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諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
中学一年生編

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 第161話『反逆者の常套を暴け……』

一日目の行動、役職。

・テディ(張り込み)→ホット(張り込み)

・ホット(観測者)→死亡

・タンドリー(鍵番)→メトロ(鍵番)

・ユイガ(不明)→在宅

・ナキ(不明)→在宅

・シェン(不明)→テディ(異常なし)

・メトロ(鍵番)→外出不可

・ナイア(掘削者)→ナキ(落とし穴掘ってた)


反逆者について捕捉。反逆者同士は互いの役職を把握しているが、密談はできない。

脳内で考えをまとめ終えたユイガが、勢いよく口を開く。


「待って。処刑するのはまだ早いよ。一旦俺の……『愛弟子(プロテジェ)』の推理を聞いて」


『愛弟子(プロテジェ)』とは――ゲーム中、最初に殺害または追放されたプレイヤーの役職を継承する役職である。継承後は、その能力と勝利条件も引き継ぐ。


今回ユイガが受け継いだのは、一日目の朝に死亡したホットの『観測者(オブザーバー)』。二日目の夜、その能力でシェンの正体を調べていた。


「シェンは村人(ヴィレジャー)の『死霊使い(ネクロマンサー)』だった。ナキも村人確定役職を実際に証明してるから白。メトロは一日目も二日目も殺せないから白。そこまで考えると……俺視点『反逆者(トレイター)』はタンドリーとナイアで決まりなんだけど?」


「!」


突然名指しされた二人の表情が固まる。しかしその沈黙は一瞬だった。


「……すみません。僕視点だと、ユイガさんも十分怪しいです」


「ユイガが『反逆者(トレイター)』で、相方のシェンを庇ってるようにしか見えねー」


「はぁ!?」


二人の反論にも筋は通っていた。彼の推理は、あくまで自分が村人陣営であることを前提に成り立っている。


二日目夜の行動は以下の通り。

・テディ(幻覚持ち(ハルシネーション))→死亡

・タンドリー(鍵番(キーマスター))→ナキ(鍵番(キーマスター))

・ユイガ(観測者(オブザーバー))→シェン(観測者(オブザーバー))

・ナキ(独裁者(ディクテイター))→在宅

・シェン(死霊使い(ネクロマンサー))→テディ(蘇生)

・メトロ(鍵番(キーマスター))→ナイア

・ナイア(掘削者(エクスカベーター))→外出不可


一日目の行動も合わせれば両日とも自由に動ける立場だったため、疑いを向けられても不思議ではない。


「少なくとも俺が百パー信用できるのは、両日とも殺しようがなかったメトロだけだ」


ナキが処刑執行を中断して口を開くと、メトロは短く首を横へ振った。


「全仮説を保持したまま解析を継続します。一日目において、ナイアがホットを排除した可能性。二日目において、タンドリーがテディを排除した可能性。さらにユイガが『愛弟子(プロテジェ)』を装い、一日目または二日目に排除を実行した可能性――現時点では、いずれも否定できません」


――ただし、シェンの発言は有力して扱うべきですね……。


付き合いの長いメトロには分かっていた――シェンは『反逆者(トレイター)』ではないと。


シェンの見解が正しいとすれば、彼は自分が『幻覚持ち(ハルシネーション)の(・)死霊使い(ネクロマンサー)』であることを知らずにテディを蘇生しようとし、その能力が運悪く幻覚として終わっただけだと判断できる。


――ですが、それは人物情報に基づくメタ推理です。客観的な根拠とは認められません。


「でも俺シェンの役職をちゃんと当てたんだけど!?シェンがカミングアウトする前に!」


ユイガがさらに食い下がると、ナキは苛立たしげに唸る。


「お前が『反逆者(トレイター)』なら相方の役職なんて最初から知ってるだろ?『観測者(オブザーバー)』騙(かた)りして結果を言っただけって可能性も……あ?もう分かんねぇわ」


「おい思考放棄すんな……ん?」


「ちょ、何で俺!?」


いつの間にかシェンの拘束は解かれ、代わってユイガが処刑台に縛りつけられていた。


「『観測者(オブザーバー)』を継(つ)げたのは上出来だったぜ。けど肝心の『反逆者(トレイター)』を外した時点でユイガのツキもここまでだな。お前が身内でも切り捨てて立ち回ってりゃ話は違ったのによぉ!」


「ヤダヤダヤダ!もっとゲーム参加したいぃぃーっ!」


ナキが処刑の合図を送る。だが彼の首が落ちることはなかった。


処刑台そのものが轟音とともに宙へ打ち上がり、ユイガは悲鳴を上げながら夜空の彼方へ消える。次の瞬間、その身体は無数の光の粒となって砕け散った。


「……これで『反逆者(トレイター)』が減っていればいいんですけど」


沈黙が広がる広場でナイアがぽつりと呟く。すると広場の中央へ、一冊の本が音もなく落下した。


「はぁ……マジか」


シェンがそれを拾い、重いため息を漏らす。


本に記されていた役職は『愛弟子(プロテジェ)』――つまり、処刑されたユイガは村人陣営だった。

残る生存者は村人(ヴィレジャー)陣営三人。反逆者(トレイター)陣営二人。均衡が崩れれば、その瞬間に村は敗北する。


そんな極限の状況で、運命を決める三日目の夜が幕を開けた。


「…」


赤い屋根が目印の自宅にて。タンドリーは一つの可能性に賭けていた。


――俺が確実に『反逆者(トレイター)』を一人監禁できれば……今夜の犠牲はワンチャン0で済む。


ナキが村人確定役職だったと知った今、残る容疑者は絞られている――そう腹を括り、タンドリーは外に出た。


「あの蜂も村人確定役職なら最初から言えや……『ここぞって時に使いたかったから黙ってた』じゃねーんよ」


ちょうどその頃。シェンはぶつぶつと文句を言いながら扉に手をかけた瞬間――


『ドンッ!』


「!?」


――タンドリーはシェンを突き飛ばし、よろめく彼を家の中へ押し戻した。


「は!?何で俺を監禁するん!」


「声でけぇよ。他の奴に聞こえるだろ」


そう言い残し、タンドリーはトンカチとベニヤ板で扉を塞ぎ始めた。


「――おい何だテメェ!やんのか……ぐぁぁぁぁぁっ!」


そして『鍵番(キーマスター)』の職務を全うしている最中、ナキの断末魔が村中にこだます。


「ナキ……!今から行こうとしとったのに!」


「アイツが『独裁者(ディクテイター)』とか一番駄目だろ」


「くそ……!」


そして四日目の朝。広場には、無残なナキの亡骸が横たわっていた。


「ナキ……」


その姿を見つめたメトロは、ようやく全てが一本の線で繋がる。


「……二日目の夜、私はナイアの家へ『鍵番(キーマスター)』を実行しました。したがって貴方は外出できなかった筈です」


「はい。でも実際は違ってて……僕はあの夜、普通に外へ出てテディを殺しました」


「メトロが『幻覚持ち(ハルシネーション)の(・)鍵番(キーマスター)』かよ……!オメーももっと早く気づけや!」


「責任の所在を私へ転嫁(てんか)しないでください」


「え、じゃあ俺は……マジ何で二日目にテディ蘇生できんかった?」


「上手く噛み合ったから、気づくの難しかったですよね。僕も咄嗟に辻褄を合わせてたから……」


「どのみち三日目の昼に『反逆者(トレイター)』を追放できなかった時点で村はほぼ詰みだったけどな」


その言葉に、役職『死霊使い(ネクロマンサー)』のシェンが鋭くタンドリーを睨みつける。


「てかタンドリーも俺を監禁するんじゃのーて殺せよ!」


「二日目みたいに殺(・)し(・)先(・)が(・)被(・)る(・)のが怖かったんだよ」


「そうか……!じゃあやっぱり俺はガチの『死霊使い(ネクロマンサー)』で、蘇生したテディはタンドリーかナイアに殺された直後で……」


「あ、僕がもう一度テディを殺しました。『反逆者(トレイター)』はお互いの役職が分かるんですけど、行動の共有までは出来なかったので」


「結果シェンが疑われてて笑った」


三日目の夜の行動は以下の通り。

・タンドリー(鍵番(キーマスター))→シェン(鍵番(キーマスター))

・ナキ(独裁者(ディクテイター))→死亡

・シェン(死霊使い(ネクロマンサー))→外出不可

・メトロ(幻覚持ち(ハルシネーション)の(・)鍵番(キーマスター))→ナイア

・ナイア(掘削者(エクスカベーター))→ナキ(殺害)


「僕たちが弁明を重ねる前に終われてよかった……」


「そうだな。もう喋ることないだろ」


『反逆者(トレイター)』のタンドリーとナイアは、それぞれ右手に血塗れのナイフを握ったまま勝利を告げる。


「死は救済ってか……?」


「お見事でした。また次に活かしましょう」


『GAME SET 反逆者(トレイター)の勝利』


こうして村人陣営と反逆者陣営が同数となり――レゾンクラフト内で開発されたオリジナルゲーム『これプロ人狼』は、反逆者陣営の圧勝という結果で幕を閉じた。


今回の役職は以下の通り。

村人……テディ(幻覚持ち(ハルシネーション)の(・)張り込み(ステークアウト))、ホット(観測者(オブザーバー))、ユイガ(愛弟子(プロテジェ)→観測者(オブザーバー))、ナキ(独裁者(ディクテイター))、シェン(死霊使い(ネクロマンサー))、メトロ(幻覚持ち(ハルシネーション)の(・)鍵番(キーマスター))


反逆者……タンドリー(鍵番(キーマスター))・ナイア(掘削者(エクスカベーター))


「いやーアツい試合だったね!」


試合終了と同時に感想戦が始まり、犠牲者たちも復活して広場へ集まってくる。


「村人(ヴィレジャー)側で夜の襲撃を止められる役職がシェンだけだったのキツすぎ」


「ホットもナキも昼の議論に強い役職だからな」


「やっぱ俺の推理当たってたんだけど!ナキー!何で俺を殺したの!」


「しゃーねーだろ!お前がさっさとカミングアウトしなかったのが悪ぃ!」


「絶対テディが初日の犠牲者になる思っとったのに……!」


「やはり最大のターニングポイントは三日目の議論時間でした。私の視点では、ナイアもまた疑惑対象として認識されていましたので……」


――テディがあそこで生き返ってたら僕とタンドリーさん負けてた……危なっ。


ナイア本人は襲撃先が被ったと知った瞬間こそ肝を冷やしたものの、結果的には最善手だったと分かり胸をなで下ろした。


「確定村人(ヴィレジャー)が一気に二人になって、タンドリーもナイアも怪しまれてたのに……」


「ワンチャンあったんだけど……独裁者が無能(ポンコツ)じゃなければ!」


「アァン?」


談笑が続く中、テディだけは内心ホッとしていた。


――ゲームバランスも大きく崩れなかったし、不具合も特に無し……これならコラボも大丈夫そう。


彼は裏プロを集め、気になった細かな仕様や演出について意見を交わしていく。


その間他のメンバーは屋根を張り替えたり、遊び半分で家の内装を豪華にしたりと、それぞれ自由にコラボ用のステージを整えていた。


「ねーコラボでは初日に殺さないで!俺も殺んないから」


「「フリか?」」


「あぁ終わった……」


こうして『これプロ人狼』の初テストプレイは無事終了。細かな調整を残しつつも――近日予定されているコラボ撮影へ向けた準備は、順調に進んでいくのだった。

真の一日目の行動、役職。

・テディ(幻覚持ちの張り込み)→ホット(張り込みしたけど幻覚を見ていたため不発)

・ホット(観測者)→死亡

・タンドリー(反逆者の鍵番)→メトロ(鍵番)

・ユイガ(愛弟子)→誰かが死なないと使えない役職のため在宅。

・ナキ(独裁者)→昼にしか使えない役職のため在宅。

・シェン(死霊使い)→テディ(異常なし)

・メトロ(幻覚持ちの鍵番)→タンドリーに監禁されたため外出不可

・ナイア(反逆者の掘削者)→ホット(殺害)


真の二日目の行動、役職。

・テディ(幻覚持ち)→死亡。※テディはタンドリーが殺した後シェンに蘇生されてすぐナイアに殺された。

・タンドリー(反逆者の鍵番)→テディ(殺害)

・ユイガ(観測者)→シェン(観測者)

・ナキ(独裁者)→昼にしか使えない役職のため在宅。

・シェン(死霊使い)→テディ(蘇生)

・メトロ(幻覚持ちの鍵番)→ナイア(監禁をしたという幻覚を見ていたため不発)

・ナイア(反逆者の掘削者)→テディ(殺害)


真の三日目の行動、役職。(ユイガは追放されたため省略)

・タンドリー(反逆者の鍵番)→シェン(鍵番)

・ナキ(独裁者)→死亡

・シェン(死霊使い)→タンドリーに監禁されたため外出不可

・メトロ(幻覚持ちの鍵番)→ナイア(監禁をしたという幻覚を見ていたため不発)

・ナイア(反逆者の掘削者)→ナキ(殺害)

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