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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第8章 天文台にて、そして新たな出会い
118/137

第118話 違和感の輪郭

(前話からの続き)

 

 

 

え? 肝心の天文台の成果はどうしたって?

 

 

 

(ごまかし笑い)ははは。。。

 

 

 

実はうまくいかなかったんだ。。。

 

 

 

この星は鉄があまり産出されない。

(第26話)

 

硝石もあまり取れない。

(第20話)

 

その理由は、この星の太陽のスペクトルから見ると、大体の理由は推測できる。

(第31話)

 

 

 

この星の太陽だけでなく、この星の近くの恒星も、この星の太陽のスペクトルと同じ傾向を示している。

(第56話)

 

 

 

そこから、考えられる一つの仮説として、この星は銀河系の端にあるのではないかと考えたのだ。

 

一般に銀河の中心から離れるほど、鉄は減るものだからだ。

 

 

 

 

 

そこで、ここ、天文台に来て、この星の銀河の近くの球状星団を調べることにしたのだ。

(第42話、第56話)

 

 

 

具体的には球状星団の立体的配置を調べることにしたのだ。

 

これでこの星と、銀河中心からのおおよその距離がわかるからだ。

 

 

 

だが、天文台の望遠鏡で調べ始めたばかりで、結論は出せないが、予想外のことが起きた。

 

球状星団の見え方から言うと、この星は太陽系より、はるかに銀河の中心に近い位置にあるように見えるのだ。

 

 

 

もっとも、球状星団の立体的配置はそう簡単にわかるものではない。

 

なんども、ここ、天文台に来て、観測してようやくわかるものだ。

 

よって、観測を始めた今の段階で結論は出せない。

 

 

 

何度も言うが、


 『単に【球状星団の見え方】だけで言えば、

  この星は太陽系より銀河の中心に近い位置にあるように見える』


だけだ。

 

 

 

でも、僕は思わずつぶやいてしまったんだ。

 

「ここ、天の川銀河じゃないかも。。。」

 

 

 

そう、このオウゴウヌ王国のある星は、天の川銀河になく、別の銀河にある可能性が浮上したのだ。

 

しかも、この別の銀河自体に、鉄があまりない可能性が浮上したのだ。

 

 

 

だって、このオウゴウヌ王国のある星の太陽だけでなく、近くの恒星もスペクトル解析では同じ傾向にある。

(第56話)


つまり、近くの恒星も太陽より銀河中心に近い位置にあり、あまり鉄がないってことだ。


となると、この星の銀河自体に、鉄があまりないと思われたのだ。 

 



すると、「どうしたんだい」と言う声が聞こえた。

 

声の方向に振り向くと、天文台副台長のイアン・ノールズ准教授が僕をのぞき込んでいた。

 

 

 

ああ、イアン・ノールズ准教授は、神はブロンドの長髪で天然パーマ、瞳は青く、肌は白く、身長は190cm前後の痩せ身の男性だ。

 

 

 

僕は慌ててごまかした。

 

「なかなか計測が上手くいかなくって。。。」

 

 

 

実際、天文台の1.5m口径の望遠鏡の操作にてこずっていたんだ。

 

 

 

クラレンス君が僕の正体を見破ったように(第61話)、望遠鏡の自動追尾機能の精度が、日本から持ち込んだホビー用望遠鏡より低いんだ。

 

しかも、望遠鏡の映像はコンピュータに映しだされず、写真乾板なんだ。

 

 

 

実は写真乾板なんて使ったことがない。

 

 

 

でも、クラレンス君が僕の正体を見破ったので(第61話)、嘘を言った。

 

「我が国には天文台がなく、憧れてました。。。

 

 でも望遠鏡は初めて使うので。。。

 

 ははは。。。」

 

 

 

僕の見え透いた嘘に、カドワダドル教授とクラレンス君は生暖かい目で僕を見ていた。。。

 

(ごまかし笑い)ははは。。。

 

 

 

 

 

 

だが、天文台副会長のイアン・ノールズ准教授には、それでごまかせたようだ。

 

彼は誇らしげに僕に語り掛けた。

 

「そうかい!

 

 約10年前に、望遠鏡の口径が1.5mになり、

 飛躍的に遠くが見えるようになったんだ!」

 

 

 

そう言うと、彼はキャビネットから何枚かの写真乾板を取り出し、僕に見せた。

 

「ほら!

 

 銀河がこんなにキレイに映るようになったんだ。」

 

 

 

そして、彼は更にキャビネットから一枚の紙を取り出し、僕に見せた。

 

それにはあるグラフが示されていた。

 

彼は誇らしげに語った。

 

「望遠鏡の口径が1.5mになって、

 より遠くの銀河の距離と、後退速度の計測が可能になったんだ!

 

 ほら、銀河が遠ざかるにつれ、後退速度が増しているだろ?

 

 日本からの専門書に書かれていたことは本当だったんだ!

 

 宇宙の膨張は本当だったんだ!」

 

 

 

僕はグラフを見て、思わず、「ばかな!」とつぶやいた。

 

あまりにも『分布がきれいすぎる』んだ。

 

 

 

1.5m口径程度の望遠鏡で距離や後退速度を計測できるのは、比較的近傍の銀河に限られる。

 

約100年前、人類は宇宙膨張を発見した。

 

その発見には2.5m口径の望遠鏡が出現したことも貢献した。

 

1.5m口径の望遠鏡より、2.5m口径の望遠鏡の方が、より遠くの銀河を観測できるからだ。

 

 

 

もちろん、近傍の銀河だけでも、1.5m口径程度の望遠鏡でも、宇宙膨張を捉えることは不可能ではない。

 

 

 

でも、近傍の銀河は後退速度がばらつく。

 

なぜかというと、局所銀河群や超銀河団への落ち込みのため、局所的な動きが邪魔をするんだ。

 

 

 

だから、分布はもっと汚くなるはずなんだ。

 

 

 

だが、グラフでは、確かに距離と後退速度の分布は宇宙膨張をはっきりと示していた。

 

しかも、『あまりにキレイな分布』で。。。

 

 

 

このことは、ここが天の川銀河でない可能性を、益々高めた。。。

 

 

 

だが、天の川銀河でないとすると、この星の銀河はどこに位置しているんだ? 

 

先ほど言ったように、約100年前、人類は宇宙膨張を発見した。


これは天の川銀河が偶然、宇宙膨張を発見しやすい場所、ローカルボイドの縁にいることも一因としてある。


そんな天の川銀河より、この銀河では距離と後退速度の分布が美しいのだ。


つまり、この星の銀河は、天の川銀河よりも、ずっと宇宙膨張を発見しやすい場所にあるのだ。


こんなこと、あり得るのだろうか?


まあ、ないとは言い切れないけど。。。






そんな時だった。

 

横から「修司殿、どうした?」との声が聞こえた。

 

その声に振り向くと、ドーラが立っていた。

 

 

 

その横に天文台台長のデニス教授が立っていた。

 

 

 

僕は戸惑いながらドーラに問うた。

 

「ドーラさん、、、

 

 どうしてここにいるんですか?

 

 ここは許可された者しか入れない筈。。。」

 (第107話、第113話)

 

 

 

そう、予約票があり、腕章をつけた者しか、天文台の中に入ることはできない。

 

当然、ドーラは天文台の中に入ることはできない筈だ。

 

 

 

すると、デニス教授が代わりに答えた。

 

「天文台の外で、ドーラさんが散歩しているのに出くわしまして。。。」

 

 

 

ドーラは苦笑いをして話を繋げた。

 

「どうも今夜は寝付けなくてな~。。。」

 

 

 

デニス教授も苦笑いを浮かべ話を繋げた。

 

「それでここに連れてきたんです。

 

 受付には私が特別にドーラさんを通すようにと頼みました。。。」

 

 

 

僕は唖然として「そういうこと。。。」とつぶやいた。

 

 

 

 

 

ドーラは、何気に、机に置かれた写真乾板に映る銀河を見て、つぶやいた。

 

「あ、『星の固まり』だ。

 

 これ、見たことがある!」

 

 

 

僕は驚き、ドーラに問うた。

 

「ドーラさん、、、

 

 銀河を見たことがあるって、どこで?」

 

 

 

そう、望遠鏡を使わない限り、銀河なんて、早々見ることなんでできない筈だ。

 

 

 

ドーラはニヤリと笑って答えた。

 

「修司殿を、ここ、オウゴウヌ王国に連れてくるときに見た。」

 

 

 

そう言うと、ドーラは王城の庭から和泉家の庭まで繋げた一連の話をした。

(第7話~第9話)

 

 

 

 

 

ドーラの話では、『星の固まり』はいろんな形なものがあり、その中で渦巻きの形をしているもの、かつ渦巻きの中心が細長いものを選んだらしい。

(第8話)

 



僕はあごに指を添えて、ドーラの話を解釈した。


天の川銀河は棒渦巻銀河だと言われている。あきらかに『星の固まり』は銀河だろう。




そして、ドーラとシャーロット第二王女とオリビア第三王女は、三日目に天の川銀河から太陽を見つけたのだ。

(第8話)




そして、ドーラとシャーロットが休んでいた四日目の朝、オリビア第三王女は地球を見つけたのだ。


『光り輝く星』は明らかに恒星のことであり、『光り輝かない星』は惑星のことだろう。


そして『3番目の光り輝かない星』は地球のことだろう。

(第8話)




さらにドーラは自らの魔法器官を犠牲にして、この星と地球を結ぶ、ワ◯ムホ◯ルを魔法で作ったのだ。

(第9話、第20話、第28話) 

 

 

 

じゃあ、『星の固まりの固まり』ってなんだ?

(第7話、第8話)

 

 


『星の固まり』を銀河とすれば、『星の固まりの固まり』とは天の川銀河を取り巻く局所銀河群だろうか?

 

 

 

いや、ドーラの話では『星の固まり』、つまり銀河が『とても膨大』にあるらしい。

(第8話)

 

 

 

局所銀河群に『とても膨大』な銀河はあっただろうか?

 

まあ、約90個以上の銀河があると言われているが。。。

 

約90個を『とても膨大』と形容して良いのだろうか?

 

 

 

もしかして、天の川銀河を取り巻く、もっと大きなスケールなのか?

 

たとえば銀河団とか超銀河団のスケールとか?

 

おとめ座銀河団?

 

ラニアケア超銀河団?

 

 

 

 

 

いや、そもそも、ドーラの話だと、『すさまじく膨大な【星の固まりの固まり】』から一つの『星の固まりの固まり』を選んだと言っている。

(第7話)

 

ドーラの話だと、『膨らむ速度がゆっくりの【星の固まりの固まり】を選んだ』と言っている。

(第7話)

 

 


つまり、『星の固まり』が銀河とすれば、『星の固まりの固まり』は『銀河の固まり』を意味する。


そして、『星の固まりの固まり』である『銀河の固まり』は凄まじく膨大な数の銀河を有しており、かつ『銀河の固まり』は膨らむ速度がゆっくりってことだ。



 

そもそも、、、

 局所銀河群も、おとめ座超銀河団も、ラニアケア超銀河団も、

 ゆっくり膨らんで

いたっけ?

 

 

 

 

 

じゃあ、、、

 

『星の固まりの固まり』、つまり『銀河の固まり』って、、、

 

もしかして?

 

 

 

 

 

いや、、、

 

そんなことって、、、

 

 

 

 

 

僕はこれまでずっと違和感を感じていた

(第31話、第56話、第82話)

 

 

 

その違和感がさらに大きくなったんだ。

 

 

 

でも同時に、僕の中で、やっと、『違和感の輪郭』がはっきりしてきたんだ。。。

 

 

 

僕は心の中で叫んでいた。

 

『ここは一体、どこなんだ!?』

 

 

 

そして、こうも叫んでいた。

 

『ここで一体、何が起きているんだ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は頭を何度も振ると、この星の銀河を徹底的に調べてみようと思ったんだ。

 

銀河の周辺の球状星団の立体的配置だけでなく、その動きも調べることにしたんだ。

 


次話は2026/6/4 0時に更新予定です。

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