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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第8章 天文台にて、そして新たな出会い
112/138

第112話 天文台台長と警備隊長の話

(前話からの続き)

 

 

 

イーサン警備隊長は、ダグ騎兵連隊長とカドワダドル教授とドーラと僕が会議室に入るのを確認すると、会議室のドアを閉め、内側から鍵をかけた。

 

 

 

そして、デニス教授とイーサン警備隊長は緊張した表情で、ドーラに近づき、ドーラに頭を下げ、一斉に話しかけた。

 

「「ようこそ!

 

  ドーラ・オウゴウヌ第一王女殿下!」」

 

 

 

そう、いつもはドーラを僕は『ドーラ』と呼んでいるが、彼女はアン女王の娘なのだ。

 

ドーラは第一王女なのだ。

 

 

 

 

 

そして、イーサン警備隊長はダグ騎兵連隊長に顔を向け、頭を下げた。

 

「大臣からの手紙を拝見しました。

 (第111話)

 

 ようこそ!

 

 近衛師団騎兵連隊長であらせられる、

 ダグ・ハミルトン少将閣下!」

 

 

 

デニス教授は驚きの表情でダグ騎兵連隊長を見た。

 

「え? 近衛師団騎兵連隊長?」

 

 

 

実はカドワダドル教授もダグ騎兵連隊長には会うのは初めてで、驚きの表情を浮かべた。

 

「少将閣下であらせられる?」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は苦笑いを浮かべ、黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

デニス教授は気を取り直すと、ダグ騎兵連隊長とカドワダドル教授とドーラと僕に語り掛け、会議室の椅子や長机を指した。

 

「さ、まずは、お座りください。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長とカドワダドル教授とドーラと僕は、戸惑いながら、会議室の席に座った。

 

 

 

デニス教授とイーサン警備隊長は、長机を挟んで、反対側の席に座った。

 

デニス教授は、ドーラと僕に語り掛けた。

 

「実は、私もイーサン警備隊長も、、、

 

 ドーラ殿下が2か月に一度、ここ、天文台に来られると知り、、、

 

 戸惑いました。」

 

 

 

デニス教授はさらに続けた。

 

「ドーラ殿下だけでなく、、、

 

 日本から来られた、ドーラ殿下の許婿の修司殿もいますし。。。」

 

 

 

そう言うと、デニス教授はイーサン警備隊長を横目で見た。

 

イーサン警備隊長は黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

デニス教授はカドワダドル教授をちらりと見ると、再びドーラと僕を見て、話を続けた。

 

「そこで、、、

 

 ドーラ殿下と修司殿と一緒に来る

 カドワダドル先生に手紙を書いたんです。。。

 

 僕とカドワダドル先生とは、

 若いころ、学会で知り合って、、、

 

 もう長い付き合いなので。。。

  

 カドワダドル先生に、

 

  『どうしたらいい?』

 

 って手紙で尋ねたんです。」

 

 

 

僕はカドワダドル教授をちらりと見た。

 

するとカドワダドル教授は黙ってうなずいた。

 

 

 

デニス教授は一つため息をついた。

 

そして話を続けた。

 

「カドワダドル先生の返事の手紙には、

 こう書かれてありました。

 

  『オウゴウヌ大学医学部のルーク教授に尋ねたら、

   彼はこう答えた。

   

    【30年前、修司殿の父、

     普一殿がオウゴウヌ王国にやってきて、

     この国の医学は大きく変わった。

     

     きっと理学も大きく変わるだろう。

     

     修司殿の好きにやらせなさい。】

   

   とアドバイスをもらった。』

 

 と。。。」

 

 

 

デニス教授は苦笑いを浮かべて話を続けた。

 

「カドワダドル先生の返事の手紙には、

 

 修司殿、君の研究テーマも書かれてあった。

 (第42話)

 

 軍の病院と、オウゴウヌ大学の医学部と農学部の共同研究だそうだね。

 

 その観測に全面協力しようじゃないか。」

 

 

 

僕は思わず立ち上がり、カドワダドル教授とデニス教授に頭を下げた。

 

「カドワダドル教授、デニス教授、

 ありがとうございます。

 

 それから、カドワダドル教授、

 医学部のルーク教授にも礼を言っておいてもらえますか?」

 

 

 

すると、デニス教授は微笑み、僕に返した。

 

「いやいや、修司殿、礼を言いたいのは私の方です。」

 

 

 

僕は「え?」とつぶやき、戸惑った。

 

 

 

デニス教授は微笑んだまま、僕の戸惑いをスルーして、話を続けた。

 

「カドワダドル先生の手紙には、こんなことが書かれてあった。

 

  『デニス、君も若いころ読んだと思うが、

   日本からの専門書は、修司殿の父上や祖父の土産だ。』

 

 と、、、

 

 私も学生の頃、日本からの専門書を大学図書館でよく読んだ。。。」

 

 

 

カドワダドル教授も微笑み、僕に語り掛けた。

 

「実は、修司殿の父上や祖父がもたらされた専門書は、

 複製本が作られていて、各大学に配布されているんだ。。。

 

 デニス先生は若いころ、コアブルッズ大学の大学図書館で、

 その複製本を読んだというわけさ。。。」

 

 

 

デニス教授は鼻先で笑って、僕に語り掛けた。

 

「修司殿の父上や祖父がもたらされた専門書は、

 この国の発展に大きく寄与している。

 

 礼を言わなくてはならないのは、

 私達、オウゴウヌ王国の人間さ。。。」

 

 

 

僕は戸惑いながら答えた。

 

「ありがとうございます。

 

 その言葉を父・普一と祖父・賢治に伝えます。

 

 きっと喜んでくれるでしょう。」

 

 

 

カドワダドル教授は苦笑いを浮かべ、デニス教授に語り掛けた。

 

「実は、修司殿も1か月前、最新の専門書を持ってきたんだ。

 (第21話、第41話)

 

 つい先日、

 オウゴウヌ大学の図書館で閲覧可能となったんだが、、、

 

 物凄い人気で、なかなか借りられないんだ。。。」

 

 

 

デニス教授は笑った。

 

「ははは!

 

 いずれ修司殿が持ってきた最新の専門書も、

 複製本が作られるだろう。。。

 

 我がコアブルッズ大学の大学図書館で、

 閲覧可能になるな。。。

 

 ま、数年後になるだろうが。。。」

 

 

 

 

 

イーサン警備隊長は、少し緊張した表情で、ダグ騎兵連隊長とドーラに話しかけた。

 

「大臣から説明があったそうですが、、、

 

 ドーラ殿下と修司殿の正体を知っているのは、

 南西州の警察消防本部長、

 麓のギレエ町の警察消防署長、

 デニス天文台長、

 そして私の4人だけです。」

 (第107話)

 

 

 

ダグ騎兵連隊長、ドーラ、そして僕は黙ってうなずいた。

 

 

 

イーサン警備隊長は話を続けた。

 

「南西州の警察消防本部長は、ご自身の判断で、

 麓のギレエ町の警察消防署を増員しました。

 

 そして、ギレエ町の警察消防署長も、ご自身の判断で、

 天文台の警備隊員を増員しました。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長、ドーラ、そして僕は戸惑い「え?」とつぶやいた。

 

 

 

イーサン警備隊長はそんな戸惑いはスルーして話を続けた。

 

「実はついこの間まで、

 天文台の警備隊員は常駐10名だったんです。

 

 それが常駐20名まで増員されました。

 

 また、麓のギレエ町でなにか不穏な動きがあれば、

 40名まで警備隊員を増やす体制となりました。」

 

 

 

隣に座っていた天文台長のデニス教授が黙ってうなずいた。

 

 

 

イーサン警備隊長は更に話を続けた。

 

「これにドーラ殿下の近衛師団の分隊が加われば、

 50名が警備につくことになります。

 

 仮に過激な信徒が集団で天文台を襲ってきたとしても、

 鉄条網と3mの壁に囲まれた天文台に立てこもれば、

 数日は持ちこたえると思います。」

 

 

 

イーサン警備隊長の話は続く。

 

「その間、当然、麓のギレエ町の警察消防署の応援が、随時来るでしょう。。。

 

 ま、麓のギレエ町から、ここ天文台まで、騎乗して半日かかりますが。。。

 

 そして、なにより、

 州都コアブルッズ市の警察消防本部からも応援が来ることになっています。

 

 たぶん一日半後になると思いますが。。。

 

 しかしながら、ドーラ殿下と修司殿には、

 可能な限り安全を確保した体制になっております。」

 

 

 

そう言うと、イーサン警備隊長は苦笑いを浮かべ、ため息をついた。

 

 

 

 

 

するとダグ騎兵連隊長が微笑み、イーサン警備隊長に語り掛けた。

 

「それはありがてー。。。

 

 実はドーラ中尉の分隊には長距離無線通信機を持っている。

 

 瞬時に首都レワヅワの近衛師団・騎兵連隊の事務所に

 連絡可能になっている。。。

 (第98話)

 

 ここ、天文台で何かあれば、翌日、

 首都レワヅワの近衛師団から第一陣として、

 1個分隊、つまり10名が、自動車やバイクに分乗して、

 駆けつける体制となっている。。。

 

 第二陣が急行馬車に乗って、

 数個分隊、つまり数十名が二日半後に駆けつけることになっている。

 

 そして、4,5日後には騎兵小隊、つまり100名を引き連れて、

 駆けつける体制になっているんだ。。。

 

 ここでその時間を稼いてくれれば、大変助かる。。。」

 

 

 

いやー、これには、ドーラも僕も驚いたね。。。

 

後でドーラが調べると、ドーラの父親であるレオ近衛師団長と、ダグ騎兵連隊長が話し合って、僕とドーラが天文台に行くときの体制を話し合っていたらしいんだ。

 

 

 

 

 

イーサン警備隊長は笑って答えた。

 

「ははは!

 

 いざとなったら、4,5日後には、

 我が国で最強と言われる近衛師団が駆けつけてくるのですか、、、

 

 それは心強いですな。。。」

 

 

 

そしてイーサン警備隊長は横目でちらりと天文台長のデニス教授を見た。

 

デニス教授も微笑み、うなずいた。

 

 

 

 

 

そう、周囲は僕がここ天文台に行くために、いろいろ手を尽くしてくれたんだ。

 

大変ありがたかったな。。。

 

 

 

ま、僕としては、天文台に近衛師団が駆けつけることにならないことを望むけど。。。。


次話は2026/5/29 0時に更新予定です。

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