第4話: 再び新しい世界へ行く
俺は目を開けた。
どうやら、次の世界に来たらしい。
周囲はかなりにぎやかだった。俺は椅子に座っていて、目の前のテーブルには料理が並べられていた。その中には、まるで五つ星レストランで出てくるような魚料理まであった。
俺の手にはナイフとフォークが握られていた。
俺は周囲を見回した。
「うわぁ……」
そこは、豪華な宮殿だった。
本当に宮殿だ。
自分の目が信じられなかった。
俺は、信じられないほど長い食卓の前に座っていた。あまりにも長すぎて、近所中の人間が一緒に食事できそうなくらいだ。
壁には大きな絵画が飾られ、天井からは豪華なシャンデリアが吊り下がっている。そして、あちこちに使用人たちが立っていた。
そのとき、隣から可愛らしい声が聞こえてきた。
「どうしたの、お兄様? どうして食べないの?」
俺は左を向いた。
そこには、一人の少女が座っていた。
俺より二歳ほど年下に見える。顔立ちはとても美しく、仕草もまるでお姫様のようだった。
長い髪に、きちんとした服装。そして、大きくて好奇心に満ちた瞳。
「……待てよ。今、この子、俺のことを『お兄様』って呼んだか?」
俺は心の中で驚いた。
すると今度は、右側から別の優しい声が聞こえてきた。
「申し訳ございません、オスカー様……。もしお料理がお気に召さなかったのでしたら、別のお料理をご用意いたします」
俺は右を向いた。
そこには、美しいメイドが立っていた。
茶色の髪に、きちんとしたメイド服。
そして……俺の目は、彼女の胸元にある大きな二つの膨らみに引き寄せられていた。
俺は慌てて気を取り直し、すぐに答えた。
「い、いや……料理はかなりおいしいよ」
メイドは微笑んだ。
「本当ですか? ありがとうございます、殿下」
俺は心の中で大喜びしていた。
隣には可愛い妹。
そして、もう片方には美人のメイド。
「こ、これは……天国じゃないか!」
俺はニヤニヤしながら、食事を始めようとした。
その瞬間、低く威厳のある声が響き渡った。
「オスカー! 何をぼんやりしている!」
俺は驚いて正面を向いた。
目の前の席には、厳しい顔つきの男が座っていた。
王族らしい衣服を身にまとい、背筋を伸ばしている。その眼差しには、思わず身がすくむほどの威圧感があった。
間違いない。
この人は王だ。
そして……この世界での俺の父親でもある。
隣にいた妹が、俺の耳元でささやいた。
「お兄様……お父様がお呼びですよ」
俺は緊張しながら立ち上がった。
「は、はい! 何でしょうか?」
自分でもはっきりわかるほど、声が震えていた。
王族の人間にどう話しかければいいのか、まったくわからなかったのだ。
食卓に座っていた全員が、俺のほうを振り向いた。
そのとき、俺より少し年上に見える少年が、笑いながら言った。
「どうしたんだ、弟よ? どうしてそんなに汗をかいているんだ?」
王は席から立ち上がった。
近くに立っていた男の耳元で何かをささやくと、そのまま部屋を出ていった。
男は俺のところまでまっすぐ歩いてくると、丁寧に頭を下げて言った。
「オスカー王子、陛下がお部屋でお待ちです。どうぞ、ご同行ください」
俺は椅子から立ち上がり、部屋へ向かって歩き始めた。
心の中では、少し落ち着かない気持ちになっていた。
そのとき、背後から可愛らしい声が聞こえてきた。
「お兄様、怖いの? 本当に臆病なんだから!」
声の主は、食卓で俺の隣に座っていたあの少女だった。
彼女は俺の後ろをついてきていた。
俺は振り返って尋ねた。
「どうして俺についてくるんだ?」
少女はニコッと笑った。
「お父様のお部屋まで、一緒に歩いてあげようと思ったの。でも、嫌なら帰るわ」
「い、いや……待ってくれ。ありがとう。一緒に来てくれ」
俺たちは再び歩き始め、話を続けた。
「ところで……父上は、どうして俺を呼び出したんだと思う?」
少女は急に真剣な表情になった。
「たぶん、お兄様を牢屋に入れるつもりなんだと思うわ」
俺は驚いて彼女を見つめた。
「なっ……!? どうしてだよ?」
少女は突然、声を上げて笑い出した。
「アハハッ! お兄様、冗談よ! 私の考えでは、お父様はただお兄様と話がしたいだけだと思うわ。それ以外に理由なんてないんじゃない?」
一瞬、本気で肝を冷やした。
俺たちは、宮殿の広くて天井の高い廊下を歩いていた。
まだ一階だというのに、その豪華さは信じられないほどだった。
床には赤い絨毯が敷かれ、壁にはこの国の国章が描かれた旗が飾られていた。
しばらく歩くと、俺たちは一つの部屋の前にたどり着いた。
入り口の前には、数人の護衛が立っていた。
妹はそこで足を止めた。
「それじゃあ、お兄様。中に入っていいわよ。私はここで待っているから」
俺はうなずいた。
「ありがとう」
部屋に入った瞬間、俺は目を見開いた。
「こ、これは部屋なんかじゃない……! まるで豪華な屋敷そのものじゃないか!」
部屋の中には、あらゆる高価な品々が置かれていた。
大きな窓に、柔らかな絨毯、そして豪華な家具。
俺が夢中になって周囲を見回していると、ふと足元に白いものが落ちているのに気づいた。
俺は下を見た。
「……待てよ。これ、ブラジャーじゃないか?」
周囲を見回した。
まだ陛下は部屋に来ていない。
俺はそれを拾い上げ、そっと触ってみた。
「この世界で作られたものか……。手縫いみたいだな。それにしても、かなり柔らかい」
そのとき、ドアが開く音がした。
俺は慌てた。
とっさにブラジャーを横へ放り投げ、急いで振り返った。
部屋に入ってきたのは王だった。
つまり、この世界での俺の父親だ。
父は俺を見ると、かすかに微笑んだ。
「おお、オスカー。来ていたか。部屋の外でルナも見かけたぞ。さて、ちょうどいい。ゆっくり話をしようじゃないか」
俺たちは向かい合って座った。
少し気まずかった。
どうやって話を切り出せばいいのか、まったくわからなかったのだ。
前世でも、母が亡くなってからは、自分の父親とあまり話をしていなかった……。
だが、今はそんなことを考えている場合ではない。
俺は自分から口を開いた。
「それで、父上……俺に何の話があるんですか?」
父は俺を見つめた。
その瞳には、真剣さと期待が入り混じっていた。
「いいか、オスカー。お前は優秀な息子だ。それだけではない……お前は私と同じように、優れた戦士でもある。
私は、お前こそが私の後を継ぐにふさわしい人間だと考えている。
だから……私の後を継ぎ、この国の王になってくれるか?」
父は期待に満ちた眼差しで、俺の返事を待っていた。
そして――俺たちの会話は、そこで終わった。
俺は部屋を出た。
外では、ルナがずっと待っていた。
俺の姿を見るなり、彼女は尋ねてきた。
「それで、お兄様。お父様は何ておっしゃっていたの?」
俺は少し考えてから答えた。
「父上は……俺に、この国の次の王になってほしいと言っていた」
ルナの目がキラキラと輝いた。
「すごいじゃない、お兄様!」
俺は軽くうなずいた。
そして、俺たちは二人で一緒に歩き出した。
つづく……




