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第59話 練兵場からの帰り道(その2) ークラリス参謀総長の個室にてー

僕とドーラ分隊は、レオ近衛師団長、クラリス参謀総長、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長を王城で降ろした。

 

ま、王城と言っても、軍の倉庫の前で降ろしたんだけどね。

 

 

 

軍の倉庫から、レオ近衛師団長、クラリス参謀総長、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長は、それぞれのオフィスに向けて歩き出した。

 

クラリス参謀総長は数歩歩くと、残りの4人に(レオ近衛師団長、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長)、声をかけた。

 

「ねえ、ちょっと話し合わない?」

 

 

 

レオ近衛師団長、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長の4人は、戸惑いの表情を浮かべながら、黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5人はクラリス参謀総長の個室に向かった。

 

 

 

クラリス参謀総長は他の4人の所属である近衛師団でなく、参謀本部に所属している。

 

だから、他の4人は近衛師団の白い軍服を着用しているが、彼女は近衛師団所属ではないため、黒い軍服を着用している。

(第15話)

 

そして、参謀だから、三つ編みの飾り紐を身に着けている。

(第15話)

 

 

 

そして、、、他の4人のオフィスは近衛師団司令部の建物にあるが、クラリス参謀総長のオフィスは参謀本部の建物内にある。

 

つまり、他の4人が働くオフィスと、クラリス参謀総長が働くオフィスは別なのだ。

 

 

 

 

 

ところで、第22話で述べたように、オウゴウヌ王国軍では将官になると、個室が与えられる。

 

だがクラリス参謀総長は大将であり、ヒラリー後方支援連隊長は少将だ。

 

つまり、クラリス参謀総長の個室は、ヒラリー後方支援連隊長の個室より断然広かった。

 

 

 

まず、個室と言っても、2間あり、入口手前が小さな会議室があり、その会議室を突っ切ると奥にクラリス参謀総長の執務室になっている。

 

 

 

5人はその手前の小さな会議室の椅子に座った。

 

小さな会議室といっても、一度に10人の会議ができる広さがある。

 

真ん中に大きな机があり、机を挟んで肘掛けの革張り椅子が10脚ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラリス参謀総長は椅子に座ると、口を開いた。

 

「今朝、ドーラ中尉の分隊と一緒に練兵場から王城に帰ったけど、、、

 (第58話)

  

 自動車を活用すれば、軍の展開力が増すわね。。。

  

 もっと多くの自動車とバイクが欲しいわ。。。」

 

 

 

さらにクラリス参謀総長は続けた。

 

「昨日も、、、

 

 パラシュートには驚いたし、、、

 (第52話)

  

 複数の魔法を合体させた事にも驚いた。。。」

 (第53話)

 

 

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は周りを見渡し、つぶやくかのように、小声で話した。

 

「実は、昨晩、修司殿と話したんだが、、、

 

 パラシュートもオフロードバイクも

 軍の装備として使っているらしい。。。」

 (第57話)

 

 

 

ダグ騎兵連隊長に会議室にいた他の4人全員が驚いた。

 

レオ近衛師団長は戸惑いながら、ダグ騎兵連隊長に問うた。

 

「一体、、、どのように使っているんだい?」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は目を閉じて、顔を何度も横に振り、小声で答えた。

 

「わからない。。。

 

 だって、訊けなかったから。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長の答えに、他の4人は戸惑った。

 

そして、ウオーレン魔法兵連隊長は問うた。

 

「訊けなかったって、、、何故なんだ?」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は天井を見上げた。そして目を閉じ、ため息をついた。

 

そして目を開けて、視線を他の4人に戻すと、4人に和泉家の歴史を話した。

 

和泉家がヒドイ偏見とヒドイ迫害を受けた歴史を話した。

(第57話)

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は説明の後、こう締めくくった。

 

「和泉家のそんな歴史を聞いて、、、

 

 そして、普一殿が父親である賢治殿に遠慮して、

 積極的にはオフロードバイクとパラシュートを、

 俺達に教えなかったのだろうって聞いて、、、

 (第57話)

  

 とても、俺は修司殿に

 オフロードバイクとパラシュートの使い道を訊けなかった。。。」

 

 

 

 

 

他の4人は一様に動揺した。

 

クラリス参謀総長は困惑しながらつぶやいた。

 

「そんなこと、、、

 

 和泉家が過去、偏見と迫害を受けたなんて、、、

  

 普一殿から聞いたことがない。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は困惑の表情を浮かべながら、ウオーレン魔法兵連隊長とヒラリー後方支援連隊長に問うた。

 

「ウオーレン、ヒラリー、

 

 あんた達、よく普一殿としゃべっていたでしょ?

  

 普一殿から和泉家の歴史について聞いてないの?」

 

 

 

 

 

後に教えてもらったんだけどね。。。

 

30年前、父・普一がオウゴウヌ王国に来た時、母・エリーゼの分隊メンバの中で、ウオーレン魔法兵連隊長とヒラリー後方支援連隊長には、特に親しかったんだって。。。

 

 

 

 

 

話を戻そう。

 

ウオーレン魔法兵連隊長は顔を何度も横に振り、答えた。

 

「俺は何も。。。」

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長は両手を振り、困った表情で答えた。

 

「私だって、聞いたことがないわよ。。。」

 

 

 

 

 

クラリス参謀総長は戸惑いながら、レオ近衛師団長に問うた。

 

「レオ、王家と和泉家には深い結びつきがあるわ。

 

 女王陛下から、和泉家の歴史を聞いてないの?」

 

 

 

レオ近衛師団長も戸惑いながら答えた。

 

「そんなこと、アンから聞いてない。。。

 

 念のため、アンに訊いてみるが、、、

  

 たぶん、アンも初耳だろう。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は一同を見渡しながらつぶやいた。

 

「つまり、、、だれも、、、


 我が国のだれも、、、

 

 和泉家の歴史なんて初めて知ったってこと?」

 

 

 

レオ近衛師団長は黙ってうなずいた。

 

 

 

会議室にいた5人はしばらく、お互いを見つめ、言葉を発することができなかった。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分経過しただろうか、ヒラリー後方支援連隊長は、突然ハッとした表情を浮かべた。


そして、彼女はカバンからノートパソコンを取り出し、ノートパソコンを会議机の上に置き、操作を始めた。

 

 

 

レオ近衛師団長は怪訝な表情で、ヒラリー後方支援連隊長に問うた。

 

「ヒラリー、、、何をしているんだい?」

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長はノートパソコンを操作しながら答えた。

 

「このパソコンには百科事典がインストールされているの。

 

 そこからオフロードバイクやパラシュートを調べているの。。。

 

 たぶん、修司殿に尋ねても、

 普一殿に遠慮して積極的には教えるのは難しいだろうから。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は苦笑いを浮かべ、レオ近衛師団長に話しかけた。

 

「その百科事典の中に硝石の生成方法が書かれていて、

 私とヒラリーは試したことがあったけど。。。」

 (第20話)

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長も苦笑いを浮かべ、レオ近衛師団長に話しかけた。

 

「元々は30年前、普一殿からもらったノートパソコンの中にあってね。。。

 

 そのパソコンは先日最新のものに交換したんだけど、、、

 (第33話)

  

 百科事典については、修司殿に頼んで、

 新しいノートパソコンに移植してもらったの。。。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数分後、ヒラリー後方支援連隊長は「あった」とつぶやき、ダグ騎兵連隊長に語り掛けた。

 

「オフロードバイクは不整地を走行できるから、

 偵察任務や災害派遣に使っているわ。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長はヒラリー後方支援連隊長を凝視してつぶやいた。

 

「偵察任務、、、

 

 それじゃ、騎兵科の範疇じゃねーか。。。」

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長は微笑み、ダグ騎兵連隊長に語り掛けた。

 

「災害派遣となると、

 後方支援科の範疇でもあるけどね。。。」

 

 

 

レオ近衛師団長は苦笑いを浮かべて、ダグ騎兵連隊長とヒラリー後方支援連隊長に話しかけた。

 

「軍の本分から言うと、オフロードバイクは騎兵科に所属すべきだろう。

 

 それに、オフロードバイクは以前からダグが導入を進言していたからね。。。」

 (第46話)

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長が懸念を述べた。

 

「でも、偵察に使うにゃ、音が気になるぜ。。。」

 

 

 

レオ近衛師団長は苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「それでも、馬より早く、遠くを偵察できるじゃないか。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は興奮したように、レオ近衛師団長に問うた。

 

「じゃあ、偵察任務に使うということで、

 騎兵科はオフロードバイクの導入を進めて良いと?」

 

 

 

レオ近衛師団長は微笑みうなずいた。

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長は唖然としてつぶやいた。

 

「それにしても、、、

 

 偵察任務に使えるオフロードバイクを騎兵科が導入して、、、

  

 しかも、そのオフロードバイクを、

 (騎兵連隊長である)ダグの娘(=エイミー少尉)が操るって。。。


 新たな偵察任務の装備を、、、

 偵察任務を担う『騎兵連隊長の娘が操る』なんて。。。」

 

 

 

そのつぶやきが聞こえたのか、ハッとした表情でダグ騎兵部隊長は、ウオーレン魔法兵連隊長を凝視した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長は苦笑いを浮かべ、他の4人に語り掛けた。

 

「パラシュートに至っては、部隊編成されているわね。。。」

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長は戸惑いながら問うた。

 

「何を行う部隊なんだ?」

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長は、ため息をついて答えた。

 

「敵陣奥深くに降下させて、重要地点を素早く占領する部隊ね。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は驚きつぶやいた。

 

「奇襲部隊ってこと?」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は唖然として、クラリス参謀総長に語り掛けた。

 

「その奇襲部隊を、、、クラリス、、、

 

 お前の娘(=ルイス少尉)が操れるって、、、

 

 『参謀総長の娘が操れる』って。。。」

 

 

 

クラリス参謀総長は唖然として、ダグ騎兵連隊長を見つめた。


そして、数秒後、天井を見上げ、ため息をつき、つぶやいた。


「これって、、、何かの運命かも。。。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオ近衛師団長は苦笑いを浮かべ、クラリス参謀総長に語り掛けた。

 

「クラリス、、、

 

 それにしても、

 このタイミングで修司殿が来るとはな。。。

  

 しかも、、、


 クラリス、ダグ、ウオーレンの子供が、

 (=ルイス少尉、エイミー少尉、ジャクソン少尉)


 僕の娘(=ドーラ)の分隊に配属され、、、

  

 加えて、我が国で最初の操作者になるとはな。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は不平を漏らす。

 

「ちょっと! オフロードバイクの最初の操作者は俺だぜ。。。」

 (第46話)

 

 

 

だが、クラリス参謀総長は冷ややかに返した。

 

「ダグ、そんなことはどうでもいいのよ。。。」

 

 

 

レオ近衛師団長も、ウオーレン魔法兵連隊長も、ヒラリー後方支援連隊長も冷ややかにうなずいた。

 

 

 

ダグ騎兵連隊長はむくれて、下を向いた。

 

 

 

 

 

クラリス参謀総長はダグ騎兵連隊長からレオ近衛師団長に視線を移すと、苦笑いで答えた。

 

「まあ、ダグのことはほっといて、、、

 

 レオ、、、そうね。。。

 

 あなたの副官から、

 

  『車を何台も動かしたいから、大至急手伝ってくれ』

  

 と伝言を受けて、

 一体何事かと王城の庭に行ったら、、、

 

 大量の軽トラを動かさなくちゃいけなくて、、、」

 (第12話)

 

 

 

クラリス参謀総長はレオ近衛師団長を見つめ、話を続けた。

 

「その大量の軽トラを、

 何度もドーラ中尉と修司殿が『光のアーチ』に飛び込んで、

 行ったり来たりして、運び入れていて、、、

 

 レオ、あなたに尋ねたら、

 あなたが『30年ぶりに日本から客が来た』と答えを聞いた時、、、

  

 つまり、修司殿が来たと知った時、、、

  

 正直、『最悪のタイミング』と思った。。。

  

 でも、もしかしたら、、、

 『絶好のタイミング』で修司殿は我が国に来たのかも。。。

  

 しかも、ドーラ中尉の分隊には、

 私達の子供達が配属されている。。。

  

 何か『運命的なもの』を感じるわ。。。」

 

 

 

 

 

ヒラリー後方支援連隊長は怪訝な表情で、レオ近衛師団長とクラリス参謀総長に問うた。

 

「レオ、クラリス、、、


 何?

 

 それ?」

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長もダグ騎兵連隊長も、困惑の表情を浮かべ、黙ってうなずいた。

 

 

 

クラリス参謀総長は苦笑いを浮かべ、レオ近衛師団長を見つめた。

 

レオ近衛師団長はため息をつくと、微笑みを浮かべ、黙ってうなずいた。

 

 

 

クラリス参謀総長は深呼吸をすると、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長に視線を向け、笑顔で語り掛けた。

 

「これから話す内容は先月行われた、

 国防秘密会議の内容よ。

 

 出席者はアン女王陛下、シャーロット王太子殿下、

 オスカー・デービス元老院議長閣下、ソフィア・デービス殿下、

 ジョージ・ロビンソン宰相閣下、

 アースキン・バーナード財務相閣下と財務次官、

 ジャック・パーシー外相閣下と外務次官、

 ブレント・レイ王室調査室長閣下、

  

 軍部からは、

 フランクリン・クーパー軍事大臣閣下と軍事次官、

  

 そして、制服組ではレオと私が出席した。」

 

 

 

クラリス参謀総長は微笑み、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長に、話を続けた。

 

「これから話すことは現時点において口外無用よ。

 

 でも、あなた達には特別に話すわ。

  

 くれぐれも絶対に、他人に話さないでね。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、ヒラリー後方支援連隊長は、戸惑いながらも、黙ってうなずいた。

 

 

 

(次話に続く)


次話は2026/4/6 0時に更新予定です。

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