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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第5章 本格化、そして暴走の始まり
64/91

第64話 空中での自衛策

話はちょっと巻き戻り、火曜日の夕方、大学から戻ると、官舎の僕の部屋に、ヒラリー後方支援連隊長からの手紙が届いていた。

 

 

 

何事かと手紙を読むと、

 

 『ルイス少尉のために作ってほしいと頼んでいた(第55話)、

  2つのもののうち、1つができあがった。

   

  金曜日の朝に練兵場まで持っていく。』

   

とのことだった。

 

 

 

 

僕は手紙を読むと、隣のドーラの部屋のドアにノックをした。

 

ドーラは部屋を開け、僕が立っているのを見ると、無言で入室を促した。

 

 

 

僕はドーラの部屋に入ると、無言でヒラリー後方支援連隊長からの手紙を渡した。

 

ドーラは黙って、手紙を読むと、天井を見つめ、ため息をついた。

 

 

 

そして、僕に視線を戻し、問うた。

 

「それで?

 

 我にこの手紙を見せた理由は?」

 

 

 

僕はうなずき、答えた。

 

「この前、ルイスさんがパラシュート降下中に、

 巨大生物に襲われた時、、、

 (第53話)

 

 分かったことがあるんです。。。

  

 空中では逃げ場がないってことに。。。」

 (第54話)

 

 

 

ドーラは再びため息をつき、黙ってうなずいた。

 

 

 

ドーラのうなずきを見て、僕は話を続けた。

 

「もし、ルイスさんが再び空を飛んだ時、

 

 地上からの援護が受けらない場所、

 たとえば、この前よりも、もっと高く飛んだら、、、

  

 しかも、そのときに巨大生物に襲われたら、、、

  

 地上からは何もできません。。。」

 (第55話)

 

 

 

ドーラは再び、黙ってうなずいた。

 

僕は更に話を続けた。

 

「だから、、、

 

 新しい道具が届く前に、、、

  

 新しい道具でルイスさんが再び空を飛ぶ前に、、、

  

 ルイスさん自身で自分の身を守る術を、

 身につけさせる必要があります。。。」

 

 

 

ドーラは視線を僕から逸らし、つぶやいた。

 

「そうだな。。。

 

 我も同意する。。。」

 

 

 

ドーラは僕を見つめ、「ルイスを呼んでくる」と僕に告げると、彼女は自分の部屋を出て行った。

 

 

 

数十秒後、ドーラはルイス少尉を連れて、自分の部屋に戻ってきた。

 

そして、ドーラはヒラリー後方支援連隊長からの手紙を、ルイス少尉に見せた。

 

 

 

ドーラはルイス少尉が手紙を読み終わるのを確認すると、ルイス少尉に語り掛けた。

 

「ルイス。

  

 明日からの練兵場にて、空中での自衛策を訓練せよ。」

 

 

 

ルイス少尉は直立し、「は!」と答えた。

 

 

 

すると、ドーラはルイス少尉に問うた。

 

「それで?

 

 どんな自衛策をとる気だ?」

 

 

 

ルイス少尉は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「そんなもん、、、一つしかありません。。。」

 

 

 

ドーラも苦笑いを浮かべ、うなずき、つぶやいた。

 

「そうだな。。。

 

 選択肢は一つしかない。。。」

 

 

 

僕は黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の水曜日、ドーラ分隊メンバと共に、僕とクラレンス君は、再び練兵場に来た。

 

 

 

僕とクラレンス君は夜に天文観測するための準備を行った。

 

フレッド副長はドローンの操作練習を行った。

(第48話)

 

ヒュー少尉は天幕の下で長距離無線通信機を組み立てていた。

(第47話)

 

エイミー少尉とローレンス曹長とベリンダ上等兵は、練兵場をオフロードバイクで走って、不整地走行を練習した。

(第45話、第46話)

 

ジャクソン少尉とケント少尉は、自分の得意な雷魔法や火炎魔法の練習を行った。

 

ケイシー上等兵は、訓練中のけがに備えて、天幕の下でポーションの瓶を持って待機していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

肝心のルイス少尉は、、、

 

もちろん、空中での自衛策を訓練を行った。

 

 

 

とは言っても、金曜日の朝にならないと、次の空を飛ぶ道具は来ないし、、、

 

空を飛ぶ前に自衛策の訓練を行う必要もあるので、、

 

地上での訓練だ。

 

 

 

なにをやったかというと、、、

 

まあ、ドーラに馬に乗せてもらってね。。。

 

約60cmの的を設置してね、その的の15~20m先を馬が走り抜けるんだ。。。

 

そして馬が走り抜ける瞬間に、ドーラの後ろに騎乗したルイス少尉が、的に向けて矢を射るんだ。。。

 

 

 

要するに、遠笠懸(とおかさがけ)だ。

 

 

 

 

 

え?

 

なぜ弓矢の練習かって?

 

 

 

まあ、今回、作ってもらった道具は、パラシュートとほぼ同じサイズのもので、刀や槍ではあまり役に立たないからだ。

 

 

 

前回と同様、巨大生物がルイス少尉より先に、その道具を攻撃したら、、、

(第53話)

 

刀や槍では届かないからだ。

 

 

 

そう、空中での自衛策は、弓矢しかないんだ。

 

 

 

だから、ドーラもルイス少尉も『選択肢は一つしかない』って言ったんだ。

 

これには僕も同意見だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

じゃあ、なぜ遠笠懸(とおかさがけ)を行ったのかって?

 

 

 

そりゃ、空中では風で揺れるし、矢を正確に射るのは難しいからだ。

 

 

 

しかも、相手は高速に飛行する、翼竜のような巨大生物だ。

 

また、今回作ってもらった道具は、空中をパラシュートよりは自由に動き回れる。

 

つまり、矢を射るタイミングはほんの一瞬しかないと思われたからだ。

 

 

 

したがって、『揺れる中で、一瞬で矢を射る』ことを、地上で練習する必要がある。

 

 

 

これには、遠笠懸(とおかさがけ)が良いって判断したからだ。

 

ちなみにこれは僕のアイデアだ。

 

 

 

ドーラもルイス少尉も遠笠懸(とおかさがけ)を知らなくって、説明するのに苦労したけど。。。

 

 

 

もちろん、空中での揺れと、馬上での揺れは性質が全く異なる。

 

しかも、空中では風が強いから、矢は正確に飛ばない。

 

 

 

空中での訓練は、新しい道具が来てからになるだろう。

 

もちろん、新しい道具が来ても、当面の間、ルイス少尉には地上からの援護が受けられる場所、すなわち練兵場上空で、高度も抑えてもらって、飛んでもらう予定だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、本当はルイス少尉が騎乗できればいいのだが、騎乗できないので、、、

 

しかたなく、ドーラが馬を操作し、後ろに同乗しているルイス少尉が矢を射ることになったけど。。。

 

 

 

当然、最初のうちは、なかなか的に当てることができなかった。

 

それどころか、矢を射るタイミングをつかむことができず、矢を射ることさえ、できないこともあった。

 

 

 

小休止のため、馬から降りたルイス少尉は「難しいわね。」とボヤいた。

 

 

 

 

 

ちなみに、ルイス少尉の名誉のために言っておくと、彼女の武芸の腕は高い。

 

彼女は良く言っていた。

 

「小さいころから、

 あの『腹黒狸』(=クラリス参謀総長)に、

 武芸は鍛えられたわよ。。。」

 

 

 

そう、単に騎乗だけができないだけなんだ。

 

 

 

 

 

実際、ルイス少尉は騎乗を除くと、分隊メンバの中では武芸の腕は高い。

 

 

 

武芸の腕で、分隊メンバの一番はエイミー少尉だ。

 

やっぱり、父親であるダグ騎兵連隊長に小さいころから鍛えられたそうだ。

 

ドーラは彼女の武芸をこう評価していた。

 

「エイミーは身体強化魔法がなくても、

 分隊メンバで武芸で勝てる人はいない。

 

 これに身体強化魔法が発動している間は、

 分隊メンバどころか、近衛師団の中でも、

 勝てる人はほとんどいない。」

 

 

 

言っておくが、近衛師団はオウゴウヌ王国軍では最強を誇る精鋭部隊だ。

 

つまり、エイミー少尉は、身体強化魔法が発動している間は、

武芸において、オウゴウヌ王国軍中で勝てる人はほとんどいないのだ。

 

 

 

 

 

次のグループは、歩兵科と騎兵科出身の、ドーラ、ヒュー少尉、ルイス少尉、ローレンス曹長、ベリンダ上等兵だ。

 

ドーラに言わせると、『武芸では頼りになる』と評価していた。

 

 

 

つまり、ルイス少尉は、ドーラにとって、『武芸では頼りになる』部下の一人なんだ。

 

当然、弓矢についても、分隊のメンバの中では『頼りになる』レベルにある。

 

その『頼りになる』レベルをもってしても、遠笠懸(とおかさがけ)は難しいのだ。

 

 

 

 

 

どころで、ローレンス曹長は、『武芸では頼りになる』し、『騎乗できる』し、、、

 

しかも、ずっと前からドーラの部下だった。

 

だから、彼女は、ドーラにとって、一番頼りになる部下なんだ。。。

(第30話、第49話)

 

 

 

その次にドーラにとって頼りになるベリンダ上等兵も、ローレンス曹長と同じだ。

 

 

 

 

 

ちなみに、その下は後方支援兵科出身のフレッド副長で、、、

 

ドーラに言わせると、『武芸はまあまま使い物になる』レベルらしい。

 

 

 

で、さらにその下が、魔法科出身のジャクソン少尉とケント准尉で、、、

 

ドーラに言わせると、『一応、武芸はできる。自分の身を守れるくらい』というレベルらしい。

 

 

 

まあ最後尾が衛生兵のケイシー上等兵で、、、

 

『武芸は全くダメ。そもそも華奢だし。』と、ドーラは言っていた。

 

(あきれた笑い)ははは。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話を遠笠懸(とおかさがけ)に戻すと、ルイス少尉が小休止を取っている間、ドーラも遠笠懸(とおかさがけ)を試しにやってみた。

 

ドーラもこう、こぼしていた。

 

「矢を射るのは一瞬しかチャンスはないし、、、

 

 しかも馬の揺れにタイミング合わせなくちゃいけないし、、、

  

 難しい。。。」

 

 

 

興味を持った、騎乗できる他のメンバ(フレッド副長、ヒュー少尉、エイミー少尉、ローレンス曹長、ベリンダ上等兵)も、騎乗して遠笠懸(とおかさがけ)を試しにやってみた。

 

やっぱり、口々に「難しい」とこぼしていた。

 

 

 

 

 

エイミー少尉は、ローレンス曹長とベリンダ上等兵に語り掛けた。

 

「オフロードバイクの訓練に、この笠懸を取り入れてみようか?

 

 馬の代わりに、オフロードバイクを運転して、

 矢を射かけるの。。。」

 

 

 

ローレンス曹長はうなずき答えた。

 

「そうですね。良い訓練だと思います。

 

 軍にいる以上、オフロードバイクに乗りながら、

 矢を射ることはあり得ることですし。。。」

 

 

 

ということで、エイミー少尉、ローレンス曹長、ベリンダ上等兵は、オフロードバイクの練習に、笠懸を加えた。

 

 

 

(次話に続く)

次話は2026/4/11 0時に更新予定です。

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