13 蚊の記憶
ぷ~ん
「あぁ!? もう!!」
夏の風物詩。
それは暑苦しい夜の早過ぎる目覚ましになる。
「なんつってコイツらは耳元で囁くかね!?」
堪らず電灯を点けた。
「どこ行きやがった……?」
周りを見渡してみる。
あっ
「居たぁ――!!」
ぱんっ!
両手で1拍手、無礼。
ぷ~ん
「あぁ!? 指のスキマからぁ!!?」
そのままヤツは天井に張り付いた。
「おーい! 降りて来いよぉ! 卑怯者ぉ!!」
新聞紙を丸めた。これなら……
ばんっ!
あっ
ぷ~ん
「逃げられたぁ……!」
テニスやバドをやってた訳でも無い私じゃ、仕留めきれないのかぁ……?
――、
「まだ天井に居やがる……」
! 待てよ、このまま居座り続けてたら……
~~~~~~
蚊「叩かれるのが怖くて、降りられない蚊~」
私「おーほほほ! そのままそこで指をくわえていれば良いわ~」
~~~~~~
これだ!
「ある程度格闘したから、もうやってこれねーだろ? よーし、寝よ」
――、
「かっゆーい!!!!!!!」
刺された。
「足、足っ! しかも、小指の第一関節!! 大分めんどくせーとこ!」
ぷ~ん
「(涙)ヤロー……ふんっ!」
ぱん!
あっ
「倒せた! これで安心して寝られる! でも痒いー……」
熟睡するコト、30分――、
ぷ~ん
「二匹目ぇ!!」
あの頃の私は知らない。
この鬱陶しい蚊が、暑すぎて動けなくなる夏が来ることを――。
あの頃の私は知らない。
この鬱陶しい蚊が、居なくなったと思うとまた秋に顔を出すことを――。
「あー、痒い」
蚊の記憶、イマ子の記憶――。




