飛ぶ巨大生物のように。。。」

 (第53話)

 

 

 

僕は思わず、「あ!」とつぶやいた。

 

 

 

そうだ!

 

巨大生物に届くくらいの大魔法を駆使する場合、右手を構えてから、実際に魔法が放たれるまでに数秒を要した。

 

 

 

つまり、数秒間、誰かが動きを止めてもらわない限り、そんな魔法は当たらない。。。

 

 

 

 

 

ルイス少尉は、ジャクソン少尉にうなずくと、僕に視線を向けて、語り掛けた。

 

「結局ね。。。

 

 魔法兵は歩兵に相手の動きを封じてもらわないと、

 使えないのよ。。。」

 

 

 

ルイス少尉は話を続けた。

 

「だからね。。。

 

 もし、私が戦場の指揮官で、

 4兵種、つまり、つまり歩兵、騎兵、魔法兵、後方支援兵の中で、

 1つしか連れていけないとしたら、、、

  

 歩兵を選ぶわ。。。」

 

 

 

 

 

僕は戸惑いながら、問うた

 

「じゃあ、、、

 

 2つ選べるとしたら?」

 

 

 

ルイス少尉はすまして答えた。

 

「歩兵と後方支援兵ね。」

 

 

 

僕は益々戸惑った。

 

え? さっき、騎兵は最も重要度が低いと言った。つまり4番目だ。

 

そして、ルイス少尉が憧れた魔法兵は(第49話)、3番目なのだ。

 

下から2番目なのだ。

 

 

 

僕は思わず、「どうして?」と問うた。

 

 

 

すると、ルイス少尉はすました表情のまま、答えた。

 

「一番重要な歩兵のサポートとして、、、

 

 後方支援兵の工兵・兵站・衛生としての役割が必要なの。。。」

 

 

 

 

 

僕の戸惑いの表情をみて、やはり天幕の下で昼食を食していた、フレッド副長は苦笑いを浮かべて、話してくれた。

 

「修司殿、この世界の基本戦術として、、、

 

 まず、歩兵同士がぶつかり合い、削り合うのですよ。

  

 その削り合いを後方支援兵がサポートするのです。」

 

 

 

フレッド副長は苦笑いを浮かべたまま、話を続けた。

 

「この削り合いの結果、

  『相手陣地に隙ができた』

 と判断すれば、、、

  

 ここぞと、その隙ができた場所に、

 魔法兵による一斉集中攻撃を行い、

 相手陣地を崩すのです。」

 

 

 

フレッド副長は苦笑いを浮かべたまま、更に話を続けた。

 

「そして、魔法兵による一斉集中攻撃の結果、

 相手陣地が本当に一部でも崩れたら、、、

  

 そこに騎兵を突入させ、一気に相手陣地を突破し、

 相手陣地の背後を取るんです。。。」

 

 

 

 

 

エイミー少尉も天幕の下で苦笑いを浮かべ、僕に話しかけた。

 

「つまり、歩兵同士の削り合いで相手陣地に隙ができるまで、

 魔法兵に出番はありません。

  

 そして、相手陣地が一部でも崩れない限り、

 騎兵に出番はありません。」

 

 

 

僕はなおも戸惑い、問うた。

 

「じゃあ、魔法兵と騎兵は、その間、何をしているのですか?」

 

 

 

僕の横で昼食を食していたドーラが苦笑いを浮かべて答えた。

 

「それまでは騎兵は下馬して、

 後方で待機するか、歩兵として戦うしかないな。。。」

 

 

 

僕は驚き問うた。

 

「え? 下馬するのですか?」

 

 

 

ドーラは苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「そりゃ、戦場で、

 下手に乗馬して立ち止まっていたら、、、

  

 図体のでかい静止目標となって、

 弓矢や魔法の絶好の的になるだけじゃないか。。。」

 

 

 

ま、それもそうか。。。

 

 

 

 

 

ケント准尉が話を繋いだ。

 

「騎兵と同様に、魔法兵も後方で待機するか、

 歩兵として戦うしかありません。

  

 それまでは、下手に魔法を使うと、

 肝心な時、つまり一斉集中攻撃で魔法が使えないときだってあります。」

 

 

 

 

 

ルイス少尉はすまし顔で僕に語った。

 

「総合すると、

 

  『魔法兵も騎兵も出番はほんの一瞬』

 

 ってわけ。」

 

 

 

 

 

フレッド副長は笑顔で僕に語った。

 

「修司殿、

 オウゴウヌ王国軍では半分弱を歩兵が占め、

 一番少ないのは騎兵です。

 (第30話)

  

 そういった編成になっているのは、これが理由なのです。

  

 おそらく、他国の軍も同様と思われます。」

 

 

 

ルイス少尉は笑顔で僕から視線を逸らし、語った。

 

「そう、この世界の軍隊の基本は歩兵なの。

 

 歩兵が一番重要なの。

  

 だから、騎乗を習得しなかったの。」

 

 

 

 

 

魔法兵や騎兵は一見華やかだ。

 

だが、実際のところは違うのだ。

 

 

 

一見地味な歩兵や後方支援兵が重要なのだ。

 

外部からのイメージと実際は異なる。

 

それがこの世界の軍の姿なのだ。

 

 

 

この国に来て、2日目、執事からこの国の歴史を聞いた。

(第26話、第27話)

 

歩兵が一番重要となると、執事が言うとおり、

 

 『兵士全員に鉄の武器と鉄の鎧を身に着けることができるのは、

  我が国、オウゴウヌ王国だけ』(第26話)

   

という事実は、この国を精強にしたのだろう。

 

 

 

だって、他国では兵士全員には、鉄の武器と鉄の鎧が行き渡っていないのだから。。。

 

この事実は、序盤の歩兵同士の削り合いにおいて、この国に大きなアドバンテージをもたらしているのだ。。。




そして歩兵同士の削り合いに負けない限り、隙を与えない限り、、、


相手が魔法兵や騎兵を繰り出してくることは少ないだろう。。。



 

オウゴウヌ王国の鉄の生産量は、巡り巡って相手の魔法兵や騎兵を封じているのだ。。。 

 

 

 

 

 

 

 




僕は気を取り直して、天幕の下にいた、ジャクソン少尉とケント准尉に問うた。

 

「ジャクソンさん、ケントさん、、、

 

 念のためというか、一応ですが、、、

 

 御二方が騎乗を習得しなかった理由は?」

 

 

 

ジャクソン少尉は苦笑いを浮かべ、ケント准尉を見た。

 

ケント准尉も苦笑いを浮かべ、答えた。

 

「先ほど言ったように、

 魔法兵は歩兵として戦うことはありますが、、、

  

 騎兵として戦うことはありませんから。。。」

 

 

 

そういうことね。。。

 

そりゃ、魔法兵には騎乗なんて覚える必要なんてないしね。。。

 

 

 

 

 

僕はケイシー上等兵に顔を向け問うた。

 

「ケイシーさん、念のため、教えてください。

 

 ケイシーさんが騎乗を習得した理由って?」

 

 

 

ケイシー上等兵は苦笑いを浮かべ、僕から目を逸らし、答えた。

 

「衛生兵の派遣は、通常は1年の短期なんです。

 

 そして、その後の1年はオフィスで事務作業に着きます。

 

 つまり2年のサイクルです。」

 

 

 

ケイシー上等兵は苦笑いを浮かべたまま、僕を見つめ、話を続けた。

 

「分隊長(=ドーラ)には失礼ですが、、、

 

 騎兵は我が軍で約1割に過ぎません。

 

 つまり、衛生兵が騎兵科に派遣される可能性は約1割ってことです。」

 

 

 

ケイシー上等兵は両方の手のひらを上に向けて、話を続けた。

 

「先ほど言ったように、衛生兵は2年のサイクルで派遣されます。

 

 ということは、衛生兵一人が騎兵科に派遣されるのは20年に1度です。

 

 20年に1度しかない、派遣先のスキルを習得しようとする、

 衛生兵はいません。

 

 つまり、衛生兵のほとんどが、騎乗なんて習得しません。」

 

 

 

僕はドーラに視線を向けた。

 

ドーラは苦笑いを浮かべ、黙ってうなずいた。

 

 

 

そうか、衛生兵は騎乗を習得しないってことね。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケント准尉はジャクソン少尉に顔を向けて、語り掛けた。

 

「しかし、ジャクソン少尉、この分隊に来る前、

 

  『騎兵科に転属しろ』

 

 って言われた時は、

 驚きましたよね。。。」

 

 

 

ジャクソン少尉はケント准尉に顔を向け、苦笑いを浮かべ答えた。

 

「ケント、そうだよな。。。

 

 普通、新兵で魔法兵科に配属された者が、

 騎兵科に転属なんてありえねー。


 歩兵科の転属はあるけどな。。。」

 

 

 

僕は貴族との晩餐会の夜、ドーラの話から、魔法兵科にいたジャクソン少尉とケント准尉を、ドーラの分隊に転属させた理由を、おおよそ察していた。

(第37話)

 

 

 

もちろん、後方支援兵科にいたフレッド副長と、歩兵科にいたヒュー少尉が、ドーラの分隊に転属してきた理由も。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、次のルイス少尉の言葉に戸惑うことになる。

 

 

 

ルイス少尉も苦笑いを浮かべ、ジャクソン少尉に語り掛けた。

 

「ジャクソン、

 私も新兵で歩兵科に配属された時、

 ずっと歩兵科にいるものだと思っていた。。。

  

 だって、新兵で歩兵科に配属されると、

 他の兵科に転属した人なんて、

 見たことも聞いたこともなかったから。。。」

 

 

 

ルイス少尉は苦笑いを浮かべたまま、ジャクソン少尉にさらに問いかけた。

 

「私も

  『騎兵科に転属せよ』

 と聞かされた時は、驚いたわよ。。。

  

 ありえないわよ。。。」

 

 

 

 

 

そうだ!

 

ドーラの分隊に、男性隊員である、

 フレッド副長、ヒュー少尉、ジャクソン少尉、ケント准尉

が配属されている理由は、おおよそ察しがついている。

(第37話)

 

 

 

でも、、、なぜ、、、

 『騎乗できない女性隊員であるルイス少尉』

が配属されているのだろう?

 

 

 

ひょっとして、ドーラの分隊には、まだ秘密の役目があるってこと?




(次話に続く)

次話は2026/4/12 0時に更新予定です。

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