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第138話 再びコアブルッズ市へ(その4) ー行って、戻ってー

(前話からの続き)

 

 

 

すると、ローレンス曹長はため息をついて、黙ってうなずいた。

 

 

 

その日、つまり木曜日の午後に、ドーラの分隊メンバと僕は練兵場から王城に戻った。

 

そして金曜日の朝6時、王室のキッチンのシェフさんとパティシエさんを連れて、南西州の州都コアブルッズ市に向かった。

 

あ、前もって、王室キッチンのシェフさんには、合計13名分のランチボックスを作ってもらった。

 

コアブルッズ市への向かう途中に昼食として頂いた。

 

王室のキッチンのシェフさん曰く、「まかない」とのことだが、とてもおいしいと、ドーラの分隊メンバには好評だった。

 

 

 

使った自動車は、ワンボックスカーと軽トラタンクローリー1台と軽トラ2台である。

 

護衛にオフロードバイク3台とスクーター1台だ。

 

そして、和泉家の庭から王城の庭まで、土産の肉や魚を運ぶのに使った、軽トラ保冷車1台を使った。

 

 

 

ワンボックスカーには僕が運転し、ドーラが助手席、後部座席にシェフとパティシエさんを乗せた。

 

いつもはコックコートを着ているシェフもパティシエさんも、今日ばかりは背広姿だ。

 

僕は見慣れないので違和感があるが、王城に出勤してくるときはシェフもパティシエさんも背広姿らしい。

 

 

 

ドーラは助手席に座り、地図を見ながら、ハンディの無線通信機を介して、分隊メンバに適宜しながら、コアブルッズ市に向かった。

 

 

 

軽トラ保冷車はヒュー少尉が運転し、軽トラタンクローリーはジャクソン少尉が運転した。

 

軽トラ2台のうち、1台はケント准尉が運転した。

 

 

 

残る軽トラ1台は、フレッド副長またはローレンス曹長が運転した。

 

フレッド副長が高速モードでドローンを飛ばして、一行の前方を監視しているとき、ローレンス曹長はオフロードバイクで護衛せず、軽トラを運転した。

 

もちろん、フレッド副長がドローンを飛ばしているときは、ルイス少尉もパラグライダーで空を飛び、フレッド副長と共に一行の前方を監視していた。

 

高速モードを使わないときは、軽トラの助手席にルイス少尉は座った。

 

 

 

エイミー少尉、ローレンス曹長、ベリンダ上等兵、ケイシー上等兵は4人のうち2人は、オフロードバイクとスクーターを使って一行を護衛した。

 

残る2人は軽トラ保冷車か軽トラタンクローリーの助手席に座った。

 

当然、護衛と休憩を交代しながら、南西州の州都コアブルッズ市に向かった。

 

 

 

一度の走行を大体50kmを目安に、3度の休憩をはさみ、コアブルッズ市に着いたのは午後2時前だった。

 

コアブルッズ市に着いた時、王室キッチンのシェフさんとパティシエさんは顔を見合わせ、あきれてつぶやいた。

 

「自動車を使うと、

 首都レワヅワと南西州の州都コアブルッズ市はこんなに近いんだ。。。」

 

 

 

 

 

コアブルッズ市に着くと、1週間前に、土産を買った高級果物店と、食事をしたレストランに挨拶に行った。

(第122話)

 

 

 

応対した高級果物店のオーナーと、レストランのオーナーシェフは笑顔で返した。

 

「手紙で予約を伺っております。

 

 明日朝、一緒に青果市場へ行きましょう。」

 

 

 

実は、今回の上位貴族との晩餐会で用いる素材の仕入れは、高級果物店とレストランを介して行うことにした。

 

コアブルッズ市の青果市場は登録された業者しか仕入れができない。

 

王室だからって、いきなりコアブルッズ市の青果市場で仕入れができる訳ではないからだ。

 

 

 

仕入れ値に対して、少しであるが利益を乗せて、王室から高級果物店とレストランに代金を払うことになっている。

 

高級果物店とレストランにも、多少なりとも利益のある話になっている。

 

 

 

また、高級果物店から果物の詰め合わせとフルーツゼリーを、レストランからはランチボックスを、上位貴族への土産として渡すことになっており、それも予約済だ。

 

そう、高級果物店やレストランにとっても、悪い話ではないのだ。

 

 

 

 

 

高級果物店とレストランへの挨拶が済むと、僕達一行はコアブルッズ市の近郊のエッキシフェーデ市に向かった。

 

実は前日の宿泊先が問題でね。

 

僕とドーラが安全に宿泊できるところを確保しなきゃいけなかった。

 

 

 

まさか、王室による上位貴族への晩餐会のためだけに、再び天文台に行って、そこで宿泊するわけにはいかない。

 

そもそも、天文台は警察消防省と教育省の管轄だ。

 

再びリネット警察消防相に頼むわけにはいかない。

 

 

 

そこで、南西州軍団司令部がエッキシフェーデ市にあることから、南西州軍団司令部にレオ近衛師団長が頼んだんだ。

 

エッキシフェーデ市はコアブルッズ市から20kmほど離れた場所にある。

 

 

 

 

 

ああ、オウゴウヌ王国は首都レワヅワを中心とした中央州と、北東州、北西州、南東州、南西州の合計5つの州から構成される。

 

オウゴウヌ王国軍は、それぞれの州に軍団を置いている。

 

各軍団には、4個師団、約4万人の兵士が配備されている。

 

 

 

ちなみに、近衛師団は中央州の軍管区隷下であるが、レオ近衛師団長は中央州の軍団長も兼ねている

 

つまり、レオ近衛師団長は近衛師団の約1万人の兵士だけでなく、その気になれば、中央州の他の3個師団の約3万人の兵士も動かすことができる。

 

 

 

ただし、近衛師団は平時においても女王の直轄であるが、中央州の他の3個師団は女王の直轄ではない。

 

すなわち、突然の災害等を除いて、フランクリン軍事相が許可し、クラリス参謀総長の指示がなければ、レオ近衛師団長は他の3個師団を動かすことはできない。

 

そう言う意味でも、レオ近衛師団長は政治上、微妙な立場にいる。

(第93話)

 

 

 

 

 

話を戻すと、南西州にも軍団が置かれ、4個師団、約4万人の兵士が配備されている。

その南西州の軍団司令部がエッキシフェーデ市にあるというわけだ。

 

この日のドーラと僕の宿泊先として、レオ近衛師団長が頼んで、南西州軍団司令部が用意してくれたという訳だ。

 

 

 

午後3時半頃、南西州軍団司令部に到着すると、ドーラはワンボックスカーから降り、入口に立っていた将校に、直立し告げた。

 

「ドーラ中尉以下、

 近衛師団、騎兵連隊隷下分隊メンバ10名、

 および随行3名到着しました!」

 

 

 

入口に立っていた将校は前もって聞いていたのだろう。

 

すぐに建物内部に走って行くと、一人の将校が走ってきた。

 

その将校は笑顔で話しかけた。

 

後に分かったことだが、彼は南西州軍団長の副官だった。

 

「ようこそ、ドーラ・オウゴウヌ中尉。

 

 南西州軍団長閣下から、話は伺っております。

 

 自動車はそちらの倉庫に停めてください。」

 

 

 

そう言うと、彼は倉庫を指さした。

 

 

 

僕達は自動車をそこで停めた。

 

その将校は自動車の駐車を見届けると、ある建物を指さし、僕らをその建物に誘導した。

 

その建物の入口に着くと、彼は笑顔で告げた。

 

「ここが官舎です。

 

 今日はここで宿泊してください。

 

 夕食はこの官舎に併設されている食堂でお願いします。

 

 官舎の受付には話が通してありますので、

 鍵と食事の整理券を受け取っておください。」

 

 

 

そう言うと、彼はどこかに歩いて行った。

 

 

 

恐る恐る、その建物に中に入ると、入口に受付の将校が座っていた。

 

その将校の前で、ドーラは直立し、再び告げた。

 

「ドーラ中尉以下、

 近衛師団、騎兵連隊隷下分隊メンバ10名、

 および随行3名到着しました!」

 

 

 

すると受付の将校は微笑み答えた。

 

「ようこそ、ドーラ中尉。

 

 南西州軍団長の副官から話は聞いております。」

 

 

 

そう言うと、食事の整理券13枚と、個室の鍵13個をドーラに渡した。

 

受付の将校は微笑みながら、話を続けた。

 

「今日の夕食は、お渡しした整理券を使ってください。

 

 そして鍵には部屋の番号が記載されています。

 

 その部屋をお使いください。」

 

 

 

ドーラは戸惑いながら、分隊メンバとシェフとパティシエと僕に、食事の整理券と個室の鍵を渡した。

 

「各自、着替えなどの荷物を、部屋に運べ。

 

 そして、今日は早めに夕食を取り、就寝せよ。

 

 明日は午前2時に起きねばならぬ。」

 

 

 

そう、明日は午後2時には王城に帰らなくてはならない。

 

それまでにコアブルッズ市の青果市場で肉や野菜や果物を仕入れる必要がある。

 

新鮮な肉や野菜や果物を入手する上でも、上位貴族との晩餐会の調理の時間を確保する上でも、明日は午前2時に起床する必要があった。

 

 

 

実際、その日は着替えなどの軽い荷物を部屋に運ぶと、すぐに官舎内の食堂に行き、夕食をとった。

 

味の方は、、、王城内の官舎の食堂よりは下だが、練兵場の官舎の食堂より上と言ったところ。

 

要するに、まあまあだ。

 

 

 

夕食をとると、シャワーを浴びて、午後8時には寝た。

 

旅の疲れからか、すぐに眠りについた。

 

 

 

 

 

深夜午前2時に起床すると、眠い目をこすりながら、官舎の売店で朝食を買った。

 

そしてすぐに南西州軍団司令部を発し、コアブルッズ市の青果市場へ自動車で向かった。

 

もちろん、ワンボックスカーと軽トラタンクローリー1台と軽トラ保冷車1台と軽トラ2台である。

 

護衛にオフロードバイク3台とスクーター1台だ。

 

この時は街中を走るのでケイシー上等兵のスクーターと、ローレンス曹長のオフロードバイクで護衛してもらい、エイミー少尉とベリンダ上等兵のオフロードバイクは軽トラの荷台に乗せて、二人には助手席に座ってもらった。

 

 

 

なんだかんだで、午前3時にコアブルッズ市の青果市場につき、高級果物店のオーナーと、レストランのオーナーシェフと待ち合わせた。

 

 

 

王室のキッチンのシェフとパティシエは、レストランのオーナーシェフと高級果物店のオーナーと話し合いながら、青果市場を回り、上位貴族との晩餐会のメニューを構想したようだ。

 

30分ほど青果市場を回ると、王室のキッチンのシェフとパティシエは、レストランのオーナーシェフと高級果物店のオーナーと一緒に、いくつかの店に足を運んだ。

 

そこで、肉と野菜と果物を大量に購入した。

 

購入した肉と野菜と果物は、ドーラの分隊メンバが保冷軽トラに詰め込んだ。

 

そして午前4時ごろ、レストランのオーナーシェフと、高級果物店のオーナーを軽トラの助手席乗せて、青果市場を発した。

 

 

 

次に、コアブルッズ市内の高級果物店とレストランに移動した。

 

そして高級果物店で、果物ゼリーを晩餐会の参加者分受け取り、保冷軽トラに詰め込んだ。

 

加えてレストランで、ランチボックスを晩餐会の参加者分プラス13名分を、ワンボックスカーに詰め込んだ。

 

このプラス13名分は一行の昼食だ。もちろん、アン女王の了解は得ている。

 

もちろん、果物ゼリーとランチボックスの代金は支払い済だ。

 

 

 

コアブルッズ市を発し、首都レワヅワへ向かったのは、午前5時頃だった。

 

 

 

途中3回の休憩をはさみ、その内の2回は朝食と昼食だったが、適宜高速モードを交えながら、一路、首都レワヅワを目指した。

 

午後1時半過ぎには王城に着いた。

 

後部座席に座っていた、王室のキッチンのシェフとパティシエがあきれていたことは言うまでもない。

 

 

 

(次話に続く)

次話は2026/7/7 0時に更新予定です。

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