第二百三話 今この地球上で一番良い選手(2/?)
******視点:風刃鋭利******
「全員集合!」
いよいよ帝国代表の強化合宿が開始。メンバーがいくら豪華だからって、やることはいつもとそう変わらない。監督やコーチに従って、チームを勝たせるだけ。
「まずはみんな、今回は召集に応じてくれて本当にありがとうねェ。指揮は執らせてもらうけどォ、アナタ達はみんな現役の頃のワタシなんかよりもずっと良い選手。個々の調整に関してはみんなのペースを尊重するわァ。野手は対戦経験の少ない、もしくは全くない投手との対戦。投手は大会公式球への適応。それぞれやることは色々あると思うけど、世界一奪還のため、各々最大値を出せるようにしっかり頑張ってねェ」
「「「「「ハァイ!!!」」」」」
監督を勤めるのは一昨年までエペタムズの監督を何年もやって、帝国一経験もある鈴鹿さん。歳を重ねてもやたら色っぽい人。そして今回の帝国代表の目玉である幾重さんをルーキーイヤーから二刀流として育て上げたことで有名な人。
「よう。帝シリでは世話になったな」
「もう、そういうのはナシでいきましょうよ」
「冗談だよ。よろしくな」
バニーズの方のキャンプである程度調整は進めてたから、初日から早速ブルペンへ。と言っても本番でバッテリーを組むのはこの小池さんとか久保さんとか、よそのチームの人ばかり。ひとまずはピッチングそのものよりもキャッチャーとのリズムを整えるところからだな。
「ナイスボール!」
うーん、やっぱいつものJPB球と微妙に感覚が違うなぁ。球の動きもどうも意図した感じじゃない。監督も言ってた通り、今回の合宿はこの辺の調整がメインになるかな?
「……ん?」
「「…………」」
こういうところの練習じゃコーチだけじゃなくファンや他の選手の視線もつきものだけど、その中でもやたら食い入るように見てるのが2人。さっきのサラマンダーズの野上って子はどうもおれのことを相当慕ってくれてるみたいだし、同じ右投手だからガン見してるのはまぁわかるけど、もう1人は……
「え、えっと……妃房さん?」
「アタシのことは気にしなくて良いよ。続けて」
去年実戦復帰した、シャークスの妃房さん。一匹狼な人で、他のピッチャーに全然関心がないって聞いたことがあるんだけど……
「そっか。このタイミングで前脚を踏み出して……」
独り言を繰り返しながら、時々自分もその場で投球モーションを軽く実践しつつ、ずっとおれのピッチングを見てる。
高卒1年目から4年連続でノーヒットノーランをやってるような凄い人、そんな人に注目してもらえるのは正直悪い気はしないけど、何が琴線に触れたんだ……?っていうかそもそも妃房さんって左投げだし、右投げのおれなんてそこまで参考にならないと思うけど……
「ハハハ!パツキン美女2人に注目されて、モテる男は得だなぁ!」
「あはは……そうっすね」
まぁそこも悪い気はしないんだけど、2人ともおれと違って背が高いからなぁ……『両手に華』みたいに言われても、何か攫われた宇宙人みたいになりそうで……
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