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冥府の竜と継承者  作者: XILLIA
第一章
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No.1脱出

ドクターに見つかった!どうなるNo.8!


第1話、始まります

「ここからから出るのは禁止だと言ったはずだよ、No.8」

「…ドクター」

声のする方向を向くとそこに居たのはドクターだった。

「摩耶、君がNo.8を唆したのかな?まさか僕達を裏切るとはね、情でも湧いたかい」

「兄さんこそ、いつまでこんなこと続けるつもり?」

「何を言っているんだい、成功するまでに決まっているじゃないか」

「一族の妄執に取り憑かれた狂信者め…」

姉さんは忌々しげにドクターに向かってそう言い放つ。

妄執?狂信者?どういうこと?

私が混乱していると今度は別の声が発せられる。


「あなたが、黒竜を人工的に作り出す研究をしているという一族の当主ですか?」

「君は…あぁ君が白竜か、摩耶が協力を要請したのかな?まあいい、質問に答えよう。君の言うとうり、僕が黒竜の継承者である夜影の当主。夜影進夜(やかげしんや)だ」

「やっぱり、とりあえずあなたには政府から確保命令が出てるので、拘束して地上まで連れて行きます」

「それは困る。やっと研究が実を結びそうなんだ、邪魔されたくはない。やっと…やっと一族の悲願が叶うんだ」

ドクターは静に言葉を放つ、しかしその顔は少しずつ怒りに歪んでいく。


「誰にも邪魔はさせない、たとえ政府だろうと実の妹だろうと。No.8は逃がさない、絶対に!」

「もはや何を言っても無駄ですね、仕方ありません」

白竜と呼ばれた少女はそう言うとドクターに向かって走り出した。

「摩耶さん、黒竜さんと先に行ってください!わたしは夜影の当主を拘束してからそっちに向かいます!」

「させるか!」

ドクターは自分に向かって来る白竜さんを気にせずいつの間にか取り出していた何かのボタンを押す。

「っ!何を!」

すると私達側の通路に頑丈そうな壁が降りてくる。

「なっ、通路を!」

姉さんが慌てたように叫ぶ。

「逃がさないと言ったはずだ、さあこっちに来るんだ8!」

ドクターが叫ぶ。

嫌だ、今更もう戻れない。だから叫ぶ。

「私は、外に行きたい。だから姉さんについて行きます、今までありがとうございました!」

「なっ…!」

ドクターは私の言葉を聞き、ついに冷静さを失った。

「もういい、今までは温情で自由にさせてきたがそれも今日で終わりだ。どのみちその壁は君では破壊できない、つまり逃げることは最初から不可能だ!」

「喋ってる暇があるなんて随分余裕ですね」

白竜さんがドクターに斬りかかる。

いつの間に剣なんて出したんだろう……

「8、あっちはあの子に任せて私達はこの壁を破壊しましょう」

確かに通れない以上壁を破壊するしかないけれど。

「どうやって破壊するの、こんな模造槍しかないのに」

「白竜と同じように武器をだせばいいのよ、やってみて」

「ヱ?」

ヱ、どうやって?私武器なんて出したことないのだけれど。

「自分のもっとも使いやすい武器を思い浮かべて、そうすれば出てくると思うから」

「…そういうことなら。来い、私の武器!」

そう言って、掌に意識を集中して私のもっとも使いやすいと思う武器を思い浮かべる。

すると、てに黒い靄が集まり、しだいに形を形成していく。

靄が収まると、そこには私の鱗と同じ色をした一本の立派な槍があった。


「成功ね。さ、それで壁を思い切り斬るなり突くなりして破壊して」

「わかった」

私は槍をかまえ、壁の正面に立つ。深呼吸をして息を整え、槍を振るう。

「ハアアアァッ!」


ズバッ、と壁を斬ったとは思えないほど綺麗な音が鳴り響く。

一拍おいて壁がガラガラと崩れていく。成功だ。

「やった!」

「やったわね。あとは兄さんを捕まえて白竜さんと一緒にここから出るだけ…」

「きゃあっ!」


壁の破壊に成功して喜んでいると、後ろから悲鳴があがる。

後ろを振り返ると、そこには拳1つで白竜さんを圧倒しているドクターの姿があった。

「何故!?兄さんは普通の人間のはず、竜の継承者に勝てるはずがない!」

姉さんが困惑したように叫ぶ。

確かにおかしい。ドクターは私や白竜さんと違いただの人間、その気になれば私でも簡単に拘束できる。

「くぅ…いったぁ。この感じ、あなた竜化してますね?」

竜化?…まさか!

私は嫌な予感がしてドクターの目を見てみると、ドクターの瞳は紫色になり瞳孔は縦に割れ獣のようになっていた。

どこからどう見ても、私と同じようになっていた。

「そんな、どうして……」

自然とそう声が出る。

「継承者の家の当主が竜の力を持っている事の何が不思議なんだい?」

「歴代当主が誰1人力を発現させられなかったから、適性のある人間に力を人工的に発現させる実験をしていたのではなかったの!?」

「違う。元々は当主に力を発現させようとしていたが、全く出来なかったから仕方なく他人を実験台にしていただけだ」

そんな、それじゃあ私はただ適性とやらがあったから巻き込まれただけ?

「ここまで竜の力を発現させたのはNo.8が初めてなんだ。せっかく事故に見せかけて高い適性をもつ者を手に入れ、食事に能力の成長促進剤まで入れて、ようやく他の継承者と遜色ないところまで来たんだ。邪魔をするな!」

「事故に、見せかけた?」

そんな…どうして、ドクターは事故で死にかけた私を助けてくれたのではなかった?


ドクターの言葉を信じられずにいると何処からか声が聞こえる。

醜く歪んだ、ノイズのような声が。






………ニクイ…カ?

誰!?

アレガ…ニクイカ?

貴方は誰!?どこから私に話かけているの!?

ワレハ…ナンジ…ナンジノウチニ…アルモノ…

どういう事!?訳がわからない!

ニクイナラバ…ワレニスベテヲユダネヨ…

私はドクターが憎くなんてない!

ウソヲ…ツクナ…アトハ…ワレニマカセヨ…

っ!?意識が薄れて………貴方は…いったい………?

薄れ行く意識の中、最後に視たのはドクターを除く全てのモノが灰色に染まっていく光景だった。








「8、どうしたの?」

8の様子がおかしい…まるで何かに取り憑かれたような……嫌な予感がするわね……。

「アレガ…テキ、タシカニ…ツミブカイ…ヨゴレタタマシイ、ダナ」

「8?」

「ム…?アレハ、ヴェルディア…カ?」

ヴェルディア?いったいなんの話?

「8、貴方何を言って…」

「サア、ショケイノジカンダ…」

「っ、8!」

8は私の話を聞かず兄さんへ突っ込んで行く。

「シネ…!」

「8!?っぐあっ!」

「黒竜さん!?」

8は白竜でさえてこずっていた兄さんを一撃で吹き飛ばす。

「ム…ガンジョウ、ダナ…フカンゼントワイエ…ワレノケイショウシャダケハアル…」

「貴様…8ではないな!?まさか!」

「セイカイ…ダ、トガビト…」

「クソっ!」

兄さんは憎々しげに8を睨み付け、また懐に隠していた遠隔操作用のボタンを押した。

「ワルアガキヲ…!」

8が呟くと、通路全体が大きく揺れる。

ドゴオオォォン!!

遠くから爆発音が聞こえる。施設の自爆スイッチだったようだ。

「っ!8、白竜!早く脱出しましょう!ここもじきに崩れる!」

「はい!」

「ナラヌ!トガビトヲコロスマデ、ワレハヒカヌ…!」

やっぱり、今の8は普通じゃない。ここは…

「白竜、8をお願い!」

「わかってます!」

そう言うなり白竜は8の手を掴みこちらまで連れて来ようとする。

「ハナセ…!ヴェルディア…!」

「わたしはヴェルディアなんて名前ではありません!もう…【スリープ】!」

「…!キサマ…ナニヲ…!………」

白竜が眠りの魔術で8を眠らせ、こちらへ連れてくる。

「ナイスよ、早く脱出しましょう」

「勿論です!」



そうして、私達は施設からの脱出に成功した……



8のあの状態はいったい………?



第1話終了。

どうでしたか、面白かったですか?

書いてて思ったのですが、ドクターの小物感がものすごくなってしまった…。

それとチラッと出たヴェルディアと言う名前、勘の良い人は…。

まあそれは突然No.8の体を乗っ取った存在と併せて後のお楽しみに。


最後に。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

第2話を期待せず待っていてください!



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