湖から始まる世界④
1週間が経ちました。皆さん台風は被害に遭われなかったでしょうか?私の周りは特に被害はなかったのですが、交通網が麻痺しかけてかなり辛かったです。被害に遭われてしまった方は大変お悔やみ申し上げます。頑張ってとしか言えませんが心より応援させていただきます。
照り付ける太陽の輝かしい眩しさは、木々の隙間からの木漏れ日となり周囲を明るくする。
そこには意気揚々と仕留めた獲物へと駆け寄る人影と、地上に伸びた植物の根に絡められ簀巻き状態になっている悲惨な影の二つが存在した。
「ごっはん♪ごっはん♫」
陽気に、軽快に、楽しそうに歌を口ずさむ。
口ぶりから思考が一つにしか向いていない要する。
「あの〜、おさむらいさんおさむらいさん。ここから出してほしいな〜、助けてほしいな〜。。。」
全身に根に絡まり全く身動きが取れない哀れな元餌さんは救いを求めて遠回しに懇願する。
「何しとるんじゃお主?」
「急に出てきた根っこに拘束されてしまいました」
先程、蜘蛛の魔法により発生した根による攻撃がサムライだけでなく、捕まっていた男にも及んでいたらしく結果が現状の状態である。
男は視界がぼやけていた為なぜ木の根が生えてきたのかは理解できず、ほぼされるがままの状態で受け入れていた。
「まぁよい。お主」
「良くは無いです。出たいです、出してください」
「さっきからずっと“サムライ”“サムライ”と言っておるがワシの名前は“サムライ”では無い」
「知ってますけど、知らないですし」
名前が“サムライ”でない事は充分理解している。しかしその“サムライ”の本当の名前を知らない為通称として“サムライ”と呼んでいるに過ぎない。
「ワシの名前は、主君は豊臣秀吉。豊臣家一の家臣“石田 三成”である!呼びかたを改よ!」
サムライは“石田三成”と名乗る。
「とよとみ?ってもしかしてあの豊臣秀吉?」
「さすがワシの秀吉様。異国にまでその名は轟いていたとは」
自分の使える主人が遠い地にも知られる程大きな存在と知り、歓喜で震える。
「学校で習ったから知ってるだけで、詳しくは。。。」
「がっこう。噂の寺子屋みたいなものか。不思議と聞いたことのない言葉のはずなのに理解ができる。」
この世界で初めて受ける”シャイ蔵“(自称神)による恩恵が役に立った。
天秤で”シャイ蔵“から飴玉以外に2つの恩恵お貰っていた。その内の一つが、“別世界に行っても会話できる機能”である。
その機能は魔法によって、脳に直接組み込まれている。その効果により、言語の概念のある言葉を翻訳し理解できるようにする事と、話した言葉が相手に意味を叩きつけ理解させる事を瞬時に行う機能である。
もう一つは、“道具袋”と呼ばれるコンビニ袋程の大きさの袋を貰った。使い方を尋ねたが、「物を入れる袋!以上!」しか教えてくれなかった。男は、手で持っていても意味がないのでズボンのポケットにしまってある。
そんなことを思い出していると、体に絡みつく根を刀で切り払ってくれる。
「それであれば、我が主君!秀吉様の名だたる武功を一から、、、」
「ありがとう!たすかったよ!」
「う、うむ。。。」
体に絡みつく根を取り払ってもらった為、体が自由になる。そして立ち上がろうとするが、違和感に気づく。足や腰は動かせる。首も回るし、言葉を交わすことも難なくできる程回復した。しかし、視力と腕は回復していなかった。視界はまだぼやけ、腕は肩から指先まで一切動かすことが出来なかった。蜘蛛から受けた傷跡はまだ残っているが不思議なことに出血がそこまで酷くない。
両肩に穴が空き、首筋も噛まれていたにも関わらず吹き出るほどの出血は見られなかった。
動かない腕と戻らない視力は考えられる限り蜘蛛の攻撃によるものとしか思いつかない。ただ、今できる事は。。。
「。。。えっと。。。すいません、立てないので起こしてもらえません?」
男は、目の前にいる人に助けを求めて。
「どうした?腰でも抜かしたか?」
そう言いながら、近づいてくれた。
男は動く腰と足を使いうつ伏せのまま、腰を上げて説明する。
「蜘蛛のせいで腕が動かないんで立てないんスよ。。。」
「そうか、では 仕方ないな」
そう言って手を取って起き上がらせてくれた。少しは笑ってくれると思っていた奇抜な行動をスカされ羞恥心が爆発しそうになる。
「いや〜すいません何から何まで」
顔を赤くしながら平静を装う。
「いや、良い気にするな。人助けは武士の仕事だからな。それで、お主名前はなんと?ワシは名乗ったぞ」
聞いた事はある。“名前を訪ねる時はまず自分から”と言うのが昔の人の流儀だったことを。だから向こうは先に名乗ったのである。これで名乗り返さなければクズになってしまう事を知っている。
「あっあ〜、え〜と、勇者の勇に樹木の樹で勇樹と申します」
やっぱし、クズのレッテルは嫌だった。助けて貰って隠すほどのことでもないので、名乗るだけ名乗る。苗字だけ。
「ほ〜、勇樹か良い名だな」
(褒めてくれてるけど、苗字なんだよな〜)
「して、肩は痛みはないのか?血は少ないようだが。。。」
一番大きくて目立つ傷口を心配してくれる。傷口は深く、服に穴を開けて見えている傷口。
「少し痛い気がしますけど、ん〜ん、ほとんど感じないですかね?もしかしたら、腕と一緒で麻痺しちゃってるかも知んないスね」
普通の人が同じ大きさの傷を負えばきっと、血を吹き出し痛みに耐えきれず、壮絶な叫び声を上げてのたうちまわるだろう。心が弱ければ、絶命しても可笑しくはない。そんな状態にも関わらず”全然平気っす“みたいな態度をとられて度肝を抜いたみたいだった。その証拠に、そこの石田さんはさっきより2歩3歩距離が開いていた。
「そんなに引かなくても。。。」
「いやお主それどころでは。。。」
軽く肩を落とすがどうやらほかにも原因があるらしい。それがわからず首を傾げていると、心配する声色で説明を受ける。
「顔がおかしい」
「ほわ!?」
面と向かってディスられた。膝の力が抜けるのが錯覚レベル訪れる。
「医者にすぐ見て貰った方が良いぞ。早急に。掛かり付けとかは居らぬのか?」
そこまで言われなければならないほど顔が悪いと、人の事をそこまで言えるほどこの石田さんはできた顔なのか疑問に思う。恩人であるためなにも言えないが、勇樹の視界はピントが合わずボケてしまっている為この恩人の顔が見えない事を後悔する。そんな事を思っていると石田さんは自分の袖を切り裂き勇樹の首に慌てる様に押さえつける。
「いいか、落ち着いて聞け。掛かり付け居らぬのか?すぐに診てもらわなくては間に合わなくなる。お主見えて居らんと思うが首筋の傷から出てきて良いもの以外のが出てきておるぞ!」
抑えられている袖だった布はみるみる色が変わっていく。普通であれば傷口を抑えているので血液の色に染まるはずが、染まった色は黄色だった。
「っへ?っへ??っへ???」
理解ができなかった。肩の傷口から垂れているのは、赤色にも関わらず首から垂れているのは黄色と信じられない色の液体が垂れていることに。
「おろおろするな!しっかりしろ!!ワシは医者じゃないんだ!!!お前がしっかりしないでどおする!!!」
説教されてもどうしようもない。なぜなら過去に一度も同じ状況を経験したことがなく、どうしたらいいのかすらも皆目検討がつかないからである。
「医者って言ってもどこに医者がいるか自分も知らないスけど。。。」
「主!ここらに住んでいるんじゃないのか?なら何処から来た?来たところに戻ればなんとかならんのか?」
「何処からって言われても、別の世界?っていうか本当は自分いた世界から変な奴に飛ばされてここに居るって言うか。。。」
「。。。やくたたず。。。」
「なんて?」
石田さんは小さな声で悪態をついた。勇樹さんは、聞き返すが返事が返ってこなかった。
会話を意識しすぎて場面変更が全く上手く行きません。これからもっと精進いたしますので是非応援のほどお願いいたします。また次回投稿させていただきます。




