表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学校から始まる空白世界の黒VS空白  作者: Stiid2001
魔法学校での事件

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/17

空白現れ、黒に侵食される湊!

夜は、やけに静かだった。

 神代湊は、自室のベッドに座っていた。

 窓の外には、街の灯りが遠くに揺れている。

 ――思い出せない。ふと、そんな感覚が胸をよぎった。

「……何だ、これ」

 違和感を、覚えてしまう。それは、とても怖かった。

 何かを考えようとすると、そこだけがぽっかり抜け落ちている。

 昔の記憶――ではない。もっと近い。

 今日の出来事。ルナの顔を、思い出そうとする 

「…………あれ?」

 ぼやける。

笑っていた気がする。

怒っていた気もする。

でも――どんな表情だったのか、思い出せない。

「……は?」

 胸が、ざわついた。いや、違う。これは“ざわつき”じゃない。

感情が、ないはずなのに。そのはずなのに―

何かが、削れている感覚だけがあるその時。

コン、コン、と窓を叩く音がした。

「……?」

 ここは三階だ。

 外から叩けるはずがない。

 もう一度。

コン。

 ゆっくりと、視線を向ける。窓の外。そこに―

“誰か”が立っていた

「……っ!?」

ありえない。足場などない。ここには、来れるはずがないのだ。

ただ空中に、静かに立っている人の形をしている。

だが、決定的に違う。顔がない。 それは、人間ではない。

あるべき場所が、ただの“空白”になっている。

「……見つけた」

声だけが、直接頭の中に響く。冷たい。何も含まれていない。

「お前は、欠けている」

 ゆっくりと、その“何か”が手を伸ばす。それは、とても怖い。

 窓ガラスが、音もなく溶けるように消えた。

「完全にしてやる」 

次の瞬間。“それ”は、部屋の中にいた。

速いとか、そういう次元じゃない

気づいた時には、目の前。反応できない。

――触れられる!そう思った瞬間、胸の奥が、強く軋んだ。

「……っ!」

 黒が、溢れる.。反射だった。考えていない。そして、どうすることもできない。

ただ、本能が拒絶した。黒い影が、“それ”に絡みつく。だが、

「……やはり」

声は、変わらない。恐怖も、痛みも、何もない。黒が触れているはずなのに。“消えない”。

「不完全だな」

 その手が、湊の額に触れた。冷たい。いや――

何も感じない。触れているはずなのに、感覚がない。

その瞬間。視界が、暗転した。――映像が、流れ込む。

誰かの記憶。笑っている。泣いている。怒っている。

無数の感情。それが一瞬で―“消される”。何も残らない。

空っぽ。完全な、無。 そうなってしまった。

「これが、正しい形だ」 

 声が響く。誰かの声だ。でも、誰か分からない。

「感情は、欠陥だ」

 その言葉と同時に、湊の中の“何か”が、剥がれた。

「……っ、ぁ……!」

あれ……、声が出ない。しかし、痛みはない。なのに、確実に“失っている”。

何を?わからない。わからないのに―戻らないことだけは、理解できた。

「やめろおおおお!!」

 扉が、勢いよく開いた。ルナだった。息を切らし、涙を浮かべている。

「それ以上やったら、この人……消える!!」

その瞬間。“それ”が、初めて動きを止めた。ゆっくりと、ルナの方を向く。

「……感情が、濃い」

興味を持ったような声。次の瞬間。ルナの足元から、光が暴れ出す。

「っ……また……!」

 制御できない。だが、さっきとは違う。恐怖と、怒りと、悲しみ。

全部が混ざって、爆発する。それは、とても、悲しかった。

「来るなああああ!!」光が、放たれる。

 部屋を飲み込むほどの奔流。だが―“それ”は、動かない。ただ、受ける。

そして、すべてが、消えた。跡形もなく。なくなった。

「……無駄だ」

静かな声。絶望的な差。その時。なにかがあった。

床に倒れていた湊の指が、わずかに動いた。

何かが、崩れた。中で。押さえつけられていた“何か”が

音を立てて、ひび割れる。そして―黒が、爆発した。

今までとは比べ物にならない量。濃度。質。

「―――」

 声にならない何かが、空間を震わせる。

それは“それ”すら、わずかに押し返した。

「……ほう」

初めて。ほんのわずかに。興味の色が混じる。

「やはり、お前は」

 その言葉の続きを聞く前に視界が、完全に落ちた。

 意識が、途切れる。最後に見えたのは。自分の腕が―

 “少しだけ、黒く侵食されている”光景だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ