第134話 クラリス参謀総長の苦悩(その6) ーやっぱり、似たもの母娘ー
(前話からの続き)
ドーラは地図のある一点を指さした。
「たぶん、ルイスはこのブロックにいるな。。。」
僕はドーラが指し示すブロックを確認すると、フレッド副長に指示を送った。
「フレッドさん、
ドーラさんが指さすブロックへドローンを飛ばしてください。
ドローンには照明と赤外線カメラが付いてますから、
夜間でも見えるはずです。」
フレッド副長は「了解」と言うと、ドローンを飛ばした。
僕はハンディの無線通信機を通じて、B班のエイミー少尉とベリンダ上等兵に指示を送った。
「エイミーさん、ベリンダさん、
上空へ向けて、懐中電灯を回してくれませんか?
フレッドさん、
それを目印に、目標地点までドローンを飛ばして。」
ハンディ無線通信機を通じて、B班のエイミー少尉とベリンダ上等兵の声が聞こえた。
「「了解」」
しばらくすると、フレッド副長がドーラに「エイミーとベリンダを確認」と述べた。
そして、更にしばらくすると、フレッド副長がドーラに報告した。
「あ! ルイス確認。
高い木に引っかかってます。」
僕はフレッド副長に指示を送った。
「フレッドさん、
ドローンをその位置でホバリングして。
なるべく高度を高く。」
フレッド副長は「了解」と答えた。
僕はハンディの無線通信機を通じて、A班のヒュー少尉、B班のエイミー少尉に指示を送った。
「ヒューさん、エイミーさん。
ドローンが見えますか?
ドローンの照明が点いているから、わかると思いますが。。。」
すると、ハンディの無線通信機からヒュー少尉の声が聞こえた。
「ドローンの飛行を確認。」
エイミー少尉の声もハンディの無線通信機から聞こえた。
「見えまーす。」
僕はハンディの無線通信機を通じて、A班のヒュー少尉、B班のエイミー少尉に指示を送った。
「そのドローンの真下にルイスさんがいます。
近づいてもらえますか?」
すると、A班のヒュー少尉、B班のエイミー少尉から「了解」との声が、ハンディの無線通信機から聞こえた。
しばらくすると、ハンディの無線通信機からエイミー少尉の声が聞こえた。
「ルイス発見!」
次にハンディの無線通信機を通じて、ヒュー少尉の声が聞こえた。
「これからルイスを救助します。」
ドーラがハンディの無線通信機を介して、エイミー少尉とヒュー少尉に話しかけた。
「ルイスの救助、よろしく頼む。」
数分後、ハンディの無線通信機を通じて、エイミー少尉の声が聞こえた。
「ルイス救助完了!」
僕はハンディの無線通信を通じて、ヒュー少尉とエイミー少尉に指示を送った。
「それじゃあ、、、
ルイスさんをローレンスさんの馬に乗せて、
帰ってきてください。
ここ、官舎からビープ音を鳴らします。
これで官舎の方向が、そちらからも分かるはずです。
近付けば、官舎の灯りが見えるでしょうから、
迷うことはないと思います。」
ハンディの無線通信機を介して、ヒュー少尉の声が聞こえた。
「了解」
続いて、ジャクソン少尉にハンディの無線通信機を介して指示を送った。
「ジャクソンさんも、
指向性アンテナからこちらの方向が分かるはずです。
その方向を辿って、戻ってきてください。」
すると、ジャクソン少尉の声が、ハンディの無線通信機を介して聞こえた。
「了解」
30分程度で全員が戻ってきた。
ドーラは半ばホッとした表情で、半ばあきれた表情で、ルイス少尉に話しかけた。
「もう勝手に夜間飛行するんじゃないぞ。」
ルイス少尉は神妙な表情で答えた。
「はい。
でも、いつ戦争があるかわかりません。
夜間訓練は続けるべきだと思います。」
父親であるダグ騎兵連隊長から、ワスイ帝国の脅威が迫っていることを聞かされていたエイミー少尉も、真剣な表情で同意した。
(第114話)
「私もそう思います。」
やはり父親であるレオ近衛師団長から、ワスイ帝国の脅威が迫っていることを聞かされていたドーラも、ため息をつくとうなずいた。
(第97話)
「そうだな。。。
今後、夜間訓練を行おう。。。」
ルイス少尉はため息をついて、両掌を上空へかざし、両腕を伸ばして語った。
「でも、夜間飛行して改めて思いました。
夜間に空を飛ぶのがこんなに難しいのか?って。。。
暗視用の赤外線カメラがあっても150mくらいしか見えないし、、、
今どこに飛んでいるのかさっぱりわからない。
高度もつかめない。。。
挙句の果てに木に引っかかってしまいました。。。」
(第133話)
ルイス少尉は人づてに夜間飛行が難しいことは知っていた。
(第48話)
だが、実際に自分が夜間飛行してみて、その難しさを実感したのだ。
話で聞いていたことと、実際に経験することでは大きく違うのだ。
フレッド副長はルイス少尉の意見にうなずいた。
「そうですね。。。
暗闇になると、方向感覚をつかむのが難しい。。。
ドローンが東西南北を示してくれるし、
高度も示してくれるけど、、、
難しい。。。」
実際、ドローンでルイス少尉の場所に行くことはできたが、官舎まで飛行して戻ってくることができなかった。
そこで、ルイス少尉を救助した後、そこでドローンを降ろして、エイミー少尉に回収してもらったのだ。
エイミー少尉もため息交じりに、視線を逸らして述べた。
「暗闇で障害物を避けながら進んでいると、、、
方向感覚狂ってくるし。。。」
(第133話)
ヒュー少尉もため息をついて、うなずいた。
「そうですね。。。」
ドーラは分隊メンバを見渡し、苦笑いを浮かべて、話しかけた。
「いろいろ工夫するしかあるまい。」
ドーラは僕に顔を向けると、苦笑いを浮かべたまま、話しかけた。
「しかし、、、
夜間戦闘時のジャクソン、ケント、ケイシーの移動手段を
考えねばな。。。」
僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。
ドーラは苦笑いを浮かべたまま、話を続けた。
「今回は良かったが、、、
もし、ルイスが大怪我でもしていたら、
ケイシーがすぐに駆け付ける必要があった。。。
もし夜間戦闘となった時に、
ジャクソンとケントがいなければ魔法が使えぬ。。。
ジャクソンもケントもケイシーも騎乗できぬし、
オフロードバイクにも乗れぬ。。。
ケイシーはスクーターに乗れるが、
スクーターだと非整地走行に限界がある。。。」
その通りだ。
夜間戦闘となったとき、ジャクソン少尉、ケント准尉、ケイシー上等兵の移動手段は徒歩しかない。
それでは、機動力にいろいろ制約が生じる。
僕はため息をついて、ドーラに答えた。
「今回は簡易的な指向性アンテナを自作しましたが、
ちゃんとした指向性アンテナを作ってもらうよう、
ヒラリー後方支援連隊長に頼んでみます。
そして、オフロードバイクに装着可能なサイドカーも作ってもらうよう、
ヒラリー後方支援連隊長に頼んでみます。
ただし、サイドカーを装着することで、
非整地走行機能が少し低下するかもしれませんが。。。」
ドーラは苦笑いを浮かべたまま、ため息をついて、答えた。
「頼む。」
僕はその夜、ヒラリー後方支援連隊長に指向性アンテナとサイドカーを製作を手紙で依頼した。
次の日、ヒラリー後方支援連隊長は手紙を受け取った。
ドーラは翌日、日報でルイス少尉の救助を報告した。
もちろん、夜間戦闘訓練の必要であると記載の上でだ。
その日報は、第63話で述べたように、エイミー少尉が朝、オフロードバイクに乗って、王城にまで届けた。
日報そのものは王城にいた小隊長に提出されたが、その内容に驚いた小隊長が、その日のうちにダグ騎兵連隊長にまで日報を上げたらしい。
戸惑ったヒラリー後方支援連隊長とダグ騎兵連隊長は二人とも、クラリス参謀総長の個室を訪ね、僕からの手紙と、ドーラの日報をクラリス参謀総長に見せた。
聞くところによると、クラリス参謀総長は苦笑いを浮かべ、つぶやいたそうだ。
「あの『腹黒娘』(=ルイス少尉)、、、
私と同じ考えとはね。。。。」
後日、聞くところによると、クラリス参謀総長はドーラの分隊のために、夜間戦闘訓練用の教官を練兵場に派遣させたそうだ。
こうして、ドーラの分隊は夜間戦闘訓練を本格化させていく。
次話は2026/6/29 0時に更新予定です。




