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第140話 再びコアブルッズ市へ(その6) ーアン女王とシャーロット第二王女の暴走ー

(前話からの続き)

 

 

 

そう言うとアン女王は僕に笑顔を向けた。

 

「皆の者、今回の晩餐会の食材と酒の仕入れに協力してくれた、

 修司殿に感謝を示すため、拍手を送ろうではないか!」

 

 

 

すると、参加者全員が拍手を送ってくれた。

 

僕は慌てて立ち上がり、「ありがとうございました」と、何度も方向を変えて頭を下げた。

 

 

 

先回の晩餐会と同様、ドーラも立ち上がり、頭を下げていた。

(第37話)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして晩餐会が終わると、大広間のラウンジで歓談となったのであるが、、、

 

先回の晩餐会と同様、ドーラと僕にはあまり人が集まらなかった。

 

 

 

あ、ブリトニーとクリスティアナとディーンは笑顔で「ご苦労様! 美味かった!」と話しかけてきたし、、、

 

デービス公爵家のソフィア叔母さんとオスカー元老院議長はあきれて、「本当にコアブルッズ市を往復したの?」と話しかけてきたし、、、

 

ライト公爵家のトーマス公爵も唖然として「まじか?」と話しかけてきたけど。。。

 

また、アースキン財務相も苦笑いを浮かべて、「本当にやったの?」と話しかけてきた。。。

 

 

 

ドーラも僕も苦笑いを浮かべ、歓談で集まってきた人々に、

 

 金曜日の朝に王城を発し、

 

 その日はコアブルッズ市の近郊のエッキシフェーデ市に宿泊し、

 

 深夜午前3時にコアブルッズ市の青果市場に行き、

 

 仕入れを午前5時に済ますと、午後1時半過ぎに王城に戻ってきた

 

と話した。

(第138話)

 

 

 

ドーラと僕に話しかけてきた人々は、半ば呆れ、半ば唖然としていた。

 

 

 

 

 

でも、歓談はそこそこに打ち切って、ドーラと僕は王室の食堂へ向かった。

 

なぜなら、そこでドーラの分隊メンバが家族とともに、晩餐会と同じディナーを食していたからだ。

 

ドーラの分隊メンバに感謝の意を示す必要があった。

 

 

 

ところで、今回は分隊メンバの家族にも晩餐会と同じディナーを食することができるため、王室の食堂には分隊メンバの他に、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、クラリス参謀総長も、晩餐会と同じメニューを食していた。

 

 

 

 

 

王室の食堂に入ると、特別にその日の夕方から公休に入っていた分隊メンバは全員私服に着替えていた。


ただし、ディナーと言うことで、男性隊員は背広を着て、女性隊員はスーツ姿だった。





家族としてきた、ダグ騎兵連隊長、ウオーレン魔法兵連隊長、クラリス参謀総長も、軍服ではなく、背広やスーツを着ていた。




ローレンス曹長の子供2人もおめかしして、子供用の椅子に座っていた。


ローレンス曹長の子供2人は、ドーラと僕の服装、つまりドーラの白のローブデコルテと、僕の黒い礼服に白い蝶ネクタイ姿に驚いたようだ。

 

「どーらー、しゅーじー、どうしてそんな服着てるの?」

 

 

 

ドーラは苦笑いを浮かべ、ローレンス曹長の子供2人に近づき、答えた。

 

「ああ、決まりで、この服を着なくちゃいけないんだ。」

 

 

 

僕も、ローレンス曹長の子供2人に近づき、微笑み、ローレンス曹長の子供2人に問うた。

 

「どう? 美味しかった?」

 

 

 

ローレンス曹長の子供2人は微笑み、「「うん!」」と答えた。

 

 

 

ローレンス曹長と夫は子供2人の横に座っていた。

 

まだ2歳と4歳の幼い子供だ。

 

ローレンス曹長と夫は子供の食事を手伝ったのだろう。


二人の子供のテーブルには、小さな皿に小さなスプーンと小さなフォークが置いてあった。

 

 

 

スーツ姿のローレンス曹長は子供2人に微笑み語り掛けた。

 

「ほら!

 

 ドーラ分隊長と修司殿にお礼を言いなさい!」

 

 

 

すると、ローレンス曹長の子供2人は「「うん」」と答えた。

 

彼らは子供用の椅子から降りると、ドーラに頭を下げた。

 

「「どーらー、ありがとー」」

 

 

 

ドーラは微笑み、二人の頭を撫でて語り掛けた。

 

「そうか。。。えらいぞー。。。」

 

 

 

 

 

そうして、しばらく、ドーラと僕は、分隊メンバと語り合った。

 

スーツ姿のルイス少尉は笑顔でドーラと僕に語り掛けた。

 

「パフェ、美味かったです~♪」

 

 

 

スーツ姿のケイシー上等兵も笑顔だ。

 

「こんな贅沢な食事ができるなんて。。。」

 

 

 

先ほど言ったように、分隊メンバは家族を連れてきていた。

 

だが、フレッド副長とヒュー少尉には家族がいなかった。

 

どうしてなんだろう?

 

 

 

 

 

でも、それを問おうとした時、アン女王とレオ近衛師団長とシャーロット第二王女も王室の食堂に来た。

 

アン女王は笑顔でドーラに語り掛けた。

 

「今回の晩餐会、大成功じゃ!

 

 王の力を見せつけてやったわ!」

 

 

 

ドーラは戸惑い、アン女王に問うた。

 

「母上、、、

 

 歓談はいかがしたのですか?

 

 それと、、、オリビアは?」

 

 

 

アン女王より早く、シャーロット第二王女は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「オリビアはまだ歓談中。

 

 例によって、若い男性貴族に取り囲まれてね。。。」

 (第37話)

 

 

 

アン女王はニヤリと笑い、ドーラと僕だけでなく、分隊メンバを見渡して、話を繋いだ。

 

「余もシャーロットも歓談中だったが、

 そなたたちに伝えたいことあってな。。。

 

 歓談を途中で打ち切って、ここに来た。。。」

 

 

 

わざわざ歓談を打ち切ってまで、ここにきたということは。。。


そこまでして、しかも『分隊メンバを見渡して』伝えたいことって?

 

なんだろう。。。嫌な予感がする。。。

 

 

 

どうも、それはドーラも同じだったようだ。。。

 

表情を凍らせて、「はい?」とつぶやいた。

 

 

 

アン女王はニヤリと笑ったまま、話を続けた。

 

「来月の上位貴族との晩餐会は、

 南東州まで行って、食材と酒を買い付けてこい!

 

 再び女王の力を見せつけるのじゃ!」

 

 

 

王太子であるシャーロット第二王女もニヤリと笑い、話を繋いだ。

 

「ええ、王家の権威を上位貴族に見せつけるため、

 来月は南東州の名産品を買い付けてきてください!」

 

 

 

 

 

当然、王室の食堂にいたドーラ分隊のメンバは一斉に「えー!?」と不満を漏らした。

 

スーツ姿のルイス少尉は水曜日の朝のように、あきれてアン女王に文句を言った。

 

「女王陛下!

 

 私達は近衛兵であって、食料の仕入れ係ではありません!」

 (第137話)

 

 

 

すると、アン女王は何食わぬ顔で、ルイス少尉の母親のクラリス参謀総長に顔を向けた。


あ、クラリス参謀総長もスーツ姿だ。

 

「クラリス、昨日、国防会議の後で、

 今回の晩餐会のことを話したら、、、

 

  『地方の食材を集める晩餐会をもっとやってくれ。

 

   そうして、オフロードバイクの有用性を上位貴族にアピールして、

   オフロードバイクをもっと増やしてくれ。』

 

 と言ったよな?

 

 

 しかも、、、

 

  『娘(=ルイス少尉)をこき使ってもらって構わないから』

 

 とまで言ったよな?」

 

 

 

ルイス少尉は思わず、母親であるクラリス参謀総長に顔を向け罵った。

 

「この腹黒狸!(=クラリス参謀総長)

 

 あんたのおかげで、こっちは大変な目に遭ってんのよ!」

 

 

 

ワスイ帝国との戦争を作戦立案の責任を負っているクラリス参謀総長は、更なるオフロードバイクとパラグライダーが必要と認識していた。

(第132話)

 

つまり再度の補正予算が必要であり、元老院を通さなくてはならない。

 

そのために、元老院を構成する上位貴族達に、オフロードバイクの有用性をアピールする必要があった。

 

クラリス参謀総長にとって、南西州の州都コアブルッズ市からの食材と酒を使った晩餐会は、その絶好の機会と映ったのだ。

 

 

 

クラリス参謀総長はごまかし笑いをしながら、娘のルイス少尉に弁明した。

 

「ふふふ。。。

 

 だって、もっとオフロードバイクとパラグライダーが必要だから。。。

 

 それに、それはダグも賛成してたわよ。。。」

 

 

 

それを聞いたエイミー少尉が、父親のダグ騎兵連隊長を罵った。


やっぱりダグ騎兵連隊長も背広姿だ。

 

「父さん!」

 

 

 

慌てて、ダグ騎兵連隊長がクラリス参謀総長を罵った。

 

「クラリス!

 

 それは『内緒にしろ』って言ったろ!」

 

 

 

 

 

こんな喧噪をよそに、ローレンス曹長の子供2人は、無邪気に母親であるローレンス曹長に、笑顔で言った。

 

「ママ(=ローレンス曹長)、、、

 

 また食べたい。。。」

 

 

 

するとアン女王はニヤリと笑い、ローレンス曹長の子供2人に近づき、2人の頭を撫で、優しく語り掛けた。

 

「そうか、そうか。。。

 

 また食わしてやるぞ。。。」

 

 

 

シャーロット第二王女もニヤリと笑い、ローレンス曹長の子供2人に近づき、ひざを折り、子供達と視線を合わせ、子供達を見つめ、優しく語り掛けた。

 

「ええ、、、

 

 また来月、食べさせてあげます。。。

 

 うれしい?」

 

 

 

すると、ローレンス曹長の子供2人は、無邪気に笑顔で「「うん!」」とうなずいた。

 

 

 

シャーロット第二王女はドーラに笑顔を向け、語り掛けた。

 

「と、いうことで、、、

 

 来月もお願いしますね♪

 

 姉上♪」

 

 

 

シャーロット第二王女は立ち上がると、ドーラに笑顔を向けて、更に話を続けた。

 

「アースキン・バーナード財務相閣下からも、

 了解を得ております。

 

 財務相閣下は

 

  『ドンドン王家の権威を見せつけてください』

 

 とのことです。」

 

 

 

そしてシャーロット第二王女は、分隊メンバを見渡し、ニヤリと笑った。


「ということで、、、


 来月以降もよろしく♪」 





 

レオ近衛師団長は苦笑いを浮かべ、僕の後方に近づき、小声で語り掛けた。

 

「先日言ったように、『アンは女王』だ。

 

 『女王が暴走したら、

  この国では滅多なことでは止めることができない』

  (第137話)

 

 加えて、『シャーロットは王太子』だ。

 

 『女王と王太子の2人が暴走したら、

  この国で止めることは絶対不可能』だから。。。」

 

 

 

僕はため息をついて、黙ってうなずくしかなかった。

 

 

 

実際、次の月以降の上位貴族との晩餐会では、毎月、今回のように、僕とドーラ分隊メンバによる『弾丸仕入れツアー』が決行された。

 

(あきれた笑い)ははは。。。


次話は2026/7/11 0時に更新予定です。


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