第116話 警察消防本部長と署長の話
(前話からの続き)
さて、午前7時に天文台を発し、午前8時過ぎには、麓の町のギレエ町の警察消防署に到着した。
警察消防署に到着した時、交代要員の10名は一応に驚き、あきれていた。
「まあ、事前に1時間くらいで着くとは聞いていたけど。。。」
「でも、いつもなら馬車で半日だぜ。。。」
「自動車を使うとこんなに違うんだ。。。」
「自動車が配備されてる首都レワヅワの連中が羨ましいぜ。。。」
でも同時に喜んでいた。
「だが、これでコアブルッズ市に遊びに行けるぜ!」
「急いで着替えて、家に帰って、家族を連れ出すぞ!」
交代要員10名を降ろすと、ドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕は、警察消防署の受付に行った。
ドーラは警察署の受付の男性警官にこう話しかけた。
「首都レワヅワの警察消防本部所属のドーラ巡査部長だ。
天文台の警備隊長、イーサン・ポーレット警部から、
署長宛に手紙を預かっているのだが、、、
取りついでもらえないだろうか?」
ああ、イーサン警備隊長の階級は警部だ。
受付の男性警官はあらかじめ聞かされていたのだろう。
彼は慌てて立ち上がると、ドーラに頭を下げた。
「ドーラ巡査部長、話は聞いております。
ヒューバート・スタイルズ署長と、
マシュー・ヒリヤー本部長が署長室でお待ちです。」
そう言うと、彼はドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕を署長室のドアまで連れて行った。
彼は署長室のドアをノックすると、ドアを開け、語り掛けた。
「本部長、署長、、、
ドーラ巡査部長をお連れしました。」
そう言うと、彼はドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕に入室を促した。
ドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕が戸惑いながら入室すると、彼はドアを閉め、受付に戻っていった。
署長室には警察の制服を着た二人の中年男性が立って待っていた。
受付をしていた男性警官がドアを閉めるのを確認すると、二人の中年男性はドーラに近づき、頭を下げた。
「ようこそ! ドーラ・オウゴウヌ第一王女殿下!」
一人の中年男性は年齢は50歳前後だろうか。
白髪が少し混じった銀髪横分けで、瞳も黒く、肌は白く、痩せ身の男性だった。
彼は笑顔でドーラに語り掛けた。
「初めまして、ドーラ殿下。
私はこのギレエ町で署長をしております、
ヒューバート・スタイルズと申します。」
もう一人の中年男性は年齢は55歳前後だろう。
白髪が半分くらいのブロンドの横分けで、瞳は青く、銀縁眼鏡をかけ、肌は白く、ポッチャリした男性だった。
彼も笑顔でドーラに語り掛けた。
「私もはじめまして、ドーラ殿下。
私はこの南西州の警察消防本部長、
マシュー・ヒリヤーと申します。」
ドーラとフレッド巡査長(本当は副長)は、慌てて、マシュー本部長とヒューバート署長に頭を下げた。
「こちらこそはじめまして、ドーラ・オウゴウヌと申します。
今は『巡査部長』を名乗っておりますが、
本当は近衛師団・騎兵連隊隷下の分隊の分隊長です。」
「私もはじめまして、フレッド・ビーモントと申します。
私も今は『巡査長』を名乗っておりますが、
本当は近衛師団・騎兵連隊隷下の分隊の副長であります。」
ヒューバート署長は微笑み、ドアの近くのソファーに右手を向けた。
「まあまあ、まずは座ってください。」
ドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕は戸惑いながら、ソファーに座った。
ソファーには中机を挟んだ反対側にもう一つのソファーがあり、そこにヒューバート署長とマシュー本部長が座った。
ドーラはヒューバート署長とマシュー本部長がソファーに座ったのを確認すると、二人に話しかけた。
「昨日、イーサン・ポーレット警備隊長から聞きました。
(第112話)
署長であられるヒューバート・スタイルズ警視は、
天文台の警備員を増員されたとか、、、
加えて本部長であられるマシュー・ヒリヤー警視監は、
ギレエ町の警察消防署の署員を増員されたとか、、、
我らのために、特別のお計らい、感謝いたします。」
そう言うと、ドーラは二人に頭を下げた。
初めて聞いたフレッド巡査長(本当は副長)は、驚き頭を下げた。
当然、僕も頭を下げた。
ああ、ヒューバート署長の階級は警視で、マシュー本部長の階級は警視監だ。
つまり、警察消防省ではかなり上の階級にいる。
すると、マシュー本部長は苦笑いを浮かべ、片手を振って答えた。
「いやいや。。。
実は、私も署長も、
ドーラ殿下と修司殿が来られるのは私は反対だったんですよ。」
ヒューバート署長は苦笑いを浮かべうなずいた。
マシュー本部長は苦笑いを浮かべながら、話を続けた。
「どうもリネット大臣も反対で、女王陛下に相談したら、
叱られたそうですな。。。
(第106話)
リネット大臣からの手紙にありました。」
ドーラは戸惑いながら、マシュー本部長に問うた。
「母上はリネット・ホーリス警察消防相閣下に、
『この国は異世界の考え方や技術を取り入れて発展してきた。
修司殿は何かをもたらすはずだ。
修司殿の好きにさせよ。』
と言ったそうですが。。。」
(第106話)
マシュー本部長はうなずき、答えた。
「ええ、、、
ですが、女王陛下は、その言葉の前に、こう言って、
リネット大臣を叱ったそうです。
『異世界の知識や技術に対する妨害活動に対する警護は、
本来、軍事省ではなく、警察消防省の範疇である。
それを放棄するとは何事か!』
と。。。」
初めて聞く話で、ドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕は驚き、「え!?」とつぶやいた。
マシュー本部長は苦笑いを浮かべ、話を続けた。
「確かに、女王陛下の言う通りなのですよ。。。
異世界から来られる修司殿を警護するのは、
本来、警察消防省の範疇なのです。。。
ま、修司殿が王族の一員なので、
近衛師団、つまり軍事省が、現在護衛を行っておりますが。。。」
ヒューバート署長は微笑み、ドーラに語り掛けた。
「となれば、、、
地元の警察消防ができる限りの措置を講ずるのは、
本来、当たり前なのです。。。
気になさらないでください。。。」
ドーラは気を取り直し、手紙をヒューバート署長に渡した。
「これは天文台の警備隊長、
イーサン・ポーレット警部から手紙です。
ギレエ町警察消防署長、
ヒューバート・スタイルズ警視に渡せと頼まれました。」
ヒューバート署長は手紙を受け取ると、手紙の内容を読んだ。
すると、ヒューバート署長は微笑み、その手紙をマシュー本部長に見せた。
マシュー本部長も手紙を読むと、微笑み、語り掛けた。
「イーサン警備隊長の手紙によると、
『いざとなったら、
首都レワヅワから近衛師団が駆けつける』
と近衛師団・騎兵連隊長が仰ったとか、、、
(第112話)
ありがたい話です。。。」
そう言うと、マシュー本部長はドーラに頭を下げた。
さて、こうして、マシュー本部長とヒューバート署長への挨拶が終わった。
ヒューバート署長はドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕を連れて、ギレエ町警察消防署のオフィスに来ると、署員に集まるよう告げた。
オフィスには署員が集まった。
ドーラはフレッド巡査長(本当は副長)に、ダグ騎兵連隊長を送っているエイミー巡査(本当は少尉)を除く、分隊メンバ全員にオフィスに来るよう告げた。
数分後、エイミー巡査(本当は少尉)を除く、分隊メンバ全員がオフィスに集まった。
ヒューバート署長の隣に、ドーラと分隊メンバが並んだ。
ヒューバート署長は、オフィスに集まった署員に告げた。
まあ、内容はこの日の午前6時の朝礼における、天文台警備隊長、イーサン・ポーレット警部の話と同じだ。
また、ドーラは午前6時の朝礼と同様に、分隊メンバの紹介を行った。
エイミー巡査(本当は少尉)は、父親であるダグ騎兵連隊長を送っており、不在だったが。
最後に、ヒューバート署長はこう告げた。
「ドーラ巡査部長の部隊は、所属は首都レワヅワの警察消防本部である。
それどころか、修司殿を護衛しているときは、
リネット・ホーリス警察消防相閣下の直下の部隊である。」
(第107話)
署員がざわついた。
だが、ヒューバート署長はそれを無視して話を続けた。
「よって、ドーラ巡査部長の部隊に直接指示はできない。
例外は私と、本部長と、天文台警備隊長だけだ。
この3人のみ、特別に指示ができると、
リネット・ホーリス警察消防相閣下から許可を得た。
無用の混乱を避けるため、これだけは忘れないでほしい。」
こうして紹介が終わると、ドーラはヒューバート署長に小声で問うた。
「ヒューバート・スタイルズ署長、幾つか質問があります。
まず、一つ目、イーサン・ポーレット天文台警備隊長から、
荷物の運搬を頼まれており、それをどこに運び込めばよいでしょうか?
また、交代要員の10名を連れてきましたが、
入れ替わりに誰を帰りに乗せていけばよいでしょうか?
それと、、、分隊メンバに順次休暇を与えたく、、、
署内で着替える場所を貸してもらえませんか?」
すると、ヒューバート署長は天井に向けて、「ははは!」と笑い、一人の男性警官に話しかけた。
(次話に続く)
次話は2026/6/2 0時に更新予定です。




