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諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
中学二年生編

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閑話⑯『○○しないと出られない部屋 タンドリー×ナキ』

テディ「今日は二人でレゾクラのミニゲームやってもらうよー。初見の反応も欲しいから詳細は言わないね。見たら全部分かるから!」


タンドリー(以下タ)「チェンジ」


ナキ(以下ナ)「こっちの台詞だ!ったく何でコイツと……」


タンドリーとナキの不仲が視聴者の間にもすっかり根づいた今、二人の関係を少しでも改善するための企画が水面下で進行中だった。


ナ「さーて。事前説明ゼロでここに来たワケだけどよ……何だよこの真っ白な部屋!」


タ「……向こうの方に何か書いてあるな」


二人「「プログレス(progress)しないと出られない部屋……?」」


ナ「……あ?英語分かんねぇわ」


タ「高校英語だぞ」


二人の声が重なった瞬間――『バシュウン!』という音が響き、真っ白な密室に突如アスレチックが出現した。


ナ「はぁ!?」


タ「プログレス……progressの意味は進歩、発展、発達……レゾクラアスレの特訓企画か?」


ナ「はぁ?オイ選出ミスってんぞ!だったら俺とホットでいいだろうがよぉ!」


タ「(アスレが十八番の)俺とド下手野郎の進歩を見るって目的か……?」


ナ「誰がド下手野郎だコラァ!見てろよ!」


ナイアが手掛けたやや上級者向けのアスレチックで、二人はブロックを飛び移り、障害物を乗り越えていく。


ナ「っ!?床が動いてやがる!」


タ「強制縦スクロールか……!これプロのアスレはこうじゃないとな」


本ステージは落下すればスタートからやり直しな上、さらにランニングマシンのように進み続けないと落ちてしまう仕組みだった。


タ「でも長さはそこまでじゃないな」


ナ「アイツもうあんなとこまで……!クソッ!」


――やっぱレゾクラアスレのスキルだけは半端ねぇな……!


タンドリーが一回も落ちずに半分まで進んだその時。彼の画面上に文字が表示された。


タ「は?『ナキの良いところを五つ言え?』」


ナ「こっちもチャットに何か出たわ!」


タ「良い、ところ……?(ガチ困惑)」


ナ「はははははは!さっきのウキウキでアスレしてたお前はどこ行ったんだよ!俺の良いとこなんて山ほどあるわ!」


タ「……良いところが一つあるところ、二つあるところ……」


ナ「初っ端から中身空っぽすぎんだろ!」


タ「……(ゲーム上手いは死んでも言いたくねー)くっ……ちょ、長所が一つあるところ」


ナ「その指へし折られてぇのか!?」


直後『ブブーッ!』という効果音が鳴り、タンドリーはスタート地点へ強制転送されてしまった。


タ「なっ……!?」


ナ「ブハハハハハ!マジざまぁ!こんなの適当に嘘言っとけば余裕なのによぉ!」


タ「五つもあるワケねーだろ!」


ナ「これで俺が先頭だな。お、これがアレだろ?中間地点ってヤツ……」


『タンドリーチキンの作り方を答えなさい』


ナ「……タンドリーチキンの作り方だぁ?まずタンドリーの頸動脈を切って……」


タ「血抜きの段階から!?」


ナ「羽むしって、頭とか足を切り離して最終的に焼きゃぁいいんだろ!?」


『ブブーッ!』


ナ「うおっ!?オイ俺もスタート地点に戻ったじゃねぇかよ!」


タ「ただ鶏を屠殺(とさつ)しただけで終わったな」


攻略の進行度が着実に上がっているが、質問に苦戦する二人は後退を繰り返していく。


ナ「これ誰の企画だよ……!テディか!?」


タ「いや……多分裏プロだな。どうせシェンとメトロだろ」


『ピポピポーン!』


二人「「うぜぇ……」」


声が重なった途端『バシュウン!』という音が鳴り、二人は中間地点へと強制転送された。


二人「「わっ!?」」


『ハモリボーナス!二人の仲が一歩前進したネ!』


二人「「……」」


タ「敵が仲間になる展開とか安っぽくて嫌なんだよな……でも今回だけはあの龍(シェン)とモグラ(メトロ)〆るまで付き合ってやる」


ナ「お前と連携なんて虫唾が走るけどなァ!さっさとこんな悪趣味部屋から出るぞ!」


アスレチックが半分終わった段階で、二人には共通の敵という認識が生まれる。それが結束力の向上につながっていた。


タ「何か出て来た……『問題:レンゲソウが咲くのは春夏秋冬のうちどの季節?※味方の助言OK』」


ナ「急にヌルい四択来たじゃねぇか!」


タ「……レンゲソウ?蓮華?雑草?」


ナ「違ぇよ栽培植物だよ!いるだけで土が肥料無しでふかふかになるんだぞ!蜜も美味すぎてキマるほど美味ぇし!」


タ「知識偏りすぎだろ……えーと冬?」


『ブブーッ!』


ナ「馬鹿野郎!春に決まってんだろーが!つか分かんねぇなら俺に訊けや!」


タ「問題が悪かったな」


ナ「マジで終わってやがる……!(怒りマークピキピキ)で、俺の方は『タンドリーに誕生日プレゼントをあげよう!何をあげる?』か……」


タ「花以外で」


ナ「あげないのが正解だろ。だが俺はちゃんと問題を読むぜ!鳥頭のクセに無駄に知能高ぇから本とかどうだ?」


タ「お。ジャンルは?」


ナ「道徳心のない畜生でも分かるコミュニケーション術とか」


『ブブーッ!』


ナ「オォィ!おかしいだろ!大人しく万歳して喜べや!」


タ「ま、妥当だな」


ナ「……おいタンドリー。ちょっと足止めろ」


タ「何だやるのか?」


ナ「あそこの梯子に飛び移った先で問題か質問が出るだろ?そこ二人同時に行ってみるってのはどうだ?」


タ「……試してみるか。早く来いよ」


ナ「誰にモノ言ってんだよ!」


そこでタンドリーはナキが追いつくまで進む速度を落とし、二人は同時に質問ゾーンへ辿り着いた。


タ「よし……」


ナ「どうなんだ!?」


『同時ボーナス!仲良くお手てをつないで、おんなじところに来られたネ!』


二人「「チッ……」」


タンドリーとナキの苛立ちが最高潮に達した直後、『ドオォーン!』というドラの音と共に『GAME CLEAR!』の文字が現れ――


二人「「は?」」


――気づけば二人は部屋の外に出ていた。


ナ「……んだこのクソゲー!オイ企画者ァ!出てこいや!」


タ「待てナキ!この(動画の)趣旨が『俺たちの仲を前進(progress)させる』だとしたら……難癖つけるとまた戻されるぞ!」


ナ「マジ最高の部屋だったわ!なぁこの後メテオカートやろうぜ!」


タ「まぁレースゲーなら実力も互角だしな……やるか」


こうして撮影は無事に終わり、二人の関係は企画通り進展(?)したのだった。

その後の会話。

ナキ「お前の職業ってコック?シェフ?あんま違い分かんねぇけど」

タンドリー「俺はただのコック。で、シェフの方が偉い」

ナキ「何作ってんの?人肉料理?」

タンドリー「……細切れにするぞ」

ナキ「返り討ちにしてやんよ!この虚無野郎!」

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