偽界睡眠①
2032年4月1日 朝
紗奈「ふぁ〜」
紗奈は、あくびをしながら学校に向かう道を歩く。今日は、一人だった。
紗奈(咏羅、今日休みなのかな?)
紗奈は教室に入る。そこにも、咏羅の姿は無い。
ビケ「お、紗奈おはよ〜」
紗奈「おはようビケ!」
ビケは後ろを振り返る。紗奈はゆっくりと、自分の席に座る。
ビケ「今日はまだエイラ来てねえな。」
紗奈「そうなんだよ〜、休みかなぁ〜?」
そう話していると、ビケは急にゾッとした。
ビケ(うわ〜…)
ビケは後ろを振り返らなくても分かった。自分に嫉妬と殺意の目を向けられている事。
男子達「不倶戴天 意趣遺恨 不倶戴天意趣…(ブツブツ)」
ビケ(普通に会話すりゃいいだろ。)
ビケはそう思いながら、ある事を考えていた。
ビケ(…何か抜けている様な……気のせいか??)
ビケは、朝からずっと悩んでいた。何かがおかしい。
ビケ「まあ、気のせいだよな。」
…ブブッ
2032年4月14日
?「…フフッ。作戦成功ね」
学校の会議室に、ビケと希が倒れている。そして、エイラが青ざめながら会議室の窓側の壁によしかかる。その視界には、ゾキョウと、一人の少女が映っていた。
エイラ「何でここに居るの…リース!!」
少女は、最強の偽の内の一体「リース」
リース「あんたが裏切って、ゾキョウも負けたから来たんでしょう。まあ、生き返らされた身が言うのもなんだけどね」
すると、エイラはハッとする。
エイラ(まずい。ビケが能力を食らってる!!隣の子は知らないけど…とにかく、紗奈を守らないと)
リース「それでゾキョウ、眷属は?」
ゾキョウ「殺したんだけど、また生き返らされた。偽造したのによ〜」
その時、ゾキョウはエイラに会議室の外まで蹴り飛ばされる。扉は壊れ、リースは冷静にエイラに向けて手を伸ばす。
エイラ「っ!!」
エイラはリースの手を交わした。ゾキョウは、ゆっくりと立ち上がる。
ゾキョウ「いっって〜。」
リース「あんたは眷属殺しに行って。足止めは任せてよ」
エイラは冷や汗をかく。
エイラ「行かせるか!!」
エイラがリースに向かって走り出す。リースは、ゆっくりと目を瞑る。
リース「《嘘縛》」
その時、黒色の糸が現れ、エイラの手足と首を縛りつけた。
エイラ「ガッ……」
リース「殺すよ?裏切り者」
その頃、ゾキョウ
ゾキョウ(確か教室だよな。まあ楽勝だ。素手でも倒せる)
ゾキョウは、2年B教室に入る。そこには、呆然と立っている紗奈が居た。
紗奈「あ!教頭先生」
ゾキョウ「永瀬さん。ちょっと大事な話があるので、いいですか?」
紗奈「?はい…」
ゾキョウは、ゆっくりと紗奈に近づく。
ゾキョウ「すみません。」
ゾキョウは、拳を丸める。そこからは、黒い湯気がでる。
ゾキョウ「《嘘拳》」
リースの能力は「偽睡」。触れた相手の意識を自分の偽界の中に閉じ込める事ができる。その偽界内は、自由に編集できる。背景、時間、その人の記憶。
ビケや希は、リースの偽界内に居た。
数分前
ビケ「は?」
ビケの肩を、リースが触れる。その瞬間、ビケは倒れた。
希「!?」
希は焦って振り返る。そして、リースは希の肩を「トンッ」と叩いた。希もそのまま、倒れてしまった。
そして、ビケの意識はリースの偽界で目を覚ます。
リースの偽界の時間設定 2032年4月1日
時は、現在に戻る。
ビケ「紗奈、記憶あるか?」
紗奈「え?」
ビケは放課後、紗奈を残らせた。そして、ビケは自分自身が疑問になっている事を聞いた。
ビケ「俺は、ゾキョウを倒す寸前までいった。」
紗奈「え!?そうなの!?」
ビケ「説明すると、紗奈はゾキョウに能力で殺された。そして、俺はもう一人の真…仲間と協力して、ゾキョウの動きを封じ、紗奈を生き返らせた。そこまでは覚えている」
紗奈「そこまで??」
ビケ「いや…なんか思い出せなくて。昨日、俺は本当に学校に帰ったのかなって……」
紗奈「気のせいじゃない?私もよく、昨日の夕飯を忘れる事がある!!」
紗奈が胸を張ってそう言うと、ビケは少し笑った。
ビケ「ハハッ…そうだな。ごめんな時間もらって。」
紗奈「いいよ!気にしてないから。じゃ、また明日!」
ビケ「うん……」
紗奈がバックを持って、教室を出る。
ビケ「……」
ビケは、生徒会室に向かう。その途中、チラッと職員室を見ると、教頭先生…ゾキョウの姿は無かった。
「コンコンコン」
希「入っていいですよ」
ビケは、生徒会室に入った。そこには、資料をまとめている希が居た。
ビケ「なあ、違和感感じないか?」
希「…ゾキョウを倒した後の記憶がありません。」
すると、ビケは安心した様に、少し息を吐いた。
ビケ「よかったぁ〜、俺だけじゃなかったか」
希「もしかしたら、私達は死んだかも知れませんね。」
ビケ「え?」
希「この状況は、最強の偽が作り出した状況だと言って良いと思います。問題は、何をされたか。」
ビケ「俺は最強の偽の能力については知らんぞ。資料読むのめんどくさいから」
希「はぁ。残ってる偽はリーダー、リース、スルビア、ノシズ、ゾキョウ、エイラ。貴方が能力を知らないのがリーダー、リース、スルビア、ノシズ」
ビケ「そうだな。」
希「じゃあ今から言うので、覚えといてください。」
ビケ「ゲッ。そんな無茶n」
希「覚えて下さい」
ビケ「はい…」
ビケは小さくため息をついた。そして、希が話し出す。
希「まず、最強の偽のリーダー…いや、名前は「ジルガ」ですね。ジルガの能力は《偽時》、手で触れた物体、生物の時間を自由に調節できます。例えば、人に触れて、千年その人の時間を進めて殺す事もできますし、逆に赤ちゃんより前に戻して、存在を消す事ができます。」
ビケ「うわ、えげつな。」
希「次にリースの能力は《偽睡》。触れた対象の生物を、自分の偽界に閉じ込める事ができます。そして、リース自身は偽界を思った様に自由自在に作り変える事ができます。後、触れられた相手の記憶も、変える事ができます。」
ビケ「なるほど…」
希「次に、スルビアの能力は《偽形》。自分自身を思った様に変える事ができます。ただし、一定の時間が過ぎると元に戻ります。」
ビケ「これまでと比べるとしょぼそうだな。」
希「いえ、そんな事はないと思われます。自分自身を一定時間超強化されたら…」
ビケ「なるほどな。偽の能力はチート揃いって事だ」
ビケは生徒会室の回る椅子に座り、くるりと回る。
希「最後にノシズ。ノシズの能力は《偽憶》。視界に4秒間入った生物の頭の中に、誤った情報を入れる事ができます。その情報は、ノシズが自由自在に決める事ができますね」
ビケは腕を組み、少しうつむく。そして、顔を上げる。
ビケ「こう考えると…やっぱり俺らは能力にやられた可能性が高いな」
ビケは、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
ビケ「一つは、さっき希が言ってた通り、俺らは殺されている。ここは既に天国か地獄説。二つ目は、リースかノシズの能力にやられた説。リースの場合は、ここはリースの偽界。俺らはいつの間にか触れられていた。ノシズの場合は、これはノシズが俺らの脳に流し込んだ偽物の情報を見ている説だ。」
希も椅子から立ち上がって、カレンダーを指差す。そして、今日の日付を指差す。
希「リースの能力は、とにかく嘘を消費します。」
ビケ「?それがどうした?」
希「偽界に閉じ込められた意識がついた嘘も、リースの嘘の塊の一部になります。そして、今日は世界で一番嘘がつかれる日です。」
4月1日…それは、エイプリルフール
希「日本では、今は一学期です。そして、4月から学校が始まり、入学式は今日のはずです。」
ビケ「…今日は、そんな特別な行事はなかったな。確かに日程的には、今日が新学期…なのに、昨日学校で授業を受けた記憶がある。色々おかしいな」
希「100%とは言いませんが…これはリースの能力を食らった可能性が高いでしょう」
ビケ「同感だ。この世界の時間を4月1日にして、嘘をつかせて能力を保つ作戦か。」
ビケは両手を上げ、体を伸ばした。
ビケ「オッケー分かった。繋がったな。違和感も無くなった。あるのは確信だ」
すると、ビケは生徒会室の床に右手をつける。
希「ビケ??」
ビケはうつむいて、目を閉じる。そして、数分が
ビケ「…嘘の塊、見つけたぞ」
ビケはそう言って、目を開け、顔を上げた。
その頃、現実
ゾキョウと紗奈が教室に居て、ゾキョウが攻撃をする構えをとる。
ゾキョウ「《嘘拳》」
紗奈に、ゾキョウの黒い手が迫る。その時…
「ガシッ」
ゾキョウ「は??」
ゾキョウの手は、紗奈に片手で止められた。そして、紗奈の目が黒く光る。
紗奈?「…ハハハッ。私に挑むか?」
紗奈はニヤついて、ゾキョウの方を黒い目で見た…
次回予告
ビケ「俺なりに、いい事気がついたな」
リースの偽界の脱出を試みるビケ達。その時、現実では…
メア「《嘘操作》」
メアVS最強の偽
ビケ「お前…」
「偽」第8話へ続く…




