湖から始まる世界⑤
こんばんは。また1週間がたちました。
今回は、今までで一番会話が多い回になりました。注釈がほとんどありません。手抜きと思わないでくだされば嬉しいです。
首筋の傷口を抑えている布切れがじわりじわりと黄色く染まっていく。
「痛みは、まだあるか?他におかしな所は無いか?」
「痛いは痛いけど、我慢できないほどの痛くは無い。あとは、腕が全く動かないことと、目がぼやけて見えることぐらいかな。。。」
「ズタボロではないか。熱は?吐き気とかは無いか?」
押し倒すようにその場に寝かせながら、片手で布を抑え残りの手で額にあてがう。
あてがわれた手は、ひんやり冷たく心地よかったがすぐに手を引かれてしまう。
l熱っつ!とんでもない熱ではないか!まるで焚き火に入れた栗が破裂する寸前みたいな熱さだぞ!!!」
「待って、ピンと来ない。っえ?何?その例えいる?」
独特で独自性が強すぎる例えに驚きが隠せなかった。
「ふざけるでない!こんな熱でふざけてる場合ではないぞ!!」
ふざけているつもりはないが、とても怒られました。独創的な例えのおかげでとても分かりにくいが、石田さんの口ぶりから察するに相当の熱が出ているのだろう。引いた掌が先ほどよりも赤くなっている気がする。
「多少の熱ぐらいなら大丈夫ですよ。体感42℃くらいまでなら日常レベルで悟られず動けますよ。慣れてますから。ワンチャン、インフルすらバレません」
普通の人は、38℃を超えたあたりで動きが衰え出し、40℃になると動くことすらままならなくなる。しかし、当の男、勇樹と言う男は生まれてからの生活環境のお陰でとても丈夫に育ち熱に侵されても平気な体になっていたのだった。
「よんじゅうにど?いんふる?インフルはダメだろ」
シャイ蔵からの恩恵により聞いたことのない単語でも理解できたようで、どこまで理解できたかわからないがインフルエンザがどんな病気かは何となく理解できたみたいだった。
「蜘蛛に捕まるまでに川か、池は無かったか?」
「え〜っと、最初に落ちてきた所が湖だったけど蜘蛛のせいで行ける気がしないかな?」
「何で覚えとらんのだ。ほんとに使えん奴だ」
「サーセン」
本当に行ける気がしなかったため、適当に謝るしか無かった。そんな時、茂みの先から草を分けて歩く音が聞こえた。その音にいち早く気がついたのは、石田さんだった。
声を押し殺し、少しまだ熱い手で勇樹の口を抑える。足音の主がもしかしたらさっきの蜘蛛みたいな化け物かもしれない。こんな森の中なのだからその可能性は一番考えられる。よって、足音の主が歩き去るのを待っている様子だった。口を抑えられて気がついたことが一つ。
(なんか、やわらかい)
そんなことを考えながら身をまかせるしか出来ない。ただ、やっぱり魔が差したしか思えない行動に出てしまう。
(ペロ)
息を押し殺していたお侍さんは、“ひやっ”っと一声漏らし一瞬にして3mほど飛び下がり左右に分かれた蜘蛛の残骸に背を付けた。気色悪さが警戒心に勝利した瞬間を目の当たりにした。
(なにをする!!!)
小声で絶叫する。
「なんか、綿あめみたいに柔らかかったからつい。。。」
「///」
顔のあたりが赤くなっていくのが見えた。
「いや、それで舐めるのはどうかと思うけど。。。」
「へへ。。。へ?」
第三者の声が割り込んできた。音を立てながらゆっくり茂みから現れる。
「大丈夫、僕は敵じゃない」
茂みから現れた人物はそんなことを言いながら両手を上げて二人の前に現れる。上げられた手は“武器を持っていない””攻撃しない“を意味している。
とても特徴的な格好をした人物だった。大きなマントを羽織り長袖長ズボンにブーツを履いている。マントの端を頭から被り鉄色の凹凸のない仮面をかぶっていた。完全に肌を隠し露出されている場所が見つからなかった。
「一応確認だけど、君らはこの世界の人間じゃないよね?」
「うん、まぁ」
突然核心を突く質問をされ一切心構えをしていなかったため適当な答えを返してしまった。
「お主敵ではないと言ったな、ではここら辺のものか?不躾であるのは承知のうえで出来れば蜘蛛の毒に効く薬など持っておらぬか?そ奴が蜘蛛の毒にやられてしまって身動き出来なくなってしまったのだ。いつまで持つかわからんゆえ出来れば早急にお願いしたい」
「申し訳ないが薬は持っていない」
あまり間をおかずに返事が返ってきた。どうやら薬は持っていないようだった。
「まず自己紹介から、僕は案内人で固有名称は”クロ“と呼ばれてる」
服装を見ても仮面にしても黒い部分は見当たらない。せいぜい茶色い部分が多いくらいだ。
「わしの名は石田三成で、そこで横になっているのが変態の勇樹と言う。案内人というのなら道に詳しいとお見受けする。頼む、医者のいるところまで案内してほしい」
「それは可能だが、医者のいる村まで少し距離がありそこの変態の体力がそこまでもたないと思われる」
(っへ?泣きそう)
魔が差した行動は、究極の称号“変態”を授けた。
身体的には丈夫に育ったがメンタルが砕けそうになっていた。
「距離はどのくらいになるだろうか、脚には自信がある。その変態を抱えてでも大差なく駆けることが出来る」
「速度によるが、歩いて3日かかるがそれを3刻ほどで走破出来るなら可能だ」
人の歩く速度は、1時間に3〜4キロと言われている。それを3日分の距離というと少なく見積もっても200キロを超えている。それを人一人担いで、徒歩で3時間で走破しろと言われても出来ないのが目に見えている。
「頼む、どうしたらこ奴を救える?どうやったら助けられる?」
会って間もないにも関わらずここまで親身に思ってくれる人間を見たことがない。ほぼ他人の人間を。
「簡単なことです。僕なら助けることが出来ます」
「では。。。」
「もちろんタダでは 動きません。条件をクリアした時なんでも言う事を聞きましょう」
「人の命がかかってるんだぞ!命に条件をつけるな!!!」
怒りが、絶叫に変わる。
「それでは、そこでのたれ死んでください。そうしてもらった方が此方も助かります。案内しなくてすみますから。もしかしたらその方が世界のためかもしれないですね」
「でその条件って?」
話を聞くことしかできなかった勇樹(変態)は、話を進めるためその条件を伺う。
「条件は、簡単です。僕に勝ってください」
「っへ?」
「勝てればなんでもいいです。殴り合い、殺し合い、頭脳合戦でも競技は何でも構いません。是非一番得意なもので挑んでください。もちろんズルはダメですよ。ズルが見つかり次第、殺していきます」
「なかなか物騒な事を言うな」
石田さんは不快な顔を隠せなかった。
「負けてもペナルティーは有りません。勝てるまで何回でも挑戦して下さい」
「これのどこが、案内人の仕事なんだ?」
「ちゃんと案内してるじゃないですか。決めるのはあなた達です。あなたの世界でも有ったでしょう。“勝てば官軍”って聞いた事ないですか?」
「っく!」
「ターイム!作戦会議!」
「どうぞお好きに、時間はどんどん消費されますよ」
勇樹は声を上げ作戦会議を提案した。その提案は二つ返事で了承された。それを受けて招きで石田さんを呼ぶ。
「これは、とりあえず受けよう」
「何故だ」
冷たく突き返される。しかし物怖じせず返答する。
「今出来る事はそれしかないから。もしかしたら向こうは嘘をついてるかもしれない。でも、嘘を付いていないかもしれない。」
「嘘ついてないですよ〜」
話の腰を折るように声が届く。
「あれも、あぁ言ってるし縋るしかない」
「でも、勝てる物はあるのか?武芸は出来るが奴に勝てる保証はない。あらゆる奴に勝つために修練を積んだにも関わらず、何故か知らんが勝てる気がして来ないのだ」
「ん〜ん。自分も手が動けば勝てるんだけど、今動かないから」
「すまんが一つ聞いていいか?」
声を震わせながら質問をする。
「どぞ」
「ぺなるてい?とは何じゃ?」
まさかの質問だった。勇樹の言葉は恩恵により発せれば意味が伝わるが、クロと名乗る案内人はどうやらその力はないみたいだった。なので、聞いたことのない単語などに意味が付いてこなかった。
「えっと、簡単に言うと〜負けたら罰ゲームみたいな?」
「何と!では、負けたら罰を受けるのか?」
「いや、”ペナルティーはない“って言ってたじゃん。だから大丈夫」
「そうか、なら良い」
最近湿度が下がったのか、汗がめっきり減り過ごしやすい日が続きます。(雨は頻繁に降るけど)
このまま冬へ向かうのかなっと思う今日この頃です。
まだ千葉での停電が続いてると聞きます。
辛いとは思いますが、もう少し頑張って下さい。
必ずなんとかなります。
終わらない現場が無いように、終わらない災害も絶対ないのです。
こんな事しか出来ませんが応援させてください。
1日でも早く平穏な日常を送れますようにと。




