第二百六話 差異(1/?)
******視点:風刃鋭利******
3月11日。今日も再び帝都ドーム。
主に幾重さんが大暴れしてくれてるおかげで、ここまで日本代表は2勝負けなし。多分、もし番狂せがあった時にラストにプレッシャーがかかるってことでおれが4戦目の先発になったんだろうけど、順当に勝ってくれてるおかげで気楽なもの。
それはいいんだけど……
「風刃様!昨日のワタクシのピッチング、いかがだったでしょうか!?」
「う、うん……良かったよ……」
昨日投げたからおそらく今日はおれと同じく出番がない美里。まぁやっぱり可愛いっちゃ可愛いし、良いピッチングをしてたってのも嘘偽りないけど、こうやってグイグイ来られるのはちょっと……
「まっすぐもスプリットもよく合わせられたな、この短期間で」
「……え?」
「え?いや、WBF球……」
「球がどうかなさいました?」
「いや、JPB球と色々違うじゃん?」
「……?違いなんてあるのですか?」
「縫い目の高さとか、滑りやすさとか……」
「!?き、気付きませんでしたわ……」
「マジで……?」
「さすがは風刃様ですわ!そんな微細な違いに気付くとは、やはり素晴らしい感覚をお持ちですわ!」
「あ、あはは……そうなのかもな……」
いや、みんな言ってるじゃん……
でも逆に言えば、こういうとこも美里のすごいとこだな。違う球で全く同じ投げ方をすれば球質だって確実に違ってくる。なのにシーズン中と変わらないクオリティのまっすぐとスプリットを再現できたってことは、無意識の内にそういうアジャストをやってのけたってこと。
単に身体がデカいだけのパワーピッチャーじゃない。こういうところのポテンシャルも、他の奴とはものが違う。伊達にドラ1じゃねーよなぁ……
「日本代表、スターティングメンバーを発表いたします。ピッチャー、大神。背番号14」
「「「「「うおおおおお!!!」」」」」
まぁ、今日投げるのはもっとやべー奴なんだけどな。
「WBF2023、一次リーグB組。ここまで中国と韓国相手に圧勝し、絶好調の帝国代表。今日の試合に勝てば準々決勝ラウンドへの進出はほぼ確定と言えるでしょう。この3戦目の先発を任されたのはプロ4年目、昨シーズンは史上最年少パーフェクトゲームなど記録づくしの1年となりました、"怪物"大神小次郎」
「プレイボール!」
「1回の表、チェコ代表の攻撃。1番ショート、イェリネク。背番号77」
「今日の帝国代表に立ちはだかるのは、今大会初出場のチェコ代表。プロリーグはなく、代表選手のほとんどが野球以外の本職を持つ社会人。しかし、昨日のデビュー戦では中国代表を相手に勝利。これからの活躍が非常に楽しみなチームです」
「ボール!」
「初球は外、外れましたがいきなり162km/h!!!」
「えっぐ……」
「ちょっとコイツは桁が違うわ……」
日本でもメジャーでも平均球速が年々上がってるけど、その中でも小次郎は別格。身体のデカさとかそれだけを言い訳になんかできねー。投げる球のポテンシャルは間違いなくおれ以上。
「ふぅん……まぁ速いですわね」
「んー?美里的には好みじゃねーのか?」
「風刃様のような美しさがありませんわ。幾重さん然り、身体の大きさに頼ってる感があると言うか……」
「お、おう……」
美里だってどっちかと言えば小次郎とか幾重さんの方がタイプが近いと思うし、おれよりも参考にすべきだと思うんだけどなぁ……
「ボール!」
「これも外!しかし161km/h!2球続けて160km/hオーバーの快速球」
「ほら、また外されてるじゃないですか」
「まぁ立ち上がりだし……」
いきなりあれだけの出力出せるだけでもやべーって……




