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諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
中学二年生編

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199/221

閑話⑮『CAFE REFLECT タンドリー×塩練メアリ』

※このラジオの収録月は四月中旬です

『CAFE REFLECT』は、バーチャルなカフェ空間を舞台にしたトーク系のNico・Tube動画配信チャンネルである。


定期的に新しい回が公開され、毎回異なるゲスト同士による、そこでしか交わされない会話が楽しめる。エンタメやカルチャーの話題を軸にした、実験的なプロジェクトだ。


☆彡

その店は、駅前の喧騒から一本外れた路地にあった。看板の灯りは弱く、初見では営業しているのかも分からない。


カウンターに腰を下ろすと、視界の端に見覚えのある横顔が映った――。


今回訪れた客はゲーム実況者グループ『諸君!これがプロである!!』タンドリーと、大手ブイチューバーグループ『ディパレット』所属の塩練(しおねり)メアリだった。


メアリ(以下:メ)「――すみません、お隣……あ」


タンドリー(以下:タ)「……ん」


メ「タンドリーじゃないですか」


タ「お疲れ様です」


メ「いい店ですよね。私ここのソルトコーヒーが好きで」


タ「へぇ。俺は今日初めて来て……本当は一人でカフェとか行かないんですけど」


メ「じゃあ何で……」


タ「待ち合わせ時間ちょうどに『今から家出る』ってほざきやがったアホ猫……メンバーのユイガ待ちです」


メ「っ……!たまにいますよね。盛大に遅刻する人」


タ「まさか塩練さんと相席することになるとはな……」


メ「そうですね。私もビックリしました……『ここで会ったが百年目』って言葉を相手に言うことがあるなんて」


タ「穏やかじゃねぇな。俺何かしました?」


メ「えぇつい先日!『BROレゾクラ』で色々と……私はキショすぎて好きですよ。タンドリーの追跡者」


タ「どうも」


メ「詳細はネタバレになるので割愛します。もしかしたら周りのお客さんの中に私たちの視聴者がいるかもしれないので」


タ「まだ観てない視聴者への配慮を欠かさない……プロだな」


メ「詳しくは塩練メアリ視点の『BROレゾクラ~ラン・フロム・ザ・KP~』を要チェックです」


タ「抜かりねーな。てか俺に向かって宣伝されても……」


メ「タンドリーはランナー視点のアーカイブ観たんですか?」


タ「はい」


メ「私はハンター視点観てないので、良かったら是非……」


タ「宣伝しろってか……」


メ「お願いします」


タ「……えー、現在大遅刻中のユイガ視点のアーカイブはこれプロチャンネルにて無料公開中です。俺含む他ハンター四人分の視点については、これプロチャンネルの有料会員限定コンテンツとして配信中です。月額百円ですので、よろしければ是非そちらもご覧ください」


メ「おぉー!(パチパチ)早速今日帰ったら見ますね」


タ「生まれて初めてやった……これでいいのか」


メ「バッチリです。寧(むし)ろもっと告知してった方がいいですよ。そのための美声でしょう」


タ「っぱカフェは一人で来るもんじゃねーな……」


メ「ふふ……逆にどうやって時間潰してるんですか?時間になっても相手が待ち合わせ場所に来ない時……」


タ「え……普通にその場でスマホゲームしたり本読んだり」


メ「本……!どんな本読んでるんですか?」


タ「料理関係の……」


メ「あ、そっか。タンドリーの職業って……ちょっと口に出すのは憚(はば)られるんですけど、ツッコミの印象が強くて」


タ「じゃ俺も僭越ながら……塩練さんは利口キャラって感じがします。てか高校生……!?」


メ「高二です。仰る通り、ディパレットゲーマーズのクール&理性担当でいかしてもらってます」


タ「普段は制服なのか」


メ「私『BROレゾクラ』でちゃんと体操服着てましたよ?」


タ「あれ指定ジャージだったのかよ。ディパレットゲーマーズ……最近どんなゲームしたんですか?」


メ「フッ……奇遇と言いますか、実はまさに最近『ビストロ・シミュレーター』で料理の腕を発揮していたところです」


『ビストロ・シュミレーター』とは――世界各国の料理に挑戦できるシミュレーションゲームのことである。(第95話参照)


メ「難しいけど楽ですよね。工程が短縮してるところとか」


タ「あぁ……ミキサーに材料入れたら一瞬で混ざりますよね」


メ「はい。まさか卵が一回で割れてくれるなんて……」


タ「は?」


メ「いつも……納豆に卵入れる時とか『コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン、パカッ』って」


タ「十八回……!?もう慎重とかのレベルじゃねーだろ」


メ「最後は茶碗蒸しを爆発させて終わりました」


タ「何でだよ」


メ「あ、でもカレーは上手く出来ましたよ」


タ「ほぉ」


メ「何のカレーだっけ……あぁ。マトンカレーです」


タ「羊肉……!いいっすね」


メ「リアルで食べたことないんですけど。マトン入ってるとどうなんですか?ラム肉とは違う?」


タ「ラムは子羊で、マトンは成羊です。マトンはラムに比べると独特の臭みとクセが強いですね。知り合い(シェン)は『クセになるマズさがいい』って言ってました」


メ「癖になるマズさ……そう言われると気になりますね。何杯お代わりできるかな……」


タ「結構食う人ですか」


メ「そうですね。背脂塩ラーメン大盛りにご飯から揚げセットと替え玉はデフォです」


タ「食べ盛りかよ」


メ「テト……普通のラーメン一杯頼んだテトヴィより早く食べ終わったら引かれました」


タ「美味いもん食うと咀嚼(そしゃく)の大切さなんてどっかいくよな……分かる」


メ「あ、でもお刺身は味わって食べてますよ。もうそろそろ鮎(あゆ)のお刺身が食べられる……!」


タ「高二女子で鮎の刺身マジか……育ちいいな。俺は今だったらメバルの方が好きです」


メ「メバルいいですね!煮ても焼いても良い……あぁアマゴも美味しいな……」


タ「さっきからレアな刺身ばっか出て来る……アマゴの良さ分かる高二なんて塩練さんくらいだろ」


メ「そんなことないですよ。私でも良さが分からない食べ物くらいあります。あんこが殿堂入りしてるんですけど」


タ「豆系が無理ってこと?」


メ「そうですね……インゲン豆以外の豆は苦手です」


タ「何でインゲン豆だけはいけるんだよ」


メ「あとお酒も怖いです……多分成人しても恐ろしくて飲めないかも」


タ「あぁ十六?十七歳か……何か恐怖体験でも?」


メ「姉が……酔うと脱いで走り回ってモンスターになる光景を幾度となく見てきました」


タ「ヤバすぎんだろ……なら塩練さんも飲まない方がいいな」


メ「タンドリーはお酒飲まれるんですか?」


タ「職業柄。合わせた料理を考えることもあればレシピに加えることも」


メ「レシピにも……?フランベとか?」


タ「この前メンバーと集まった時はデミグラスソースに赤ワイン入れたな……オムライスのソースに」


メ「えっ超羨ま……メンバーに振る舞ったんですか?」


タ「めちゃくちゃ揉めました。塩練さんってオムライスは何が好きですか?」


メ「な、何が好き……とは?」


タ「ご飯は白米かチキンライスかとか、ソースはケチャップかデミグラスかとか……」


メ「あぁ!私はやっぱり王道を征(ゆ)く……チキンライスにケチャップで、卵は半熟だと嬉しいです」


タ「テディと同じか。俺もそれでいいんですけど……ホットは白米にケチャップで卵固め、ユイガは白米でデミグラスソースで卵ふわとろがいいとか我儘(わがまま)言いやがって……」


メ「ふふっ……でも結局ソースは二種類作ったんですよね?面倒くさ楽しそうじゃないですか」


タ「テディが手伝ってくれなきゃ問答無用でケチャップだったけどな。米はチキンライスで黙らせました」


オフでテディたちがシェンの家に集まった日、ナキは遠方住みのため欠席だった。


メ「料理上手な人っていいですよね。私も養われたいです。タンドリーさんは恋……してますか」


タ「マッチングアプリのキャッチコピーみてーな導入だな」


メ「その声で数多(あまた)の女性をメロつかせてきたんでしょう」


タ「ねーよ。恋とか……傍(はた)から見たら恋してる自分気持ち悪いって思うからしたくない」


メ「じゃあ今まで尊敬とか、親しい女性は近くにいなかったんですか?」


タ「いや……」


メ「いや!?(いないって即答じゃなくて!?)」


タ「……別の話、てか俺より塩練さんが話した方が」


メ「興味あるんですか?私の恋愛話……」


タ「マジでねぇ」


メ「ですよね。私はあります!言える範囲で詳しく!」


タ「今日一テンション高ぇのやめてくれ……尊敬な。職場の先輩で、あくまでこの人凄いなって思っただけで……」


メ「記憶に残ってるんですね。真っ先に思い浮かぶくらい……」


タ「指導する時も一緒に改善点考えてくれるタイプで、ただ怒るだけじゃなかったんだよな。言いたいこと言うだけじゃなくて……とにかくあの人を参考に、俺もこうありたいと思った」


メ「素敵な女性ですね……」


タ「まぁその先輩(親戚の姉)ショタコンだったけどな」


メ「ブハッ……へ!?」


タ「十二歳以下の男子じゃないと愛せないっていう人だった」


メ「っ……まさか最後に最高のオチが待ってるとは……!タンドリーやりますね」


タ「でも皆から慕われてましたよ」


メ「私、怒られてる時はいつも心の中で『そういう意見もありますよね』って返してます」


タ「張り倒してぇ……」


メ「ビンタされるのは御免なので、私はそろそろ出ます」


タ「……あれ、アイツもう着いたのか……思ったより早かったな」


メ「またお話しましょう。あと今度ゲームする時は味方になってください」


タ「あぁはい。それではまた……」


カラン、と軽い音を立ててバーのドアが閉まる。


カウンターに残ったグラスと、途切れた会話――二人のトークは、そこで静かに幕を下ろした。

好みの異性の年齢について。

ホット「やっぱ同い年がよくない?」

テディ「それも分かるけど。年上のお姉さんもいいよねー。分かるよタンドリー」

タンドリー「……」

ナキ「まさかテメェ等……陽菜莉のこともそういう目で」(※陽菜莉は高二)

テディ「見てないから安心して。ユイガは?」

ユイガ「(どっちでもいいけどホットが少数派になるから)右に同じ」

ホット「ここで俺がぼっちになることある!?絶対この中で好み固定してんのナキだけだろ!」

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