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諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
中学一年生編

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 第38話『個性豊かなハッピー隊、略して』

昼休み。糸哉は敦斗と幸樹を空き教室に招集した。


「はい。じゃー今から合理的会議やってくよー」


「ん」

「はーい」


合理的会議とは『諸君!これがプロである!!』として活動するうえでの連絡事項や議題を処理するための、いわば簡易的なミーティングである。


原則として、これプロに関する話題は学校では口にしないよう徹底している。しかし昼休みは実況ができず、メンバー全員の時間が確実に合う貴重なタイミングでもあった。


その時間を活用しない手はなく、結果として合理的会議は昼休みにひっそりと行われることが少なからずあった。


「その一。今度の土曜昼にこせゆ隊のチャンネルでコラボ撮影があります。らむらすもいるよ」


「それ全員?」


「うん。タンドリーはこの紙だけでも目通しておいて」


幸樹が糸哉から渡された紙は、インターネット百科事典サイト『ウィキバンク』の記事を印刷したものだった。


☆彡

こせゆ隊とは、動画・配信共有サービス『Nico・Tube』を主な活動拠点とする、大日本帝国出身のグループゲーム実況者である。正式名称は『個性豊かなハッピー隊』。


◆概要

3人組で活動しており、方言混じりのボケとツッコミの掛け合いを活かしたストーリー仕立ての企画動画や、脱出マップ・即興劇など編集に力を入れたゲーム実況動画を特徴とする。

特にサンドボックス型アドベンチャーゲーム『レゾンクラフト』を用いた実況が多く、同作を舞台にした即興劇・TRPG・マーダーミステリー企画を数多く投稿している。

投稿されるゲームジャンルはレゾンクラフト関連が中心であり、同ジャンルの実況者としての立ち位置を確立している。


◆活動内容

ゲーム実況動画のほか、実写での旅行動画や料理動画、ラジオ形式の雑談動画といった多彩なコンテンツも投稿している。なお、顔出しは行っていない。

これらを通じて、ゲーム実況にとどまらない幅広いファン層を獲得している。


◆人気・評価

メインチャンネルの登録者数は207万人。さらに各メンバーが運営する個人チャンネルも全員が80万人以上の登録者を抱えるなど、高い人気を誇る。

全員が社会人であることも特徴の一つで、安定した投稿頻度と企画力に定評がある。


◆コンセプト

グループとしてのコンセプトでは『レゾクラ実況者としてやっていけんのかって!』という半ば自虐的かつ挑戦的なフレーズを掲げており、ジャンル特化型実況者としての立ち位置をユーモアを交えて表現している。


◆所属メンバー

りょくおー。

12月24日生まれ。イメージカラーは青緑。立ち絵・レゾンクラフトのスキンは黒のガスマスクに黒と白の半袖フードジャージ上下を着用した紺髪黒目の男性。名前の由来は緑茶から。愛称はりょくお、りくお、りょくさん。好きな食べ物はゆで卵とアボカドのサラダ。役割分担は企画・シナリオ制作。(自称)常識人枠。年齢は非公開。

常に『動画が盛り上がること』を最優先に行動しており、その結果として奇天烈なプレイを見せることが多い。

状況を盛り上げるためなら自分が不利になる行動も辞さず、利敵行為が多いことでも知られる。


まくれな。

2月29日生まれ。イメージカラーは珊瑚色。立ち絵・レゾンクラフトのスキンは4Lのワッペンが沢山ついたダンガリーシャツにホワイトジーンズを着用した桃髪桃目の男性。

名前の由来はシャツの袖をまくるのが下手なことから。愛称はまくちゃん、まーちゃん、まくれぇ。好きな食べ物はロースカツ。役割分担は編集。(自称)癒し枠。年齢は非公開だが最年長。中性的な声や容姿をしているが、れっきとした成人男性である。

社交的で旅行好きな一方、めんどくさがりで時間にルーズなきらいがある。

メンバーの中で一番ゲームが上手いが、近年やられ役としての立ち位置がより強まっている。


もさ彦。

7月7日生まれ。イメージカラーは白色。立ち絵・レゾンクラフトのスキンは白と黒のグラデーションダウンジャケットとデニムを着用した栗色髪青目の眼鏡男子。名前の由来は髪質と誕生日である七夕にちなんで。愛称はもっさー、もっさん、もさ君。好きな食べ物はかつお節ご飯。役割分担は舞台製作。(自称)頭脳枠。年齢は非公開だが最年少。

基本的には知的で真面目な性格だが、どこか抜けているところがある。動画内では思わぬポンコツムーブを見せることも少なくない。ふざける時は全力でちょける一面も持つ。プレイヤースキルはメンバー曰く『永遠の初心者』。


◆レゾクラ迷探偵シリーズ

『レゾンクラフト』を舞台として展開される、即興劇式の物語進行を特徴とした動画シリーズである。

いわゆるTRPG(テーブルトークRPG)に近い形式を採用しており、基本台本を用意せず、メンバーのアドリブによって物語が進行する点が大きな特徴となっている。


◆レゾクラ迷探偵3 あらすじ

ある日、探偵のもとに『奇才の侯爵』として知られる人物から依頼が届いた。侯爵によれば、近く開催予定のティーパーティーに関して不可解な脅迫文が送られてきたと言う。

そこには『この茶会を甘美な幸福で満たし、全てを永き眠りへ送り届けよう』という、不可解な文言が記されていた。

犯人の特定と催しの安全確保の依頼を受けた探偵は助手を伴い、招待客の一人として館の庭で開かれるティーパーティーへと足を踏み入れる。

果たして犯人の狙いとは何か。ティーパーティーは無事に終えられるのか――優雅な茶会を舞台にした迷探偵の物語が今、始まる。


◆登場人物

探偵……ドナイシテン・タングステン(りょくおー)

本シリーズの中心人物的存在。声が大きい。変なタイミングで抜群の推理力を見せる時がある。


助手……マーク・レナン(まくれな)

探偵助手。初対面でも物怖じせず踏み込み、聞き込みでは常に先頭に立つタイプ。怖がりで血が苦手。


侯爵……モッサリーニ(もさ彦)

『奇才の侯爵』として名を馳せている。派手な言動と自由奔放な態度は、称賛と同時に軋轢も生んできた。どうやら彼を快く思わぬ者が、水面下に存在しているらしい……。


警部……ラムラス(らむらす)

申請を経ずに百万円のロケットランチャーを経費購入した不祥事で一度は降格処分を受けた。しかし本シリーズでは別件での功績が評価され、復職・昇格を果たしている。


使用人……テディアン(テディ)

奇才の侯爵邸で働く見習い使用人。ティーパーティーの前日、妙なものを発見したようだが……?


即興劇でありながらも完成度の高い物語性が評価されており、シリーズ内でも特に人気の高い企画の一つとされている。予測不能な展開と、プレイヤーの判断によって生まれる唯一無二の物語が視聴者から高い支持を集めている。


――以上、インターネット百科事典サイト『ウィキバンク』の該当項目から一部を中略して引用。


☆彡

「タンドリーはこせゆ隊の動画見たことある?」


「蓮夢が……あれなんだっけな。変な名前の探偵が出て来るやつ」


「あー『レゾクラ迷探偵』シリーズね。丁度今回やる企画もその舞台に沿ったものらしいよ」


「え!?ひょっとして新シリーズに俺らも出るの!?」


敦斗は目を輝かせて糸哉を見る。ホットとしてこせゆ隊と知り合って以来、彼はすっかりこせゆ隊の動画ファンになっていた。


「…」


「ふっ。タンドリーめちゃめちゃ嫌そう。普通にレゾクラの中でゲームして遊ぶだけだよ」


糸哉は露骨に強張った幸樹の表情を見てふっと笑う。彼は視線を外し、こせゆ隊に関する記事をきちんと四つ折りにした。


「そのシリーズは全部見た方がいい?」


「いや結構あるよ?」


「シリーズ1から3まで一気見したら五時間超えんじゃない?多分」


「そうか……」


――ならテディが出てるシリーズ3だけ見るか。


そう思った幸樹だったが――持ち前の几帳面さが顔を出し、結局シリーズを最初から見直すことになるのだった。


☆彡

「ホットは迷探偵見た?」


「りょくおーさんがキャラの自己紹介で『俺の名前はドナイシテン・タングステン』って言ったとこで腹よじれるまで笑ったから見れてない」


「シリーズ1のド冒頭じゃねーか。笑いの沸点低すぎだろ」


「あはは!まぁらむらすも自分が出てるシリーズしか見てないって言ってたし」


「――俺、らむらすに『inducks_tory』だって……らむらす企画の参加者だったこと言った方がいい?」


コラボ前日の夜。タンドリーは、つい独り言めいた言葉を零した。


「大丈夫じゃない?らむらすなら言ってもそんな態度変えないと思う」


「『これプロのタンドリー』として活動していくなら、らむらすの視聴者がどう受け取るかも気にした方がいいだろ」


「真面目だぁ……!でもまぁ『タンドリー』として会うのは明日が初なんだから。言うのは二回目以降でもいーんじゃない?」


「……了解」


タンドリーはいつもなら眠りに落ちている時間だというのに、その夜は少しだけ夜更かしするのであった。

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