第二百三話 今この地球上で一番良い選手(1/?)
******視点:月出里逢******
2023年2月17日、宮崎。
この時期に宮崎にいるのは毎年のことだけど、今日からはバニーズの一員としてではなく……
「こちら宮崎アクアスタジアムです!帝国代表、三度目の世界一に向けて、続々と現役のスタープレイヤーが集まっております!あちらには昨シーズン11勝をマークし、左のエースとして期待されております、シャークスの長尾投手。そしてあちらには5年連続30本塁打を達成しましたジェネラルズの若き主砲、篠花内野手。そして高卒3年目、最年少で選出されましたサラマンダーズの未来のエース候補筆頭、野上投手……あちらにはペンギンズを二連覇へ導いた小池捕手もおります!」
「「「「「うおおおおお!!!」」」」」
日本代表のメンバーとして、今日から2週間くらい強化合宿。テレビの人達も、駆けつけてきた日本のプロ野球ファンも大盛り上がり。何となくリコの選手ばかり取り上げられてる気がするのは、多分気のせいじゃなくあの女子アナさんが桐凰の人だからっぽい。
「ちっす月出里さん!」
「お疲れ」
「おおっ、"天王寺四天王"!」
「やっぱ今回の代表はリプ中心だろうなぁ……」
バニーズから選出されたのはあたしだけじゃなく、風刃くんと十握さん、それから山口さんも。何だかんだで去年の帝国一球団のメンバー、ファンの人達は盛り上がってくれてる。
「月出里選手!一言だけ!今日からの意気込みを!」
「ああ、うん。適当に頑張ります」
「うーんこの"いけすかないバタフライ野郎"」
「(リプが注目されへんのは)そういうとこやぞ」
まぁテレビの人達も流石にあたしのとこには来たけど、この人達の本命はやっぱり……
「!?来たぞ!」
「「「「「おおおおお!!!」」」」」
「WBF日本代表として今大会から初出場となります……昨シーズン15勝30本塁打、野球の常識を常に変え続ける男、ドミニオンズの幾重光忠投手です!!!」
「どうもどうもーっす」
「「「「「光忠!光忠!光忠!光忠!」」」」」
この人の登場で、現地のボルテージが最高潮に。
メスゴリラ師匠と同い年で、顔立ちは割と童顔、それに見合って結構肌が綺麗。でも2m近い長身で、首から下の身体付きはあの友枝さんすらヒョロく見えるくらいの体格。
この人こそ、おそらく"今この地球上で一番良い選手"……と言われてる幾重さん。テレビでは毎日のように顔を見てきたけど、生は初めて。
「!おう、キミが噂の"ちょうちょ"ちゃんか!!」
「……どうも」
報道でのイメージ通り、社交的な人。向こうから近づいてきて、求められるままに握手。
「昴から色々聞いたぜ、4割打ったこと以外も色々と」
「そうですか」
「アイツも多分月末くらいから合流するだろうし、世界一獲れるように頑張ろうな!」
「はい」
多分、あたしが去年二刀流をディスったことも知ってるはずだけど、特に気にしてる様子はなく。まぁコソコソ隠れる気はハナっからなかったけど。
「それとキミ、風刃くんだよね?2年連続で投手四冠っていう」
「うっす!幾重さんがご存知とは光栄っす!」
「今でも俺日本の野球チェックしてるけどさぁ、ルーキーイヤーからすげぇと思って……ぶへっ!?」
「「「幾重さん!?」」」
「風刃様ァァァ!!!」
現役の日本人選手が一様に腰を低くする"世界的大スター"を押し退けて風刃くんの元に駆け寄ってきたのは、幾重さんに見劣りしないくらい長身の女の子。
「え、えっと……キミって確かサラマンダーズの……?」
「はい、野上美里です!こうやってお会いできて、共に日の丸を背負って戦えるこの日をずっと待ち望んでおりました!風刃様の芸術的な投球、この機会に学ばせていただければと存じます!以後お見知り置きを!」
「う、うん……よろしく……」
タレ目のなかなか可愛らしい顔立ちで、喋り方だけじゃなく髪も金色でやたら巻いてて、いかにもお嬢様っぽい感じの子。そして胸部も佳子ちゃんに勝るとも劣らない。ただでさえ女の子好きの風刃くん、しかも結構好みのタイプなはずなのに、意外と微妙な反応……
(やっぱ女の子は追っかけられるより追っかけた方がなぁ……)
オリンピックの時は大会の雰囲気的にも真面目そうな人が多かったけど、何か今回は全体的に賑やかと言うか、個性的な人だらけになりそうだね。
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