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魔王と治癒師と姫君の三つ巴 No.5 優勝者は?


廃墟と化した選抜祭・試合会場


〖九聖光・傍観室〗


「試合会場がメ、メチャクチャですね‥‥‥‥‥エンシェルトさん」


「‥‥‥‥まぁ、慌てるな。第六席・カグラ‥‥‥‥予定通りだが‥‥‥流石に被害が大き過ぎる‥‥‥これら全ては冒険者ギルドとユグドラ家へと請求する」


「それでユグドラ君を縛るつもりですか?でも、彼の保有している財産でこんな規模の被害額なんて直ぐに返せるのでは?」


「‥‥‥‥‥そんなわけあるまい。エドワードの個人財産は九聖光を辞めた罰としてユグドラ家が没収したと聴いたが?」


「多分、それは表の財産ですよ。彼、アルトネ大陸中に隠し金庫を作って色々な物を保管してるとか。酔った勢いで言っていたので間違い無いです」


「‥‥‥‥いや、今回、この会場で逃げ遅れた多くの冒険者達は皆、怪我をした筈だ。その怪我の治療費は間違いなく莫大な借金として‥‥‥‥」


現九聖光・エンシェルトが崩壊した観客席を眺めた瞬間、彼等は目覚めた。


ガラガラ‥‥‥‥‥。


「「「「「ウオォォ!!!!!楽しかったぜえぇええ!!」」」」」


観客席の瓦礫の中から無傷(・・)の冒険者達が姿を現したのだ。


「すげぇ!!試合だったなっ!」


「流石がロリババの弟子だ。良いもん見せてくれるじゃねぇかっ!エドワード!!!」


「イヤー、肝心の選手達が次々に棄権してたから、イライラしてたけど。最後の試合は良かったわ。ユグドラ!!」


「しかし、あの赤髪のレイカって選手っ!すげぇ!!剣の使い手だったんだな。ありゃあ、伸びるぜぇ!!絶対にな」


「‥‥‥‥‥何故、瓦礫から人が生えてくる?いや、それよりも何故、この者達は皆、無傷なのだ?」


「剣技大陸に住む方々は魔力を使うのが不得意な分、肉体許可な得意な方達ばかりなのでこの程度の崩落では誰も怪我をしないかと」


「‥‥‥‥一般客は?」


「一緒です。ピンピンしてます。東の「ウォルトの墓場」のグールの様に甦ってます‥‥‥‥無傷(・・)で」


「‥‥‥‥‥剣技大陸の冒険者は堅牢なりか‥‥‥」


「ですね‥‥‥‥でも、これでユグドラ君を九聖光に戻す事ができたんですよね?」


「‥‥‥‥‥形だけだがな‥‥‥‥それを他の東西南北に入る九聖光達が認めるかは分からぬ。本当はアマルダを優勝者させ、〖後継者〗達が育つ数年の間。任せる手筈だったが‥‥‥‥まさか棄権するとは思わなんだ」


「そうでね‥‥‥‥どうしますか?やはり別の有力な方を指名して‥‥‥‥」


「‥‥‥‥少し遅かった。大会の決まりは絶対だ。今更、覆せば各地の九聖光達が抗議してくるだろう。エドワードの補佐役として〖魔王〗どのか〖姫君〗か?‥‥‥のどちらかに付いてもらおうとも思ったが逃げられてしまった。仕方がないが暫くの間。筆頭騎士レイナ・ヨルに頼むとしよう」


「姉様にですか?‥‥‥ですが姉様はイリス姫様の護衛があるのでは?」


「‥‥‥‥レイナもそろそろ九聖光の仕事に付かせたいのでな。それと護衛の任務は〖九聖光・後継者〗候補達の中から新しく選出するつもりだ。時代を育成する為にもな。これ以上、魔法大陸の猛者共との力の差をつけられない為にも必要な事なのだ」


「姉様を九聖光に‥ようやくですね。姉様‥‥‥‥魔法大陸は〖魔王〗・ユナさんの出身地ですか‥‥‥‥」


「‥‥‥‥あぁ、魔法大陸一の大国が誇る〖勇者〗が行方不明になったと聴いた時には驚いたが‥‥‥‥それと入れ替りで〖担い手〗と言うものが活躍し始めているらしい」


「〖担い手〗?」


「‥‥‥‥あぁ、その者は『ラグナログ(神々の黄昏を)』の者達を六人も葬ったと〖天〗から聴いたのだ」


「〖ラグナログ(神々の黄昏)〗を六人も‥‥ですか?そんな人が魔法大陸に?」



九聖光・第一席・エンシェルトと第六席・カグラそんな話をしている間にも、冒険者ギルドのメンバーと一般客が次々と瓦礫の中から無傷(・・)で這い出て来る。そんな中、九聖光・選抜祭の優勝者が目を覚ます。


〖試合会場〗


「‥‥‥‥くっ!策士、策に溺れるとは列島大陸のことわざでしたね‥‥‥‥その策士と言うのは僕の事ですが‥‥‥まさか、姫君とエスフィール嬢に逃げられてしまうとは。九聖光の役職を姫君に任せるという僕の計画が‥‥‥‥台無しです」


「おおっとっ!立ち上がったのはエドワード・ユグドラ選出。エスフィール選手もレイカ選手も姿が見えない‥‥‥‥‥‥ですので今回の九聖光・選抜祭。優勝者は前九聖光・エドワード選手がその座にまた付く事に相成りました!!!」


「「「「「「オオオオオォォォ!!!!ふざけんな!!!金返せええぇぇ!!!ユグドラ!!!!」」」」」」


「‥‥‥‥‥い、いえ、僕はそんなつもりは‥‥‥‥」


ガタイの良い冒険者達が群れを成して僕に向かって来ます‥‥‥‥‥僕は直ぐ様〖無闇の力〗を使い別の場所へと移動‥‥‥‥


「なんてさせませんよ。バカ弟子君」


「アレイギルドマスター?。何故、ここに?」


「良くもさっきはやってくれましたね。さぁ、裁きの時です。私が手塩にかけた冒険者達にお仕置きされなさいっ!」


「「「「「オオオオオォォォ!!!!吊し上げろ!!!」」」」」


「‥‥‥‥‥‥いえ、僕は引退した身でして‥‥‥‥てっ!ぎゃあああ!!!!」


その日、新九聖光・エドワード・ユグドラ (旧九聖光)の断末魔が王都中に響いたという。


◇◇◇◇◇


アルトネ大陸・西側・港都市〖アステルマルカル〗


1隻の黒き大船が深海(・・)より浮上する。


ザバアァァンン!!!


そして、一人の男が黒き大船の船場に現れた。


「おぉ、着いた。着いた。ここが〖代理人〗の旦那が言ってた〖アステルアルカル〗港か‥‥‥‥すげえ、デカイなっ!オイッ!‥‥‥‥そんじゃあ、暫くの間は大人しく暗躍して過ごそうかね。イルミナ」


ラグナログ(神々の黄昏)・アルカナNo.12〖吊るされる男〗

ブラック・マリン船・〖船長〗エクシス・●●●●●〗


「‥‥‥ハイッ!エクシス船長」

〖副船長〗イルミナ・オマリー



次なる刺客が現れる。

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