第113話 ダグ騎兵連隊長とエイミー少尉との会話(その1) ーワンボックスカーにてー
天文台長・デニス教授とイーサン警備隊長との会議を終えると(第112話)、午後6時を過ぎていた。
ドーラと僕は分隊メンバの所に戻ると、すでに荷物は運び終えていた。
あ、すでに王城の騎兵連隊の事務所には、長距離無線通信機で、天文台に到着したことを伝えてあった。
ま、その際にヒュー巡査(本当は少尉)から、天文台敷地に入る際の一悶着(第111話)については連絡したらしく、応答したゲイリー少尉から笑われたそうだ。
「ははは!
そりゃ傑作!
でも、ドーラ中尉は大変だったな~♪」
ま、振り返ってみれば、笑い話だね。。。
ははは。。。
そこで午後6時を過ぎているので、ドーラと分隊メンバと一緒に天文台の食堂で夕食をとることになった。
もちろん、カドワダドル教授、クラレンス君、ダグ騎兵連隊長も一緒だ。
食堂はレクレーション施設にあるのだが(第111話)、レクレーション施設が一変していたらしく、カドワダドル教授とクラレンス君は驚いた。
クラレンス君はカドワダドル教授を見つめ、つぶやいた。
「カドワダドル教授、、、
レクレーション施設がリニューアルしているみたいですが、、、
聞いてました?」
カドワダドル教授は顔を横に振り、答えた。
「いや、、、
そんなこと、、、
(天文台台長の)デニス先生から聞いてない。。。」
事情を知っているダグ騎兵連隊長とドーラとフレッド巡査長(本当は副長)と僕は苦笑いを浮かべた。
(第107話)
ドーラはカドワダドル教授とクラレンス君に近寄り、小声で「実は、、、」と事情を話した。
ドーラの話が終わると、カドワダドル教授は空を見上げ、「ははは!」と笑った。
クラレンス君はあきれて、僕に近寄り、小声で話しかけた。
「ドーラさんと修司殿の王族二人が来るから、、、
天文台は大変だったんですね?」
僕は苦笑いを浮かべ「ははは」と笑うしかなかった。
実際、天文台の食堂で夕食をとったが、王城の食堂並みに美味しく、ドーラの分隊メンバには好評だった。
もちろん、カドワダドル教授もクラレンス君も好評だった。
クラレンス君曰く、「以前とは雲泥の差だ」とのことだ。
後に天文台台長のデニス教授と、イーサン警備隊長も話してくれたんだけどね。。。
天文台に常駐している研究者や技師や警備員にも、レクレーション施設のリニューアルは大好評だったんだって。。。
リネット警察消防相の個室で、アルバート教育次官が言っていたように、天文台は警戒厳重でスタッフが気が滅入るので、レクレーション施設で気を紛らす人が多いんだ。
(第107話)
しかも、低いとはいえ山の頂上にあり、麓の町まで騎乗しても、馬車でも半日かかる。
そんな環境だから、レクレーション施設のリニューアルは、スタッフにはありがたかったらしい。。。
あと、食堂のそばには、24時間開いている売店もある。
だって、天文台だと夜間に働く研究者や技師もいる。
当然、夜間に警戒活動を行う警備員もいる。
その売店も一新されて、スタッフは喜んでいたらしい。
もちろん、食堂も売店も売られているものの安全は確認されている。
さて、夕食も終わって、カドワダドル教授とクラレンス君と僕は、1.5m口径望遠鏡のある、天文台に向かった。
天文台の入口に受付があり、そこにはアルバート教育次官からもらった予約票を呈示した。
(第107話)
受付スタッフは予約票を確認すると、カドワダドル教授とクラレンス君と僕に腕章を渡した。
「腕章をつけてください。
次からはこの腕章を示してください。」
そう、腕章が1.5m口径望遠鏡のある天文台の出入りに必要なんだ。
で、、、ドーラを含むドーラ分隊メンバだが、彼等には予約票がない。
だから、天文台の敷地に入ることはできても、1.5m口径望遠鏡のある天文台に入ることはできない。
実は、それは警備員も同じで、警備員でも特別な許可がないと1.5m口径望遠鏡のある天文台には入れない。
そう、1.5m口径望遠鏡のある天文台は、警戒厳重な天文台敷地でも、もっとも警戒厳重なんだ。
話をドーラを含むドーラ分隊メンバに戻すと、午前6時に王城を発している。
(第109話)
そして、休憩や昼食をはさんではいたが、午後5時までずっと自動車やバイクの運転をしていた。
(第110話)
いくら何でもその夜は休養をとる必要があるので、非定期に訪れる者への官舎に向かった。
(第111話)
で、、、ここで、『さらに一悶着』があった。
ほら、ダグ騎兵連隊長が予約もなしに、無理やりついてきちゃったもんだから、、、
(第109話)
ダグ騎兵連隊長の部屋の割り当てがなかったんだよね~。。。
(あきれた笑い)ははは。。。
仕方がないのでね。。。
ドーラは困って、1.5m口径望遠鏡のある天文台の受付の人に頼んで、僕を呼び出してね。。。
僕からワンボックスカーの鍵を受け取ると、ダグ騎兵連隊長はワンボックスカーで寝ることになったんだ。。。
ワンボックスカーはピクニックカーに改造してあるし、ドーラはワンボックスカーで寝たことがあったしね。。。
(第97話)
後から聞いた話だと、ドーラはエイミー巡査(本当は少尉)に、笑顔で語り掛けた。
「エイミー、今夜は、このワンボックスカーで、
ダグ・ハミルトン殿と一緒に寝たらどうか?」
いつもなら、ドーラはダグ騎兵連隊長を『ダグ・ハミルトン騎兵連隊長閣下』と呼ぶ。
しかし、今はドーラは警官に扮しており、本当は近衛師団の中尉だと気取られれるわけにはいかない。
ましてや第一王女であることを気取られるわけにはいかない。
(第106話)
だから、このときはダグ騎兵連隊長を『ダグ・ハミルトン殿』と呼んだ。
もっとも、後でドーラは言っていたけど、『ダグ・ハミルトン殿』と呼んだことは、背筋が凍る思いだったらしい。。。
(あきれた笑い)ははは。。。
話を戻すと、エイミー巡査(本当は少尉)は戸惑いながら、「ええ」とうなずいた。
後でエイミー巡査(本当は少尉)はこう言っていた。
「練兵場で雨漏りのヒドイ官舎で寝た時、
ワンボックスカーで寝た分隊長(=ドーラ)とローレンス軍曹が羨ましかった。
(第97話)
だから、一度、ワンボックスカーで寝てみたかったの。。。」
ピクニックカーに改造されたワンボックスカーは後部座席を移動させると、2人分のベットが設置可能となっている。
そのベットに横たわったダグ騎兵連隊長は、向かい側のベットに横たわった娘のエイミー巡査(本当は少尉)に、上機嫌で語り掛けた。
「こりゃいいぜ。
天幕よりずっといい。」
エイミー巡査(本当は少尉)は、父親であるダグ騎兵連隊長に笑顔で返した。
「そうね。」
ダグ騎兵連隊長は笑顔でエイミー少尉に問うた。
「エイミー、、、
このワンボックスカーに泊ったことはあるのか?」
すると、エイミー巡査(本当は少尉)は首を横に振り答えた。
「いいえ、このワンボックスカーに泊るのは初めてよ。。。
いつもは修司殿とクラレンス殿が仮眠のために使っているし。。。」
(第97話)
そして、エイミー巡査(本当は少尉)は鼻で笑い、話を続けた。
「大雨が降った時、練兵場の官舎の雨漏りがひどくって、
眠れなくて、、、
『このワンボックスカーで寝たい』
って、頼んだけど。。。」
(第97話)
ダグ騎兵連隊長は続きを促した。
「『頼んだけど』って?」
エイミー巡査(本当は少尉)は話を続けた。
「私だけじゃなく、みんな、ここに寝たいと言い出して、、、
結局、分隊長(=ドーラ)とローレンス曹長が、ここで寝たわ。。。」
(第97話)
ダグ騎兵連隊長は不思議な顔して問うた。
「ドーラ殿下と修司殿が一緒に寝たわけじゃなく?
あの二人、許嫁同士だろ?」
ああ、ダグ騎兵連隊長はドーラ本人がいないところでは、ドーラを『ドーラ中尉』ではなく、『ドーラ殿下』と呼んでいるんだ。
話を戻すと、エイミー巡査(本当は少尉)は笑いをこらえて答えた。
「そのように副長(=フレッド)が言ったの。。。
そしたら、修司殿は
『確かに僕とドーラは許嫁同士ですが、
まだ結婚したわけではありません!
結婚前はダメです!』
(第97話)
って答えたの。。。
で、後日、ケイシーが
『もう少し柔軟性があっても良かったのでは?』
って訊いたら、修司殿はこう答えたんですって。
『そんなことしたらアン女王陛下に殺されかねん!』
(第97話)
だって。。。」
ダグ騎兵連隊長はワンボックスカーの天井を見上げ、大声で笑った。
「ははは!」
エイミー巡査(本当は少尉)は、急に真剣な表情になり、父親であるダグ騎兵連隊長に問うた。
「父さん、今朝から無理やりついてきたけど、、、
父さんのことよ。。。
何か意図があって、無理やりついてきた?
(第109話)
違う?」
(次話に続く)
次話は2026/5/30 0時に更新予定です。




