5話 「《努力》のおかげ」
そして俺は、自分のステータスを見終わった。
めっちゃ弱いじゃんかよ。それに称号の部分に異世界最弱ってあるんだけど。
俺は、そう自分のステータスプレートにツッコミを入れた。のと同時に、先程消えたはずのラビンスが突然現れたのだ。俺はびっくりして開いていた《ステータスプレート》を反射的に消してしまう。
「《ステータスクローズ》」
突然現れた彼は俺と一瞬目が合うと、顔をニコッとさせてからクラスメイトがいる方を向いて歩いて行く。その途中遠くで待機をしていたシーナに1つの命令をする。
「シーナ、彼のステータスの補助などのものを人たちを至急持ってこい。彼の件は時間がかかりそうだから私は他の人たちは先に転送させる」
「分かりました、ラビンス様」
そう言われたシーナはラビンスの命令に返事をしてラビンスとは反対側の方へ走って行った。
ラビンスに付いて行くクラスメイトたち、走っていくシーナ、そしてぽつりと俺はその場に残された。
さて、これからどうしようかな。ラビンスさんもいなくなったし、シーナさんもどこか行っちゃうし。
それから考えた末、俺はシーナさんが戻ってくるまで《ステータスプレート》を眺めることにした。
「《ステータスオープン》」
◆◇◆◇
それから5分経ってシーナさんだけが戻ってきた。俺は《ステータスプレート》を消し、シーナさんとお話をすることにした。
「シーナさん、お疲れ様です」
「いえいえ、べつにそんなことを言われるほどの仕事じゃありませんし、そもそもこれは下位の神である私の仕事なんですから。それと私の事は、シーナ、と呼んでください」
「それでも俺はシーナに、お疲れ様、と言いたいです」
俺はシーナにそう言われながらも『お疲れ様』と言った。正直俺は、こんなことをさせられているシーナを見ているとモヤモヤみたいなものができる。しかし何故出会って間もない女の子にこんなことを思うのか自分でも不思議なくらいだった。
そこで俺の頭の中にあることが浮かぶ。
あれ?俺ってシーナさんとどこかで会ったような。
「日向さん、私の顔何か付いてますか?」
そこでシーナは何かを思ったのか不思議そうな顔をしながらそう聞いてきた。俺はすぐに我に返り、
「あ、いやー、そのですね。・・・・・・俺ってシーナと以前どこかで会ったことありましたっけ?」
俺は今思っていたことをシーナに言ってみた。するとシーナは、「そんなことあるわけないじゃないですか。ですが、小さいときに3人でたくさん遊んでた記憶はありますが、そもそも人界の人とかかわることは出来ないですから」と、言って笑って見せる。
だが俺は、ふと思い制服に入れていた封筒を取り出す。
ここからはただの勘なのだが、もしこの勘があったていたらどうしようか。
しかしそんなことを思っている暇はない、と体が動き封筒の中身の1枚の写真を俺は取り出した。そして俺は取り出した写真をシーナに見せる。
と、同時にシーナは俺が持っていた写真を掴んできた。そしてシーナは俺の顔を見ると、
「この写真どこで手に入れたんですか!?この写真は3人だけが持っているはずなのに!」
そう言ってきた。俺は聞かれた通りに、何故その写真を持っているのかを説明した。
俺の勘は見事的中した。
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「そうだったんですか。という事は日向君はあのひーちゃんなんですね。あの頃のひーちゃんは私より小さかったのにここまで大きくなっているなんて思わなかったですよ」
シーナはあの写真に写っていた片方の少女だ。だが、俺とシーナ、それにあと1人の女の子の間にはその頃たくさん遊んでいた記憶など存在していない。そもそも人である俺と神であるシーナは出会う事が無いからだ。
しかし記憶は無いがこの写真と手紙が存在している以上、出会っていることになる。
それでもって俺は今、シーナと一緒に異世界で生活をしようかな、と考えている。それからあと1人の女の子も一緒にだ。そして現在俺はその事についてシーナに言おうとしていた。
「シーナ、俺はさこれからの生活は3人でしていきたいと思っているんだ。それは記憶にない思い出を埋めるためでもあるんだよね、それにこれから新しい思い出を作りたいんだ。だからシーナには俺に付いて来てほしいんだ」
そう、俺たちに昔の記憶がない以上これから新しい記憶を作ればいい。そしてシーナをつれて異世界に行けばいい。それが今の俺が出来ることだと思う。
「私はひーちゃんと一緒に・・・・・・」
そこまで言って、シーナは口を閉じ言うのを止めた。それはというと、
「今戻りました、結城さん。では、今すべきことを終わらせましょうか。と、その前にシーナ、結城さんのステータスを補助できるものは持ってきたか」
異世界にクラスメイトを送ってきたラビンスさんが俺たちの後ろの方で声をかけてきたからだ。ラビンスさんはまず俺に声をかけると、すぐにシーナに強く言う。俺はラビンスさんに、『もう少し優しく言ってもいいんじゃないんでしょうか?』と、言おうとしたが口は開かなかった。そして同時に『言ったら消されるのでは?』と、思ってしまった。
「すみません、ラビンス様。ステータス補助を出来るようなものは以前使ってしまったので、残っていませんでした。ですが、《努力》と《無限検索》という補助スキルはありました」
返事をするシーナ。その時シーナは少しビクビクさせながら言っていた。
たぶん、シーナは怒られると分かっていているのだと俺は思う。
だが、ラビンスさんはシーナに強く言わず、
「そうか、分かった。なら、それを結城さんのステータスに追加しておけ」
シーナはそう言われると、俺のステータスを開く。そしてシーナは《努力》と《無限検索》という2つのスキルを入れてくれた。
その瞬間、俺の体は何かに包まれたように感じそして体が熱くなった。
ピロンッ!
と、同時に頭の中で音が鳴り、自分のステータスに追加された新しいスキルの説明が頭の中に入ってくる。
《努力》・・・スキル。思いが強いほど努力をした分結果が出る。追加で、自分が助けたいと思う対象を努力値で助けられる。 ちなみに現在の努力値は、1000努力値です。
《無限検索》・・・スキル。世界の全ての事を調べることが出来る。
俺はこの時、スキルの《無限検索》を使用し《努力》の努力値で助けられるものを検索した。検索内容は【シーナを異世界に連れていくにはどれくらいの努力値が必要】だ。すると、一瞬で変化したステータスプレートに映ったのは、努力値1000で助けられる、という文だった。
俺にはそのポイントがある。
ちょうどいい。
そして俺は思う。このスキルを使ってシーナをラビンスから助けて、異世界に一緒に行くと。
その後俺はすぐに異世界に行く準備をしていた。
準備は出来ている、と伝えラビンスとシーナとの最後の挨拶をしていた。だが、シーナとはこれからも一緒なんだけどな。
「結城さん、それでは異世界で頑張って来て下さい」
ラビンスは俺に最後の言葉をかけてくる。だが俺からも1つ言う。
「いや、その前に一ついいでしょうか?」
俺がそう言うとラビンス、はて?という顔をしながらも「どうぞ」と、言ってくれた。
スキルの発動の仕方はもう《無限検索》で調べ済み。あとはこの言葉をシーナに言うだけ。
俺はそう思いながらシーナの方を向いた。その瞬間片足を出した後片手でシーナの手を掴む。そして掴んだ手を引っ張り、俺の体に近づける。
「これでシーナと一緒に異世界に行ける。《努力》よ発動しろ」
その瞬間俺とシーナを光が包んむ。その後すぐに転送魔法陣は起動して・・・・・・俺は何が起こっているのか全く理解できなくなっていた。
それと最後に俺が聞いた言葉は、
「ひーちゃん、ありがとうね」
シーナが俺の耳で呟いたその言葉だった。その直後俺はものすごい眠気に襲われて、意識が無くなり眠ってしまった。
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私ことラビンスは今回異世界に召喚された人間共に色々な仕事をしていた。
そもそも何故私のような神がこんなことをしなければならないんだ。という思いで頭の中はいっぱいだった。
特にあの人間、結城日向とか言っただろうか。あの時は私もびっくりしたが、まさか職業が【無職】だとは思いもしなかった。
まあ、私のかわりにシーナが面倒事をしてくれるのだから、イライラはしなかった。
それが今日あの【無職】は私のモノを盗んだではないか。というか、なんなんだあのスキルは。何故あの不明なスキルにあんな力がある。
【無職】には天罰をしなければならんな。
そこで私はふと今のイライラをぶつけるためにあの小娘に強く当たろうとした。だが、あの小娘はいなかった。
そうだそうだそうだ、【無職】は小娘を、シーナを連れていきやがった。
「これは本当に、天罰を与える必要がある」
私は誰もいない部屋で1人そう呟くのであった。
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眠ってからどれくらい経つだろうか。俺は無意識にそう考えていた。だが、体は眠っている。
それもそのはず、転送魔法陣が起動したと思ったら次は眠ってしまうし。
それから俺の意識はだんだんと覚醒してきて、シーナの顔が俺の目に映る。俺はびっくりしたが、こんなこともしたのかな?と、思いながらそのままの体勢でシーナに声をかけることにした。
「シーナ、えっと、おはよう?でいいのかな。そういえば、俺ってどのくらい寝てたの?」
シーナはくすっと笑い、笑顔で、
「ヒナタが寝てた時間?15秒くらいだったよ。まあ、寝てたっていうよりも気絶してたかな」
転送される前の声とは思えないほどの軽く嬉しそうな声で、シーナは俺に教えてくれた。
なんだよ、シーナ。いい声で話すじゃないか。俺はそんなシーナの声を聴くだけで心が落ち着きを取り戻す。
だがここは何処なんだろうか?と、そんな疑問が俺の頭の中に浮かんでくる。
俺の今見える範囲の景色は、時が止まった白の世界という景色だろう。
といっても、時が止まっているかなんて正直俺には分からない、だが俺からしてみると時が止まっているように見えているのだった。




