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偽  作者: ????
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12/14

死後の世界

「タッ……タッ……」


 辺りは白一色。何もない空間を、ビケはひたすら歩いていた。そして、歩く音だけが、軽く響き渡っている。


 ズボンのポケットに片手を入れ、少し俯きながら、時間にして10時間

 

 ひたすらと、歩き続けていた…


ビケ(……)


 時々、誰かとすれ違う。顔すら知らない、赤の他人。ほんと、1時間に一回程度だ。


ビケ「…やっぱ俺、死んだっぽいな」


現在 4月16日午前4時


ビケ(俺は、最強の偽のリーダー…エブガに殺された。流石に強かったな…いや、本気出せば、俺なら勝てただろ…)


ビケ「まあ、死んだからにはどうしようもないな。」


 ビケは顔を上げ、再び歩き出す。


ビケ(ここは何処だ…天国?地獄?…いや、違う)


ビケ「…死後の世界か。」


 その時、ビケはふと斜め右の方を向く。誰かが、歩いてくる。


ビケ(この気配…)


 ビケは、駆け足でその方向に走り出す。そして、歩いてきたのは…


「!?」


ビケ「やっぱりか」


 それは、エイラだった。


エイラ「あんたも死んだのね。」


ビケ「お前らのリーダーと相打ちだ。」


 ビケは軽く笑った後、真剣な表情で言った。


ビケ「っで…お前はここが何処か理解してるか?」


エイラ「知らないわよ…紗奈に…いや、その中の何かに殺されたと思ったら、いつの間にかここに居た。」


ビケ「…説明する。この空間については、聞いたことがある。」


 ビケとエイラは、並んで歩き出した。


ビケ「ここは 《死後の世界》。死んだ生物が来る場所だ。」


エイラ「え?私達って生物なの!?」


ビケ「生きてる事には変わりない。生きてる奴は、全員生物判定だ」


エイラ「で、あの紗奈になりすましたあいつは…」


ビケ「最凶の偽の眷属、 《メア》だ。メアは紗奈の意識を飲み込んでいる」


エイラ「え…」


 エイラは、急に足を止めた。そして、エイラの表情は丸々暗くなり、冷や汗をかく。


エイラ「つまり……紗奈はもう…」


ビケ「取り込んではない。飲み込んで、いつでも吐き出せる状態。飲み込んだら、《《俺》》が怖いんだとよ。でも、主導権はあいつが持っている。」


エイラ「今では、紗奈の意識を殺そうと思えばいつでも殺せる状態って事…??」


ビケ「そうだ。」


エイラ「やばいじゃん!?眷属はビケが怖いんでしょ!?そのビケが死んだなら…」


ビケ「取り込む事はないよ。最低でも、《《あいつ》》は眷属より強い。」


エイラ「あいつ…って誰?」


ビケ「いつか分かるよ。まあ、俺の仲間だ」


エイラ「……でも、これからどうしよう…」


ビケ「……」


エイラ「私達は死んだんだよ!?なんでそんな…あなたは、紗奈を守りたいんじゃ」


ビケ「眷属が、 《偽人災害》を起こすって言っていた。お前は知ってるか?偽人災害」


エイラ「もち…いや、知らない」


ビケ「?…まあ、偽が起こす災害の事だ。不差別に暴れて、壊滅させる。前例があるんだ。何年前だっけな…眷属 《ワラバカリ》による大阪 偽人災害。」


エイラ「…倒せたの?」


ビケ「あぁ。俺は加わってないが、木花って奴が居たからな…」


エイラ「……」


 ビケは少しため息をついて、また話し出した。


ビケ「とにかく、放置する事はできない。紗奈が手を汚す前にね。」


エイラ「…だから、私達は死んだんだって!!どうやって止め…」


ビケ「知ってるんだよ。生き返る方法くらい」


エイラ「…え?」


ビケ「俺には、心強い知り合いが居るんだ。」


エイラ「それって、誰?」


ビケ「この星の、神様だ」


エイラ「はぁ?」


 エイラは、ビケの胸ぐらを掴み上げる。


エイラ「ふ〜ざ〜け〜な〜い〜で〜????(圧)」


ビケ「まじのマジの本気だって!!この星の神!管理者だよ!!」


 エイラは呆れた顔で、ビケから手を離した。


エイラ「意外と子供ね。神様信じるんだ。」


ビケ「いや、信じるとかじゃ」


エイラ「クソガキ」


ビケ「おい。」


 ビケは咳払いを一つして、話し出す。


ビケ「俺は、ある繋がりで管理者と知り合う事になった。まあ、瓶縫医を通してって言えば良いか」


エイラ「《《瓶縫医ね》》〜。どう通して神と知り合うの!?」


ビケ「ちょっと、話が長くなるな。短くまとめると、俺たち偽は失敗作。それをなくすために、真を作った。その創設者が雷蔵で、いとこの瓶縫医。」


 その時、エイラは少し青ざめた。


エイラ「ちょっと待って。偽が、失敗作??」


ビケ「そう。だが、俺が色々例外なんだ。だから管理者も俺との交流を許している。」


エイラ「は?」


ビケ「これは、10年前の話だな。管理者と合わされた日だ」


2022年8月6日 ビケと瓶縫医が出会った次の日


 瓶縫医は、誰かと電話をしていた。


瓶縫医「はいはい。え〜、連れて来い?…了解」


 そう言って瓶縫医は、ビケの特訓してる場所まで行って、ビケを呼んだ。


瓶縫医「ビケ、ちょっとお出かけだ。」


ビケ「オデカケ?なにその食いもん」


瓶縫医「”あんかけ”とかそうゆう部類じゃないぞビケ。ちょっとお前に、会いたい奴が居るんだ。」


 そしてビケと瓶縫医は、新幹線、バス、己の足を使って、ある田舎町の草原に来た。


ビケ「で、会いたい奴って誰だ?」


瓶縫医「それはだな…」


 すると、瓶縫医は空に向かって大きな声で叫んだ。


瓶縫医「かーん理者ーーーー!!!!!」


ビケ「ヒーローでも呼ぶ気か!?」


 その時、急に瓶縫医の前に、空に繋がる水色の階段が現れた。


瓶縫医「じゃ、行くぞ。」


ビケ「えぇ…ってか、管理者?」


瓶縫医「そう。その管理者が、お前に会いたいんだってよ」


 そして2人は、階段を登っていく。その階段は長く、登り切るまで3時間かかった。


 そして、登り切った先には、白の扉


瓶縫医「ふ〜、流石に長いな」


ビケ「すげー。高っ」


瓶縫医「高さにして、富士山の山頂辺りだな。よし、入るぞ」


 瓶縫医は、扉を3回ノック。すると、部屋の中から声がした。


?「瓶縫医じゃな。入ってよいぞ」


 その時、「ガチャッ」と音がした。扉の鍵が空いた音だ。


瓶縫医「久しぶりだな、管理者」


 瓶縫医は部屋に入る。そこは暗く、多くのモニターが部屋を囲っている。そして、中心には1人の少年が深々と座っていた。


管理者「そうじゃの。瓶縫医」


 そいつこそ、地球の神…地球を管理する者「管理者」


管理者「それで、後ろの奴がビケか」


 管理者は、瓶縫医の後ろのビケに指を指す。そして、瓶縫医は頷く。


管理者「全く、めんどうな事を…」


 管理者はため息を吐き、上を向く。


管理者「偽を倒すのが真の役目と言ったじゃろ。何故倒さず、ましてや偽を真にしたいと?」


瓶縫医「最近、最強の偽が真を続々殺している。正直、情報が欲しい。だから、こいつをスパイにする。」


管理者「…」


 管理者は立ち上がり、ビケに近寄る。


管理者「お主、お主は何がしたい」


ビケ「特にないよ。決められた方がやりやすい。」


 その回答に、管理者は苦い顔をする。


管理者「こやつ、生意気じゃの」


ビケ「は!?」


管理者「まあ、こやつは信頼できそうじゃの。《《何もない》》。だからこそ、こやつは仲間で居てくれるじゃろう」


ビケ「?」


瓶縫医「要するに、許すんだな。こいつが真になる事」


管理者「そうじゃ。だが、何かあった時は頼れ。イレギュラーな事じゃからな。」


 そして、管理者はビケに向けて言う。


管理者「お主、定期的にここに来い。」


ビケ「え?なんで…」


管理者「過去の事があるんじゃよ。また、あんな事にならない為の、検診みたいなものじゃ」


ビケ「そ、そうか…」


 それからビケは、数ヶ月おきに管理者の元に言った。


管理者「よし、純粋じゃな。生意気ながら」


ビケ「おい。」


 瓶縫医が死んでしまった後も、管理者とは会っていた。そして、色々な事を教えてもらった。


管理者「《《お主がなにか、勝てない相手に当たった時、どうするかを教えてやろう》》」


ビケ「あ?そんな相手、居るわけ…」


管理者「わしの偽…最凶の偽じゃ。あやつは…ビケと同等以上の強さじゃ。」


ビケ「あー…確かに、俺単独じゃ、無理そうだな…」


管理者「じゃから、これは本当の奥の手じゃ。」


ビケ「それって?」


管理者「自らを代償にし、神の力を貸してもらう事じゃ。」


ビケ「神の力?管理者の力って事?」


管理者「いや、わしは神ではないんじゃ。星を管理するのが管理者、その星のある宇宙全体をつくっているのが神じゃ。そして、その力は…」


ビケ「っとまあ、ここからは長くなるから、ここまでだ。」


 時は現在に戻り、ビケとエイラは歩き続けている。


エイラ「へー、色々スケールが大きいわね。でも、結局偽が失敗作ってのは…」


ビケ「俺たちは、元々人をコントロールする存在だったんだ。でも、コントロール以前の問題だった。簡単に説明すると、こんな感じか?」


 エイラは、目を点にしながら聞いている。


エイラ「へー」


ビケ「分かってないな。まあ、管理者にとって俺らは邪魔なんだってよ。だから、問題がある」


エイラ「問題?」


 ビケは足を止めた。


ビケ「俺らが生き返る方法。それは、管理者の力で生き返るしかないんだ」


 すると、エイラは息を呑んだ。


エイラ「でも、さっき偽は管理者にとって邪魔な存在って…」


ビケ「そう。だから、エブガの作り出したこの状況…偽消滅は、管理者にとって都合が良すぎる」


 ビケはエイラにゆっくり近づいて、言った。


ビケ「エブガの目的、なんか管理者が関係してないか?」


エイラ「私は知らない。こっちも色々、脅されてんのよ」


 その言葉から、嘘は漏れなかった。ビケはため息をつき、また前を向く。


ビケ「まあ、このまま死んでてたまるかって話だよな。」


エイラ「そうね。」


 ビケは肩を伸ばし、気合を入れた。


ビケ「よしっ!じゃあ、管理者を説得して、生き返らせ…」


 その時、エイラが青ざめる。そして、ビケも慌てて振り返った。


 「《嘘拳》」


 ビケは咄嗟に、自分に向かって一直線に突き出される黒く光る手を弾いた。


ビケ(おいおいおい!!)


エブガ「何を企んだる、お主ら」


 ビケとエイラの目の前に現れたのは、エブガ、ゾキョウ、ノシズ、スルビア、リース。


 最強の偽が、ここに集結してしまった。


ノシズ「よお裏切り者のエイラ。」


スルビア「それで、次は生き返ろうって話か」


エイラ「……」


 ビケは、何かを考えている。


ビケ(嘘だろおい…まさか、全員集合するなんてな。でも、エブガが居るのは、ちょっと都合がいい。)


 その時、ビケがエブガの前に出た。


ビケ「おいジジイ。お前の目的は、なんだ」


エブガ「偽の消滅じゃ。そう言ったじゃr」


ビケ「何でそんな事するかって聞いてんだよ!!」


 その時、エブガは舌打ちをして、強い口調で言った。


エブガ「じゃあ何故!!!…お主は生きたいんじゃ」


 その言葉に、ビケは戸惑った。


ビケ「何で…生きたい?」


エブガ「…わしらの存在意義は、なんじゃ。」


 ビケは、言葉が出なかった。知ってるからだ。


 今になって、偽の存在理由は、無い


エブガ「わしらには、目的も何も無い。じゃから、存在しない方が、この世は良くなる。単にそれだけの事じゃよ。偽を消滅させたのは。」


 その時、少しの嘘が、エブガから漏れた。


ビケ「…お前らは、そうだろうな」


 ビケの右手が、黒く光った。


ビケ「恥ずい事言わせんなよ。俺には、この世界に守りたい奴が居る。だから俺は生き返ろうとする。文句あるか?」


 すると、エブガは少し悩み出す。そして言った。


エブガ「まあ、それなら…」


 その瞬間、ビケは後退りする。すると、ビケの目の前をエブガの黒い拳が過ぎった。


エブガ「そんな甘い決断、わしがするはずないじゃろ」


ビケ「っ!!」


エブガ「お前が存在したいかしたくないかの問題じゃないんじゃよ。《《一体でも例外がある限り、そこから再発する》》。お前のせいで、苦しむ偽や人が現れる!」


 すると、ビケはため息をついて頭をかく。そして、エブガを睨んだ。


ビケ「訳わかんねぇ理論押し付けんなよ。何言われようが、俺は紗奈を助けにいく」


エブガ「なんと…自分勝手じゃのう。」

次回予告


ビケ「自分勝手?ハッ…それがなんだ」


 ビケの思いと、エブガの思いが、ぶつかる。


エブガ「世界が滅んでいいのか!!」


ビケ「なら偽人災害を止めさせろ!!」


 そして…


「やめんか、お主ら」


「偽」第13話へ続く…

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― 新着の感想 ―
ここまで読んで、続きがとても気になります。これから紗菜はどうなるのか、ビケはどうなるのか。応援してます
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