マジです
「あいたたた・・・・・・・」
気が付くと私は自分の部屋でベットの上に横になっていた。
先ほどまでみんなからのプレゼントを開け、乾杯をしていたのにどういうことだろうか。
私はひとまず起き上がろうとするとひどい頭痛に襲われた。
「失礼します、お嬢様!大丈夫ですか!?」
ティナが私の部屋に入り、私が起きているのに気づくと近くにより水を渡してくる。
そういえばやけに喉が渇いていたのでそれを受け取り一気に飲みほす。
頭痛はまだ収まらないがひとまず落ち着きティナに状況を聞く。
「私なんで部屋で寝てたの?確かみんなでお茶をしていたんだけど・・・てか今何時?」
「朝の8時でございます。」
「え?」
いつの間にか一日が終わっていたというのだ。一体何が起きたんだ。昨日のことを思い出したくても頭が痛くて考えられない。
「お嬢様、旦那様が大事にしているお酒を持っていきましたね」
「お酒?・・・え、あれお酒だったの!?」
とてもカラフルで綺麗な瓶に入っており、華やかで甘いような香りをしているのがお酒なのか。
前世の頃のお酒といえばお父さんがよく飲んでいた缶ビールや焼酎など苦くてツンとした匂いのするものがお酒だと思っていたのだがここでは違うのだろうか。
「それにその中でも一番度数の高いものを普通のコップで一気に呑んだとお聞きしました。
あのようなお酒は少しずつ吞むものです、運が悪ければ死んでしまわれます!!」
前世でも成人になる前に亡くなったのでお酒の味を知らないままだった。
呑んだ瞬間は美味しいと思った記憶があるので呑める口であろう。
大人になったらもっといろいろなお酒を吞んでみたいなと思うだけで、今回の事は全く反省する気もない。
「そっか、それじゃあみんな帰ったよね、あぁお腹すいた・・・・」
あれ以降なにも食べないまま眠り込んでしまったので夜ご飯を食べれていない。
頭が痛いだけで他に体調が悪いところもなくむしろお腹の音が聞こえ、私は軽く支度をするとダイニングルームに向かう。
「おはよう、シンシアちゃん、体調は大丈夫?無理だったらお部屋で食べてもいいのよ?」
すでにお母様がおり私に駆け寄り心配してくれる。
「大丈夫です、それよりお父様は?」
勝手にお酒を取ってしまったため怒っているだろう、謝りたいと思ったのだがお父様の姿が見当たらない。
「あの後、私たちが駆け付けたのだけどあの人ったらシンシアちゃんとお酒が飲むのが夢だったとか言って一緒に吞み始めたのよ。他にもいろいろなお酒を持ってきて今はぐっすり眠っているわ。」
なんとお父様のコレクションだったお酒を大量に開け、聖騎士団達も加えて大宴会のように騒ぎまくったということらしい。
娘が未成年でお酒を呑んでいるのにも関わらずそれを止めないというのは貴族というのはやはり考え方が違うのだろう。
ちなみに一緒に呑んでいた聖騎士団達も何人かは潰れて客間で寝ているらしい。
国を守る人たちが二日酔いで潰れていてよいのだろうか。
そこに後ろから声をかけられた。
「体は大丈夫か?」
「・・・・なんでいらっしゃるのですか?」
二日酔いのせいか空耳が聞こえ幻覚が見えていると思ったが違うようだ。
カイニスがそこにいる。
「他のご友人は帰らせたのだけどカイニス様はシンシアちゃんが心配で残るって言ってくださったのよ、あの人もちょうど酔って眠ってしまったので私が許可しました。」
お母様はいたずらに笑う。
お父様が起きていたら絶対反対するだろうが2人をくっつけたいと思っているお母様はカイニスの願いをすぐさま受け入れたのだ。
私は簡単にしか支度していないためどこか変なところがないか急速に焦りだす。
髪を手でおさえ寝癖がないか確認する。カイニスがいるのを聞いていたら部屋で食べたのに。
今更部屋で食べるなど言えるはずがなく私たち三人はテーブルについて朝食を食べ始める。
ずっと気になっていたので隣に座っているカイニスにこそっと聞く。
「・・・・あの、私昨日なんか変なこと言ってたりしませんでしたか?」
「変なこととは?」
もちろん私が転生者だとかここはゲームの世界だとか、カイニスには婚約破棄され運が悪ければ殺されてしまうとか端から聞いたら頭がおかしいと思われないようなことを言ったかということだがそんなの説明できるはずがなく言葉に詰まるとカイニスが続ける。
「特におかしなところはなかったがあなたの知らない一部が見えた。」
「はい?」
「そうねぇ私もそう思ったわ!あの時のシンシアちゃんったらすごく元気で大きな声で笑っててみんなと楽しんでたわね、いつものシンシアちゃんは少し遠慮しているのかしら?」
今の私は貴族ということもあるので確かに前世の頃のように大声で笑ったりふざけるということはしないようにしている。
それにシンシーリアのお父様とお母様といっては私としてはまだ他人感が否めないので距離が出来てしまっている。
それにカイニスにだって悪いイメージを持たれないようにそれなりに粗相がないようにしている。
それを一気に昨日、しかも記憶がないまま壊してしまうとは、カイニスとしても婚約者がそのような姿がいろんな人に見られたのは恥ずかしいのではないだろうか。
「見たことがない表情が見れてよかった。これからも私の前でならあの姿を見せてくれても構わない。」
「は、はい?」
時々カイニスが寒いことを言うのは何なんだろう、しかしカイニスの前でだけというのは婚約者としてやはり恥ずかしいから他に見せるなということだろう。
「いえ、二度と昨日のような姿は見せません、すみませんでした」
「なぜ謝る?」
(嫌味か、)
この話はもう終わりにしたいのにカイニスがやけに食い下がる。
もう静かに食事をしたい。
「とにかく気を付けます。」
そういい私はサラダを大量にとり、ウサギのようにむしゃむしゃと食べ始めた。
カイニスはまだ何か言いたいことがあるような顔をしていたが諦めて食事に集中した。
そんな私たちの姿がほほえましいのか、お母様がニコニコと笑っている。
「うふふ、かわいいわね」
朝食を食べ終わり少し休憩し、カイニスが家に帰るための馬車を用意している間二人で待つことになった。
「あの、昨日はすみません、家の方も心配してますよね、公爵様のお仕事も手伝われておりますのに・・・」
「昨日使いの者にこちらに泊まると連絡しているので問題ない。
父の仕事も一日ぐらいの業務なら今日中に対応ができる。」
「そうですか、それはよかったです。
あの、今度なんかお詫びをさせてください。大したことは出来ないと思うのですが、あの、飲み物おごるとか、ご飯おごるとか・・・・」
勢いでつい言ってしまったため貴族のお詫びなど何をすればいいのかよくわからず、前世の時のお詫びの仕方しか思いつかなかったが公爵家でもあるカイニスが飲み物ごときで喜ぶはずがないだろう。
「では一ついいか?」
「はっ、はいなんでもどうぞ!」
まさかカイニスから提案してくるとは。
とっさに答えてしまったが無理難題だったらどうしよう、竜殺しぐらいならなんとかお父様と一緒に出来るかもしれない。
「今度は私の家に来てくれ」
「はい?」
「日にちはそうだな・・・来週でどうだろうか、馬車はこちらで用意する。」
私が断る暇もなくカイニスが予定を決めてしまうと玄関に迎えの馬車が止まる。
「それでは、また来週」
あっけに取られている私をおいてカイニスは馬車の中に入り込み、馬車が動き出す。
ぽつんと一人取り残されてた私は二日酔いで頭痛がする中でなにが起きたか整理する。
「・・・・マジで?」
約束通り、翌週の朝早くからアルファランス家の紋章が付いてる馬車がレバートリー家の前で待ち伏せしてた。
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