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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第8章 天文台にて、そして新たな出会い
123/137

第123話 南西州都コアブルッズ市からの土産(その4) ードーラの側面支援ー

(前話からの続き)

 

 

 

そして、ようやく、一路、首都レワヅワに向かった。

 

午前9時半ごろだったと思う。

 

あ、もう着替えは不要と言うことで、近衛兵の軍服で首都レワヅワに向かった。

 

 

 

 

 

行きと同様、護衛のオフロードバイクやスクーターを運転する、エイミー少尉、ローレンス軍曹、ベリンダ上等兵、ケイシー上等兵の疲労を配慮し、警護を交代しながら、3回の休憩をはさんで、首都レワヅワを目指した。

 

 

 

その3回の休憩のうち、1回を昼食として、コアブルッズ市の王室御用達のレストランから購入したランチボックスを食した。

(第122話)

 

13個のうち、3個は僕とカドワダドル教授とクラレンス君の分だ。

 

王室御用達なのでね。ランチボックスと言っても、かなり高額だ。

 

カドワダドル教授とクラレンス君は、あきれてドーラを見ながら、食していた。

 

 

 

 

 

一方、ドーラがコアブルッズ市を発つとき、僕に語った。

 

「今日は日曜日だ。

 どうしても夕方、午後6時には王城の宮殿前につきたい。急いでくれ。」

 

 

 

僕は黙ってうなずいた。

 

なぜなら、この理由は僕は良く知っていたからだ。

 

それについては後で説明しようと思う。

 

 

 

なので、一部、高速モードを使用し、なるべく早く、首都レワヅワに戻ることにした。

(第102話)

 

つまり、パラグライダーに乗ったルイス少尉に一行の2km先を監視してもらい、ドローンを操作しているフレッド副長に一行の1km先を監視してもらい、最大70km/hで一路首都レワヅワを目指した。

 

南西州の州都コアブルッズ市と首都レワヅワの道のりの、半分くらいをこの高速モードで帰った。。。

 

 

 

ただし、、、道のり全てを高速モードで帰るのは無理だった。

 

1つにはドローンが1回で45分くらいしか飛べない。

 

ドローンは何台も持ってきているから、その都度、交換すればよいが、ドローンを操作するフレッド副長の疲労を配慮した。

 

 

 

また、パラグライダーを操作するルイス少尉もこう言っていた。

 

「高速モードでの飛行は2時間が限度ね。

 

 ワンボックスカーや軽トラの進路上に、

 障害物がないかと上空から監視していると、、、

 

 精神的に疲れてくるの。。。」

 

 

 

そう、フレッド副長とルイス少尉の休憩も考慮しなくてはならなかった。

 

 

 

 

 

それでも何とか首都レワヅワにつき、王城内の宮殿のそばに、夕方の午後6時直前に着いた。

 

後部座席に乗っていたカドワダドル教授は、同じく後部座席に乗っていたクラレンス君に、あきれて語り掛けた。

 

「コアブルッズ市と首都レワヅワは約200km、、、

 

 それを朝、午前9時に発して、夕方、午後6時に着くなんて。。。

 

 通常、馬車じゃ4日間かかるぞ。。。」

 

 

 

クラレンス君もあきれて、黙ってうなずいた。

 

 

 

そんな二人はスルーして、ドーラと分隊メンバと僕は、果物ゼリー100個が入った段ボール数箱(第122話)と、高級果物の詰め合わせ14箱(第122話)を、王室のキッチンに運び込んだ。

 

 

 

ドーラはキッチンに執事を呼んだ。

 

「高級果物の詰め合わせは14箱あるが、、、

 

 その内、6箱は

  フランクリン・クーパー軍事相閣下、

  リネット・ホーリス警察消防相閣下、

  ジョシュア・アクトン教育相閣下

 の大臣3人、

  

 そして、

  キース・ランバート軍事次官、

  コンラッド・カニング警察消防次官、

  アルバート・ネビル教育次官

 の次官3人に、

 

 届けてほしいのだ。

 

 今回の天文台行きに大変世話になった礼として。」

 

 

 

執事は「かしこまりました」と答えた。

 

 

 

ドーラは更に執事に語り掛けた。

  

「加えて、更に4箱は、


  ダグ・ハミルトン騎兵連隊長閣下、

  ウオーレン・ウッドハウス魔法兵連隊長閣下、

  ヒラリー・エイリー後方支援連隊長閣下、

  クラリス・イング参謀総長閣下

  

 の4人に、日頃の感謝として届けてほしいのだ。」

 

 

 

執事は「かしこまりました」と答えた。

 

 

 

ドーラは執事に語り掛けた。

 

「果物ゼリー100個は、

 宮殿スタッフに対する日頃の感謝として配ってはもらえまいか?」

 

 

 

執事は慌てる。「え?」

 

 

 

だが、ドーラはそんな執事をスルーして、話を続けた。

 

「宮殿スタッフに配った後の果物ゼリーの残りと、 

 そして高級果物の詰め合わせの残りの4箱は、

 母上(=アン女王)に任せる。

 

 急ぎ、母上に伝えてもらえぬか?

 

 我は今回の報告のため、

 近衛師団司令部に戻らねばならぬ。」

 

 

 

執事は「かしこまりました」と頭を下げると、宮殿のどこかに走って行った。

 

 

 

 

 

次に王城内の軍の倉庫に車を停め、果物ゼリー300個が入った段ボール数箱(第122話)を、フレッド副長、ヒュー少尉、ジャクソン少尉、ルイス少尉、エイミー少尉、ケント准尉が騎兵連隊のオフィスへ運んで行った。

 

そこで待機していた騎兵連隊のスタッフ一人一人に配る予定だ。

 

つまり、尉官以上に土産を配らせた。

 

 

 

ただし、もし、果物ゼリーが残ったら、フレッド副長とエイミー少尉が、ダグ騎兵連隊長と相談し、どうするか決めてもらうことにした。

 

 

 

 

 

僕とドーラはワンボックスカーに乗って、後部座席に座っていたカドワダドル教授をクラレンス君をオウゴウヌ大学に届けた。

 

またローレンス軍曹とベリンダ上等兵はオフロードバイクに乗って、ケイシー上等兵はスクーターに乗って、警護してもらった。

 

 

 

大学に着くと、僕とドーラとローレンス軍曹とベリンダ上等兵とケイシー上等兵はカドワダドル教授とクラレンス君の荷物を降ろした。

 

 

 

また、果物ゼリー50個の入った段ボール箱(第122話)と、高級果物の詰め合わせ1箱(第122話)を、研究室と教授の個室に持って行った。

 

果物ゼリーは研究室の学生の土産だ。

 

クラレンス君に配ってもらった。

 

残りはカドワダドル教授に任せた。

 

 

 

高級果物の詰め合わせ1箱は、今回の天文台行きにカドワダドル教授が、天文台台長・デニス教授に手紙を書いてくれたことの礼だ。

(第112話)

 

カドワダドル教授は当初戸惑っていたが、笑顔で高級果物の詰め合わせ1箱と、果物ゼリー数個を受け取った。

 

「家族への土産とするよ。」

 

 

 

 

 

僕とドーラとローレンス軍曹とベリンダ上等兵とケイシー上等兵が王城に戻ると、フレッド副長、ヒュー少尉、ジャクソン少尉、ルイス少尉、エイミー少尉、ケント准尉が荷物の揚げ降ろして行っていた。

 

 

 

荷物の揚げ降ろしが済むとドーラは1週間分の日報を、直接の上司である小隊長に提出した。

 

日報を提出した際、小隊長から「果物ゼリーありがとう」と声を掛けられたそうだ。

 

 

 

日報を提出すると、午後8時を過ぎていた。

 

僕とドーラは一緒に王城の食堂で夕食をとった。

 

 

 

夕食の後、僕とドーラは互いの官舎の個室に戻った。

 

僕はシャワーを浴び、午後10時に、ドーラと共に宮殿に移った。

 

そう、午後10時以降は、ドーラは軍を公休となり、第一王女に戻った。

 

 

 

 

 

午後10時半過ぎだったと思う。

 

僕の個室にノックの音がし、執事が入ってきた。

 

執事は僕に語り掛けた。

 

「修司殿、ドーラ殿下と共に女王陛下がお呼びです。」

 

 

 

個室を出ると、すでにドーラが待っていた。

 

ドーラは軍服からスーツ姿に着替えていた。

 

 

 

ドーラと共にアン女王の個室に向かった。

 

個室のドアをノックし、僕とドーラはアン女王の個室に入った。

 

 

 

そこにはアン女王が椅子に座り、レオ近衛師団長、シャーロット第二王女、オリビア第三王女が傍らに立って待っていた。

 

 

 

アン女王は、僕とドーラの入室を見ると、微笑み、語り掛けた。

 

「土産は上位貴族の家族との夕食で提供した。

 

 貴族は驚いていたぞ。。。

 

  『朝にコアブルッズ市で購入した果物が、

   当日に提供されるなんて』

 

 とな。。。

 

 王家の力を見せつけてやったわ。。。」

 

 

 

シャーロット第二王女も微笑み、僕とドーラに語り掛けた。

 

「宮殿スタッフに配布した100個の果物ゼリーは、

 かなり余りました。

 

 その果物ゼリーの一部も、その夕食でデザートとして頂きました。

 

 あの果物ゼリーを、本日、数年ぶりに食せるとは思いもしませんでした。

 

 当然、貴族にも提供し、彼らは驚いてました。

 

 王家の権威を示すことができました。」

 

 

 

補足すると、オウゴウヌ王家の週末は、視察や慰問や催事に忙しい。

(第82話)

 

 

 

視察や慰問や催事に出掛けても、大抵の場合は、夕食前には帰ってくる。

 

だが、決して、王族で和気あいあいとした、一家団欒の夕食の機会を得るためではない。

(第82話)

 

 

 

週末は、上位貴族の一家族と夕食を共に食すことが多い。

 

ま、公務みたいなものだ。

 

 

 

ああ、貴族との晩餐会(第37話)は、月に一回で上位貴族を一斉に集めて行う。

 

ただし、上位貴族の当主とその妻とその跡取りだけだ。

 

 

 

それ以外の週末の夕食は、上位貴族を一人一人、宮殿に呼んで夕食を共にするんだ。

 

ただし、上位貴族の家族全員、つまり跡取り以外の子供や、すでに引退している先代を含めて全員を宮殿に呼び、夕食を共に食すのだ。

 

 

 

上位貴族には僕の存在は公開している。

 

だから、僕も毎週末の夕食は、この食事会に参加している。

 

 

 

レオ近衛師団長は本当は陽気でおしゃべりな人だ(第34話)。

 

でも、貴族との晩餐会(第37話)と同様、この食事会でもあまりしゃべらない。

 

第93話で述べたように、近衛師団長は政治上、極めて微妙な立場にいるからだ。

 

 

 

で、レオ近衛師団長だけでなく、ドーラも、オリビア第三王女も、当然僕もあまりしゃべらない。

 

 

 

しゃべるのは、専ら、アン女王とシャーロット第二王女だけだ。

 

 

 

ま、『王族派』の上位貴族(第103話)の家族との夕食会になると、ドーラやオリビア第三王女は結構しゃべる。

 

 

 

特に、ソフィア叔母さんのデービス公爵家とか、トーマス公爵のライト公爵家との夕食会は、まあ親戚だから、、、

 

ドーラとオリビア第三王女は、ときに笑いながら、よくしゃべる。

 

 

 

レオ近衛師団長も、彼の素顔、つまり陽気でおしゃべりな部分をさらけ出す。

 

 

 

 

 

でも『反王族派』の上位貴族の家族の夕食会では、ドーラも、オリビア第三王女は一切しゃべらない。

 

当然、レオ近衛師団長も微笑むだけで一切しゃべらない。

 

それどころか、僕には、ドーラから事前に「口を開くな」と固く言われている。

 

僕の不注意な発言が、元老院でやり玉になることを恐れてのことだ。

 

 

 

 

 

そう、『週末の夕食は、オウゴウヌ王家にとって、政治の一部』なんだ。

 

アン女王は女王として、シャーロット第二王女は王太子として、夕食会にて、上位貴族と政治上の駆け引きを繰り広げているのだ。

 

 

 

当然、僕が立ちいってよい場ではない。

 

 

 

 

 

南西州の州都コアブルッズ市から、首都レワヅワへの帰り道、ドーラは「どうしても夕方、午後6時には王城の宮殿前につきたい。急いでくれ。」と言ったのは、土産をこの夕食会に間に合わせるためだったのだ。

 

ドーラは週末の夕食の重要性を分かっていた。

 

ドーラは南西州の新鮮な果物を届けることによって、アン女王とシャーロット第二王女への側面支援をしたのだ。

 

 

 

アン女王とシャーロット第二王女は、それを理解し、ドーラに感謝したというわけだ。

 

 

 


次話は2026/6/9 0時に更新予定です。

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