薬草採取
俺は森の入口で立ち止まり、解析魔法を使った。
薬草の反応を探す。
「……あった」
すぐ近くにいくつか反応が見つかった。
俺は反応の場所へ向かい、薬草を見つける。
依頼書に書かれていた薬草と同じものだ。
「これなら簡単だな」
薬草を傷つけないように採取していく。
いくつか採取したところで、もう一度解析魔法を使ってみる。
すると、森の奥のほうから強い反応が返ってきた。
「こっちのほうが多そうだな」
俺は反応の強い方向へ歩いていく。
森の奥へ進むにつれて、周囲の木々が増えていく。
足元にも草が生い茂っている。
そして、解析魔法の反応がさらに強くなった。
「ここか」
目の前に広がっていたのは、たくさんの薬草だった。
森の入口付近で見つけたものとは比べものにならない。
あちこちに薬草が生えている。
「こんなにあるのか」
俺はしゃがみ込み、薬草を一本ずつ採取していく。
普通なら、ここまで来るのにも危険がある。
新人冒険者は、危険を避けるため森の外で薬草を探すのが普通だ。
森の奥まで入るのは、それなりに経験を積んだ冒険者が多い。
けれど、俺は魔物と戦える。
森の奥へ入ること自体は問題ない。
解析魔法を使えば薬草の場所もすぐに分かる。
「これなら、かなり採れそうだな」
俺は次々と薬草を採取していった。
依頼で指定されている数は、とっくに超えている。
それでも薬草はまだまだ残っている。
受付のお姉さんは「いくらでも買い取れる」と言っていた。
それなら、採れるだけ採っていこう。
しばらく採取を続ける。
気がつけば、かなりの量の薬草が集まっていた。
「これだけあれば十分かな」
俺は採取した薬草を整理する。
状態の悪いものは避け、きれいなものだけをまとめていく。
解析魔法のおかげで、薬草を探す時間はほとんどかからなかった。
これなら、普通の冒険者よりかなり効率がいい。
俺は集めた薬草を収納し、来た道を戻ることにした。
森の奥から入口へ向かって歩いていく。
途中で薬草を見つけるたびに、解析魔法で確認する。
まだ採れそうなものがあれば採取する。
そうしているうちに、森の入口が見えてきた。
「戻ってきたな」
森の中から出る。
入口付近では、何人かの新人冒険者がまだ薬草を探していた。
俺が森の奥から戻ってきたことに気づいたのか、何人かがこちらを見る。
俺は特に気にせず、町へ続く街道へ向かう。
初めての依頼は、思っていたより簡単だった。
あとはギルドへ戻って、採ってきた薬草を買い取ってもらうだけだ。
森の中から出ると、外の明るさが少しまぶしく感じた。
「戻ってきたな」
森の入口では、行きに見かけた新人冒険者たちがまだ薬草を探している。
地面を覗き込み、草を一本ずつ確認している姿が見える。
俺はそんな彼らを横目に見ながら、街道へ出た。
採取した薬草は、かなりの量になっている。
依頼書に書かれていた必要数を考えると、明らかに採りすぎだ。
でも、受付のお姉さんは薬草が不足気味だからいくらでも買い取ると言っていた。
それなら問題ないだろう。
むしろ、どれくらいの金額になるのか楽しみだ。
俺は町へ向かって歩き始めた。
街道を歩いていると、反対側から馬車がやってきた。
道の端へ寄る。
馬車は俺の横を通り過ぎ、そのまま町へ向かっていった。
町の外へ出るときには気にしていなかったが、こうして歩いてみると、町と森の距離はそれほど遠くない。
薬草採取の依頼が新人向けなのも納得できる。
魔物と戦える俺なら、森の中へ入って薬草を探したほうが圧倒的に効率がいい。
ただ、普通の新人冒険者ならそうはいかない。
魔物に遭遇したら危険だから、森の外で安全に薬草を探す。
依頼の報酬がそれほど高くないのも、そういう事情があるのだろう。
「まあ、俺には関係ないけどな」
俺はそのまま歩き続けた。
やがて、町を囲む城壁が見えてきた。
門の前には、出入りする人たちが並んでいる。
俺も列に並ぶ。
少し待っていると、門番がこちらを確認した。
「身分証を」
「はい」
俺はギルド証を取り出した。
門番に渡す。
門番はギルド証を確認すると、俺を見る。
「もう戻ってきたのか?」
「はい。薬草採取の依頼です」
「そうか。ご苦労さん」
ギルド証を返してもらう。
「ありがとうございます」
門をくぐって町の中へ戻る。
町の中は、外へ出る前と変わらず人でにぎわっていた。
俺はそのまま冒険者ギルドへ向かう。
初めて受けた依頼。
どれくらいの報酬になるのか。
受付のお姉さんは、いくらでも買い取ると言っていた。
採ってきた量を見たら、どんな反応をするだろう。
少し楽しみになってきた。
しばらく歩くと、冒険者ギルドの建物が見えてきた。
中へ入る。
昼間ということもあって、ギルド内には冒険者が何人もいた。
依頼を探している者。
仲間と話している者。
受付で手続きをしている者。
俺はその間を通り抜け、受付へ向かった。
受付には、さっきの獣人のお姉さんがいる。
俺は採取した薬草の入った荷物を持ち直し、受付の前まで歩いていく。
さて。
初めての依頼の報告をしよう。




