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諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
中学一年生編

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 第68話『いつメンばかりのほっこり二次会 前編』

十二人います。大変です。フィーリングで以下略。

週明け。一学期最後の給食を食べ終えた後、糸哉は敦斗と幸樹を空き教室に呼び出して合理的会議を開いた。


「今日の夜はレゾクラ勢とウェルテックス祭の二次会やるよー」


「何すんの?レゾクラ?」


「えーとね。登山」


「「登山!?」」


「名前くらいは聞いたことない?最近流行りの『カプット』って登山ゲーム」


『カプット』は山登りとサバイバルをテーマにした多人数型登頂サバイバルゲームである。プレイヤーは未踏の山を少しずつ登りながら、自分のペースで探索と生活を続けていく。


穏やかな自然に包まれた山頂に実るとされる『幻の木の実』。それを手にした者には名誉と莫大な報酬が約束されている。しかし、その果実へ辿り着いた者は――未だ一人として帰還していない。


「って感じのゲーム」


「テディがぼっちで紹介動画撮ってたアレか」


「ソロプレイって言って」


今回のメンバーはこれプロの三名に加え、らむらす、けや、サムろう、こせゆ隊、そしてロクラメンからヒルト、えんり、ばたえるを含めた計十二名でのマルチプレイとなる。


☆彡

「これプロ最強ーー!」


「うぇいうぇいうぇーーい!!」


「おめでとぉぉぉぉ!」


『カプット』のマルチプレイロビーに全員が集まり、配信が始まった瞬間――らむらす、りょくおー、まくれなが一斉に叫ぶ。


「あはは声デカ」


「ウッ……」


「うるせぇ……」


祝われた三人は喜ぶどころか、その爆音に顔をしかめるしかなかった。


「このゲームは何ですか」


「皆で力を合わせて三つの山を登って、四つ目の山の頂上にある幻の木の実を獲るゲームだよ」


「あー協力ゲーね」


「一番得意」


「怖いな……特にらむらすランチとこせゆ隊。初心者のロクラメンと干支組(ホット&タンドリー)いじめないでよ」


テディは進行役として軽くゲームの概要と操作方法を説明し、後はやりながら覚えればいいと告げる。そうして、十二人による山登りゲーム実況配信が幕を開けた。


「えっ凄い!綺麗!」


「桜だー!」


澄んだ青色の空に、多色に輝く雲がゆったりと流れている。そこかしこで桜の木が根を張り、地面も岩肌も、うっすらと柔らかな色に染められていた。


春の山の麓からスタートした一同のうち初見のプレイヤーたちは、どこか現実味を欠いた景色に思わず感嘆の声を上げた。


「ヒルト。桜の木の下で写真撮ってあげる」


「え!フォトモードあるんですか!?じゃ皆で写りましょう!」


「まずはロクラメンで撮ってあげる」


「あざーす!えんり、ばたえる!サムさんが写真撮ってくれるって」


初プレイのヒルトは弾んだ声で二人を呼び、一際大きな桜の木の下へと駆け寄っていく。


「スクショしか撮れないかと思ってた」


「ね。俺らも後でサムさんに撮ってもらおう」


「えっ」


「え?」


「おいおい。これプロもあの桜の木の下で撮ってこいよ。優勝記念にさ」


「せやぞ」


「……何か隠してんな」


同じく初プレイのホットとタンドリーは、純粋な気持ちで順番を待っていたが――既プレイのテディの反応と、らむらすとりょくおーの促しに、どこか引っかかるものを覚えた。


「……あれ。何か視界が霞んで……」


「ハックション!え!?ちょっ、めっちゃクシャミ出る!」


「えんり!?涙と鼻水ヤバいで!ってヒルトも……あれ。もしかして俺も!?」


「はい笑ってー」


「「笑えるか!」」


「あははははは!」


「ロクラメン顔きたな!汁まみれ!」


「ふふっ……サム君悪っ」


桜の木の下にいたロクラメンの三人は、慌てて花粉の薄い場所へと逃れた。その様子を見て、サムろうを含めた経験者は悪戯が成功した子供のようにヒャッヒャと笑う。


「……はい!このように春バイオームの山に咲いてる花に近づくと花粉で死ぬ思いをします。HPも地味に削られるので注意しましょう」


「サムさん……まさか」


「このゲームに写真撮影の機能とかねーから。これティップス(アドバイス)ね」


「騙したなぁ!?」


「サムろぉーー!!」


「俺以外にも知ってんのにあえて何も言わなかった共犯いっぱいおるて」


「……っかしーな。俺このゲーム協力ゲーって聞いてたんですけど」


「さー登ろ登ろ」


「さくっと目指します……か」


ロクラメンが花粉で霞んだ目で先輩たちを睨むと――エンタメで生きている彼等は何事もなかったかのようにスッと目を逸らし、そのまま山を登り始めた。


カプットは全体としては穏やかな雰囲気を持ちながらも、油断するとすぐ行動不能に陥るバランスとなっている。


「もっさー助けて!登れない!」


「よーし!けや今行くぞ!ファイトー!」


「イッパーツ!」


「「鷹のマークの……」」


「全部言うな」


「ハモんな」


プレイヤーは岩場や斜面を登りながら進むため、ジャンプや掴み損ねによる滑落の危険と常に隣り合わせだ。


さらに、道中では資源の確保や体調管理も欠かせない。スタミナ、食料、体温――それらを崩さぬよう維持しながら、過酷な環境を登り切る必要がある。


「仲間と協力しながらポップで本格的な登頂を目指せる――諸君!これが『カプット』である!!」


テディは一度ミュートにし、動画でも言ったキメ台詞を視聴者にだけ聞かせた。


「りょくおーさん。この光ってるキノコって食べれる?」


「明太子ソースかけて食うと美味いで」


「こっちのヤシの実は割って中のジュース飲んだらいいの?」


「たまに虫入ってて飲めんのあるからそこだけ気ぃつけや。あと明太子ソースかけて食うと美味いで」


「謎の卵見つけた!」


「焼いてケチャップかけると美味いで」


「明太子ソースじゃねーのかよ」


「りょくおーさんが明太子ソース好きなのに目玉焼きはケチャップ派なことしか分かんなかった……」


「ははっ!ホットさん安心して。一応嘘はついてへんから」


このゲームには専用のボイスチャットがあり、近くのプレイヤーの声しか届かない仕様となっている。


ホットはテディを探したが、彼は後続にいるロクラメンのサポートに回っていた。そのため近くにいた経験者のりょくおーとまくれなに、あれこれと質問を重ねながら登っていく。


「ゼンマイあった!」


「それ食うとお腹痛なるで」


「何で蛍光ピンク色のキノコが無害でゼンマイが毒なんだよ」


「おえーー!」


「ははははは!」


「開始三分で腹痛なってるヤツおらん?」


そうタンドリーがツッコんだその背後で――らむらすはサムろうからもらったゼンマイを口にし、軽い状態異常に陥っていた。


カプットでは野生のキノコや果物を採取して食べることができるほか、山中には点々とナップザックが落ちている。


それらは途中で力尽きた探検団の痕跡であり、中には携帯非常食やロープ、救急キットなど、登山に役立つ装備が残されている。


「俺あそこのナップザック取ってきます!」


「えんり!投げてくれたら僕キャッチするわ!」


「よ、横取りとか……」


「ふーん?先輩を疑うんか……」


「言い方。じゃあ投げます……!」


えんりは壁を滑るように移動し、枝に引っかかっているナップザックを回収した。そのまま上にいるまくれなへと放り投げるが――


「えぇ!?どこ投げとんねーん!」


「さーせーん!」


「何か上の方でナップザック飛んでったぞ!」


――思いのほか力が入り、彼の遥か上にある岩場まで飛んでいってしまった。


こうして彼等は足りない情報を補い合いながら、数人で固まって切磋琢磨し、どうにか春の山を越えた。


「楽勝やん」


「一時間で登頂いけるわ!」


カプットでは春・夏・秋の山を越え、最奥である冬の山の頂上に実る『幻の木の実』を手にした時点でオールクリアとなる。


各山の頂上には一時的なセーブポイントが設けられており、到達することで進行状況が記録される。


テントの周囲や内部には食料を中心としたナップザックが残されていることがあり、携帯非常食や簡易装備など、登頂に役立つ物資を確保することが可能だ。


「あーホット!その目玉焼き俺の!」


「え!けやさんすみません。じゃあ俺の完全栄養バーあげます」


「やれやれ……。ちゃんと目玉焼きの上に塩で『けや』って書いてたのに」


「読めるかぁ!」


「器用やね」


「絶対しょっぱいやろ」


「ホットよく食ったな」


「あれっ……後からしょっぱさが……」


「皆そろそろ進むよー」


ツッコミ属性のこせゆ隊、タンドリーのツッコミが飛んだところで全員の準備が整い、そのまま次の山へと進む。


「……そろそろ誰か死んでもおかしくないねー」


テディがふと呟くと、近くにいたらむらす、ヒルト、えんり、ばたえるがその声を拾った。


「このゲーム死ぬマ?」


「俺さっき普通に落ちたけどダメージ無かったよ?」


「仕様上、レゾクラよりは落下ダメージのしきい値は高めに設定されてるけど……」


テディは上を見上げ、最前を登るメンバーを指差す。


「けやさんやタンドリーがいる高さから落ちたら、流石に致命傷になるよ」


「ヤバ」


「死んだらどーなんの?復活は?」


「それは……」


「死んだら分かる」


「「らむさん??」」


「んふふふふ!」


テディたちの少し前を登っていたらむらすはわざわざ引き返し――フリじゃないと抵抗するロクラメンを揶揄うのだった。

それぞれの呼ばれ方。既出は省く。

テディ……全員同じ。

ホット……まくれな以外ホット

タンドリー……まくれな以外タンドリー。たまにこせゆ隊からドリーとか言われ始めてる。

らむらす:ロクラメン……らむらすさんorらむさん。けや・サムろう……らむらすorらむorらむた君。

けや:ホット・タンドリー・まくれな・ロクラメン三人……けやさん。それ以外……けや。

サムろう:テディ・けや……サム。らむらす・りょくおー・もさ彦……サムろーorサム君。ロクラメン三人・まくれな……サムさん。ホット・タンドリー……サムろうさん。

りょくおー:けや・サムろう……りょくおorりょくさん。ロクラメン三人……りょくおーさんorりょくさん。

まくれな:けや・サムろう……まくれぇorまーちゃん。ロクラメン三人……まくれなさんorまくさん。

もさ彦:けや・サムろう……もっさーorもっさん。ロクラメン三人……もっさんorもさ彦さん。

ヒルト:ホット・タンドリー……ヒルトさん。それ以外……ヒルトorヒルト君。

えんり:ホット・タンドリー……えんりさん。それ以外……えんり。

ばたえる:らむらす・けや・サムろう・りょくおー・もさ彦……ばたー。ホット・タンドリー……ばたえるさん。それ以外……ばたえる。

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