PART2
個人的に鳥を登場させたくて、無理やり入れちゃった気がします…
前回のおさらい
師匠のところから離れて独りになったリュシアが出逢ったのは、ミステリアスな人の姿をした鳥だった…
鳥のいた所からしばらくリュシアは歩き続けた。
広がる不安とともに世界は暗くなっていく。野宿するしかない。親と離れたときもこのような感じだった。歯を食いしばりながら寝る場所を確保し、嫌でも少しは乾燥させたパンを口に含んだ。どんなに気持ちが沈んだときでも、倒れてしまっては元も子もないので、食べるしかない。師匠から教わったことはちゃんと自分に生かされていると実感して、また切なくなった。独りは辛い。しかしどんなに辛くとも、朝は必ずやってくる…。
チュンチュン…
小鳥の声…。朝だ。
『そういえば「鳥」は自分を鳥だと言ったけど、本当に鳥なら多分こんな綺麗な声は出せないだろうな…』
そんなことをぼんやり考えながら、リュシアはゆっくり身を起こした。寝た環境の悪さで発症した頭痛と、気分のだるさに耐えて昨日の残りのパンをかじる。
これから行く地帯には人が寄り付かないので村などは少ない。ここから先は獣や得体のしれないモノたちが跋扈する地になるのだ。
馬人族の住む森までは暗くなる前に着けるだろう。師匠とよく親交があったらしいので話が出来ないわけではないだろう。
不安ばかりを募らせても仕方がないので、リュシアは道のりを急ぐことにした。
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『馬人族は話せば分かる相手ですが、頭が固くて大変でしょうね』
木の上で頬杖をつきながら、鳥がリュシアを観察している。
そして、チュン!と小鳥の声で鳴いてみた。
それでも気づかないリュシアを見て、鳥はまた不気味に笑うのだった…。
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まだ昼だというのに森の中は暗い。人の手の入っていない、原生林らしい薄暗さや不気味さが周りに漂っている。人間より強く大きいモノが住んでいるような…。
怖いのだけれど進むしかない。意外に早く馬人族の住むという森に着いたリュシアは足元を気にしながら歩き始めた。
しかし、どこまで行ってもうんざりするくらい変わり映えのしない森に、リュシアは不安と苛立ちを隠せずにいた。慎重だった歩みもだんだん荒いものになってきた。がさがさと無粋な音が森にうるさいほど響く。
それが好くなかったのかもしれない。リュシアの周りには、静かに何かが迫ってきていた。リュシアがそれに気づいたときにはもう遅かった。
「止まれ、人間」
リュシアを囲むようにそびえる高い影達は、厳しく言い放った。そして、黒曜石でできた原始的な槍を一斉に構える。
6人ほどいる影達は、皆上半身に簡素な革でできた鎧を纏い、下半身は…馬の体だった。
『男の馬人族だ…』
リュシアは師匠に教えてもらったことを思い出した。
馬人族とは、森に住み、森に生きる神獣達や樹木、水などを崇め護る役目を持った者達だということ。そして上半身は人間、下半身は馬のようになっているという異色の生き物だということ。
気が荒いということも教わっていたので、リュシアは恐ろしさでびくびくしながら彼らをなるべく怒らせないように、敵ではないことをアピールしようとした。
「私は…森を荒らそうとして来ているわけではありません。皆さんにお話があってきているのです」
しかし馬人族は動じない。漆黒の毛並みをもった馬人が噛みつくように言った。
「そなたは十分に森を荒らしている。騒がしい音を立てて森に侵入したときから、木々が怒りの木霊を送り、神獣様にお伝えしたのだ。母なる森が人間に穢されていると!」
この馬人の鎧にいくらかの飾りがついていることから、一番位が高いことが分かる。リュシアは城にいた気位の高い馬のことを思い出した。その馬が名馬だったのと同じく、この馬人も、力強く輝く紅い瞳がある勇ましい顔立ちに逞しい上半身、よく締まった馬の身体がよく目に付くような素晴らしい体躯だった。
「森を荒らしたことは謝ります、ですから話を聞いてください!」
こんな強そうな生き物に襲われたら死んでしまう。リュシアは焦りながら謝った。
しかし馬人族は蹄で地面を打って批判の意を表した。なかには槍をしっかり構える馬人もいた。
目に涙を浮かばせながらリュシアは懇願した。死にたくない。
「竜玉を持っているのです!どうかお話を!」
懇願するリュシアを鼻で笑って、馬人族は槍を今にも刺すように構えた。
『もう駄目っ…!!』
リュシアがそう思った時、美しい声が辺りに響いた。
「おやめなさい」
穏やかで美しい、笛の調べのような声だ。
それが聞こえた途端、馬人族は構えを解いた。そして森の奥を見つめる。高い草が揺れて、そこから出てきたのは、眩しいほど白く輝く毛並みを持った女の馬人だった。
漆黒の瞳は悲しげに揺らいでいて、露を含む花のように美しい。腰まで伸ばした白い髪は三つ編みにしていて、馬の鬣のように余った髪が首に巻きついている。身につけている物は男の馬人とは違い、薄手のやわらかい物だった。
そして何より目を惹いたのは、その馬人の額から生える螺旋状の筋の入った真珠色の角だった。
見惚れているリュシアを見て、その馬人は微笑む。しかし先程の漆黒の毛並みの馬人は不満そうに意見した。
「ウェン様!何故止めるのです!?この者は森を穢しているのですよ!」
ウェンと呼ばれた馬人はそんな文句を物ともせずにまた微笑んだ。
「相手の話はちゃんと聞くべきだと思います。貴女は本当に竜玉を持っているのですか?」
優しく話しかけられてリュシアは少し戸惑ったが、ちゃんと荷物から薄く光る竜玉を取り出した。
「何故人が持っているのだ?玉守様が護っていらっしゃったのではないのか?」
「盗み出したのではないのか」
そういったどよめきが起きたが、ウェンが片手で制した。
「竜玉は持つべき者しか触れることが出来ない筈です。触れているということは、彼女が持つべき者なのでしょう。しかし何故人が持つべきもう1つの竜玉のほうではなく、玉守様の竜玉を持っているのですか?」
ウェンは責めるようにではなく、優しく訊いてきた。リュシアは、素直に自分が師匠と出会った経緯や師匠が竜の地に竜玉を返して欲しいと自分に頼んだことを話した。
何人かの馬人は文句を言っていたが、ウェンは小さく頷いて理解してくれた。
「それならここで竜について教えてあげられるかもしれない。私も小さな頃はよく玉守様とお話をしましたから」
「ありがとうございます」
他の馬人達、特に漆黒の毛並みの馬人は快い顔をしていなかった。しかしウェンはその馬人に向けて微笑んだ。
「ライア、人だからといって疑っているばかりではいけないわ」
ライアという名の、漆黒の毛並みの馬人は、しかし…と呟きかけたが、ため息をついてウェンに同意した。
「ウェン様の仰せのとおりにございます」
すると今度は、律儀に頭を下げるライアを見てウェンはため息をついた。
「私も貴方も同じ馬人でしょう?なんで昔みたいに仲良くしてくれないの?」
ライアは表情を動かさずに答えた。
「ウェン様は神獣、森、水に最も近い存在でいらっしゃいます。私などとは格が違いすぎます」
それはウェンが角の生えた真っ白の姿をしているからだろうか。
そのように言われてウェンは悲しそうに眉をひそめた。しかし悲しみを振り払うようにきっと顔を上げると、リュシアに静かに言った。
「ついてきて下さい。まずは我らが崇めている神獣さまに挨拶をしに行きましょう」
一瞬先程の馬人族たちのような頑固な生き物を想像したが、意を決してウェンについていくことにした…。
キャラの名前とか何となく決めるんです…
だからどこかとかぶっている可能性大です…
眠くなりながら作ったのでおかしいですよ…
男の馬人、女の馬人…とか表現方法訳分かんないですね…
かぶってたらごめんなさい…




