表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/141

第139話 再びコアブルッズ市へ(その5) ー貴族との晩餐会、再びー

(前話からの続き)

 

 

 

途中3回の休憩をはさみ、その内の2回は朝食と昼食だったが、適宜高速モードを交えながら、一路、首都レワヅワを目指した。

 

午後1時半過ぎには王城に着いた。

 

後部座席に座っていた、王室のキッチンのシェフとパティシエがあきれていたことは言うまでもない。

 

 

 

王城に着くと、すぐにキッチンに仕入れた肉・果物・野菜・特産の酒を運びこんだ。

 

そして、シェフとパティシエは調理を始めた。

 

ま、実際にはシェフとパティシエは何人もいて、すでに仕込みは開始していたのであるが。。。

 

 

 

 

午後2時半にドーラは日報を提出し、そのまま公休に入り、僕と一緒に宮殿に移った。

 

宮殿に移ったのは午後3時頃だったと思う。

 

そして、ドーラはオウゴウヌ軍の中尉から、第一王女に戻った。

 

 

 

僕は宮殿の僕の部屋で1時間ほど、仮眠をとった。

 

もちろん、深夜午前2時に起床し、南西州の州都コアブルッズ市から首都レワヅワの約200km運転した疲れを少しでもとるためだ。

 

約1時間後、すなわち午後4時ごろ、執事に起こしてもらった。

 

そしてシャワーを浴び、髭を剃ると、先回の上位貴族との晩餐会と同様、黒い礼服と白い蝶ネクタイを着た。

(第37話)

 

 

 

午後5時半ごろ、宮殿の大広間の入口のラウンジに、アン女王、レオ近衛師団長、ドーラ、シャーロット第二王女、オリビア第三王女と共に入場した。

 

先回の上位貴族との晩餐会同様、アン女王、ドーラ、シャーロット第二王女、オリビア第三王女は白のローブデコルテ、アン女王は王冠を被っていた。

 

そしてレオ近衛師団長は白の軍服だ。

(第37話)

 

 

 

先回と同様、アン女王と王太子であるシャーロット第二王女には、多くの貴族が集まった。

 

そして、やっぱり先回と同様、オリビア第三王女には、若い男性の貴族が集まった。

(第37話)

 

 

 

そして、やっぱり先回と同様、、、ドーラと僕にはあまり貴族が集まらなかった。

 

それでも、『選外の6伯爵家』の跡取りで若手有望官僚のブリトニー・ヨークとクリスティアナ・ワーシントンとディーン・ウエストウイックが寄ってきた。

 

ブリトニーとクリスティアナは白のローブデコルテを身にまとい、ディーンは黒い礼服に白い蝶ネクタイだ。

 

 

 

ディーンは人懐っこい笑顔を向けて、僕に語り掛けた。

 

「修司殿、、、久しぶり。。。

 

 遊びに行っても、

 先週は君は天文台に行ってしたし、、、

 (第119話)

 

 今週も官舎の君の部屋にはいなかったから。。。」

 

 

 

すると僕の代わりに、ドーラが苦笑いを浮かべて答えた。

 

「あー、、、

 

 今週は月曜日と火曜日は我が分隊メンバに公休を与えていたから、、、

 

 火曜日の午後10時までは我と修司殿は宮殿にいた。。。

 

 そして水曜日から木曜日は練兵場に行っていた。。

 

 で、金曜日の朝からコアブルッズ市に行って、

 帰ったのは今日の午後だ。。。

 

 だから、今週、官舎にいたのは、

 火曜日の午後10時から水曜日の朝と、

 木曜日の夕方らから金曜日の早朝までしかいなかった。。。」

 

 

 

ブリトニーさんが怪訝な顔で問うた。

 

「どうして、コアブルッズ市に?

 

 南西州の州都になぜ?」

 

 

 

ドーラと僕は顔を見合わせた。

 

だって、アン女王から「出席者を驚かせたいから、理由は話すな」と言われていたんだ。。。

 

 

 

すると、苦笑いを浮かべて、財務相であるアースキン・バーナード伯爵が近づいてきた。

 

「ドーラ殿下、、、『本当にやった』んですか?

 

 私も女王陛下から、事前に聞いた時はあきれてしまいましたが。。。」

 

 

 

アースキン財務相は事前に知らされていたのだろう。

 

ドーラの散財について、アン女王はアースキン財務相に『晩餐会のメニューを事前検討させていた。』と言い訳すると言っていた。。。

(第137話)

 

そもそも、ドーラの土産代(第121話、第122話)も、上位貴族との晩餐会の費用(第37話、今話)も、国家予算で賄っており、元を辿れば国民からの税金なわけだし。。。

 

 

 

仕方なく、ドーラは苦笑いを浮かべ、アースキン財務相の問いには黙ってうなずくしかなかった。

 

 

 

クリスティアナは怪訝な表情でアースキン財務相に問うた。

 

「アースキン・バーナード伯爵閣下、、、

 

 どういうことでしょうか?

 

 なぜ、財務相である閣下がご存じなのですか?」

 

 

 

クリスティアナは本来は財務省の官僚で、現在は宰相官邸に出向している。

 

だから、アースキン財務相の表情で何かを感じ取ったのだろう。

 

 

 

アースキン財務相は苦笑いを浮かべたまま、煙に巻いた。

 

「クリスティアナ、、、

 

 まあ、晩餐会で女王陛下がお話になるから、

 それまで待て。。。」

 

 

 

ブリトニーとクリスティアナとディーンは怪訝な表情を浮かべたまま、顔を横に傾けた。

 

 

 

 

 

午後6時、宮殿の大広間に通されると、僕はドーラの隣、つまり王族の席に座った。

 

 

 

参加者全員が着席したのをみると、給仕の一人がアン女王に合図を送った。

 

すると、アン女王は立ちあがり、得意満面で参加者全員に語り掛けた。

 

「皆の者、今回の晩餐会の食材と酒は、

 今朝、南西州の州都コアブルッズ市から仕入れてきたものだ。

 

 先日の補正予算で通したオフロードバイクを活用すれば、

 約200km離れたコアブルッズ市の食材を、

 その日のうちに食すことができる。

 

 ありがたく食すが良いぞ!」

 

 

 

ブリトニーとクリスティアナとディーンはドーラと僕の席、つまり王族の席からは離れた席に、それぞれが離れた位置に座っていた。

 

だが、アン女王の言葉を聞いて驚いた彼らは、彼等とは離れた席に座ったアースキン財務相をじっと見た。

 

アースキン財務相は、ブリトニーとクリスティアナとディーンからの視線を気付くと、苦笑いを浮かべ、黙ってうなずいた。

 

 

 

次に彼等は、離れた席に座ったドーラと僕をじっと見た。

 

ドーラと僕は、アースキン財務相と同様に、苦笑いを浮かべ、黙ってうなずくしかなかった。

 

 

 

ブリトニーとクリスティアナとディーンは、僕とドーラ分隊が、昨日コアブルッズ市に向かい、朝、まだ暗いうちに食材と酒を仕入れ、コアブルッズ市から戻ってきたことを察した。

 

 

 

 

 

実際に、参加した上位貴族達は、その日に仕入れた南西州の肉、果物、野菜を使った料理、特産の酒で驚いていた。

 

特に、晩餐会の途中で口直しのデザートとして、高級果物店の果物ゼリーには驚いていた。

 

ま、果物ゼリーをそのままではなく、ガラスの器に盛って、ホイップクリームでデコレーションされていたが。。。

 

 

 

たぶん、南西州に領地を持つ上位貴族なのだろう。

 

彼は驚きの表情でつぶやいた。

 

「まちがいない。。。

 

 このゼリーはコアブルッズ市の高級果物店しか出していない、

 果物ゼリーだ。。。

 

 本当に今朝、コアブルッズ市で仕入れてきたんだ。。。」

 

 

 

 

 

晩餐会の最後のデザートはフルーツパフェとコーヒーだった。

 

フルーツパフェが配膳された時、アン女王は立ち上がり、どや顔で参加者に話しかけた。

 

「このフルーツパフェなるものは、日本から我が国に伝わった。

 

 南西州のカットフルーツと、

 王室のキッチンでしか作ることのできぬアイスクリームと

 ホイップクリームから作られておる。

 

 我がオウゴウヌ王家しか提供は不可能だ。

 

 ありがたく食すが良いぞ。」

 

 

 

このフルーツパフェについても参加者全員驚いていた。

 

 

 

 

 

食事が終わると、参加者全員に土産として、コアブルッズ市の果物店から仕入れた高級果物詰め合わせと、レストランから仕入れたランチボックスが配られた。

 

 

 

土産が配り終わったのを確認すると、再びアン女王は得意満面で、参加者に語り掛けた。

 

「皆の者、分かったであろう。

 

 先日の補正予算でここまでのことが可能なのだ。

 

 この中には南西州に領地を持つ貴族もいるはずだ。

 

 先日の補正予算を執行すれば、

 その恩恵をそなたたちも受けることが可能になるのだ。」

 

 

 

『王族派』の貴族、たとえばソフィア叔母さんのデービス伯爵家や、トーマス・ライト公爵のライト公爵家は、黙ってうなずいた。

 

そして、南西州に領地を持つ貴族達も黙ってうなずいた。

 

だが、ローガン・アサル公爵を始めとする、『反王族強硬派』の若い貴族達は、悔しそうにアン女王を見つめていた。

 

そして、リーヴァイ・キーナン公爵を始めとする、『反王族穏健派』の中高年の貴族達は、冷ややかにアン女王を見つめていた。

 

 

 

アン女王は話を続けた。

 

「断っておくが、これを王家だけが独占するつもりはない。

 

 しばらくは教習があるから、皆にその恩恵を受けるのは数年後になるであろう。

 

 数年後、皆は同じことが可能になる。

 

 今回、それを示すため、

 わざわざ南西州コアブルッズ市に行って、

 夜も明けぬうちに食材と酒を仕入れ、昼過ぎにここ王城まで運んできた。

 

 それは修司殿の協力があってのことだ。

 

 日本の技術を使えば、これだけのことが可能なのだ。」

 

 

 

そう言うとアン女王は僕に笑顔を向けた。

 

「皆の者、今回の晩餐会の食材と酒の仕入れに協力してくれた、

 修司殿に感謝を示すため、拍手を送ろうではないか!」

 

 

 

すると、参加者全員が拍手を送ってくれた。

 

僕は慌てて立ち上がり、「ありがとうございました」と、何度も方向を変えて頭を下げた。

 

 

 

先回の晩餐会と同様、ドーラも立ち上がり、頭を下げていた。

(第37話)

 

 

 

(次話に続く)

次話は2026/7/9 0時に更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ