04 連合会議
テトのHPがレッドゾーンに入ったことを確認し、私はスキルを発動する。発動するスキルは【降臨】。このスキルは天翼族のみが使える種族スキルで、1000レベになるとようやく使うことが出来るスキルである。そして、その効果は絶大だ。その身に神を宿したかのような後光に包まれ、全てのステータスが上昇する。所謂、限界突破である。また、後光があることによって天翼族が天使と呼ばれていた所以でもあるのだ。
『テト、あれを使って』
『了解、あれだな』
私がまだ600~800レベだった頃は、よくテトとグループを作ったものだ。テトは800を越えた辺りでレベル上げを中断してゲーム内で食堂を営み始めるというよくわからないことを始めたせいで、私とテトのレベルはかけ離れてしまったのだ。ただ、その時のコンビネーションはよかったと思う。
「【完全なる防御】」
左手に持っていた盾を巣穴の地面に突き刺し、同時にそれがスキル発動の合図となった。キン、と甲高い音が鳴り響く。全てを塗りつぶすほどの極光が巣穴を覆い尽くし、プレミアムドラゴンの子どもの足を止めた。突然の発光に親も驚いたが、その瞳には怒りを宿している。
このスキルの効果はあらゆる攻撃を無効化するというもの。ただし効果時間は10秒ととても短い。それに加えて、反動で3秒動けなくなってしまうという、グループでの戦闘が前提のスキルだ。しかし、それだけあれば私であれば、1000レベどころか800レベにすら達していないであろうプレミアムドラゴンの子どもを倒すには十分である。
「【神罰】」
これは全スキル最強と呼ばれるほどの攻撃スキルだ。頭上から超重量の極光が降り注ぎ、発動した私は当然ダメージを負うことはなく、テトはスキルによって防ぎ、喰らうのはプレミアムドラゴンのみとなるのだ。
「グァァァアアアアア―――!!」
親ドラゴンが叫び、その苦痛に悶える。子ドラゴンは、私の読みが外れたのか【神罰】を耐えていた。これを耐えるということは少なくとも900レベは越えているだろう。……いや、プレミアムドラゴンは種族特性で、元々のステータスが他よりも随分高く設定されている。それがあるから耐えられたのかもしれない。
【神罰】は一度使うと、スキルクールタイムが長く設定されているため1時間以上使えない。ギルドの25%短縮とステータス上昇でスキルクールタイムの短縮がなされるにも関わらず、1時間以上かかってしまうところに不便さが感じられる。
「ちぃっ!仕留めれてねぇのか!」
テトがスキルから解放され、盾を引き抜く。その表情には焦りが見えていて、余裕は全くない。私も、まさか耐えられるとは思っていなかったので次の攻撃スキルをどうするか悩んでいるところだ。まだ親子ドラゴンは動かず、こちらの出方を窺っている。
「テト!これ飲め!」
シュパン、とアイテムボックスから取り出したポーションを投げ、テトが受け取る。超高速の飛来物を簡単に投げたり受け取ったりできるのはやはりステータスのおかげだろう。テトはそのポーションを見て驚きに目を見張る。
「い、いいのか?これって……」
「そんなこと気にしてる場合じゃない。死ぬかもしれないんだ。ゆうくんの家族はテトしかいないんだから、絶対に死んじゃだめだ」
「レフィリア……すまん、助かる」
テトに渡したポーションはエリクサーと呼ばれる状態異常、HP、MPを全て全回復させる万能薬だ。スキルを使用するにはMPが必要になるし、これまでに何度もスキルを使っているだろうから回復させておいて無駄ではないはずだ。
「【堕天】」
スキルを発動すると、私の後光が黒く濁っていった。降臨使用時にのみ発動できるスキルで、これを使うとステータスが更に上昇する代わりに、HPとMPが徐々に消費されていくという諸刃の剣。【降臨】はステータス1,5倍に対し、【堕天】はステータス3倍となる。このことから、魔王と呼ばれるようになったのだ。
私たちが動きを見せたからか、親ドラゴンが攻撃の体勢に移る。その自慢の翼を大きく広げ、親ドラゴンが揃って強烈な風を巻き起こしたと同時に、私も翼を広げて風を起こした。テトが私の後ろに瞬時に移動し、風圧から逃れる。
この移動速度は通常では有り得ないので、恐らく勇者のスキルである限界突破でも使っているのだろう。ステータス上昇系スキルは限られた種族にしか与えられないので、特に恩恵が大きな勇者を選ぶ者は多い。
風と風がぶつかり合い、子ドラゴンが巻き込まれて巣穴の天井すれすれまで吹き飛ばされた。ただそれだけで、ダメージはないようだった。
「勝てるのか……?」
「どう考えても無理。このまま何もせずに引かせてもらえれば助かるんだけど」
そこで、親ドラゴンが姿をかき消した。否、そう誤認するほどの速度で動いているのだ。背後から圧倒的威圧感に晒され、振り向くまでもなく翼を羽ばたかせて上昇する。テトの様子を見る余裕もない。
「【ガーディアン】!」
親ドラゴンの片割れの攻撃を受けたのか、テトが物凄い勢いで吹き飛んだ。流石に100レベ以上の差があっては【ガーディアン】と言えど吹き飛ばされてしまったようだ。このスキルは一時的に防御を高め、【完全なる防御】とまでいかないまでもそれなりの防御が見込める。
「ガァァァァァアア!!」
テトの声につられて振り返ってしまっていたせいで反応が遅れ、前を向いた時には既に前足が目の前に迫っていた。そのまま振り抜かれ、体に激痛が走りながらも壁まで吹き飛ばされる。
「レフィリア!クソッ!!」
HPゲージはまだ9割残っている。ステータス上昇スキルを使っていなかったら半分は持っていかれていたかもしれない。そう考えると、テトのHPが気になるところだ。チラっと見てみたところ、まだ半分ほどは残っていた。
「ッ!レフィリア、後ろだ!」
は?後ろは壁だろ。
そう思いながらも、この場で冗談をいう奴ではない。信じて振り返ると、壁だと思っていたものはどうやらもうもう一体の親ドラゴンだった。口を開き、私を食べようと勢いよく閉じた。
ガキィィィィィン、と凄まじい音と爆風が生じ、爆風をなんとか耐えながらも危なかった、と胸を撫で下ろす。HPが残っていようと、体が繋がっていなければ嬲り殺しにされてしまうだけだ。
僅かにHPが減少していることを確認し、親ドラゴンを見据える。私は接近戦も出来るには出来るのだが、種族的に遠距離戦の方が得意であるし、獲物をアイテムボックスから取り出す暇もない。
食べられなかったのが悔しいのか、親ドラゴンの片割れが私を睨みつける。このアバターでなければちびっていたかもしれない。それほどに鋭い眼光だ。
ありとあらゆるスキルを発動させ、プレミアムドラゴンに対抗するための準備を整える。高速で動き回るドラゴンと同じ速度で跳びまわり、その一挙手一投足に注意を払いながらも、攻撃を躱し、カウンターを浴びせ、時に弾き飛ばされる。
背筋に嫌な冷や汗が流れた。瞬間、私は大きく跳躍する。飛び去った後を振り返れば、先ほどまでいたところをもう1体の親ドラゴンが鋭い鈎爪を振り下ろしていた。
しかし、いつまでもこうしているわけには行かず、押されているのは明白だ。実力差はそれほどないにしても、相手は2体もいて、HPが桁違いに違う。1対1でさえヒットアンドアウェイで倒さなければならない相手なのだから。
テトは無事だろうか、そう思って一瞬見てみると、子ドラゴンを3体相手にどうにか耐えているようだ。あちらはレベルが低いけど、その分数が多い。
「レフィリアさん!」
巣穴の出口の方から大きな声、それも聞き覚えのある声を聞いて安堵する。ようやく救援が来たのだ。
「ルナ!……と、ん?」
ルナの後ろから現れたのは、北斗七星連合所属ギルドのギルドマスターたちと、主要メンバーたちだった。それに加えてガリオたち隠密部や、残っていた戦闘部の1000レベメンバーが続々と入ってきた。僅かな戦力は残しているのか、それほどの人数ではないにしても、これだけの人数がいれば問題なく勝てる。
「みんな!来てくれてありがとう!……波状作戦で行くよ!」
「「「おうっ!」」」
プレミアムドラゴンを確実に倒すのは簡単なことだ。それは、波状攻撃をすること。遠距離から攻撃し続けることによって敵の攻撃の隙を与えず、こちらが一方的にダメージを負わせることが出来る。
「テト!戻って!」
「わかってらぁ!!」
テトにも指示を出すと、瞬時に私の隣まで来た。
「第一射、放て!」
ルナが合図すると同時に、複数のスキルが発動された。それも、最上級スキルばかりだ。【炎天】【氷天】【嵐天】【泥天】【聖天】【闇天】の5属性遠距離攻撃。
このゲームは種族の他に属性も選択できるようになっており、“火属性”“水属性”“土属性”“光属性”“闇属性”の中から3つまで選び取るが出来る。もちろん、種族によって相性があるから、属性選択は限られてくる。例えばテトであれば“聖属性”が一番相性が良く、“闇属性”が一番相性が悪い。他は平凡である。
それに引き換え、天翼族は“聖属性”と“闇属性”に適正を持っており、“風属性”が他よりも高めに設定されている。他の相性はすこぶる悪いのだ。“風属性”に他より適正があるのは、空を飛ぶだからだろう、とプレイヤーの間でささやかれている。
ともあれ、この最上級属性スキルのスキルクールタイムも半端なく長い。1000レべに到達してようやく得られるスキルなのだから当然であるし、1000レベに達していないテトでは使えない。つまり、今ここではテトはただの役立たずである。
しかし、属性にもレベル制が適用されている。1つはアバターレベルと共に上がっていくのだが、他2つはスキルを何回か使ったり、命中などプレイヤースキルに依存してくるので、その習熟度によってレベルが上がるようになっている。そのため、3つの属性攻撃を出来る人は限りなく少ない。
……のだが。
私、レイラ、ルナはもちろんのことガリオなど、リフェリティアの初期メンバーは全員3属性扱える。それに加えて、北斗七星連合に所属しているギルドのマスターたちはもちろんのこと、主要メンバー全員が3属性扱えるのだ。正直、私の周囲では特に珍しくもない。3属性を扱うプレイヤーの半数がここにいると言っても過言ではないのだ。
「レフィリア姉さん。とどめ、お願いします」
キトくんに促され、私はスキルを発動する。プレミアムドラゴンの10本あったHPゲージは今やレッドゾーンに突入し、最後の1本の内半分も残っていない。ここにいるのはテト以外全員1000レベだから、経験値は必要ない。
「我らは、ここで死んでしまうのだな」
親ドラゴンが悲し気に頭を下げて、子ドラゴンの瀕死状態を優しく舌で舐めた。突然言葉を発したことに驚き、スキルを発動したものの全くの見当違いのところへ飛ばしてしまった。
「あっ」
「レフィリアさん、相手はモンスターですよ?」
「いや、そうなんだけどさ。でも、ここって現実なわけじゃない?」
「それは、確かにその通りではありますが」
「ごめんね、ちょっと行ってくるよ」
ルナが心底呆れた様子で私を見送る。
「はぁ……。まぁ、レフィリアさんらしいと言えばらしいですけど」
最後の呟きは嬉しそうだった。私が親子ドラゴンを見捨てないことが嬉しいなら、皆もそう言えばいいのに。あれだけ苦しめられていたテトも、頭を振ってやむなし、と言っているようだった。
だって、ここは現実で、彼らもまた一度死んだらそこで終わりだ。それなら、言葉を交わせるのであれば、やりようはいくらでもある。
「プレミアムドラゴン、でいいのか?いや、それはモンスター名だし、違うのか」
「お前は我らを殺さないのか?」
どう呼べばいいのか悩んでいると、親ドラゴンが驚いたように聞いて来た。
「う~ん、少なくとも、共存は出来そうだし。こっちは1人も犠牲者いないし、あなたたちにもいない」
「確かに、そうだが。我らは酷くやられた。特にこの子らは……」
「それは仕方ないことだろう?あなたたちが私の友達を危険に晒していたのだから」
「ああ、そう言われるとどうも、反論できない」
「ふぅん。やっぱり、知能は高いみたいだね」
「我らはプレミアムドラゴン、全ての竜種の頂点に立つ者ぞ」
「そうだね。私たちとしては、危害を加えないのあれば治癒もしてあげるし、これから先は不可侵を貫くことを誓う」
「それは真か?」
「ああ、そうだな。じゃあ名にかけて誓うよ」
「……そうか。では我も誓おう。我ら、プレミアムドラゴンはお前たちに一切危害を加えない」
「よし、じゃあこれで一件落着か。【快天】」
広範囲回復スキル【快天】。これは自らが指定した範囲内にいる全ての者を全快させるという、“聖属性”最上級スキルの1つだ。元々天翼族は補助系のスキルが多く、これもまた天翼族と“聖属性”が揃っていなければ使えないスキルである。
ただ回復させるだけではあるが、私は警戒を怠らなかった。回復したと同時に襲い掛かってくることを予想してのことだ。しかし、それはいい意味で裏切られることとなった。
「そう身構えるな。竜が名に誓う意味を知っているのではなかったのか?」
「知ってるよ。知ってるけど、そう簡単に信用できない。でも、これでようやく信用できる」
そう、彼らは攻撃を仕掛けてくるどころか、私たちへの警戒心を皆無に子どもの回復を全身で喜びを表現していたのだ。ゲームの設定でも、竜が名にかけて誓うのは特別なことだとある。だから、私もそれほど警戒はしていなかった。おかしな動きをすれば後方へ飛ぶ用意くらいしか。
ちなみに、このゲームでは蘇生スキルというものがない。神殿やギルド本部で復活は出来るのだが、スキルとしての蘇生はできないのだ。
「話は纏まった?」
マリンが横に来て、私とドラゴンを交互に見た。それに同時に頷き合うとマリンは安心したように微笑んだ。
「そっか、よかった~。これからよろしくね」
「こちらこそ、よろしく頼む」
「よろしく頼みます。……さぁ、あなたたちも」
外見では全く同じにしか見えないのだが、どうやら私から見て右にいるドラゴンが雄のようだ。雄は威厳たっぷりの声だけど、左に座っているドラゴンは雌だと一声でわかるほど、凛とした綺麗な声だった。正直、ドラゴンではなく人と言われても違和感はない。ス会議をした折に、このドラゴンが混ざれば、声だけであれば男子どもは歓喜するだろう。
「「「よろしく頼んだぞ、お前らっ!!」」」
子ドラゴンが生意気な口調で言うと、3体の頭に親ドラゴンの前足が置かれた。
「「「あ、あわわわ……よろしく頼みまちゅっ!!」」」
慌てて言いなおした子ドラゴンたちは最後の最後で噛んでしまい、恥ずかしさのためか俯いてしまった。まぁ、これも教育なのだろう。
「それにしても、面倒ですね」
キトくんも隣に来てそう言うと、マリンが深く頷いた。
「確かに、これはゆゆしき事態だね」
続いてルナまでもが近くに寄ってきて、頭を横に振る。
「これはダメです。迅速に対応しなければ」
3人とも目を細め、親ドラゴンを見たり子ドラゴンを見たり忙しなく視線を動かしていた。不可思議な視線に晒されているドラゴン親子はビクビクしてしまっている。
「3人とも、どうかした?」
問いかけると、3人が同時にシュバッ、と私に振り返る。
「名前をつけましょう、姉さん」
「この子たち欲しい!」
「可愛い、とんでもなく可愛いです」
3人同時に言われたけど、辛うじて聞き取ることが出来た。キトくんは名前がなくて不便だということだろう。見た目は完全に同じなのだし、確かに名前は必要だと考えていたところだ。マリンとルナは恐らく同じ理由で、子ドラゴンを見て目を潤わせていることから、可愛いもの好きが刺激されたのだ。
マリンはともかく、冷静沈着でクールなルナが可愛いもの好きだったとは驚きだ。とは言え、バカみたいに大きな体をしているので、私には到底理解できそうもない。
「ドラゴンたちの対応はまた後にして、まずは連合会議を開くよ。その後で名前を決めても遅くないし」
「確かにその通りですね」
「わかりました。では早速準備……あっ!レフィリアさん!準備全く出来てなかったんですけどどうなってるんですか!?」
「あー、うん、早速準備しに行こうか。というか、終わってないの?」
「やってる最中に連絡が来たんですよ。全く……テンペストさんは早く調理に向かってください」
「お、おう!任せとけ!!」
「レフィリアさんも行きますよ」
「お、おっけー」
途中からはルナがその場を仕切ることとなり、私は完全にお役御免となってしまった。
「それじゃ、今から連合会議を始めます」
魔城の最上階に作った会議室はそこそこ広く、100人程度の会議であれば容易に可能だ。私が一番奥に座り、両隣にはガリオとルナが座っている。テトは全員に昼食を運んでおり、運び終われば生産部の一帯へ戻る予定となっている。なので、リフェリティアからは3人のみの出席だ。
「初めて会う方もいるので、まずは自己紹介から始めます。私は北斗七星連合、連合長ギルド『リフェリティア』のギルドマスターをしているレフィリアです」
「私はレフィリアさんの直轄部隊を纏めているルナと申します」
「俺はリフェリティアの隠密部部長、ガリオだ。よろしくな」
それから、各ギルドの自己紹介が始まった。
「私は『氷上の炎荒』のギルドマスターをしてるマリンだよ~」
「僕はレフィリア姉さんとゲーム内家族のキトです。一応、『暗黒祭殿』のギルドマスターをしています」
時計回りに挨拶をすることに自然となり、中二病ギルドが先に挨拶を済ませた後、頭痛の種がやってきた。
「俺は『ミーナちゃんマジ天使っ!』のサブマスターをしているブラッドだ。そして、この方がミーナちゃんである!!」
「あ、あははー……私は『ミーナちゃんマジ天使っ!』のギルドマスターです……。うぅ、自分で言うのはやっぱり恥ずかしいよぉ」
「な、何を言っておられるのですか!ミーナちゃんは神にも等しい!しかし、神では俺たちの手が届かない!天使がちょうどいいポジなのです!!」
何やら張り切って主張しているが、つまり、ミーナのことを崇める集団ということである。このゲームにはアイドルというものが少なからず存在し、彼・彼女たちをギルマスとして崇めるギルドが少数ながら存在している。このギルドは、そう言うギルドの内の1つなのである。
「はぁ。全く馬鹿々々しい」
「あぁん!?なんだてめぇ!ミーナちゃんをバカにするってぇんなら俺たちが相手になってやる!」
「そんな遊びに付き合っている暇はありません。私は一刻も早くギルドに戻り、対処しなければいけない事案があるのです」
「遊び、だとぉ?ふんっ、ミーナちゃんの素晴らしさがわからねえやつは帰れ帰れ!」
「しかし、それは出来ません。これから連合についての会議が始まるのですから。私は『ノーロリータイエスJK』のギルドマスターを務めさせて頂いております、にゃーと申します」
「ほう?てめぇが変態ギルドのマスターだったとはなぁ」
「変態ですと?紳士と言ってほしいものですね。我々は中学生以下にも、19歳以上にも靡かない、JK至上主義ですからね。あなた方こそ、そのような幼い方をギルドマスターにするとは……もう少し大人になっては如何ですか?」
「はんっ!ミーナちゃんはゲーム内だと身長130くらいだけどなぁ、リアルじゃ立派なJKなんだぜ?」
「んなっ……バカなっ!そんなデータはギルドにありません!デタラメを言わないでください!」
「デタラメじゃねぇよ?なぁ、レフィ」
ここで私に振ってくるのか……。
「確かに、ミーナはJKだよ。そんなことより後がつっかえてるから、その話はまたあとで、2人で邪魔にならないところでお願いね」
本当に手間がかかる。私からすればどっちも変態ギルドだよバカ野郎。
『ミーナちゃんマジ天使っ!』と『ノーロリータイエスJK』は、ミーナ以外の全員が男メンバーとなっているのだ。丁寧な口調をして紳士を謳うにゃーさんは男の人で、確か30代だったはずだ。
2人がまた白熱しそうになったところを、ミーナがブラッドを止め、にゃーさんは私が止めることによって収まった。止めていなければ、各ギルドの同行者たちまでもが参戦しそうだったのである。
「やっと回ってきた~。俺はギルド『京都』のマスターしてる、さくらんぼや。メンバーは全員京都に住んどる、ていうか、全員同じ大学の奴らやな」
さくらんぼは私と同い年で、『京都』のギルドメンバーは全員京大に在学している。超エリートたちの集団だ。その分、ギルドメンバーは少なく、20人と少ししかいない。なんでも、大学でサークルを作っているのだとか。今日は全員で来ていたらしく、彼らだけ広い場所を取っている。
「やっと最後やね。待ちわびたわ、ほんま」
「ごめんね、アホばっかりで」
「ええよ、ええよ。男はホンマおもろいなぁ。うちは『春夏秋冬』のギルマスやっとる如月いう者や。よろしゅうな」
扇子で口元を隠しながらの自己紹介で、しかも如月さんだけ着物を着ているから余計に目立っている。彼女は大阪に住んでいるらしいけど、出身は京都だそうだ。
これで北斗七星連合の主要メンバーの挨拶が、リフェリティア以外は終了したため、これから会議に移ることになる。リフェリティアの主要メンバーは各地に散っていたり、アイシクルの援軍に駆けつけていたり、と何かと忙しいことになっているからだ。
北斗七星連合の連合長ギルドであるリフェリティア。そして上級ギルドである『暗黒祭殿』と『ミーナちゃんマジ天使っ!』と『春夏秋冬』の3ギルドがあり、中級ギルドである『氷上の炎荒』と『ノーロリータイエスJK』の2ギルドがあり、下級ギルドである『京都』がある。中二病ギルド、変態ギルド、関西弁ギルド、と3拍子揃った連合はそうそうないだろう。
「早速だけど、始めの議題は『地球に帰りたいかどうか』となります」




