第117話 天文台でのドーラ分隊の1週間
(前話からの続き)
こうして紹介が終わると、ドーラはヒューバート署長に小声で問うた。
「ヒューバート・スタイルズ署長、幾つか質問があります。
まず、一つ目、イーサン・ポーレット天文台警備隊長から、
荷物の運搬を頼まれており、それをどこに運び込めばよいでしょうか?
また、交代要員の10名を連れてきましたが、
入れ替わりに誰を帰りに乗せていけばよいでしょうか?
それと、、、分隊メンバに順次休暇を与えたく、、、
署内で着替える場所を貸してもらえませんか?」
すると、ヒューバート署長は天井に向けて、「ははは!」と笑い、一人の男性警官に話しかけた。
「ライオネル! ちょっと来てくれ!」
彼はスキンヘッドで、瞳は青く、肌は白く、フジの髭を生やした、身長は175cm前後の筋肉質の男性だった。
年齢は35歳前後だろうか。
ヒューバート署長に呼ばれ、戸惑いながら近づいてきた。
ヒューバート署長は彼に右手を向けると、ドーラに顔を向けて話しかけた。
「彼はライオネル・ファーリーと言って、
天文台警備副隊長だ。
今日、ちょうど天文台に戻る予定でね。
彼とその部下9名を天文台まで乗せてやってくれないか?」
ドーラは頭を下げ、「は!」と返した。
ヒューバート署長はライオネル警備副隊長に話しかけた。
「ライオネル、、、
ドーラ巡査部長の部隊が天文台からの荷物を運んできたそうなんだ。
どこに降ろせばよいか指示してもらえないか?
ついでに天文台への荷物と運んでもらい、交代要員も乗せてもらえ。
そして、、、
ドーラ巡査部長の部隊が着替える場所を案内してもらえないか?」
ライオネル警備副隊長は戸惑いながら、黙ってうなずいた。
ライオネル警部副隊長は警察消防署のオフィスにいた交代要員9名を呼んだ。
そして彼等とドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と共に、倉庫に行った。
軽トラとワンボックスカーをそこに移動し、荷物の揚げ降ろしを行った。
だが、途中でドーラはフレッド巡査長(本当は副長)とローレンス巡査(本当は曹長)に笑顔で話しかけた。
「フレッド、ローレンス、、、
もうすぐ、コアブルッズ市への急行馬車が出発する午前9時だ。
ここは良いから、休暇を満喫しろ。」
フレッド巡査長(本当は副長)とローレンス軍曹(本当は軍曹)は嬉しそうに「は!」と答え、彼と彼女の荷物を持って、警察消防署内のロッカールームに走って行った。
彼等はロッカールームで着替え、コアブルッズ市への急行場所に飛び乗り、2日間の休暇を楽しむ予定だ。
あ、もちろんロッカールームは男女別だからね。
休暇が終わる明後日の午前9時に、自動車に乗った分隊メンバが彼を拾って、復帰予定である。
ま、毎日、朝、天文台と麓の町のギレエ町警察消防署を自動車で行き来し、荷物を運び、要員を乗せる予定である。
ついでに、休暇をとった分隊メンバをギレエ町に運び、休暇が終わった分隊メンバをギレエ町で拾うってわけ。
こうやって、順次、分隊メンバには休暇を与えた。
ギレエ町から50km離れたコアブルッズ市は、南西州の州都で、結構大きな都市で、しかも景観が美しいんだ。
だから、コアブルッズ市は観光名所でね。
分隊メンバは休暇でコアブルッズ市を訪ねることを楽しみにしていたよ。
あ、ただし、1ヶ月の公休なしの処分を受けているルイス巡査(本当は少尉)は除外だ。
(第92話)
彼女は休暇を取り、コアブルッズ市に観光に行く、分隊メンバの同僚をうらやましそうに眺めていた。
ま、これに懲りて、彼女の日頃の行状が改まると良いんだけど。。。
さて、荷物の揚げ降ろしと、交代要員10名を乗せて、天文台に戻った。
午前11時くらいだったと思う。
午後は警備員達との交流を兼ねて、レクレーション施設内にある武道場で剣の稽古を行った。
あ、僕は剣は苦手なので(第2話)、見るだけだったが。
でね。。。
この剣の稽古って言うのが、剣道だったんだ。
つまり、竹刀と防具を使う。
たぶん、、、和泉家とオウゴウヌ王国との120年にわたる交流で伝わったんだと思う。。。
実は、オウゴウヌ王国軍は剣道は習わないらしい。
だから、慣れない所作で、ドーラを含め、ドーラの分隊メンバは戸惑っていた。
僕は母・エリーゼの言葉を思い出したんだ。
「母国の乗馬と剣とは違うので、変な癖があって、師匠を困らせた」
(第1話)
って言葉を。。。
この日はエイミー巡査(本当は少尉)が不在だった。
でも、剣道は不慣れとは言っても、ドーラ、ヒュー巡査(本当は少尉)、ルイス巡査(本当は少尉)、ベリンダ巡査(本当は上等兵)は、警備員の上位者と互角だったよ。
実は、エイミー巡査(本当は少尉)が戻ってきた翌日も、天文台の警備員達と剣道による交流を行った。
やっぱり、エイミー巡査(本当は少尉)は最強!
慣れない剣道でも、天文台の警備員の上位者を、全く相手にしなかった。
しかも、、、彼女の身体強化魔法を使わない状態で!
(あきれた笑い)ははは。。。
実は天文台の警備員達との剣道はほぼ毎日行った。
ドーラ曰く、「他流試合は分隊メンバにとって良い経験になる」とのことだ。
で、、、ほぼ毎日行った剣道で、エイミー巡査(本当は少尉)は天文台警備員を相手しないほど最強で、、、
ドーラ、ヒュー巡査(本当は少尉)、ローレンス巡査(本当は曹長)、ルイス巡査(本当は少尉)、ベリンダ巡査(本当は上等兵)は、警備員の上位者と互角だ。。。
じゃあ、他のメンバはどうだったか?
というと、、、
まあ、フレッド巡査長(本当は副長)は警備員の平均と互角って感じで、ジャクソン巡査(本当は少尉)とケント巡査(本当は准尉)は警備員の下位と互角、ケイシー巡査(本当は上等兵)はまるでダメだった。
ただ、名誉のために言っておくと、警備員達は南西州の警察消防本部の警官のなかでは、かなり腕が立つ部類らしい。
と言うのも、過激な信徒がいつ天文台の破壊活動を行うかわからない。
それに備えて、それなりに腕が立つ人を揃えたらしい。
ま、これは、後に、リネット警察消防相から、ドーラに教えてもらったことなんだけどね。
つまり、フレッド巡査長(本当は副長)は警官と比較すると中の上で、ジャクソン巡査(本当は少尉)とケント巡査(本当は准尉)は中の下らしい。
連日の剣道の稽古で、ライオネル副警備隊長は怪訝な表情でドーラに語った。
「ドーラ巡査部長の部隊は、
首都レワヅワの精鋭と聞いたが、、、
たしかに『半分くらいは精鋭』ですな。。。」
ドーラは苦笑いを浮かべるしかなく、フレッド巡査長(本当は副長)、ジャクソン巡査(本当は少尉)、ケント巡査(本当は准尉)、ケイシー巡査(本当は上等兵)に奮起を促した。
「フレッド、ジャクソン、ケント、ケイシー、、、
ここ、天文台にいるうちは、剣道の稽古に励め。。。」
フレッド巡査長(本当は副長)、ジャクソン巡査(本当は少尉)、ケント巡査(本当は准尉)、ケイシー巡査(本当は上等兵)は、苦笑いを浮かべ、「は!」と答えるしかなかった。
合間を見て、警備員の代わりに、騎乗して敷地内のパトロールを実施した。
でも、ドーラの分隊は騎乗できるメンバと、できないメンバがいる。
騎乗できるメンバ、つまりドーラ、フレッド巡査長(本当は副長)、ヒュー巡査(本当は少尉)、エイミー巡査(本当は少尉)、ローレンス巡査(本当は曹長)、ベリンダ巡査(本当は上等兵)は、パトコールができる。
一方、騎乗できないメンバ、つまりジャクソン巡査(本当は少尉)、ケント巡査(本当は准尉)、ルイス巡査(本当は少尉)、ケイシー巡査(本当は上等兵)はパトコールに同行できないので、施設の掃除を行った。
それだけでなく、過激な信徒によるデモや火炎瓶に対する対処として、消火訓練や盾の構え方の訓練にも参加したらしい。
ま、あり得ないことではないからね。
ただし、イーサン警備隊長とライオネル副警備隊長曰く、「初歩訓練」とのことだ。
これも2か月に1週間だけ、来るだけなので、初歩訓練しかできないと言うことなのだろう。
まあ、こんな感じで、ドーラとドーラの分隊メンバは、天文台での1週間を過ごした。
え? 肝心の天文台の成果はどうしたって?
(ごまかし笑い)ははは。。。
実はうまくいかなかったんだ。。。
(次話に続く)
次話は2026/6/3 0時に更新予定です。




