↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
中学二年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
224/234

 第207話『人だって壊れる時がある』

給食場に到着した二人は、運んできた牛乳瓶をプラスチックコンテナへ一本ずつ収めていく。


「純花ちゃん。学級委員長でも生徒会でもさ……人に頼ることにそこまで慎重にならなくていいよ?」


「でも……だって迷惑がられるの嫌だし。その子の負担になるくらいだったら、私が一人でやった方が楽だし……」


純花は、幼い頃から学校でも家庭でも『しっかり者』『頼れる存在』『手のかからない子』であることを期待されてきた。


やがて、その期待に応えるのが自分の役目なのだと――ごく自然に思い込むようになっていた。


誰かに頼られることには慣れていても、自分が誰かを頼ることには慣れていない。


誰かに助けを求めたい気持ちと、これまでの経験が生んだ防衛本能との間で揺れ、結局躊躇ってしまうのだった。


「純花ちゃん頭もいいから……そういう発想が染みついちゃうのもよくないって、自分で気づいてるんじゃない?」


「うん……このままだと、皆も私のこと助けづらくなるって分かってはいるんだけど……」


――やっぱり一つでも不安なことがあると……。


相手に迷惑をかけるかもしれない。負担に思われるかもしれない――そんな懸念が一つでも頭をよぎれば、助けを求めること自体に抵抗を覚えてしまう。


結果として、純花は本当にどうしようもなくなる寸前までSOSを出せなくなっていた。


「これは僕の経験談なんだけどさ」


カコン、と最後の一本をコンテナに収めた糸哉は、何気ない調子で続ける。


「周りに自分を無条件で支えさせてあげることも、関係を深めるきっかけになるんだよ」


「……無条件で?」


「うん。人って誰かを助けることで、その相手に好意を抱きやすくなる……っていう心理現象もあるくらいだからね」


「何だっけそれ……」


「僕も本で読んだんだけど忘れちゃった」


糸哉は誤魔化すように曖昧な笑みを浮かべる。その顔を見つめていた純花は、何も言わずに彼の手を取ると――自分の頭の上へそっと乗せた。


――ならもっと頼れば……糸哉先輩も純花のこと……?


自分よりずっと大きな左手が、優しく頭を撫でる。その心地よさに身を委ねながら、純花は糸哉への好意がまた一段と膨らんでいくのを感じていた。


「荷物だって今みたいに半分ずつ持った方が、重さもリスクも軽くなるじゃん」


「うん」


「一人で抱え込むより、誰かと一緒に抱えた方が物事だって上手くいきやすいってこと……忘れないでね」


――純花ちゃんはそんなにメンタルが強いワケじゃないんだから。


『自分のキャパシティを超えて、取り返しがつかなくなる前に』


それは純花に向けた言葉であると同時に、糸哉自身にも言い聞かせるような言葉だった。


「うん……糸哉先輩で頼る練習する……」


「孝太は顎で使えるのにねー」


「お兄ちゃんは頼るんじゃなくて使うだから」


「何で君たちはいつまで経っても対等になれないんだ……」


兄に対する敬意の欠片も感じられない返答に、糸哉が苦笑したその時。


「テディー!」


「あ」


正面から、図書委員の当番を終えた敦斗と幸樹が歩いてきた。


――うーん。一応リアルでも紹介しとくか。


「えーと……見えてる?マッハで僕の後ろに隠れた子、一年の学級委員長で……」


「……え!?孝太の妹!?」


「てことはアンタが……アレ(ラクト)か?」


「あ、アレ(ラクト)です……初めまして」


二人の目が向いた途端、純花は懐いていた雰囲気をさっと隠す。糸哉の背から身を離すと、打って変わってひんやりとした雰囲気を漂わせながら、深々と頭を下げた。


「山根純花です。い、いつも兄がお世話に……よろしくお願いします。なんですけど、あんまり仲を深めたくはないです」


「よろしくはするんだな」


「特に犬飼先輩」


「何で!?」


「ブハッ……!名指しマジかぁ」


「国宝カップルと関わりがあるなんて知られたら、ファンに何て詰められるか分かんないから」


「あー。特に女子は色々と厄介そうだからねー」


「まさに触り三百だな」(※関わりを持ったばかりに、思いがけない損害や面倒を受けること)


「なっ……!ちょっその皮肉ガチ効くからやめて。でもマジか……」


追い打ちをかけるような幸樹の一言に、敦斗はショックで崩れ落ちる――


「……マジで似てるー!純花ちゃん孝太そっくり!」


――ことはなく、むしろ瞳はキラキラと輝き始めていた。


「謝ってください。それ言われて喜ぶ兄妹はいません」


「そうなの!?」


「今のは敦斗が悪い。俺の立場だったら殴打してた」


「あはは!地雷だぁ」


「俺の周りにいる兄妹、仲悪すぎるだろ!」


――はっ……!糸哉先輩だけだったらまだいいけど、こんなとこ誰かに見られたら絶対噂になる!


「じゃっ、じゃあね!」


「あ」


「ホントに逃げた……」


「確かに似てるな」


三者三様の反応をよそに、純花は逃げるように一人で教室へ戻ったのだった。



おまけ『ルゥーアの初ブログ』


「ルゥーア。君の担当は水曜日だ」


「……う、うす」


「話しが早くて助かるなぁ。じゃあよろしくね!」


「はいぃ……」


――やっぱりかぁ……。


テディの一言でブログの件を指していると分かったルゥーアは、甘んじて受け入れるしかなかった。


☆彡

始めまして。これプロのナンバー6、ルゥーア・ドルフィンと申します。


職業は警備員、メンバーカラーは青色です。


警察官ではないので、僕に一時停止違反の取り締まりについて文句を言うのはやめてください。


この組織に入る上で、テディに言われたことがあります。


『ついでにこれプロの調和も守ってね』と――。


僕も揉め事や対立のない穏やかな関係を望んでいるので、できる限りテディの期待に添えたらなと思っていました。


僕「お疲れ様d」

タンドリー「ゆで卵だけって……どこが理想の朝食だよ」

ユイガ「はぁ!?卵は完全栄養食なんだけど!?」


ですが通話に入って二秒で、タンドリーさんとユイガさんが朝ご飯の定義について衝突していました。


何でもタンドリーさんは、朝ご飯にゆで卵二個食べたユイガさんに納得がいっていないとか。


僕もタンドリーさんと同じ意見で、ゆで卵二個だけでは朝食として不十分だと思います。


ですが僕自身、朝はほぼ食べずに済ませる日の方が多いので……ユイガさんを諭せるほど僕は立派な立場にいませんでした。


結局どっちにも寄り添った当たり障りのないフォローしかできず……。


視聴者諸君も朝ご飯はきちんと食べましょう!どうやらそれがこの世界の多数派(マジョリティ)みたいです。


僕は朝を食べない代わりに昼と夜にいっぱい食べるという、あまり健康的とは言えない生活を送っています。


それが祟(たた)ったのか、以前CTを撮ると腎臓に影が映っていました。


安心(?)してください。後日の検査でただの脂肪と分かり、死ぬほど恥ずかしかったです。


予め言っておきますが、僕はユイガほどフレッシュな新人ではありません。


ごく平凡なおじさんなのでその点はご容赦を。


最後にお願いです。


これからの僕の活動をどうか温かく見守ってください。よろしくお願いします。


☆彡

シェンとテディは記念すべきホットの最初のブログを読んで一言。


「お前もおっさんかよ!脂肪のオチ完璧か!」


「わ、笑っちゃ駄目だけど……ゴメン面白い……!これ誰のエピソード引っ張ってきたの?」


「お父さんです……ブログ書くって言ったら『母さんしか知らないとっておきのネタを使え』って言われて……」


「臓器に影は……怖ぇな……(煙草スパー)」


「あはは!シェンは間違いなく肺が真っ黒でしょ」


「いーや俺不死身じゃし!ニコチン吸わんとやってられんわ」


「シェン……長生きしてください」


ルゥーアがやや怯えながら気の毒がると、シェンは煙草の灰をトンと落として応えた。

テディ「これで月曜日ナキ、火曜日タンドリー、水曜日ルゥーア、木曜日ユイガ、金曜日は僕、土曜日ホット、日曜日は業務連絡か不定期で裏プロ……ブログのサイクル完成したーーー!やったーーー!バンザーーーイ!」

ホット「……ちょっと誰か。早くおめでとうって言ってあげて」

タンドリー「お前が言え」

ナキ「しゃーねぇな。ユイガとルゥーア呼んでくっか」

テディ「別におめでとうくらい言ってくれてもいいんじゃない!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。