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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第六章 可能性の代行者
1332/1335

第二百五話 情けは人の為ならず(2/?)

「1番サード、月出里(すだち)。背番号25」

「11-4、帝国代表(チームエンパイア)が宿敵・韓国を相手に大量リード。なおもワンナウト一塁で今日5打席目の月出里。ここまで3打数1安打、死球1つ、打点1。本戦に入ってから大きな当たりはありませんが、切込隊長としてその役割を全うしております」


 序盤は結構まずい流れだったけど、なんだかんだでこんな状況。3回にすぐに逆転して、長尾(ながお)さん以降が堅実に抑えたのがきっと大きい。


「スライダー打って!ライトの前、落ちましたヒット!」

(……思ったよりキレてきたのが逆に、かな……)


 月出里さん相手に鉄板の外スラ……だけど甘く入ったのを逃さず。それでも月出里さんは納得のいってない表情。確かに振りの強さからいっても明らかに大きいの狙ってそうだったし、多分思ったよりもほんの少しスライダーが大きく曲がったのが逆に良い結果になったって感じ。

 ほんと、ヒットとかってのは内容をよく見ないとその価値がわからないもの。


「ボール!フォアボール!」

「ここも選びました草薙(くさなぎ)!ワンナウト満塁!」

「3番指名打者、幾重(いくえ)。背番号16」

「ここで回ってきました!帝国代表(チームエンパイア)の千両役者、幾重光忠(いくえみつただ)!今日も3打数2安打1四球1打点、大会打率はここまで.571!1戦目の先発もこなし、その力を存分に発揮しております!」


「「「「「光忠!光忠!光忠!光忠!」」」」」


 3回に申告敬遠されてたけど、満塁でしかもこのスコア。勝負を避ける理由はないよね。観客が期待するのも当然。


「!!ああっと!キャッチャー捕れません!」


「「「「「ファッ!!?」」」」」


「セーフ!」

「ランナーそれぞれ進塁!12-4、さらに1点追加!」


「え、えっと……」

「これってつまり……」


「ファール!」

「ボール!」

「これでフルカウント……」

「ボール!フォアボール!」

「高め外れました!これで再び満塁!」


「「「「「おいィ!?」」」」」


 いや、外すつもりならそもそも申告敬遠してたはずだし、わざとじゃないはず。

 でも……


「4番ファースト、猪戸(ししど)。背番号55」

「再び満塁のチャンスで主砲の猪戸。先ほど犠牲フライを放ちましたが、今日も3打数ヒットなし……」

「ストライク!バッターアウト!」

「ん見逃しの三振ッ!最後は胸元まっすぐ、手が出ませんでした!」

(……ッ!!!)


「あほくさ」

「前のオリンピックと言い、リコの奴に4番打たすのもう止めようや……」

「忖度か何か?」


 完全にドツボ……


「5番レフト、十握(とつか)。背番号34」

「なおもツーアウト満塁。打席には今日3打数3安打4打点、犠牲フライ1本と大暴れの十握」

「ボール!フォアボール!」

「選びました!押し出しで13-4!十握、今日何と5打点!」


「「「「「良いぞ良いぞ346!!!」」」」」


 前後の打者が絶好調なのがまた……


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