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頭がいいからって教えるのが上手いとは限らないよね



 さぁ随分と寒くなってきて羽織ものが必要な時期となってきました。

 この世界に来て半年以上が経ち私も随分この世界に慣れてきました。慣れてきたということは同じことが再び来たということでもあります。

 ちょっと何を言ってるんでしょうね、自分でもわかりません。

 それほど私は焦っております。

 そうです、冬休み前にある試験がもうすぐ迫っているのです。この世界の授業にそれなりについていけてはいるもののまだまだ成績は下の下です。

 私は前回と同じペペローメとポーテルドから放課後にリリィと一緒に勉強を教えてもらっている。

 今回こそは補習グループから逃れたい私は必死に勉強した。

 ペペローメ達も自分たちも勉強しなくてはならないというのに私たちに愛想をつかすこともなく優しく教えてくれる。


「毎回ありがとうございます、ペペローメ様。ご自身たちの勉強もあるというのに・・・」

「いえ、大丈夫ですよ、あなた達に教えていると私も覚えられますので」

「ペペローメ様素敵ですね!私、ペペローメ様と友達になれて本当に良かったです!」


 私はペペローメの手をがっしりと掴んで感謝を表す。


「と、当然ですわよ!と、友達ですもの・・・」


 ペペローメは少し恥ずかしそうに視線を外すが友達ということは否定しない。初めの頃はカイニスを巡って仲が悪かったが今ではそんな様子は全くないほど仲良くなれた。


「ペペローメ様、冬休みは沢山遊びましょうね!」

「も、もちろんですわ!そのためにも補習なんかになったら許しませんよ!」

「いいなぁ、俺も混ぜてよ。」


 リリィに教えているポーテルドが私たちの話を聞いて間に入ってくる。

 リリィに教えるなんて至難の業なのによく上手に扱えている。


「はい!そうだ!ポーテルド様のお店に今度ペペローメ様とお邪魔しますね!」

「本当かい?ぜひ来てよ、サービスするから」


 私は楽しい冬休みを過ごすためにも今回の試験は絶対に補習を受けないために教科書にかぶりつく。

 そこでポーテルドが前回の時と同じ質問をしてきた。


「そういえばシンシーリアは今回の終業パーティはどうするのかな?カイニス様と一緒に行くのかい?」

「うーん、そうですねぇ…カイニス様とはそのような話はしておりませんが…」


 しかし今のカイニスならきっと一緒にパーティに行くことになるのだろう。

 この前のように約束してないで当日いきなり来るのは勘弁してほしいが、パーティについてカイニスに話すとまるで私が誘ってるみたいになりそうだから聞くこともできない。


「いったい何の話だ?」

「わ!カイニス様!」


 いつの間に後ろにいたのか放課後でほとんどの人達がすでに帰っているというのにカイニスはまだ学校に残っていたらしい。


「どうしてまだ残ってらっしゃるんですか?」

「生徒会の用事があったんだ。」

「そうなんですね、お疲れ様です」


 私はカイニスに別れの挨拶をするもカイニスは私の隣の席に座る。


「試験の勉強をしているのか?」

「え?まぁはい、」

「私が教える」


 いきなりどうしたのだと思ったのは私だけのようで他の二人は納得したように視線を外す。

 ちなみにリリィは頭がパンクしておりカイニスが来たことすら気づいていない。


「いえ、でもペペローメ様から教えてもらってますし、」

「私の事は気にしなくて結構ですわよ、それに首席のカイニス様から教えてもらった方がわかりやすいですわ。」


 私が断ろうとしてもペペローメが素早くフォローをいれポーテルドと二人がかりでリリィを見ることとなった。

 私はカイニスと二人取り残されてしまう。気まずくて手が止まってしまうなか、カイニスは聞いてくる。


「どこがわからないんだ?」

「え?あぁ、ではここを…」


 戸惑いながらも私は分からないところを問いかけることにした。


「それの答えはこれだ。」

「………はい?」


 私は聞き返すもカイニスはどこ吹く風もなく悠々とした態度である。

 私はまた違うところを質問した。


「じゃあこれはなんですか?」

「これはこうだ。」

「どうしてそうなるんですか?」

「こう決まっているからだ」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・よいしょっと、」


 私は体の方向を再びペペローメの方に向ける。

 先ほどまでの気まずさが馬鹿みたいだ。カイニスを無視して勉強を始めようとするとやっと何かが違うと気づいたのカイニスが慌てて私の手を引く。


「待ってくれ、何が違うのだ?」


 これだから天才は凡人の苦労が分からないのだ。

 問題があったら正解があるのが当たり前だというようにそれを導くまでの大変さが理解できないのだろう。


「あのですねカイニス様、カイニス様は頭がよろしいから理解に苦しむと思うのですが勉強というのは答えを導くまでが難しいから人は予習、復習をやるのです。

カイニス様が今やっているのは答えを教えているだけです、私が知りたいのはそこまでにいく過程です。」


 教えてもらう立場なのになにを偉そうに説いてるのだ私、とふと思ってしまったが今の状況のままカイニスに教えてもらうと確実に補習になってしまう。

 なぜか分からないがどうもカイニスは私に勉強を教えたいらしい。ペペローメもポーテルドも遠慮してしまった今、私はカイニスをどうにかしなくてはならないのだ。


「そうか・・・分かった。」


 気迫迫る私にカイニスも若干引きながらも納得してくれた。


「ではここはどうやって解くのですか?」

「これはここが原因だから・・・・」


 やはり首席というだけあってその後のカイニスは私に懇切丁寧に教えてくれた。

 私は恥じらいなど忘れ、分からないところはカイニスに遠慮なく聞いた。カイニスも呆れることもめんどくさがることもなく夜遅くまで付き合ってくれた。


 そして試験の結果が張り出され、私は見事ギリギリ補習を免れたのだ!

 え、リリィですか?

 ペペローメとポーテルドの努力むなしく補習です。






いつも読んでいただきありがとうございます!

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