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イマ子の記憶  作者: 時田総司(いぶさん)


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13/14

13 蚊の記憶



ぷ~ん



「あぁ!? もう!!」


 夏の風物詩。

 それは暑苦しい夜の早過ぎる目覚ましになる。


「なんつってコイツらは耳元で囁くかね!?」


 堪らず電灯を点けた。


「どこ行きやがった……?」


 周りを見渡してみる。


 あっ


「居たぁ――!!」



 ぱんっ!



 両手で1拍手、無礼。



 ぷ~ん



「あぁ!? 指のスキマからぁ!!?」


 そのままヤツは天井に張り付いた。


「おーい! 降りて来いよぉ! 卑怯者ぉ!!」


 新聞紙を丸めた。これなら……


 ばんっ!


 あっ


 ぷ~ん


「逃げられたぁ……!」


 テニスやバドをやってた訳でも無い私じゃ、仕留めきれないのかぁ……?



――、


「まだ天井に居やがる……」


 ! 待てよ、このまま居座り続けてたら……



~~~~~~


蚊「叩かれるのが怖くて、降りられない蚊~」

私「おーほほほ! そのままそこで指をくわえていれば良いわ~」


~~~~~~



 これだ!


「ある程度格闘したから、もうやってこれねーだろ? よーし、寝よ」



 ――、


「かっゆーい!!!!!!!」


 刺された。


「足、足っ! しかも、小指の第一関節!! 大分めんどくせーとこ!」



 ぷ~ん



「(涙)ヤロー……ふんっ!」


 ぱん!


 あっ


「倒せた! これで安心して寝られる! でも痒いー……」


 熟睡するコト、30分――、


 ぷ~ん


「二匹目ぇ!!」



 あの頃の私は知らない。

 この鬱陶しい蚊が、暑すぎて動けなくなる夏が来ることを――。


 あの頃の私は知らない。

 この鬱陶しい蚊が、居なくなったと思うとまた秋に顔を出すことを――。



「あー、痒い」


 蚊の記憶、イマ子の記憶――。

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