第102話 高速モード
(前話からの続き)
さて、翌日の水曜日の午前、王城に戻ることになった。
夕方5時には、リネット警察消防相に会う約束があり(第97話)、荷物の整理とクラレンス君をオウゴウヌ大学まで送ることを考えて、余裕をもって早く帰ることにした。
練兵場で軽トラやワンボックスカーに荷物を積み込むとき、フレッド副長が思案顔で話しかけてきた。
「ところで修司殿、
軽トラの速度メーターには時速140kmまで記載されてますが、
これって最大時速140kmまで出せると言うことですか?」
僕は苦笑いを浮かべて答えた。
「さ~?
僕はそんな速度で走ったことはないですから。。。
でも、日本では時速100kmで走れる自動車専用道路がありますから、
時速100kmは余裕で出せるほどの能力はあるでしょうね。。。」
ドーラも思案顔で僕に語り掛けた。
「そういえば、先週の帰り道、、、
母上とジョージ・ロビンソン宰相閣下とシャーロットに、
『日本では時速100kmで走れる専用道路がある。』
と言っていたな。。。」
(第79話)
僕は微笑み、顔を横に傾け、ドーラに話しかけた。
「市街地は難しいでしょうが、
郊外はもっと速度を出しても良いかも?
この国には制限速度等の速度に関する規制はないんですよね?」
(第44話)
ドーラは少し真剣な表情で問うた。
「だが、、、どう安全を確保する?」
僕は顔を横に傾けたまま、ドーラから視線を逸らし、ドーラに話しかけた。
「うーん、、、ずっと考えていたアイデアはあります。。。」
僕はドーラに視線を戻し、問うた。
「試してみますか?」
ドーラは戸惑いながら、うなずいた。
僕は笑顔でドーラに語り掛けた。
「ドーラさん、権限の一時委譲よろしいでしょうか?」
(第55話)
ドーラはため息をつき、苦笑いを浮かべて答えた。
「許す。」
僕はスクーターは軽トラの荷台に乗せ、ケイシー上等兵には軽トラの運転を指示した。
あ、今回は警護のバイクは、エイミー少尉、ゲイリー少尉、ローレンス曹長、トビー軍曹、ベリンダ上等兵にお願いした。
5人共、オフロードバイクだった。
それ以外は全員、軽トラの運転か、軽トラの助手席に座ってもらった。
僕はワンボックスカーを運転し、助手席にはドーラ、後部座席にはクラレンス君が乗っていた。
今回はスクーターではなく軽トラを運転するケイシー上等兵の車の助手席にはフレッド副長に座ってもらった。
次にルイス少尉に笑顔で語り掛けた。
「ルイスさん、今日は練兵場から王城までの道の上を、
パラグライダーで飛んでもらえますか?
地上で自動車を運転している僕達より約2km先を飛んで、
障害物があれば、インカムの無線通信を介して連絡してほしいんです。」
ルイス少尉は戸惑いながら、「了解」と応じ、パラグライダーで離陸した。
続いてフレッド副長に、話しかけた。
「フレッドさん、ルイスさんと同様に、
練兵場から王城までの道の上を、ドローンを飛ばしてもらえますか?
僕達よりドローンを約1km先を飛ばして、
障害物があれば、インカムの無線通信を介して連絡してください。」
フレッド副長も戸惑いながら、「わかりました」と応じ、ドローンを飛ばした。
こうしたルイス少尉とフレッド副長の空からの監視付きで、練兵場から王城への道を走り出した。
途中、ルイス少尉からフレッド副長に無線通信が入った。
「副長(=フレッド副長)、
2km先で馬車が道の真ん中を走っている。」
するとフレッド副長から応答が入った。
「どれどれ、そこまで移動します。」
約1分後、フレッド副長から応答が入った。
「確かに1km先で馬車が道の真ん中を走っています。」
僕はインカムを通して指示を送った。
「軽トラとワンボックスカーは20km/hに速度を抑えてください。
エイミーさん、ゲイリーさん、
先に行って、馬車を誘導お願いします。」
エイミー少尉とゲイリー少尉のインカムを通じて応答が入った。
「了解」
エイミー少尉とゲイリー少尉が乗るロードバイクは先回りして、馬車の誘導を始めた。
2分くらいで、エイミー少尉からインカムを通じて連絡が入った。
「馬車の誘導完了」
ま、その時には時速20kmに抑えても、馬車が視界に入っていたが。。。
僕はインカムを介して指示を送った。
「軽トラとワンボックスカーは馬車の横を時速20kmで通り越してください。
そして馬車の横を通り越したら、時速40kmに戻してください。
エイミーさん、ゲイリーさんは、
軽トラとワンボックスカーが馬車の横を通り越したら、
僕らを追いかけて。」
エイミー少尉とゲイリー少尉の応答が入った。
「了解」
そうかと思うと、ルイス少尉からフレッド副長に無線通信が入った。
「副長(=フレッド副長)、
2km先で家畜が何頭も道路の上にいる。」
約1分後、フレッド副長から応答が入った。
「たしかに、1km先で複数の家畜が道路の上にいますね。」
僕はインカムを通して指示を送った。
「軽トラとワンボックスカーは20km/hに速度を抑えてください。
ベリンダさん、トビーさん、ローレンスさんは、
先に行って、家畜を道の外に連れ出して。」
ローレンス曹長とトビー軍曹とベリンダ上等兵のインカムを通じて応答が入った。
「了解」
ローレンス曹長とトビー軍曹とベリンダ上等兵が乗るロードバイクは先回りして、道路の上にいた複数の家畜を外に連れ出し始めた。
ま、ロードバイクに乗りながらなんだけど。。。
(第58話)
時速20kmで走行している軽トラやワンボックスカーも数分後には、道路に家畜が複数いる場所に到着した。
仕方なく、僕はインカムを介して指示した。
「全車一旦停止、皆で家畜を道路の外に連れ出しますよ。」
そう言って、ワンボックスカーと軽トラに乗っていたメンバは下車して、皆で家畜を道路の外に連れ出した。
あ、後ろからついてきたエイミー少尉とゲイリー少尉は、ローレンス曹長とトビー軍曹とベリンダ上等兵と同様に、ロードバイクに乗りながら、家畜を道路の外に連れ出した。
こんな感じで、停車時間を減らした。
また、障害物が2kmに渡ってないときとは、最大時速60kmで走った。
練兵場から王城までは1時間半弱で帰ることができた。
先々週は1時間45分程度だったので、15分程度短縮できた。
途中、ドローンの飛行時間があるので、2回ほど、停車してドローンを入れ換えたりもした。
え?
練兵場から王城まで約50kmで、最大時速60kmで走って、なぜ1時間半弱かって?
1つには、街道なので、町や村の人通りがあるところを、幾つか通るんだよ。。。
だから、上空からドローンやパラグライダーから空中で安全を確認しているとは言っても、住民に恐れを抱かせるわけにはいかない。
だって、『庶民にとっては、自動車は【特権階級の象徴】』になっている現状がある。
(第79話)
住民に恐れを抱かせる運転は絶対にダメなんだ。
また、そもそも、人通りがあるところだと、いつ飛び出してくるかわからない。
ということで、人通りがあるところは時速30km程度まで抑える必要があったんだ。
でも、この高速化にドーラの分隊は気を良くしてね。
ときどき、この高速化を『高速モード』と呼称し、時々使った。
また、最大速度も増やして、土産として持ち込んだドローンの最大速度である、時速70kmまで増やした。
これ以上の速度はドローンもパラグライダーも難しかった。
ルイス少尉もこう言ってた。
「いくら、私の魔法で加速しても、
私がパラグライダーを制御できるのは時速70kmが限界ね。」
でもね。。。
この『高速モード』は、軍上層部から『速度の出しすぎ』と言われて禁じられる恐れがあったから、しばらくは分隊メンバだけのナイショにしたけど。。。
次話は2026/5/19 0時に更新予定です。




